Translated by Tetsu Furukawa
(掲載日 2024/10/02)
はじめに
アミュレットタイタンは、私がモダンでいつも使っているデッキです。”ナドゥの夏”の間は、別の強力なコンボデッキに目を向けざるを得ませんでしたが、《有翼の叡智、ナドゥ》がモダンから消えた今、ふたたびアミュレットタイタンの調整に取り組んでいます。
今回はこのデッキついて、話したいことがたくさんあるのです。
最近の変化
アミュレットタイタンに採用されている『モダンホライゾン3』の主なカードは、1-2枚の《変容する森林》だけです。このカードはさまざまな状況で役に立ち、相手の妨害を乗り越えられる力があります。長期戦では自然に「昂揚」を達成することが多く、墓地の《原始のタイタン》に変身して《対抗呪文》や除去を打破することができるのです。
ただ、真の利点は《変容する森林》と《事件現場の分析者》を組み合わせることで無限ループできる点にあります。
《事件現場の分析者》のおかげで、《精力の護符》1枚だけでも簡単に勝てるようになりました。また以前のアミュレットタイタンは、《原始のタイタン》を強く使うために《イリーシア木立のドライアド》に頼る必要がありましたが、現在はメインデッキに《洞窟探検》を採用することで、さらなる安定性を手にしています。
さらに、《事件現場の分析者》はクリーチャー除去を完全に回避することがよくあります。たしかに、《孤独》は《原始のタイタン》に対してあまり効果的ではありませんでしたが、プレイされるとコンボが止まるので考慮する必要がありました。しかし、今ではそれがほとんど気にならない状況にまで簡単に持っていけます。
最近では、『ブルームバロウ』から《森の轟き、ルムラ》が登場しました。《事件現場の分析者》と似たような効果を持っていますが、いくつか重要な違いがあります(詳しくは後述)。
現在のアミュレットタイタンは、《原始のタイタン》でできるだけ素早く攻撃を仕掛けることと、《睡蓮の原野》を戦場と墓地の間で行き来させることに重きを置いているのです。アミュレットタイタンを使おうとしている人はもちろん、このデッキと対戦する人も、プレイのパターンやループについて知っておくと役立つかもしれません。
それでは、始めましょう!
デッキリスト:アミュレットタイタン
こちらが最近使用しているリストです。かなり基本的な構成で、今回の解説における重要なコンボパーツがすべて含まれています。《変容する森林》を多く採用しているリストもよく見かけますが、これ以上枚数を増やしても新たな選択肢が拓けるわけではないようです。
基本的な《事件現場の分析者》のループ
ここでの《森》はあくまで仮の土地です。デッキ内のほかの土地でもその役割を果たすことができ、さまざまな土地がどのようにループを展開したり、変化させたりするのかについて詳しく説明します。
■ループのやり方
《変容する森林》を《事件現場の分析者》に変身させます。このとき、《変容する森林》をタップしてマナを出すことを忘れないでください。クリーチャーに変わると、マナを出す能力を失ってしまいますからね。
その後、《事件現場の分析者》になった《変容する森林》の起動型能力を使って、墓地にあるすべての土地を戦場に戻します。
戦場に戻った2枚の《睡蓮の原野》、《変容する森林》、ほかの2枚の土地から9マナを生成します(タップ状態で出てきますが、《精力の護符》でアンタップします)。
《変容する森林》と《事件現場の分析者》を再度起動するのに必要なのは8マナなので、この過程を繰り返すことで無限マナを生み出すことができます。
必要なカードが多いように見えるかもしれませんが、すべてを手札にそろえる必要はありません。むしろ、ほとんどは墓地か戦場のどちらかにある必要があります。自然にプレイするなかで、《事件現場の分析者》で墓地を数枚肥やしながら、《原始のタイタン》で足りていないパーツを探し出すことができるため、コンボを成立させるのはそれほど難しくありません。
《睡蓮の原野》は土地を生け贄に捧げる手段であり、基本的にはループを開始したいターンにプレイします。通常、《睡蓮の原野》は自身を生け贄にするのが望ましく、戦場よりも墓地にあるほうが良いです。そのため、コピーなどでもう1枚用意できない限りは、早めにプレイして戦場に置いたままにするのは避けましょう。
