こんにちは!
先週末にプロツアー『イクサランの相克』 (モダン・ドラフト) に参加してきました。結果の方はモダンが7勝3敗、リミテッドが3勝2敗1分、トータルが10勝5敗1分の50位でフィニッシュでした。
本日はプロツアーで使用した「マルドゥ・パイロマンサー」のカード選択や各マッチアップに焦点を当てていきたいと思います。デッキの大まかな動きや強み・弱みに関しては、少し前の僕のブログや、グジェゴジュ先生のブログをご参照ください。
デッキリスト
2 《沼》
2 《血の墓所》
1 《聖なる鋳造所》
4 《血染めのぬかるみ》
2 《乾燥台地》
2 《湿地の干潟》
4 《黒割れの崖》
-土地(20)- 4 《若き紅蓮術士》
4 《騒乱の歓楽者》
-クリーチャー(8)-
4 《稲妻》
4 《コジレックの審問》
3 《思考囲い》
3 《致命的な一押し》
3 《集団的蛮行》
1 《戦慄掘り》
1 《終止》
4 《未練ある魂》
3 《コラガンの命令》
2 《血染めの月》
-呪文(32)-
3 《溶鉄の雨》
2 《熱烈の神ハゾレト》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》
1 《配分の領事、カンバール》
1 《集団的蛮行》
1 《神々の憤怒》
1 《血染めの月》
-サイドボード(15)-
デッキを選んだ経緯
モダンは新セットが入る前から練習ができるフォーマットなので、前回のプロツアーが終わってすぐに調整を開始しました。そこで気に入ったデッキが「マルドゥ・パイロマンサー」と「グリクシス・シャドウ」でした。
どちらも勝率が良かったのことに加え、それ以上に評価していた点が “両デッキともに手札破壊からゲームを組み立てるところ” です。
モダンには主要デッキと呼べるデッキが控えめに言っても30種は存在します。これら全てに勝てるようなミッドレンジやコントロールデッキを作るのは現実的ではありませんし、となれば自分都合のコンボデッキを使うべきだというのが一般的な考え方です。
ただし、コンボデッキはメインボード戦こそ簡単に勝てるものの、サイドボード後は対戦相手がどのような策を講じてくるのかを理解した上で、それらをしっかりと乗り越えられなければ勝ち切ることはできません。前述の通り、優に30種類以上のデッキが存在する環境で、です。
プロツアーともなれば、有名なチームが革新的なデッキを持ち込むことだって決して珍しいことではありませんし、そういった新デッキや対戦経験の浅いデッキに対して自分が柔軟に対応しきれるかどうかには不安が残りました。
色々なデッキでたくさんのマッチをこなすうちに、これを完璧に行うことの難しさを痛感し、日に日にMagic Onlineの大会に参加する頻度が落ちていることに気が付きました。ですがそんな中でも気軽に大会に参加できたのが、上記2種の “手札破壊からゲームを組み立てるデッキ” です。
もともとミッドレンジ系のデッキが好きなことも関係しているとは思いますが、情報量が多いモダンにおいて “手札を見ながらゲームができる” 点は大きな強みであると再認識し、比較的早い段階から使用するデッキはこのふたつに絞っていました。
練習で100~200マッチをこなすにあたってストレスが少ないことは非常に重要ですし、強いデッキの中に自分にとってそういったアーキタイプがあったことは幸運でしたね。
最終的に「人間」や「親和」が多いだろうと判断したため、「グリクシス・シャドウ」よりもそれらのデッキに相性が良い「マルドゥ・パイロマンサー」を使用することに。
カード選択 : メインボード
メインボードは前回はあまり触れられなかった土地構成と、前回のブログのリストから変更があった箇所を中心に見ていきたいと思います。
土地の総数は何枚が適正?
