統率者戦をもっと楽しもう!
みなさんこんにちは、晴れる屋メディアです!
10月21日に統率者戦でブラケットのアップデートが行われました。
ブラケットシステムの概要を振り返っていきましょう!
【参考文献】
Gavin Verhey『「統率者戦ブラケット(ベータ版)」導入のお知らせ』
Gavin Verhey『2025年4月22日 統率者戦ブラケット(ベータ版)更新 』
Gavin Verhey『2025年10月21日 統率者戦ブラケット(ベータ版)更新 』
晴れる屋メディア『カジュアルからガチまで。統率者のテーブルどう分ける? 』
ブラケットとは:重要なのはゲームに求める体験のイメージをあわせること
ブラケットシステムとは、2025年2月にウィザーズ・オブ・ザ・コースト(以下WotC)公式より発表された、新しいマッチングの手法です。ルールではありません。4月にアップデートが行われ、今後も引き続き改良されていく予定です。
WotCの日本語ページに掲載されていた「10段階のデッキパワー分類」、晴れる屋の各イベントやプレイヤーズ・コンベンションでのコマンド・ゾーンなどで使用されていた「4つのテーブル分け」と同じく、統率者戦を楽しく遊びたい人どうしが、お互いにちょうどいい遊び相手を見つけるための仕組みです。
後述するゲームチェンジャーカードの使用可否などで各ブラケットが分かれていますが、もっとも重要なのは、ゲームに求める体験のイメージをあわせることであること。これは従来の「4つのテーブル分け」と同じですね!
意図を明確にすることが、ブラケット・システムで特に重要な部分なのだ。
各ブラケットのガイドラインでもデッキ構築の際に気をつけること(エキシビションやコアではゲームチェンジャーが使えない、アップグレードまでは土地全体拒否が使えないなど)はあったけれど、ブラケット・システム自体は「デッキを計算機に入れればそのデッキのランクが算出され、そこでプレイできる」というものではないのだ。(中略)君自身がデッキの意図を把握していることが何よりも大切なんだ。
Gavin Verhey『2025年4月22日 統率者戦ブラケット(ベータ版)更新 』より引用
もしあなた自身やあなたのデッキが「どのブラケットに参加するべきか」悩んだら、より上位のブラケットに参加してみてください。そう簡単に勝たせてはくれないでしょうが、統率者戦は困難なゲームを潜り抜けてこそ。
「勝ちたいのに勝てないから下に行こう」と考えるより、「勝てないなりに楽しいからよし!」「勝ちたいけれど勝てないからデッキやプレイングを見直してみよう!」と前向きに挑戦しましょう!それもきっと楽しいですよ!
ターンのめやす
また、ゲームスピードを想像しやすいように、各ブラケットでは「だいたいこれくらいのターンは遊べるだろう」というめやすが示されています。これはルールではありません!あくまで目安です。
幸運にもそれより速いターンで勝利してしまうこともあるはずです。それがよく起こってしまったり、「このデッキの通常運転だ」と感じていたりしたら、もっと上のブラケットに挑戦しましょう。
逆に、めやすのターンで勝利する必要もありません。勝つのに10ターンくらいかかってしまうことが多かったとしても、自分で「ちょうどいい」と思えるのならブラケット3や4のゲームに加わってもいいのです。
どうか気後れせずブラケットを上げてほしいし、少なくともゲームを始める前に君のデッキが何を目指しているのかを伝えてほしい。採用カードのガイドラインを厳密に守っていても、他のプレイヤーがやっていることよりずっと強く、彼らを蹴散らせるデッキなら、君がそのゲームの悪役になるだろう。
Gavin Verhey『2025年4月22日 統率者戦ブラケット(ベータ版)更新 』より引用
それでは、各ブラケットのゲームの意図をふりかえってみましょう!
「よりテーマ性高く!」ブラケット1:エキシビション
これまで日本国内のイベントではあまりプレイされてこなかった、超ゆるやかな統率者戦です!
統率者戦は勝利よりも楽しさを求めるフォーマットではありますが、基本的にはみんな勝つことを目指してプレイしたりデッキを組みます。しかし、このブラケットでは「展覧会/exhibition」の名の通り、各々が考えた、集めた、ユニークなカードやテーマを披露する場です。競いあう場ではなく、披露する場ですね!
ゲームがいつ終わるかは正直わかりません。なにせ、カードテキストをよく読み込んで組まれたデッキはほとんどないのですから……
カードの強さ以外の部分で好きになったカード、あなたはありませんか?アート、物語などといった、カードの強さや機能ではない部分が「採用理由」になるゲームです!
「ファイルに入れたコレクションを見せあえばいいのでは?」という疑問はもっともです。しかし、そのファイルに詰めたカードで遊べたら、もっと楽しいと思いませんか?