《残響する深淵》は、ルールの小さな抜け道によって第2の《睡蓮の原野》として機能します。というのも、《事件現場の分析者》で《残響する深淵》と《睡蓮の原野》を同時に墓地から戻したとしても、《睡蓮の原野》を“まだ墓地にあるかのように扱える”ため、《残響する深淵》でコピーすることができるのです。逆に《ヴェズーヴァ》は、戦場にある土地しかコピーできないので、同様のことは起こりません。
追加の《精力の護符》はあればただ役に立ちます。2枚以上の《精力の護符》があると、《睡蓮の原野》1枚でもループに必要なマナを十分に生成可能です。また、《洞窟探検》も《精力の護符》の代わりとして機能します。
ループの幅を広げる各種土地
《ウルザの物語》
《変容する森林》を起動するには「昂揚」が必要です。クリーチャーと土地は必然的に用意できるでしょう。《事件現場の分析者》と土地は常に墓地にありますからね。ということで、あと2種類のカード・タイプが必要です。ループ中に《ウルザの物語》を生け贄にすれば3種類になるので、あともう1種類なにか用意するだけです。
諜報土地
諜報土地を使うと、《事件現場の分析者》で墓地から戦場に戻すたびに1枚切削できます。これによって、最終的にはデッキすべてを切削し、別のループに移ることが可能です。
《ウルザの洞窟》
同様に、《ウルザの洞窟》は十分にマナがあればループごとに毎回起動できるため、デッキからすべての土地を持ってくることができます。
《光輝の泉》
《光輝の泉》は繰り返しプレイすることで無限ライフになります。
《一つの指輪》
墓地にある《一つの指輪》を使って無限にカードを引くこともできます。無限マナのあと、いつものように《変容する森林》を《事件現場の分析者》を対象に起動するのですが、このとき優先権を保持したままにします。そのまま《変容する森林》を再度起動し、《一つの指輪》に変身。タップしてカードを引き、残ったスタックを解決すると《事件現場の分析者》に変身するので、いつものループを続けることができるのです。
バウンス土地
ループにバウンス土地が関与している場合は注意が必要です。すべての土地を《睡蓮の原野》で生け贄にできる場合、《変容する森林》を起動し、《睡蓮の原野》の誘発を解決して戦場に土地がなくなってから、《シミックの成長室》の能力を解決させます。こうすることで、土地のバウンスをスキップすることができるのです。
そうでない場合は、バウンス土地以外の土地を生け贄にして、いつも通りループを続けることができます。場合によっては、ループを続けるためにバウンス土地自体をバウンスする必要もあります。また、ループを続けてスタックの一番下にバウンス土地の誘発を無限に蓄積することもできますが、それが役立つことはあまりないでしょう。
《トレイリア西部》/魂力土地
バウンス土地を使って《トレイリア西部》や魂力土地をループさせることもできます。ループごとに《耐え抜くもの、母聖樹》や《天上都市、大田原》をバウンス土地で戻し、「魂力」で相手のほぼすべてのパーマネントに触ることができるのです。これは、ナドゥコンボでもよく見られた勝ち方のひとつでした。
《鏡の池》
無限マナ成立後、《変容する森林》を《事件現場の分析者》に変身させたあとにループを中断し、能力を起動する前に《鏡の池》を使えば無限にクリーチャーのコピーを生成できます。
このとき、もし対戦相手が除去やなにかしらの妨害をはさんできた場合は、《変容する森林》(《事件現場の分析者》)の能力を起動してループを再開し、同じ状況に戻ればいいだけです。相手の妨害に対してさらに耐性をつけたいのなら、《ヴェズーヴァ》や《残響する深淵》で《変容する森林》のコピーを作っておけばいいでしょう。
《鏡の池》で《事件現場の分析者》のコピーを生成すると、戦場に出たときの能力が誘発するので、カードを3枚切削することになるのは覚えておきましょう。場合によっては、自分のライブラリーを切削しすぎないように注意する必要があります。特に、相手が《一つの指輪》によってプロテクションを得ている場合は、《事件現場の分析者》を生成しすぎないように気をつけましょう。
何体か《事件現場の分析者》のトークンが用意できたら、《変容する森林》を別の墓地のクリーチャーに変身させることができます。たとえば、《原始のタイタン》(または《耕作する巨躯》、もし採用しているなら《イリーシア木立のドライアド》)などです。その後は通常のループへ戻り、ループごとに《原始のタイタン》のコピーを作りましょう。
