きたしまの『プロツアーへの道』~シミックウロボロイドで『ジャパンスタンダードカップ』へ~

晴れる屋メディアチーム

はじめに

きたしま:みなさん、こんにちは。晴れる屋のきたしま(@oolong___chan)です。

■人物紹介:きたしま

きたしま: 晴れる屋商品管理チームスタッフ。高校3年の冬に『ワールド・マジック・カップ2017』を見てマジックの魅力にのめり込む。現在、競技マジックに挑戦する様子を記事にした「きたしまの『プロツアーへの道』」を連載中。

先日、『プレイヤーズコンベンション横浜2025』で開催されたジャパンスタンダードカップ:『アバター 伝説の少年アン』に参加してきました。今回はその振り返りレポートをお届けします!

今月末からは『チャンピオンズカップ シーズン4ラウンド3』の予選がスタンダードフォーマットで始まるため、このジャパンスタンダードカップで大きく弾みをつけるつもりです!

シミックウロボロイドの進化

天才遺伝学者、ジャッカルウロボロイド

今大会に向けた練習は、最初からシミックウロボロイドに決め打ちしていました。

プロフトの映像記憶迷える黒魔道士、ビビ叫ぶ宿敵

先日の禁止制限告知により、環境を支配し続けてきたイゼット大釜が退場。その対抗馬だった赤単も《叫ぶ宿敵》の禁止で弱体化され、相対的にこれまで3~4番手だったシミックウロボロイドの立場が向上しました。

アナグマモグラの仔

さらに、『アバター 伝説の少年アン』からの新カード《アナグマモグラの仔》が、このデッキの速度を一段階引き上げました

ラノワールのエルフアナグマモグラの仔アナグマモグラの仔

1ターン目に《ラノワールのエルフ》《遺伝子送粉機》を出し、2ターン目に《アナグマモグラの仔》を出すと、そのまま2マナのアクションを取ることができます。ここで追加の《アナグマモグラの仔》を出すと、3ターン目には土地のセット込みでなんと10マナにまで到達!

亭主の才能猛打者、タイヴァーウロボロイド

溢れるほどのマナは《亭主の才能》《猛打者、タイヴァー》が打点に変換してくれます。《アナグマモグラの仔》の「土の技」により1/1のクリーチャーが並ぶことになるため、ウロボロイドの全体強化も変わらず強力です。

天才遺伝学者、ジャッカルアナグマモグラの仔

以前までのシミックウロボロイドは、序盤の展開力が《天才遺伝学者、ジャッカル》頼みな面がありました。しかし、《アナグマモグラの仔》の登場で《天才遺伝学者、ジャッカル》以上のぶん回りパターンを獲得したのです。

MTGアリーナのアーリーアクセスで大暴れする《アナグマモグラの仔》を見て、購入する決心がつきました。百聞は一見に如かず。

デッキリスト

友人とのフリープレイや晴れる屋の平日大会で調整を重ねたうえで、ジャパンスタンダードカップで使用したリストがこちらです。

デッキリストページ

マネドリ

《マネドリ》《アナグマモグラの仔》2体展開というぶん回りをしやすくするために採用しました。もともと《遠眼鏡のセイレーン》《幽体の船乗り》を試していましたが、《マネドリ》を採用しているリストを知り、最大値を取りにいく形になりました。飛行を持つコピーになる点が見た目以上に重要で、よく《亭主の才能》で強化してダメージを稼いでくれます。

ルクサの体現、サブ=スネン

《アナグマモグラの仔》対策で大量に除去を入れたデッキへの対抗札です。《亭主の才能》があると、毎ターンサイズアップしながら2ドローできる、到達・トランプル・破壊不能のモンスターになります。

苦々しい勝利ビビアン・リード失せろ

本当は僕の青春のカード《ビビアン・リード》を使いたかったのですが、たった2マナでプレインズウォーカーを除去できる現代スタンダードにはついていけないと判断。家のストレージにおいてきました。

重い置物や飛行クリーチャーが使われる環境になったらまた会おう(泣)

川の叱責

除去の少ないミラーマッチにおいて、盤面が膠着した際のエンドカードとして1枚だけサイドボードに採用しました。

6マナのソーサリーですが、《アナグマモグラの仔》が生き残りやすいミラーマッチなら撃てないカードではないと思います。

細かい枚数はフィーリングだけど、ひとまずこれで提出だ!

『ジャパンスタンダードカップ』当日

363名が参加した本大会。朝9時から夕方17時まで、スイスラウンド8回戦の長丁場です。

■対戦結果

R1:イゼットルーティング 〇〇
R2:バントエアベンダー ××
R3:ディミーアミッドレンジ 〇×〇
R4:スゥルタイリアニメイト ××
R5:スゥルタイリアニメイト ×〇〇
R6:シミック上陸 〇〇
R7:ディミーアミッドレンジ 〇〇
R8:ディミーアミッドレンジ ××

ティシャーナの潮縛り

《ティシャーナの潮縛り》のプロモまであと1勝のところで敗北……!

