晴れる屋トーナメントセンター東京にて
紳さん:たくみん、あけましておめでとう。
拓海:おめでとうございます。
人物紹介
紳さん
ライター。毎年、干支デッキを作っては大会でクシャクシャにされている。
拓海
元DCGのプロプレイヤー。晴れる屋では動画編集スタッフとして活躍中。愛称は「たくみん」。
紳さん:さて、今年も干支マジックの季節がやってきました!!!
拓海:干支マジック?
紳さん:知らない?我々、晴れる屋のスタッフは毎年、干支デッキで大会に出て勝利を奉納することで「マジックの繁盛」を祈願するんだ。ついでに楽しくマジックを遊ぶことで心身を健康にする。それが干支マジックさ。
拓海:1ミリも知らない話ですけど。
紳さん:2023年はウサギ、2024年はドラゴン。数々の干支デッキが誕生しました。
紳さん:さて、2025年の干支は「巳(み)」。ヘビ年だね。
紳さん:この「巳」という漢字は、赤ちゃん(胎児)の形から派生しているんだ。「新しく産まれる」「子孫繁栄」といった意味があり、とっても縁起が良いんだよ。これにあやかり、今年は新しいデッキをたくさん誕生させたいね。
拓海:「蛇」っすか。なんか強いクリーチャー、いましたっけ?
紳さん:たくみんは普段ガチデッキしか使わないから知らないだろうけど、蛇はなかなか粒ぞろいよ。『ファウンデーションズ』で再録された《カビのマムシ》なんて、トップメタにガチで刺さる性能。
拓海:使われてるの見たことないですけどね。
紳さん:《腐食の荒馬》なんてすごいよ!「蛇」でありながら「馬」でもあるため、なんと来年の干支にも対応しているんだ。干支マジックのために生まれてきたような逸材だよね。
拓海:《腐食の荒馬》の干支適正はともかく、本当に蛇デッキが大会で勝てるんですか?
紳さん:うむ。2025年は《腐敗口のバイパー》で勝ちにいきます。
クリーチャー – エレメンタル・蛇
この呪文を唱えるための追加コストとして、土地でない望む数のパーマネントを生け贄に捧げてもよい。この呪文を唱えるためのコストは、これにより生け贄に捧げたパーマネント1つにつき少なくなる。
腐敗口のバイパーが戦場に出るか攻撃するたび、これの上に荒廃カウンター1個を置く。その後、これの上にある各荒廃カウンターにつきそれぞれ、各対戦相手はそれぞれ、土地でないパーマネント1つを生け贄に捧げるかカード1枚を捨てないかぎり4点のライフを失う。
拓海:こいつか~。活躍してるところ、マジで見たことないっすけど。
紳さん:口を慎みたまえ。『ブルームバロウ』のトップレア(※発売当時)だぞ?
【アンケート】
— 晴れる屋メディア (@hareruya_Media) July 26, 2024
『ブルームバロウ』スタンダード世論調査!
《腐敗口のバイパー》はスタンダードで使われるカードだと思いますか?https://t.co/NcglK5ypGQ#mtgjp #MTGBloomburrow
紳さん:アンケートでも66%以上の方が「使われる」と回答したんだ。弱いわけがないだろう。バイパー様と呼びなさい。
拓海:「使われる」って回答した人、全員、後悔してますよ。多分。
紳さん:そんでね、見つけたのよ。バイパー様に忠誠を誓いし、最強のしもべを。
紳さん:《うろつく玉座》。
アーティファクト・クリーチャー – ゴーレム
護法
うろつく玉座が戦場に出るに際し、クリーチャー・タイプ1つを選ぶ。うろつく玉座は、他のタイプに加えてその選ばれたタイプでもある。
あなたがコントロールしていてその選ばれたタイプでありこれでないクリーチャー1体の誘発型能力が誘発するなら、それは追加でもう1回誘発する。
紳さん:たくみんも知っての通り、蛇は誘発型能力が強い種族なんだ。《腐食の荒馬》や《永劫の不屈》とかね。
紳さん:なかでも最強の蛇、バイパー様は戦場に出たときと攻撃時の誘発型能力がすべて2倍になる。「蛇の王」たるバイパー様と「玉座」という組み合わせも良いよね。
拓海:なるほど。《腐敗口の倍パー》ってことですね。
紳さん:うん。そうだね。
拓海:でも、無理じゃないですか?6マナのクリーチャーが除去耐性ないのは、狂気の沙汰ですよ。荒廃カウンターが乗る前にスタックで除去されたら、すべてが水の泡に。
紳さん:さすがは元DCGプロ。バイパー様の唯一の弱点に気がついてしまったようだね。
紳さん:そこで目をつけたのが、《養育するピクシー》だ。今、スタンダードでは「エスパーピクシー」が最強デッキ候補とされているよね。
拓海:エスパーピクシーは強いですけど、蛇となんの関係が?