《ハンウィアーの要塞》
これらの一連の流れが済んだら、《ハンウィアーの要塞》をループに組み込むことで、すべてのクリーチャーに速攻を与えることができます。《ハンウィアーの要塞》が手札にある場合は、さきほど説明した《変容する森林》と《鏡の池》のトリックで、《樹上の草食獣》や《耕作する巨躯》のコピーを作って場に出すことが可能です。
《一つの指輪》のプロテクション(すべて)をどのように攻略するべきなのか?
現状の私のリストは、戦闘ダメージによる勝ち筋しかありません。相手にプロテクションがある場合は、一度ターンを返して次のターンに攻撃する必要があるのです。
もし《イリーシア木立のドライアド》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を採用していれば、相手のアップキープに無限ダメージを与えることができます。
同じ目的で《瑞々しいオアシス》を採用しているリストもありましたが、実際のところループが決まってしまえば基本的に何でもできますし、このループから抜け出すのはほぼ不可能です。魂力土地のループによって、相手の場には基本土地しか残りません。ターンを返す際には、すべての土地をアンタップさせた状態にしておきましょう。
もし相手が何らかの方法で全体除去を唱えた場合、それを解決させてから、次に優先権を得たときにループを始めてふたたび無限に《原始のタイタン》のコピーを生成することができます。
その全体除去が《空の怒り》であれば、無限マナを生み出したあとに《空の怒り》をまず解決させます。その後、余った《ヴェズーヴァ》で《変容する森林》をコピーし、その《変容する森林》で《精力の護符》をコピーします。その《精力の護符》を《マイコシンスの庭》でコピーすれば、再度無限に《原始のタイタン》のコピーを作れるのです。
自分の《一つの指輪》を《天上都市、大田原》で戻すことで、もう一度「プロテクション(すべて)」を得ることもできます。エルドラージの構築によっては、《約束された終末、エムラクール》と5-6枚の《森》を採用したリストもあります。《一つの指輪》のプロテクションはとても重要で、これがないと《エルドラージの寺院》からの《約束された終末、エムラクール》に意表を突かれて負けてしまう可能性があるのです。
もしライフが少なくて火力呪文で負けそうなときは、《洞窟探検》を何度かバウンスすることでライフを回復できます。《残響する深淵》と《ウルザの洞窟》が「洞窟」なので、4点回復することが可能です。ループごとにバウンス土地でこれらの「洞窟」を手札に戻しましょう。《洞窟探検》のドローは強制なので無限ライフにはなりませんが、16点ほど回復できれば十分だと思います。
手札や戦場に《一つの指輪》や《洞窟探検》がない場合でも、《変容する森林》と《一つの指輪》のトリックを使えば問題なく見つけられるはずです。ただし、自分のライブラリーをあまり切削しすぎないように気をつけてください。墓地からパーマネントを手札に戻すことはできませんからね。
《森の轟き、ルムラ》について
《森の轟き、ルムラ》は《事件現場の分析者》と似た役割を果たしますが、少し異なる働きをします。戦場に出たときに能力が誘発するため、《変容する森林》とのループはできません。その代わり、《鏡の池》と組み合わせることで無限トークンになります。
ただ《森の轟き、ルムラ》の切削は強制なので、ライブラリーアウトしないように注意しましょう。いずれはどこかのタイミングで、《事件現場の分析者》と《変容する森林》のループに移行できるはずです。
《崩壊する痕跡》はちょうど必要なマナを得るために必要ですが、少し運が良ければほかの無色の土地でも代用できます。《森の轟き、ルムラ》の切削でさらに土地が墓地に落ちることもあるので、必要なマナを供給してくれるでしょう。
《天上都市、大田原》を使って《森の轟き、ルムラ》を何度も手札に戻して再プレイすることもできます。大量のマナが必要になりますが、ときには《ルムラ》の能力で追加のマナを得られることに賭けて、無限ループに到達するまで持ちこたえることも可能です。また《ルムラ》は伝説のクリーチャーなので、《天上都市、大田原》の「魂力」コストが3マナになるのをお忘れなく!