土地の総数に関してはかなり悩みました。メインボードは20枚が適正だと思いますが、デッキが重くなるサイドボード後は21枚の方が良いと考えていたからです。
土地を引きすぎた場合には《信仰無き物あさり》で捨てればいいんだし、土地は多いに越したことはないのでは?と思うかもしれませんが、《騒乱の歓楽者》を擁するこのデッキは墓地に落とすカードが土地か、インスタント・ソーサリーかで動きに大きな差ができてしまいます。
もしも21枚目の土地を入れるとしたら《致命的な一押し》を1枚削ることになってしまいますが、可能な限りデッキ内のインスタント・ソーサリー呪文の枚数を多くしておきたかったので結局土地は20枚のままにしました。
また、サイドボード後に重いカードを入れるにあたり、想定していたデッキの過半数は青いデッキ=多少の遅れが出ても問題ないと考えたことも判断材料のひとつでした。
《平地》は不要?
《血染めの月》を軸にしたデッキでありながら、《血染めの月》設置後に3色目が出ないことに違和感を覚えた方もいらっしゃると思いますので、ここではその説明を。
まずこのデッキの基本的な土地の並べ方は、《聖なる鋳造所》・《沼》・《山》 (ライフに余裕があれば《血の墓所》) です。
これにはいくつかの理由がありますが、《騒乱の歓楽者》をキャストするために(赤)(赤)が絶対に必要であること、《血染めの月》を設置するまでに《沼》が必要になることなどを踏まえて上記3種の並びが理想となります。
その際に《平地》はどの土地と入れ替わっても動きが歪になってしまう原因となるため、土地の総数を22枚程度まで引き上げない限りは採用するのが難しいと思います。フェッチランドでサーチする際には良いオプションになるでしょうが、普通に引いてしまった際に事故のもとになってしまいますからね。
また、今回使用したリストは、サイドボード後まで含め白いカードを《未練ある魂》と《配分の領事、カンバール》しか採用していないので、《平地》がなくとも問題なく動けるように工夫したつもりです。
この先読み進めていくうちに、《平地》を入れた方がいいのではないかと思う項目があるかもしれませんが、その際には “現状のままでは《平地》を入れるのは難しい” という前提を思い出していただければ幸いです。
《聖なる鋳造所》は1枚で大丈夫?
《聖なる鋳造所》は土地の枚数を21枚にするなら2枚目を採用しようと思っていました。ただし、基本的に2枚目の《聖なる鋳造所》が必要になるマッチアップは、《未練ある魂》を手札からキャストしたいマッチアップで、なおかつ《広がりゆく海》や《廃墟の地》でこちらの土地を破壊をしてくる青系のコントロールデッキのみです。
そういったデッキに対してこちらは全力で《血染めの月》プランを遂行するため、《聖なる鋳造所》の有無にかかわらず中盤以降に《未練ある魂》を手札からキャストすることは難しくなります。端的に言ってしまえば《血染めの月》をメインの戦略にする限り、《聖なる鋳造所》が何枚あろうがあまり大きな意味がないのです。
というわけで、土地から受けるダメージを少なくしたいという理由もあいまって《聖なる鋳造所》は1枚にしました。もしも青系のデッキに対して《血染めの月》に依存しないプランを取るようであったり、土地の総数を増やす際には2枚目の採用を検討してもいいと思います。
《乾燥台地》・《湿地の干潟》は2枚ずつ?