紳さん:《養育するピクシー》と強力なシナジーを形成する《望み無き悪夢》や《逃げ場なし》は、いざとなればバイパー様のエサにできるところが相性抜群なんだ。エスパーピクシーにバイパー様が採用されないのが不思議なぐらいさ。
拓海:……なるほど?《望み無き悪夢》を連打すれば手札も絞れるし、バイパー様が除去されにくくなりますね。
紳さん:そういうことさ。序盤からピクシー&悪夢で相手のライフとハンドを締め上げ、相手の手札が尽きたところで、バイパー様が想像だにしない早期ターンに着地。そして玉座へ。
拓海:初手に《養育するピクシー》と《望み無き悪夢》が揃わなかったら?
紳さん:完成した最強デッキがこちらです。
拓海:(無視された)
拓海:うーん。ハンデスと除去、足りなくないですか?
紳さん:除去は多いよ!《幽霊による庇護》も4枚入っている!
拓海:クリーチャーが少なさ過ぎて《幽霊による庇護》を付ける先がないような……?
紳さん:ちなみに《うろつく玉座》は単独で《腐食の荒馬》に「騎乗」できるので、かなり相性が良い。攻撃時誘発効果が2倍になり、《不浄な別室/祭儀室》やバイパー様のような高コストのカードが連続でめくれると、それだけでゲームに勝てるぐらいのインパクトがあるのさ。
拓海:騎乗せずに攻撃すると大変なことになりません?
紳さん:理想としては4ターン目にバイパー様を3マナでプレイして、《破片魔道士の救出》を構える展開になれば激アツ。
拓海:どうせなら《破片魔道士の救出》より《蛇皮のヴェール》を採用したいですけどね。蛇デッキとしては。
紳さん:いいね、たくみん。干支デッキに対するこだわりが出てきたね。
紳さん:というわけで、たくみん。この蛇デッキで大会に出て、勝利をおさめて欲しい。
拓海:僕が!?基本的にガチデッキ以外、使いたくないタイプなんですけど。
紳さん:たまには、こういったローグデッキで大会に出るのも悪くないよ。記事としては、たくみんが考案した蛇デッキを使うのが一番良いけど、負担が大きいしね。
紳さん:もし勝てたら、たくみんが今、一番欲しがってるカードである《嵐追いの才能》を4枚あげるよ。
拓海:やります。
いざ、大会へ
拓海:晴れる屋の未来のためにも、蛇デッキで勝利を奉納してみせるぞ!
■対戦結果
2025年1月16日 晴れる屋TC東京 平日スタンダード20時の部
R1 黒単 ×◯×
R2 ゴルガリランプ ◯××
R3 Bye
拓海:実質0-2。元プロなのに負けてすみません。
紳さん:お疲れ様でした。負けちゃったか……。
拓海:それにしても、なんですか、このデッキ!サイドとか入れるカードなさすぎてビックリしました。
紳さん:サイドプランを練る時間がなかったんだ。許せ。
紳さん:でもさ、毎ゲーム1ラウンドは取ってるんだね。
拓海:相手が除去を引けずにバイパー様で勝ったゲームと、《養育するピクシー》と《望み無き悪夢》のパッケージで削って《不浄な別室》&デーモンで勝ったゲームがありました。
拓海:とにかく確定除去とクリーチャーが足りてないです!あと、ハンデスも足りてない。バイパー様を活かすために《ヴェールのリリアナ》とか入れてみたらどうですか?