ダブル・アミュレット・ライン
《精力の護符》が2枚ある状態で《原始のタイタン》が解決することは、常に勝利を意味します。おなじみの《処刑者の要塞》/《軍の要塞、サンホーム》はリストからなくなり、《鏡の池》と《ケッシグの狼の地》または《巨森、オラン=リーフ》に置き換わりました。
ただ、これらは勝利に必須というわけではありません。この《精力の護符》2枚と《原始のタイタン》から《事件現場の分析者》のループに移行させる方法があるのです。
■プレイの手順
・《精力の護符》が2枚ある状態で《原始のタイタン》をプレイします。
・能力で《鏡の池》と《睡蓮の原野》を持ってきます。7マナ浮かせてから《鏡の池》で《原始のタイタン》のコピーを生成します。必要であれば《睡蓮の原野》の誘発に対応することも可能です。(これでいま2マナ浮いた状態です)
・コピーした《原始のタイタン》から《残響する深淵》と別の《睡蓮の原野》を持ってきます。《残響する深淵》は《鏡の池》のコピーになり、ふたたび《原始のタイタン》をコピーします。(4マナ浮いた状態)
・3体目の《原始のタイタン》で《シミックの成長室》と《トレイリア西部》を持ってきます。マナを出したあとに、《シミックの成長室》で《トレイリア西部》を手札に戻し、「変成」で《召喚士の契約》をサーチします。(7マナ浮いた状態)
・《召喚士の契約》で《事件現場の分析者》をサーチ。そのままプレイし、能力を起動して墓地からすべての土地を戦場に戻します。
これで、《鏡の池》を使って《原始のタイタン》のコピーを作り、《変容する森林》を持ってくることができるので、《事件現場の分析者》に変身してループに移行できるのです。
もし自分のターンの開始時に墓地が空だった場合は、その時点で必ずしも「昂揚」を達成しているわけではありません。《変容する森林》と一緒に《ウルザの物語》を持ってくることで、この問題は解決できますが、《睡蓮の原野》の誘発を解決する前に《鏡の池》を使う必要があります。そうすれば、少なくとも《事件現場の分析者》《召喚士の契約》《ウルザの物語》が墓地にあるので「昂揚」を達成できています。
もっと簡単な勝ち方をするための戦略的な理由はまだあります。上記で説明した手順では、《召喚士の契約》を必要とし、ほとんどの土地を生け贄にすることになるため、墓地対策の影響を強く受けます。さらに、《ウルザの物語》や《召喚士の契約》をサイドアウトしつつ、《原始のタイタン》の脅威を維持したいことも多いでしょう。コンボで勝つための土地を使うかどうかは、妥当な疑問です。
今回の記事は、新しいアミュレットタイタンの構築について学ぶ良い出発点になると思います!これからは、対戦相手が《召喚士の契約》で《事件現場の分析者》を持ってきたとしても、驚いたり何をされるか分からないといったことはないでしょう!
ピオトル・グロゴゥスキ (X / Twitch / Youtube)