「アーティスト統一」「白枠白単」「馬コレクション」「アブザン透かし入りカード」「リリアナが描いてあるカード単」「眼鏡っ子」など、など、など! もちろん、テーマに沿っていればなんでもブラケット1向きというわけではありません。なんらかのフレーバーに沿ったデッキでも十分強いデッキなら、ブラケット2や3などに挑戦してみてください。
【ブラケット1:エキシビション】
各々が考えた、集めた、ユニークなカードやテーマを披露する場です。競いあうのではなく、披露しあおう!決まり手もフレーバーやテーマを感じられるものだったら最高!
ゲームのスピード感のめやす:9ターンくらいはプレイできる。お互いのコレクションを見せ合いましょう!
ゲームチェンジャー・カード:使用不可
2枚コンボ:なし
土地全体拒否:なし
追加ターン:なし
「フレーバーを楽しむため」「テーマの一貫性のため」という理由があり、ゲーム前の「話し合い」で「お願い」して、みんなが納得できるのなら、ガイドラインで「避けるべし」とされているカードを使うのもいいでしょう。
例えば、ウェザーライト・サーガ時代のカードだけで組んだ「ウェザーライトの乗組員」デッキを組もうと考えたとき、《合同勝利》はぜひ使いたいカードのはずです。《合同勝利》はゲームチェンジャー・カードですが、対戦相手のみんなが快諾してくれたのなら使うことができます。「フレーバーのために入っているんだけど、引いても使わないから、デッキに入れておいてもいいかな」、とお願いしてみるのもいいでしょう。
「”コア”な統率者戦」ブラケット2:コア
「そんなに詳しくないけど、使ってみたい好きなカードはある!」
「わいわいおしゃべりしながら遊びたい!」
「構築済みデッキはあります!」
ーーという方におすすめなのがブラケット2:コアです!
お互いのクリーチャーの殴り合い、相互作用や交渉などなど……ハイスピードな呪文、コンボの応酬よりもゆったりとしたゲームプレイを楽しみたい人で集まりましょう!最適なカードではないけれど、複数のカードの組み合わせで強力なエンジンが完成したり、ビッグアクションがとれるかも!そんなゲームを楽しめます。
ゲームは全員が8ターンくらいはプレイそうなスピード感のゲームが展開されます。一方で、徐々に危険性が増していって、ゲームの決着を前に派手な展開もあるかもしれません!
とはいえ、「2枚コンボ」はなしです。2枚のカードの組み合わせで無限にトークンやマナが出せたり、即座にゲームに勝利したりするのはブラケット2では不似合いですね。強固なロックを仕掛けるのもNG!
このブラケットでは”お遊び”のためのカードも登場します。フレーバーを表現するためにプレイしたいカードだったり、みんなが楽しめるジョークだったり、勝利を目指すには最適でなくても、みんなが楽しめるから、という理由でカードを採用したりプレイできるのです。
【ブラケット2:コア】
お互いの好きな能力のカードやシナジーを楽しもう!ときにはビッグアクションや強力なシナジーでの決着もあるかも!
ゲームのスピード感のめやす:全員が8ターンはプレイできる。
ゲームチェンジャー・カード:なし
2枚コンボ:なし(コンボとはマナや手札、パーマネントが無制限に増やせるものや、ゲームに勝利するもの、強力なロックをかけるものを指します。
土地全体拒否:なし
追加ターン:連続して得るのはなし
追加ターンは楽しいカードですが、そのぶん対戦相手のプレイする時間を消費してしまうので、ささやかな枚数にとどめておきましょう。追加ターン中に、再び追加ターンを得るようなことがあってはいけません。
「強力な定番カードで強化」ブラケット3:アップグレード
統率者戦が楽しくなってきたけれど、高速コンボや希少なカードがビュンビュン飛び交うゲームはまだちょっと不安……という人にはブラケット3がおすすめです。
採用しているカードはデッキの作戦に沿ったものになるように選ばれていて、定番の強力なカードや戦略も採用されます「これができればゲームに勝てそうだ!」というプランをもってデッキを構築・プレイしています。
統率者を大きく育てて統率者ダメージでの勝利を目指したり、クリーチャーをたくさん出して一気に対戦相手のライフを削ったりするのはもちろん、そう簡単にそろわないものの、コンボを試してみるのもいいでしょう!展開が非常に早ければ、7ターン目に決着することもありえます。
成立すれば強固にゲームのペースをつかんだり、ゲームを終わらせるコンボを搭載!とはいえ、コンボに必要なマナを揃えたり、パーツを揃えたり、妨害をかいくぐるには時間がかかります。じっくりと計略を練って盤面を作っていくゲームを楽しみましょう!
どんなコンボであれ、あなたのデッキの構築がもし、コンボが6ターン以内にそろってしまいがちなら、そのデッキはブラケット3では不似合いかもしれません。せっかく強力なデッキを組めているのですから、さらにステップアップしてブラケット4にチャレンジしましょう!
ここからはゲームチェンジャー・カードもプレイできるようになります。ただし、どれだけ多くても3枚までです。1枚も使わなくてもかまいません。とくに、卓越したプレイヤーはゲームチェンジャー・カードを使わずとも十分強力なデッキも組めるはずです。
一方で、「ゲームチェンジャー・カードの枚数が3枚以内だから」という理由でブラケット3だと判断しないように!