この2種の最大の相違点は《沼》を導けるか否かです。《血染めの月》がある関係で《湿地の干潟》の方が優れているように感じるかもしれませんが、《湿地の干潟》にも明確なデメリットがあります。
例えば土地が上記2枚しかないような状況で《湿地の干潟》をトップデッキした場合、アンタップ状態の赤マナをサーチするには3点のライフを支払わなくてはいけません。
これは結構な頻度で起こりますし、即座に赤マナが必要なマッチアップはビートダウン戦であることが多いので、ライフの損失を抑えるためにもフェッチランドは黒絡みに寄せすぎない方がいいと思います。
《稲妻のらせん》→《集団的蛮行》
前回のマルドゥ・パイロマンサーのブログを書いた後に登場したリストが、《稲妻のらせん》を《集団的蛮行》に置き換えたものでした。
この変更は非常に理にかなっていると思いました。《稲妻のらせん》はビートダウンデッキに対して強いカードですが、これをキャストするためには《聖なる鋳造所》をサーチしなければならず、それに伴うライフの損失、または多少の展開の遅れは免れません。それに加え、《稲妻のらせん》はサイドアウト率が非常に高いカードでした。
一方の《集団的蛮行》はビートダウンデッキに対して《稲妻のらせん》に負けず劣らずの優秀なカードですし、それに加えてコントロールやコンボデッキに対しても手札破壊呪文として機能してくれます。
すぐに試してみると、事前の予想通り《集団的蛮行》は《稲妻のらせん》の完全上位互換だと感じたので、この枠は一度たりとも《稲妻のらせん》に戻ることはありませんでした。
《集団的蛮行》をメインボードから3枚と多めに採用しているのは、「増呪」のおかげで手札のインスタント・ソーサリー呪文を捨てて《騒乱の歓楽者》を素早くキャストする助けとなること、サイドボードに《集団的蛮行》の4枚目を採用するのが確定していたのでサイドボードのスロットを空けたかったことが主な理由です。
その他の除去呪文
これらは《稲妻》では対処が難しいサイズが大きなクリーチャー対策が主な役割です。
とはいえもちろん小型のクリーチャーの除去にも充てるので、基本的にはマナを有効活用できるようにインスタント呪文を優先しています。インスタントであれば《ちらつき蛾の生息地》・《墨蛾の生息地》をしっかりと除去できますし、《集合した中隊》から出てくるクリーチャーや《カマキリの乗り手》のような速攻持ちのクリーチャーに対してもダメージを受ける前に対処することができます。
《戦慄掘り》のみソーサリーですが、大型クリーチャーだけでなくプレインズウォーカーをも対処できる汎用性の高さを買って1枚だけ採用しています。
「親和」や「《集合した中隊》」系のデッキを意識するのであれば《致命的な一押し》は《二股の稲妻》でも構いませんが、1マナの除去呪文を減らしすぎると《スレイベンの守護者、サリア》に負けやすくなってしまうため、1マナの除去呪文は最低でも7枚は維持した方がいいと思います。
カード選択 : サイドボード
サイドボードのカードを選択するにあたって重要視したのは、 “対戦相手がどのような対策を施してくるかを意識すること” です。「マルドゥ・パイロマンサー」はフェアデッキ中のフェアデッキなので、メインボードのままの戦略で挑んでしまうといいように手玉に取られることが多かったため、メインボードとは違った勝ち手段が用意できれば理想的でした。
「マルドゥ・パイロマンサー」対策として一般的なカードは、主に “墓地対策” と “トークン対策” です。この項目では、《安らかなる眠り》や《虚空の力線》を壊せるカードを採用しなかった理由をメインにお届けしたいと思います。
エンチャント破壊が0枚の理由は?
