インタビュー: フロンティア神・松本 友樹 -プロプレイヤーが見つめるモダンとフロンティア-

晴れる屋

By Kazuki Watanabe

 スペイン・ビルバオでプロツアーへ挑む、二柱の神。

 スタンダード神・岡井 俊樹に続いて、フロンティア神であるBIG MAGIC所属プロ、チームシリーズではFinal Last Samuraiの一員である松本 友樹にもインタビューを申し込んだ。

神・松本

 『基本セット2015』以降のカードが使用できるフロンティアはモダンとの共通点も多いが、明確に異なる点もある。

 モダンの魅力、そしてモダンとフロンティアについて、プロプレイヤーの視点から見た印象を伺ってみよう。

■ プロプレイヤーが語る「モダンの面白さ」

――「早速ですが、今回のプロツアーのフォーマットであるモダンの特徴について教えていただけますか?」

神・松本2

松本モダンは強力なカード、そしてアーキタイプが多いんです。一見すると『これって禁止されるんじゃない?』なんていう強さを見せるものもあるわけですが、それをクリティカルに制することができるサイドボードが存在するので許されているものも多いんですよ」

――「いわゆるアーティファクト対策、墓地対策というやつですね」

石のような静寂神聖の力線安らかなる眠り

松本「そうですね。《神聖の力線》のようなカードもそうです。ただ、サイドボードの枠は15枚しかありません。すべてをカバーするには到底足りませんよね」

――「たしかに15枚で環境すべての対策をするのは難しいですね……」

松本「なので、必然的に何かを諦める、もしくは枚数を減らす必要があって、そういったプレイヤーの選択が結果に繋がるわけです。墓地対策が薄い大会だったらドレッジが活躍するでしょうし、アーティファクトへのガードが緩ければ親和が制する、といったように」

――「なるほど。メタゲームの面白さですね」

神・松本3

松本モダンのメタゲームは、かなり面白いですよメタゲームブレイクダウンを見ると、どのデッキも10%を超えていませんでした。多種多様なデッキが存在して、それらがお互いを対策し、新たなデッキやアイディアも姿を見せていますからね。ただ、絶望的に不利なマッチアップもやはり存在します」

――「相性差が2:8のようなものですね」

松本「モダンの場合、全体で見れば6:4が無限に存在する、といった感じだと思うのですが、強力なカードが存在する以上、仕方ない部分でもあります。ルイス・スコット=ヴァーガスが5秒で負けたとツイートしていましたけど、そういうゲームもあるんですよね」

――「瞬殺ですね……」

松本「対策カードを用意してサイドインしても、引けなければ負けてしまいますからね。初手の依存度も少し高めなので、運の良し悪しが少し大きいフォーマットなのかもしれません。プロツアーのフォーマットとして採用されることに様々な声があるのも、こういった面が理由なのだと思います」

――「プロツアーでのモダンはプロツアー『ゲートウォッチの誓い』以来2年ぶりなのですが、プロプレイヤーがモダンをプレイすることでどのような変化があると思いますか?」

松本「プロツアーに向けた調整の段階で様々なアイディアが生み出されてしますし、今大会で結果を残したデッキが増えると思います。プロツアーの結果を見て『モダンやってみようかな』『このデッキが強いみたいだし使ってみようかな』と考えるプレイヤーも多いですからね。今回はどのデッキも使用率が10%以下ですが、トップメタが10%を上回り、その分ローグデッキの割合が少しずつ減る、という状態になるかもしれません」

モダンとフロンティア

――「松本さんはフロンティア神として神決定戦で挑戦を受けるわけですが、モダンとフロンティアを比較した場合、どのような類似点、そして違いがありますか?」

神・松本4

松本「カードプールにはもちろん差がありますが、共通している部分も多いんです。例えば、フロンティアでもフェッチランドが使用できるのでマナベースは非常に強固で、3色以上のデッキを組むことが容易です。モダンと同じくらい強力なカードも複数ありますし、モダンで禁止されているカードを使用できる、という面白さもありますよ」

――「《時を越えた探索》《宝船の巡航》はフロンティアならではのカードですよね」

時を越えた探索宝船の巡航

松本「そうですね。そして、モダンほど対策カードが強力ではないのに、モダンと同じくらいメチャクチャなことができるのもフロンティアの魅力です。自分の好きなカードを使って、やりたいことをやれるフォーマットなので、好きなデッキを組んで楽しめると思いますよ

――「なるほど、ありがとうございます。プロツアーが終わったら、神決定戦の準備が始まりますね」

神・松本

松本「始まりますね。ここまではモダンとドラフト漬けだったので、『イクサランの相克』も含めてカードリストを見直し、やりたいことを探して、デッキを作ってみます


 「フロンティアは、好きなカードを使ってやりたいことをやれるフォーマット」。

 神決定戦で、松本はどんなカードを使い、どのようなデッキを見せてくれるのだろうか?

 2月24日(土)の第10期フロンティア神決定戦が、今から楽しみだ。