はじめに
《押し出し/引き抜き》で墓地の《ギックスに拾われし者、ミシュラ》と《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》を同時に釣り上げると、「即座に合体できる上、ターン終了時に生け贄に捧げなくてすむ」という超絶コンボが発見され、「ミシュラ合体界」に激震が走りました。
- 2023/10/24
- 話題の「ミシュラ合体」でスタンダード大会に出てみた
- 紳さん
こんにちは。「ミシュラ合体 Second Edition」の幕開けに心が震えている、スタンダード担当の紳さんです。
それでは早速、先週の大会結果をチェックしていきましょう!
2/17(土)『Standard Challenge 32』
まずは70名が参加した『Standard Challenge 32』の結果です。
『Standard Challenge 32』結果
優勝 ディミーアミッドレンジ
準優勝 アゾリウスコントロール
3位 版図ランプ
4位 アゾリウスコントロール
5位 ゴルガリミッドレンジ
6位 赤単
7位 赤単
8位 バントコントロール
【入賞デッキリスト】
トップメタであった「ボロス召集」は《一時的封鎖》により完封され、トップ8に残れず。
トップ8に《一時的封鎖》フル採用のコントロールが3つ入賞するなか、優勝はディミーアミッドレンジでした。
優勝 「ディミーアミッドレンジ」
優勝したディミーアミッドレンジには《謎めいた外套》が3枚採用されています。
ブロック不可の3点クロックは安定したダメージリソースであり、《ヨーグモスの法務官、ギックス》のドローを誘発させることが容易です。
《謎めいた外套》が戦場に加わる以前にも優秀な1-2マナの飛行クリーチャーたちが序盤から攻めたて、こちらも簡単には止められません。
《ヨーグモスの法務官、ギックス》が除去されなければ、毎ターンの戦闘で複数枚のドローが期待でき、リソース獲得手段としては最強クラスのテンポの良さです。
安定したドローエンジンがあれば、打ち消しや除去で1:1交換をしている間はずっと優勢ということになります。「クロックパーミッションこそ最強の戦略」とはよく聞きますが、このデッキ相手に一度でもマウントを取られたら簡単に返せそうにありません。
また、現在のトップメタが「ボロス召集」から「アゾリウスコントロール」に変わりつつあるなか、全体除去にやや耐性があることがこのデッキの立ち位置を良くしています。
《謎めいた外套》はマナさえあれば何度でも手札に戻して戦場へ送ることができ、アーティファクト破壊といった除去もかわせるため、対戦相手からすると対策が困難です。
サイドボードの《ぎらつく氾濫》はアグロ対策として優秀です。自軍の《帳簿裂き》や《謎めいた外套》による「偽装」クリーチャー、《ヨーグモスの法務官、ギックス》などを残しつつ、「ボロス召集」や「毒性アグロ」の軽量クリーチャーを殲滅することができます。
置物破壊ができないディミーアカラーですが、ハンデスと《ティシャーナの潮縛り》で抵抗することも可能です。
ブロック不可という最強のダメージリソースを手に入れ、ディミーアミッドレンジが新時代の覇者となるのでしょうか。
準優勝 「アゾリウスコントロール」
直近の大型大会『リバウンドスタンダード』を制したことで一躍トップメタとなったアゾリウスコントロールですが、ここでも準優勝と結果を残しました。
打ち消し・全体除去・ドロー(手札補充)・強力プレインズウォーカーが揃い、これほどまでに王道なコントロールがスタンダードでトップメタになるのはいつぶりのことでしょうか。
メタゲーム的にはなんといっても、《一時的封鎖》がこのデッキの活躍を支えています。理不尽すぎる暴力であった「ボロス召集」「毒性アグロ」を見事に黙らせました。
『カルロフ邸殺人事件』の新カードも採用されてはいますが、これまでに使われていたカードと圧倒的な差があるものはなく、どちらかといえば立ち位置がよくなったことによる躍進だと考えられます。
とはいえ、《かき消し》や《否認》と比べると《喝破》はさすがに少し強いかもしれません。
豊富なサイドプランもこのデッキの魅力で、アグロ対策・置物破壊・墓地追放・追加の勝ち手段・軸ずらしと必要なものがすべて揃っています。
長い間、覇権を握ることがなかったコントロールデッキがひさしぶりにスタンダードへ帰ってきましたね!