今回使用したリストで最も特徴的な部分は、エンチャント破壊が入っていないことだと思います。「マルドゥ・パイロマンサー」が出されて困るエンチャントは、《安らかなる眠り》・《虚空の力線》といった墓地対策、そして手札破壊呪文を封殺してしまう《神聖の力線》です。
上記3種はいずれも採用率が高いとは言えないものの、調整中に「青白コントロール」系のデッキによく出されたのが《安らかなる眠り》でした。
ここまでに何度かお伝えしたように、そういったデッキに対しては《血染めの月》プランを遂行するため、こちらは白マナが出せないことがほとんどです。この度のプロツアーで準優勝を収めたジェリー・トンプソン/Gerry Thompson選手は《魔力変》を採用していましたが、こういった手法を取ったとしても白マナを安定して捻出することはかないません。
《血染めの月》対《安らかなる眠り》という構図は、こちらは《安らかなる眠り》によって、対戦相手は《血染めの月》によって不自由な状態の中でのゲームとなり、結果として長期戦になります。
ここで問題となるのは《騒乱の歓楽者》をキャストできずに勝ち切れないことです。つまるところ、この状態で勝ち切れる何かさえ見つかればエンチャント対策は不要ではないかと考え、最終的に採用にいたったのが《熱烈の神ハゾレト》と《反逆の先導者、チャンドラ》でした。
メインボードとは異なる勝ち手段 ~《熱烈の神ハゾレト》と《反逆の先導者、チャンドラ》~
墓地に頼らない勝ち手段として白羽の矢が立ったのがこの2種類。これらのカードは、このデッキが抱えていた多くの問題を解決してくれました。これにより “墓地対策カードの対策” を用意する必要はなくなりましたし、《騒乱の歓楽者》に代わるダメージクロックができたことで、《騒乱の歓楽者》をサイドアウトすることすらも容易になりました。
また、どちらも墓地対策だけでなく《イゼットの静電術師》や《神々の憤怒》のようなトークン対策カードにも耐性がある点が秀逸です。
この枠には他にも《ゴブリンの熟練扇動者》なんかも試してみたものの、《ゴブリンの熟練扇動者》ではトークン対策カードを乗り越えられなかったため、上記2種類と比較すると少し見劣りするかなという印象。
なお、勝ち手段の選定に関してはたまたまMagic Onlineで当たったガランさん (Galan Falakfarsaさん : チーム構築で行われたグランプリ・サンタクララ2018にて「マルドゥ・パイロマンサー」でトップ4に入賞) に《熱烈の神ハゾレト》を教えていただけたのが大きかったです。
墓地を経由せず、トークン対策も効かないカードとして《熱烈の神ハゾレト》は最上級のカードですし、ガランさんはメインボードに採用しているほどなので、みなさんもぜひ採用をご検討ください。
長くなってしまったのでまとめますと、現時点では《神聖の力線》以外のものに関してはエンチャント対策カードは不要だと考えています。《神聖の力線》を出される回数は10回戦で多くても2マッチ程度のものですし、そういったデッキに対しても《熱烈の神ハゾレト》や《反逆の先導者、チャンドラ》、《血染めの月》で勝てるようであれば過度に意識しすぎる必要はないと思います。
墓地対策は《虚空の力線》 or 《虚無の呪文爆弾》?
この2種類の比較としては、「マルドゥ・パイロマンサー」、「グリクシス・シャドウ」、「ドレッジ」など極端に墓地に依存するデッキには《虚空の力線》の方が良く、《瞬唱の魔道士》などでたまに墓地を使う程度のデッキには《虚無の呪文爆弾》の方が使いやすいです。
最初は効果の大きさよりも使いやすさを重視してずっと《虚無の呪文爆弾》4枚で練習していたのですが、最終的に下記3点を理由に《虚空の力線》を優先することにしました。
(1) 「グリクシス・シャドウ」、「ドレッジ」が多いと予想していた。
これら2種類のデッキには本戦で1回ずつは当たるだろうと考えていましたし、《虚無の呪文爆弾》よりも《虚空の力線》の方が圧倒的に優れているマッチアップです。青白系のデッキには《虚無の呪文爆弾》がなくとも十分に強い構成になっていますし、青白系のデッキと比べて苦手意識が強かったこれら2種に対して強くしたかったというのがひとつめの理由です。