5勝3敗で1日を終えました。今年の自分の大会結果と比較すると、かなり勝てたなという印象です。2月の『チャンピオンズカップファイナル』から、6月の『スポットライトシリーズ』までは本当に負けまくっていました。

勝ち越せた要因分析

有利なデッキに勝ちを落とさないプラン

遠眼鏡のセイレーンフラッドピットの溺れさせ悪夢滅ぼし、魁渡

今大会で3回対戦したディミーアミッドレンジは、シミックウロボロイド的には当たりたいデッキです。全体除去のないメイン戦を確実に勝ち、サイド後のどちらかを《ルクサの体現、サブ=スネン》で勝つというプランを想像しながら対戦しました。

一番大事な最終戦では負けてしまいましたが、3回戦と7回戦では自分の想定通りにゲームを進めて勝利することができました。

ラノワールのエルフ天才遺伝学者、ジャッカルウロボロイドルクサの体現、サブ=スネン
植物の聖域マルチバースへの通り道森

対ディミーアミッドレンジのサイド後、実際にあったダブルマリガン後の7枚です。《ウロボロイド》《マルチバースへの通り道》を戻した5枚でキープし、《ルクサの体現、サブ=スネン》に確実につなぐために、あえて《ラノワールのエルフ》は出さずに3ターン目まではドローゴー。3枚目の土地を引けたので《天才遺伝学者、ジャッカル》+《ラノワールのエルフ》と動き、5マナ目を確定させました。

不利なマッチで少ない勝ち筋を拾えた

スーペリア・スパイダーマン最後の贈り物の運び手

4回戦と5回戦で苦手とするスゥルタイリアニメイトと連戦になったときは頭を抱えました。メイン戦はこちらに打ち消しがないためほぼ必敗。サイド後も《鋭い目の管理者》を引けない限り、《排撃の変異》《ティシャーナの潮縛り》だけではジリ貧になります。

鋭い目の管理者排撃の変異ティシャーナの潮縛り

5回戦の3本目。《鋭い目の管理者》を引けないままゲームが長引き、手出しの《最後の贈り物の運び手》で負けてしまいそうだったため、覚悟を決めてチャンプアタック込みで攻撃。最終的に相手のマナが1ターンだけ間に合わず、なんとか勝利をもぎ取ることができました。

有利な場面で負け筋を摘み、不利な場面で勝ち筋を拾う。頭ではずっと前から理解していたつもりですが、今回ようやく実戦レベルで体感できた気がします。

今後のメタゲーム

デッキリストページ

アナグマモグラの仔ウロボロイド炎魔法

今回の『ジャパンスタンダードカップ』は《アナグマモグラの仔》《ウロボロイド》の入ったグルール昂揚が優勝していました。サイドボードには《アナグマモグラの仔》ミラーを見越したのか、《炎魔法》が4枚とられています。肉質で勝るグルールならではの採用で、シミックウロボロイドに有利に戦えそうなデッキだと感じました。

そして、個人的に注目しているのが「バントエアベンダー」です。

灰毛の天才、オーロック博士素早き救済者、アン不動の守護者、アッパ

このデッキと2回戦で対戦したのですが、ダブルマリガンからの3キル→1マリガンからの4キルであっけなく敗北しました。シミックウロボロイドと同じ《アナグマモグラの仔》デッキですが、キルターンの遅いシミックが不利だと思います。

倦怠の宝珠

バントエアベンダーの対策カードで、ついでにスゥルタイリアニメイトにも有用な《倦怠の宝珠》はサイドボードの鉄板になっていきそうです。

おまけ:シミックウロボロイドを使うときのTIPS集

天才遺伝学者、ジャッカル脚当ての補充兵

■「新生」コストを払った《脚当ての補充兵》《天才遺伝学者、ジャッカル》でコピーすると、支払った新生までコピーされるため、《脚当ての補充兵》のコピーが持つ新生も誘発する(計4体の補充兵が並ぶ)。

天才遺伝学者、ジャッカルマネドリ

《天才遺伝学者、ジャッカル》の誘発型能力で生成したコピートークンはマナコストを持つため、X=0の《マネドリ》ではコピーできない。

《天才遺伝学者、ジャッカル》の誘発型能力で生成した《マネドリ》のコピートークンは、支払ったマナの点数が0である。よって、マナ総量0のクリーチャーがいれば、それのコピーとして戦場に出すことが可能。

亭主の才能アナグマモグラの仔バーシンセー

《亭主の才能》がレベル3のときに「土の技X」をおこなうと、Xの2倍の個数+1/+1カウンターが置かれる

森マネドリ

■「土の技」でクリーチャー化された《森》《マネドリ》でコピーすると、クリーチャーではないが飛行を持つ《森》になる

《森》になった《マネドリ》を「土の技1」でクリーチャー化すると、0/0で飛行を持ち+1/+1カウンターが1個置かれた土地・クリーチャーになる。このクリーチャーが死亡するか追放されると土の技が誘発するが、戦場には《マネドリ》として戻ってくる(再びマナ総量0以下のクリーチャーのコピーになることも選べる)。

遺伝子送粉機声も出せない

《遺伝子送粉機》は自分がコントロールしているパーマネントをタップすることでマナを生み出せるため、対戦相手のクリーチャーにエンチャントした《声も出せない》をタップすることでマナを出すこともできる。

群青の獣縛り悪夢滅ぼし、魁渡

《群青の獣縛り》の誘発型能力で相手の《悪夢滅ぼし、魁渡》を対象に取ると、相手のターン中《悪夢滅ぼし、魁渡》はすべての能力を失っているが、忠誠カウンターがn個置かれた3/4の忍者・クリーチャーになる。

おわりに

今週末からは『チャンピオンズカップ シーズン4ラウンド3』の予選が始まります。11月30日に晴れる屋トーナメントセンター東京で開催される『スペシャル予選』にも、僕は参加予定です!

4か月後に迫る京都での『チャンピオンズカップファイナル』、プロツアー権利をかけた戦いに向け、これからもスタンダードをやり込みます。

今回の記事はここまでです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

また次回の記事でお会いしましょう!それでは!

これまでの道のり

この記事内で掲載されたカード

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