このデッキをねじ伏せるアグロ戦略は存在するのでしょうか?「スピードの向こう側」を見せてくれるデッキの誕生がとても楽しみです。
注目デッキ 「バントコントロール」
おなじコントロールでも、すこし気になるデッキが入賞していたので紹介させていただきます。
コントロールの命であるドローソースを《速足の学び》や《記憶の氾濫》ではなく《豆の木をのぼれ》に依存したバントコントロールが8位入賞と健闘していました。
《豆の木をのぼれ》さえ着地させることができれば、《冥途灯りの行進》や《力線の束縛》、《太陽降下》といった全体除去にまでキャントリップ効果が期待できます。《記憶の氾濫》で手札を補充することに比べると、隙はほとんどありません。
《力線の束縛》はおおむね3マナでの運用となりますが、《ジェトミアの庭》や《ラフィーンの塔》があれば1-2マナでキャストできる可能性もあります。
サイドに4枚採用されている《金属の徒党の種子鮫》は《力線の束縛》を唱えた際にX=6の「培養」を行うことができるため、アゾリウスコントロールよりは強く使うことができます。
場合によってはさらに巨大な培養器・トークンを生成することもでき、《太陽降下》で更地になったところで変身して殴るなど、一気にゲームを決めるプランもあります。
序盤に《豆の木をのぼれ》を確保できなかった場合と、メインからフル採用されている《一時的封鎖》が自身の《豆の木をのぼれ》を追放してしまう点がすごく気がかりではあるのですが、おそらくプレイングでカバーできるのでしょう。
新生バントコントロールが今後のメタゲームにどう絡んでくるのか楽しみです。
2/18(日)『Standard Challenge 64』
つづきまして、105名が参加した『Standard Challenge 64』の結果です。
『Standard Challenge 64』結果
優勝 毒性アグロ
準優勝 アゾリウスコントロール
3位 アゾリウスコントロール
4位 版図ランプ
5位 アゾリウスコントロール
6位 ボロスコントロール
7位 ゴルガリミッドレンジ
8位 《もがく出現》リアニメイト
【入賞デッキリスト】
ランプやコントロールが上位を占めるなか、メタゲーム的にかなり逆風であった毒性アグロが優勝しました。
「ボロス召集」と違い、タイミングよく《渦巻く霧の行進》さえ引ければコントロールの魔の手からなんとか逃げ切れるのが強みですね。
今回は2つの注目デッキに絞って紹介していきます。
注目デッキ 「ボロスコントロール」
《炎心の決闘者》が3枚採用された、やや珍しい形のボロスコントロールが入賞したので紹介させていただきます。
万能除去である《失せろ》や強力な全体除去に加えて、ボロスカラー特有の強みがあります。
《炎心の決闘者》がいるときに《稲妻のらせん》を使うとライフが都合6点回復することになり、全体除去を唱えるまでの時間を大きく稼ぐことができます。サイド後は1マナの《石術の連射》で5点回復が狙えたりと、除去をしながらライフを安全圏に戻す動きが可能です。
また、ドロー呪文こそありませんが《地質鑑定士》や《クイントリウス・カンド》の「発見」などでアドバンテージを稼ぐことができます。《クイントリウス・カンド》が戦場に残れば「発見」をするだけでライフドレイン効果も誘発するため、ほかのコントロールデッキに比べるとライフを常に安全圏に保ちながら戦えるのが魅力です。
時間を稼いだならば、フル採用された《婚礼の発表》《忠義の徳目》《放浪皇》などのトークン戦略でじわじわとライフを削っていきます。
《眠らずの露営》も終盤はかなり信頼のできるアタッカーとして機能することでしょう。
ライフ回復手段が豊富で、フェアデッキに対してはこの上なく強そうな構成のコントロールデッキですね!「赤単」や「ボロス召集」にどうしても勝てないという方は、一度使ってみてはいかがでしょうか。
注目デッキ 「《もがく出現》リアニメイト」
これだけコントロールが多いなか、リアニメイトデッキが入賞したのは大健闘といえるのではないでしょうか。環境的に墓地対策がやや薄めなのが功を奏したのかもしれません。
このデッキに関しては『ジャパンスタンダードカップ』でもトップ8に入賞し、先週の「Just Nowスタンダード! vol.10 」でも紹介したデッキですので詳細な説明は割愛させていただきます。
- 2024/2/13
- Just Nowスタンダード! vol.10 -《戦導者の号令》包囲網!-
- 紳さん
さらに研究が進んだのか、本格的にメタゲームに喰い込んできたようですね。MTGアリーナでもかなり対戦する機会が増えてきました。
『カルロフ邸殺人事件』からの新戦力、《蒸気核の学者》はかなりデッキにフィットしたカードです。
墓地を肥やしながら《もがく出現》を探せるところは《ファラジの考古学者》や《錠前破りのいたずら屋》とおなじですが、飛行2/2というスタッツがブロッカーとしての信頼度をかなり上げています。
墓地に落とせるカードもランダムではなく、狙ったカードをしっかりと手札から墓地へ送ることができるため、リアニメイト戦略がかなり安定しますね。
そのほか、メインとサイド合わせて4枚採用された《忘れられた者たちの嘆き》も大きくアップデートされたポイントです。
《第三の道の創設》で序盤から唱えたのちに使いまわすことが可能で、2マナながら中盤以降はほぼ確実に1:2交換、あるいは1:3交換の呪文となります。
トップメタのアゾリウスコントロールに対し、《もがく出現》を《喝破》で打ち消されたときのリカバリーとして《忘れられた者たちの嘆き》でアドバンテージをとりながら《偉大なる統一者、アトラクサ》や《産業のタイタン》を通常キャストして勝ちにいくプランをとることができます。
《告別》だけはどうしようもありませんが、サイド後は《強迫》や《否認》で抵抗がすることが可能です。
フルコントロール相手にリアニメイトプランを止められても、最終的にスケールで勝てる可能性があるのはデッキとしてかなり魅力的ですね!
おわりに
アグロ・ミッドレンジ・ランプ・コントロールとゲームレンジが異なるデッキがまんべんなく活躍し、群雄割拠の様相を呈してまいりました。
まだまだ初期といえる『カルロフ邸殺人事件』環境ですが、今回の大会結果を受けたプレイヤーたちによってメタゲームはさらに激しく動きそうですね。
ローグデッキ党の私としては、コンボデッキの優勝を強く願っています。
《喝破》さえなければなぁ……いや、《喝破》はすごく良いカードなんですけどね。打ち消し+追放が現環境のローグデッキに刺さりすぎるンゴねぇ…
それでは、来週の大会結果もお楽しみに!