自身、2回目の初日全勝
年末の2日間に渡って開催されるマジックの祭典、『THE LAST SUN 2025』には日本全国から厳しい予選を勝ち抜いた強豪プレイヤー210名が参加した。
さらには世界の強豪プレイヤーや世界選手権覇者も特別招待枠として参加し、勝ち抜くには非常に厳しいスイスドロー8回戦となった今大会。ちなみに210名がスイス式でぶつかり合った場合、全勝(8-0)の成績で2日目を迎えられるプレイヤーはたったの1名だ。

今年の全勝者は細川 侑也。「ゆうやん」の愛称でおなじみの、言わずと知れた強豪プレイヤーだ。
- 2019/12/15
- 初日全勝者インタビュー:細川 侑也~謙虚な目標~
- 晴れる屋メディアチーム
そんな細川だが、なんと6年前の『THE LAST SUN』でも、初日全勝を達成している。
細川はなぜ勝てるのか? なぜ強いのか?
今回、2回目の偉業を達成した彼にインタビューを行い、強さの秘密に迫りたいと思う。
全勝者インタビュー:細川 侑也
※細川さんの使用するデッキについての情報は、細川さん本人に許可を得て掲載しています。デッキ選択と調整方法

――今回、スタンダードとレガシーのダブルフォーマットの大会となりました。どのような準備をしてきましたか?
細川:実は、スタンダードもレガシーもほとんど練習はできていません。先月まで『チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド1(地域チャンピオンシップ)』があったのでモダンの練習をしていましたし、仕事でパイオニアの大会の解説があったので、パイオニアを触っていたり。
細川:僕自身はモダンをもっとも得意としていて、まぁ……めちゃくちゃモダンで勝っているわけではありませんが(笑) ともかく、スタンダードやレガシーに自信があるわけではないのですが、こういうときは自分が強いと思っている人、自分が信頼している人の力を借りることが勝つためのポイントになると感じています。

細川:例えば、今回の場合。まず、スタンダードのデッキに関しては除去カードがかなり多い環境なので、それらを有効に働かせないコントロール系のデッキが優位だと考えていました。
細川:そこで、直近の世界選手権でジェスカイコントロールを使用して好成績を収めた井川 良彦さんにお願いして、デッキリストをシェアしてもらったんです。少し調整しましたが、ほぼ99%は井川さんのリストで、スタンダードは4-0という結果に。
細川:レガシーに関しては、《アナグマモグラの仔》を使いたいと思って、最初はマーベリック(クレイドルコントロール)を選ぼうとしていました。でも、自分が一番信頼しているレガシープレイヤーの木原 惇希さんに意見を聞いたら、「やめたほうがいい」と。レガシーの環境を理解している彼がそう言うなら、やめようと思って別のデッキを探しました。
細川:情報収集していると、MOの強豪プレイヤーであるJUJUBEAN_2004が青黒タッチ赤のオムニテルをSNSで紹介していて。試しに回したら、これがかなり好感触でした。
細川:レガシーに不慣れな僕でも、「《実物提示教育》から《全知》を置けば勝てる」というシンプルなデッキは使いやすく、なるべくコンボデッキを使いたかったという考えもあって、これを使用することに決めました。
細川:ちなみに僕は、「コンボデッキはサイド後、ほとんどコンボが決まらない」と考えているのですが、JUJUBEAN_2004のデッキは《バロウゴイフ》が採用されており、対戦相手がオムニテルに対してサイドインしてきそうな《否定の力》や《紅蓮破》をまとめて腐らせて勝てそうだな、と。結果、このデッキでレガシーも4-0できました。
――なるほど。細川さんのマジックに関する理解度があってのことだとは思いましたが、工夫すれば練習時間が少なくても良い調整はできるということですね。
印象に残ったゲーム

――本日、一番印象に残ったゲームを教えてください。
細川:全勝対決となった、初日最終ラウンドの奥野さんとの試合ですかね。
細川:1本目、ペインター側の奥野さんが《丸砥石》で仕掛けてきた場面。自分のデッキには《引き裂かれし永劫、エムラクール》が入っていたのでコンボが決まらなかったのですが、実は奥野さんがほとんど勝ちとなるゲームでした。
細川:奥野さんの戦場には《ウルザの物語》があり、次のターンには《魂標ランタン》をサーチできる状況でした。この時点で僕目線では詰んでいます。
細川:奥野さんがライブラリー修復をケアし、1ターン待って仕掛けていれば《引き裂かれし永劫、エムラクール》が墓地に落ちたときにスタックで《魂標ランタン》を起動することで墓地のカードがすべて追放され、そのままライブラリーアウトで負けとなっていました。対戦終了後に話したら、奥野さんもそのことに気がついていましたね。
細川:デッキ公開制ではなかったことが功を奏したと思います。なるべくオムニテルとわからないように狙ってプレイングはしていましたが、いろいろと噛み合って勝つことができました。
細川:お互いに対策し合った2本目はロングゲームとなりましたが、最終的に10マナを支払って《全知》をプレイするなど、面白いゲームになりましたね。
――素敵な話、ありがとうございました。明日も頑張ってください!
細川の強さの秘密、明日へ向けて

「ちなみに前回(6年前)は、インタビューのあとに5連敗したんですよね(笑)」
明るく話す細川に、明日に向けてどんな準備をするのか聞いてみた。
「ゲームをします。提出したデッキリストは変えられないし、考えると不安や不満が湧き出てくるので。マジックとまったく関係ないことをするのが一番です」
マジックの大会で勝つために、マジックから離れる。この自然体で柔軟な発想ができる細川の姿にこそ、「強さの秘密」があるのかもしれない。

プレッシャーは感じていない。明日はきっと、誰よりもはやく取りに来るはずだ。
6年前の忘れ物を。

