【ブラケット3:アップグレード】
デッキ全体で作戦を計画して、実行しよう!強力なコンボやカードもありつつ、お互いにけん制しあってじっくりとゲームを楽しみます。
ゲームのスピード感のめやす:全員が6ターンはプレイできる。
ゲームチェンジャー・カード:最大で3枚まで
2枚コンボ:6ターン以内にしばしば成立してしまうような構築はNG
土地全体拒否:なし
追加ターン:連続で得るのはなし
「より迅速なプラン」ブラケット4:オプティマイズド
統率者戦もマジック:ザ・ギャザリングである以上、勝者と敗者に分かれてしまいます。好きな統率者やカードで勝ちたい?ならブラケット4です!
さあ、あなたのお気に入りの統率者で最高・最強のデッキを!お気に入りの統率者で勝ち負けを競い合いたい人たちが集まるテーブルです。どんな強敵が相手でもかまいませんよね?
ブラケット3と比べてさらに強力なマナ加速、強力なサーチ、ゲームを終わらせるコンボ。そして、対戦相手のアクションへの対抗策も。
統率者やカードの選択理由が「愛」「情」「好奇心」であることは否定できませんが、ゲーム中の選択の意図は常に「勝利するため」。
モダンで例えるなら、「メタゲーム上での立ち位置がどうであれ、ずっとトロンデッキを使うつもり」といった感じです。
【ブラケット4:オプティマイズド】
お気に入りの統率者やコンボを、自分のできる限り理想のかたちでぶつけ合おう!
ゲームのスピード感のめやす:全員が4ターンはプレイできる。
ゲームチェンジャー・カード:制限なし
2枚コンボ:制限なし
土地全体拒否:制限なし
追加ターン:制限なし
「競技」ブラケット5:cEDH
メタゲームを分析し、いま勝てる統率者とデッキを選択してトーナメントに望みます。
このブラケットでは勝利することが自己表現よりも優先されます。ブラケット4と異なり、お気に入りのカードや統率者はメタゲームに対応して置き換えられ、トーナメントで勝つ可能性が高いとあなたが思うものをプレイすることになります。
デッキ選択とプレイの意図は当然、「勝利」もしくは「優勝」するため。非常にシビアなゲームで、ささいなワンミスが敗北に直結します。
デッキを組む際にもcEDHの既知の戦略やデッキリストなどが用いられます。
モダンで例えるなら、「今週末はバーンとアグロが多そうだから、○○を使おう。サイドボードには××を多めにとろう」といった感じでしょう。
このテーブルでは勝つためならばありとあらゆる戦略が肯定されます。統率者戦はカードやデッキ、戦術を通して自分の好きなことを表現をするフォーマットですが、このブラケットに集まる皆さんが好きなのはきっと「真剣勝負」「勝つこと」でしょう。
レガシーやヴィンテージに匹敵するカードとコンボをふんだんに使う、真摯に勝利を目指す“競技的”な統率者戦をお楽しみください。
【ブラケット5:cEDH】
目標は優勝。真摯に勝利を目指す“競技的”な統率者戦
ゲームチェンジャー・カード:制限なし
2枚コンボ:制限なし
土地全体拒否:制限なし
追加ターン:制限なし
サーチカード:制限なし
ゲームチェンジャー・カード
ブラケット1と2では使用不可、ブラケット3では最大で3枚まで、ブラケット4と5では無制限の、言葉通り「ゲームを変えてしまう」カードたちです。
ここには、「プレイヤーがリソースを独占する」「多くのプレイヤーが嫌うような変化をもたらす」「ゲームを満足にプレイできなくする」「特に強力なカードを効率的に探す」といったカジュアルな方向から遠ざかる方針で組まれがちな統率者なども含まれています。また禁止解除されたカードも、いったんはここに加えられることになります。
ゲームチェンジャー・リストから取り除かれたカードは必ずしも「カードパワーが低い」と判断されたわけではありません。「自由に使ってよくなった!」わけでは決してなく、むしろ積極的にゲーム前にそうしたカードを楽しめるゲームか、しっかりコミュニケーションをとりましょう。
リストにあるカードはゲームを変えてしまうものであり、それらを相手にしたくないと思っているプレイヤーもいるということは伝えておこう。
Gavin Verhey『「統率者戦ブラケット(ベータ版)」導入のお知らせ』より引用
統率者戦のこれから
ブラケット・システムはまだまだ始まったばかり!
すでに多くのコミュニティやショップで試されていますが、まだ慣れない方も少なくないでしょう。
慣れないシステムを利用したイベントに参加すれば、ときには戸惑う場面もあるかもしれません。しかし、日本の皆さんにとって「統率者戦」の運営はますます身近なものになってきています。ぜひブラケットシステムを利用したイベントに参加して、フィードバックを伝えてください。それは、より楽しい統率者戦の未来に着実につながっています!
それではみなさん、統率者戦のテーブルでお会いしましょう!


























