初日全勝者インタビュー:細川 侑也~謙虚な目標~

晴れる屋メディアチーム

唯一の全勝者

スタンダード4回戦、モダン4回戦の計8回戦のグランプリにも匹敵する長丁場。戦い抜くにはデッキだけではなく、プレイヤーの精神力と体力も必要となる。227名の参加者のうち、全勝で終えたプレイヤーはたった一人だ。

細川 侑也

細川 侑也(東京)、通称「ゆうやん」。今年開催されたグランプリ・横浜2019 グランプリ・千葉2019と2度のトップ8入賞を果たし、現在は magi prosの一員として活動している。それと同時にMTG情報サイト 「イゼ速。」管理人、カバレージライターでもありマジックに対して多面的にかかわっている。

本日はプレイヤー細川 侑也として、見事初日を全勝で通過した彼にインタビューを行った。

素直な気持ち

ーー初日全勝おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください。

「ありがとうございます。いつもよりは(スタンダードは)自信があったね。いつもスタンダードの大会は0-2する気持ちで参加しているので」

ーーいやいや、ご謙遜を。

「いや、スタンダードは人気フォーマットなので、本当に情報の回りが早い。MTGアリーナの影響もあってデッキだけではなく、(配信を視聴することで)プレイも磨けるようになっているんで。だからこそ差がつきにくく、0-2することも普通にあるんだよね」

「ただ、今回はこれまでよりも自信はあった。オンドレイ・ストラスキー/Ondřej Stráskýのデッキをコピーしてアリーナで回して。特にサイドボードはかなり力を入れて調整したね」

全勝の理由

ーー確かにサイドボード後のゲームが多いため、サイドボードの調整は重要ですね。どのような方針で決めたのですか?

細川 侑也

「スタンダードは負け試合から考えているんだよね。負けてマッチアップでの負けパターンを覚えて、試合運びとカード選択の両面で改善策を模索していく。繰り返しになるけど、スタンダードは多くのプレイヤーが練習しているフォーマットなんだ。大会の上位デッキや有名プレイヤーのプレイを真似るだけでは差がつかないし、勝つためには上振れる必要もある」

「上振れるために自分はカードで対策を行うことが多い。だからサイドボードにはエッジを利かせれば(差をつけることができれば)、相手の思考の裏をかいて対戦を有利に進めることができる。スタンダードの勝因はサイドボードだね」

ーーではモダンはどうでしょうか。個人戦初のトップ8入賞となったのはグランプリ横浜2019でしたね。得意フォーマットなのではないでしょうか?

「逆にモダンは(スタンダードほどは)対戦するような練習はしてないね。スタンダードとは違ってオンライン上ではMO(マジックオンライン)しかないし、これまでやってきた経験や情報面のアドバンテージで他のプレイヤーより有利だと思ってる。だから今回は あんちゃん(高橋 優太)の記事を読んで、特定のデッキに対してクリティカルな(最も効果的な)カードを採用したくらいかな」

勝ち続けるための意識

ーー今年のプレミアイベント、今日のThe Last Sun 2019と好調ですね。安定して勝ち続ける秘訣はなんでしょうか?

「(トップ8を勝つラインだとすると)自分の実力的にはグランプリでのアベレージは3敗だと思ってて、でもそれだとトップ8には2敗以上でないと残れない。自分がトップ8に残るには上振れる必要があるんだよね。実際に横浜では相手のミスで勝ち星を拾えた対戦があって、その結果トップ8に入ることができたからね」

ーーもう少し詳しく教えていただけますか?

「実力を定量化することは難しいけど、一つの目安として3敗を目指すこと。グランプリを安定して3敗で終える実力があれば、後は運次第だと思ってる。横浜のように上振れればトップ8、逆に下振れれば4敗と」

ーー細川さんほどの方でも最後は実力ではなく、運なんですか。

「実力っていうのは負け試合を勝ちに変える力だと思ってて、自分にはまだそこまでの力はないので、運だね。 グランプリ・名古屋2018の時チームメイトの三原さん(三原 槙仁)が《イゼット副長、ラル》《パルン、ニヴ=ミゼット》を出されても勝ったんですよ。絶対に負ける試合を勝ちに変える、これが実力だと思うんだよね」

「なのでまずはグランプリを3敗で安定して終われる実力をつけること。その上でミスせずにプレイして、最後に上振れるかどうかだね」

控えめな目標

ーー最後になりますが、明日への意気込みをお願いします。

「とりあえずスタンダードは1-2で終えて……

ーーだいぶ謙虚じゃないですか。トップ8ではないんですか?

「明日は今日よりも強いプレイヤーとの対戦が多いはずなので、サイドボードを使ってもアジャストされるのでは、という恐怖がありますね。なのでスタンダードは1-2。モダンは先攻が欲しいので、それさえ叶えば文句はありません。スタンダード1-2、モダンは先攻が明日の目標です


今期グランプリトップ8入賞2回とは思えないほど、細川の目標は謙虚なものだった。だがそれは同時に、スタンダードで1勝さえできればそれ以上負けはない、との宣言にも聞こえるものだった。スタンダード後のモダンは細川の主戦場。グランプリのくだりでも語ってくれた通り、ミスせずプレイし続ければ、後は上振れを狙うのみ。

結果は明日の6回戦が終了すれば明らかになるが、細川ならきっと、8つの椅子の中に自分の名前を見つけることができるだろう。

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