第26期スタンダード神挑戦者決定戦:メタゲームブレイクダウン
晴れる屋メディアチーム
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『カルロフ邸殺人事件』の発売から1か月半が過ぎ、スタンダードは環境末期にさしかかっています。
そんな中、基本土地をたくさん並べるランプデッキが突如出現し、環境を席巻しているようです。
ここからは128名が参加した第26期スタンダード神挑戦者決定戦のメタゲームブレイクダウンをお届けします。
デッキ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
ディミーアミッドレンジ | 15 | 11.72% |
世界魂ランプ | 12 | 9.09% |
ボロス召集 | 12 | 9.09% |
版図ランプ | 10 | 7.58% |
エスパーミッドレンジ | 9 | 6.82% |
アゾリウスコントロール | 7 | 5.30% |
赤単アグロ | 7 | 5.30% |
ゴルガリミッドレンジ | 7 | 5.30% |
バント毒性 | 4 | 3.03% |
ジェスカイコントロール | 3 | 2.27% |
グルールアグロ | 3 | 2.27% |
ラクドスミッドレンジ | 2 | 1.52% |
白単アグロ | 2 | 1.52% |
ラクドスアグロ | 2 | 1.52% |
豆の木コントロール | 2 | 1.52% |
スゥルタイミッドレンジ | 2 | 1.52% |
オルゾフミッドレンジ | 2 | 1.52% |
バントコントロール | 2 | 1.52% |
エスパーレジェンズ | 2 | 1.52% |
毒性コントロール | 2 | 1.52% |
アガサコンボ | 2 | 1.52% |
ディミーアリアニメイト | 2 | 1.52% |
その他 | 17 | 12.88% |
総計 | 128 |
世界魂ランプは、今のスタンダードで最もホットなデッキと言ってもいいでしょう。少し前に話題となったスゥルタイランプと同じく、《事件現場の分析者》とオートフェッチランドの組み合わせが採用されています。
どちらも同じパッケージを採用したランプデッキですが、ティムールカラーになったことで《強靭の徳目》からマナを生み出して《世界魂の憤怒》というわかりやすい勝ち手段を搭載しています。
《強靭の徳目》は基本土地から出るマナが3倍になる能力を持っています。現在のスタンダードには強力な多色土地が揃っており、基本土地を強化する《強靭の徳目》はそこまで注目されてきませんでした。しかしオートフェッチランドと《事件現場の分析者》により基本土地が大量に並ぶようになったことで、《強靭の徳目》から莫大な恩恵を受けられるようになりました。
出来事面である《ギャレンブリグの成長》は墓地のクリーチャーか土地をわずか1マナで回収しつつ、本命の《強靭の徳目》を手札破壊から逃がすこともできるナイスカードです。黒い除去と手札破壊が飛び交う今のスタンダード環境では、この出来事に救われる場面も少なくないでしょう。
《世界魂の憤怒》はマナ加速のおまけがついたX火力呪文です。「相手のクリーチャーを除去しないといけないけどマナを伸ばさないと勝てない!」というランプデッキではよくある問題を1枚で解決することができます。もちろん、マナが伸びた後のフィニッシュ手段としての性能は過去のX火力呪文と遜色ありません。
世界魂ランプの流行を見てか、ミッドレンジデッキにも変化が起こっているようです。最近までミッドレンジはエスパーカラーが最も多い印象でした。しかしここにきてディミーアミッドレンジが勢力を拡大し、使用率1位となっています。
ディミーアミッドレンジは軽量クリーチャーを打ち消しでバックアップしていくクロックパーミッション戦略を得意としています。《遠眼鏡のセイレーン》や《大洞窟のコウモリ》で序盤からプレッシャーをかけながら、重要な呪文は《かき消し》等の打ち消しでいなしていきます。流行の世界魂ランプに《世界魂の憤怒》や《間の悪い爆発》を通す隙を与えません。
ではエスパーミッドレンジは弱くなったのか?いいえ、そんなことはありません。もちろん3色デッキである以上、2色のディミーアミッドレンジと比較して色事故のリスクは抱えています。が、それでも先手3ターン目の《策謀の予見者、ラフィーン》は現スタンダード最強の動きで間違いないでしょう。
《婚礼の発表》はミッドレンジ同型に強く、特にクリーチャーの線が細いディミーアミッドレンジにとっては絶対に通したくないカードです。昨年5月に禁止された《鏡割りの寓話》と同じくスタンダード環境を定義し続けてきたエンチャントですが、その強さは今秋のローテーション落ちまで衰えることがなさそうですね。この《婚礼の発表》でじっくりと盤面を強化していく戦略が、長らく環境トップを走り続けるエスパーミッドレンジの強さを支えています。
ボロス召集や赤単アグロのような速いデッキも無視できない存在です。
『カルロフ邸殺人事件』で新戦力を得たボロス召集が使用率3位に。環境初期の爆発的な流行からは少し数を減らした印象ですが、《一時的封鎖》や《危難の道》のような対策カードを採用していないと一瞬で負けてしまうデッキパワーは健在のようです。
『カルロフ邸殺人事件』からの新たなメカニズム「変装」を持つ《逃走する暗号破り》と《火炎術の演出者》は、赤単アグロの新戦力として定着してきています。「変装」で3マナ域を埋められるようになったことで、デッキ全体をより軽く速い構成で組むことができるようになりました。
エスパーミッドレンジと並んで環境トップを走り続けてきた版図ランプですが、世界魂ランプの流行は向かい風でしょうか。打ち消しをもたない版図ランプにとって、莫大なマナからの《世界魂の憤怒》に対抗できる札はありません。サイドボードに《石の脳》を採用し、相手の《世界魂の憤怒》を全て追放してしまう戦略もあるようですが、相性差を覆すことはできるのでしょうか。
第26期スタンダード神挑戦者決定戦のメタゲームブレイクダウンをお届けしました。
『カルロフ邸殺人事件』が発売した当初は、まさか《斡旋屋一家の潜伏先》や《舞台座一家の中庭》がスタンダードで4枚ずつ使われるとは思いませんでした。スタンダードのローテーションが3年に伸びた影響はかなり大きかったということでしょう。
来月発売の『サンダー・ジャンクションの無法者』でスタンダード環境はどのように変化していくのでしょうか?2021年秋の『イニストラード:真夜中の狩り』から約3年半、まだ注目されていないカードが《掘り起こし》されるかもしれませんね!