紳さん:なるほど。確かにちょっとクリーチャーが少なかったかもね。《幽霊による庇護》がめっちゃ腐りそう。
拓海:あと、この《魔女の虚栄》とかいうカード、なんでメインに4枚なんです?アグロデッキにしか刺さらないし、サイドでよくないですか?
紳さん:バイパー様を早出しするのに最高だと思ったんだけど、ダメだったか。
拓海:まぁ、良いところもありましたよ。バイパー様を戦場に出すと、盛り上がります。対戦相手の人に「《腐敗口のバイパー》っすか!?カッコいいですね!」って言われました。
紳さん:良いところ、それだけ?
拓海:やっぱり、あれじゃないですか。デッキは作った人の手にしか馴染まないんじゃないですかね。
紳さん:うーん。一旦、ワイもやってみるか。たくみんのアドバイス通り、《魔女の虚栄》をすべてサイドに、《跳ねる春、ベーザ》と《第三の道のロラン》をメイン採用にしてチャレンジしてみる。
拓海:《ヴェールのリリアナ》、入れないんですか?
紳さん:持ってない。
拓海:……ヘヴィな戦いになると思いますよ。蛇だけに。
紳さん:うん。そうだね。
■対戦結果
2025年1月18日 晴れる屋TC東京 平日スタンダード20時の部
R1 グルール果敢 ◯◯
R2 赤単 ◯×◯
R3 ズアーオーバーロード ◯◯
紳さん:3-0!奉納!
拓海:どういうことなの。
紳さん:たくみんのアドバイスが効いたのさ。
紳さん:1戦目のグルール果敢は、サイドからメインに移動させた1枚採用の《跳ねる春、ベーザ》をなぜか毎ゲーム4ターン目にトップデッキした。
拓海:蛇、関係ないじゃん。
紳さん:2戦目の赤単は《うろつく玉座》に《幽霊による庇護》を2回決めて勝った。護法はほとんど「呪禁」。相手が《叫ぶ宿敵》を引かなかったのもラッキーだった。
拓海:蛇、関係ないじゃん。
紳さん:3戦目のズアーオーバーロードはこちらの場に《うろつく玉座》と荒廃カウンター2個乗ったバイパー様、あちらの場に《永遠の策謀家、ズアー》《ホーントウッドの大主》《ミストムーアの大主》が揃って怪獣大戦争になった。
紳さん:ズアー起動でミストムーアに絆魂6点パンチ、飛行2/1トークン2体生成された返しに、トップから2枚目のバイパー様が降臨して、倍倍パー(荒廃カウンター10個分の効果)して勝った。
※バイパー様Aの攻撃時誘発が2倍で3+4の7回分、バイパー様Bの出たとき誘発が2倍で1+2の3回分。
拓海:スケールが大きい。
紳さん:唯一、負けたゲームは赤単相手に4ターン目バイパー様を決めて、手札に《幽霊による庇護》もあるし、「これは勝ったな!ガハハ!」と思っていたところ、《歪んだ忠義》でバイパー様のコントロール取られて即死した。
拓海:まさかのバイパー対策カード、見つかってしまう。
紳さん:というわけで、2025年の干支、蛇デッキの紹介でした。《腐敗口のバイパー》を使ってみたい方はぜひ!
拓海:《喉首狙い》とか《ヴェールのリリアナ》を入れることをオススメします。
エピローグ
紳さん:たくみん。《嵐追いの才能》と《この町は狭すぎる》各4枚セットをあげるよ。
拓海:え、くれるんですか?なんで?
紳さん:頑張ってくれたし、前払いさ。来年の干支デッキは頼んだよ。
紳さん:ちなみに来年の干支は馬だよ。2026年はたくみんのオリジナルデッキで3-0を奉納してね!
拓海:馬デッキ……なにも思いつきませんが。
紳さん:《早駆ける業火、カラミティ》とか強くてオススメだよ。
紳さん:あと、2月に発売される新セット『霊気走破』はレースがテーマになっているので、もしかしたら強い馬が収録されるかも。そもそも1年後のカードプールなんて予測不可能だから、現時点で強い馬デッキを考案する必要はないよ。
拓海:(まぁ、来年のことは来年になったら考えればいいや)
紳さん:(2027年は羊か……どうなることやら)