(2) 《虚空の力線》と《虚無の呪文爆弾》の直接対決の結果と対処の難しさ。
ふたつめは、ミラーマッチなどで《虚空の力線》と《虚無の呪文爆弾》が直接対決をした際の性能差です。《虚無の呪文爆弾》の効果でドローをするためには、《虚無の呪文爆弾》が墓地に落ちる必要があります。つまり、対戦相手が《虚空の力線》をコントロールしているとこちらはカードを引くことができません。
また、《虚無の呪文爆弾》は対「マルドゥ・パイロマンサー」や対「グリクシス・シャドウ」戦において《コラガンの命令》で破壊されてしまうのに対し、《虚空の力線》は非常に破壊しづらいです。
(3) マリガン・サイドボーディングが甘くなってしまう。
みっつめは個人的な問題かもしれませんが、《虚無の呪文爆弾》の方がマリガンが甘くなってしまったり、それほど効果的でない相手にも気軽にサイドインできることがマイナスに働いていると感じた点です。
《虚無の呪文爆弾》を使っていたときによく失敗してしまったのが、 “《虚無の呪文爆弾》はないけど、他のカードは強いし《虚無の呪文爆弾》なら途中で引いても大丈夫だしキープ” といった思考です。
そういったゲームは往々にして《虚無の呪文爆弾》を引けなければ負けてしまいますし、 “途中で引いても大丈夫” なのが利点ではなくマリガンを甘くしてしまう原因になりさがってしまっていたのです。
もうひとつの気軽にサイドインしてしまう問題もそれなりに深刻で、対戦相手が《安らかなる眠り》を置いてきた際に《虚無の呪文爆弾》を抱えているときのoyaoya感たるや、なかなかに心に響くものがありました。
以上の理由から、マリガン・サイドボーディングを簡略化&厳格化するためにも墓地対策は《虚空の力線》に。
もうひとつの墓地対策 : 《外科的摘出》
墓地対策カードの中で、唯一用途が大きく異なるのが《外科的摘出》です。「ドレッジ」を筆頭に、墓地をフル活用するデッキに対しては大きな効果は望めないものの、その代わりに「ウルザランド」やコンボパーツをデッキから完全に抜き去ることができる1枚です。
先ほどの2種類とは異なり、手札から唱えるため奇襲性があるのもプラス材料ですね。これらをどう捉えるかは想定するメタゲーム次第ではありますが、今回は (1)「グリクシス・シャドウ」や 「ドレッジ」が相当数いるであろうと予想したこと、 (2) 《神聖の力線》を無視するプランを取っていたこともあり不採用となりました。
《外科的摘出》をコンボデッキ対策の一環として使用する際の注意点として、《神聖の力線》を置かれてしまうと手札破壊呪文がキャストできなくなり、連鎖的に《外科的摘出》までもが無駄カードになってしまう危険性があるため、そういった目的で《外科的摘出》を採用するのなら《摩耗+損耗》と併用するのが好ましいと思います。
《ヴェールのリリアナ》の有無
《ヴェールのリリアナ》はこちらのリストが出てすぐに試してみましたが、感触は良好でした。特に青系のコントロールデッキに対してであったり、これまでのリストでは対処が難しかった《聖トラフトの霊》に触れる点が評価できたものの、その半面で「ウルザトロン」やコンボデッキに対して中途半端だったのが気になったため、最終的にはダメージクロックとして優秀な《熱烈の神ハゾレト》や《反逆の先導者、チャンドラ》に枠を譲ることになりました。
事前の予想で「ジェスカイ」は《聖トラフトの霊》型よりも純粋なコントロール型が多いと判断したことも《ヴェールのリリアナ》を不採用にした理由のひとつですが、《聖トラフトの霊》や「《ぬめるボーグル》」デッキなど、「呪禁」クリーチャーが増えた場合には真っ先に採用を検討する1枚です。
ただし、《血染めの月》プランで使用する際には土地のサーチの仕方に大きな変化が起こるので、《ヴェールのリリアナ》を起用する場合は《湿地の干潟》の3枚目を検討するなり《魔力変》を採用するなりして、《ヴェールのリリアナ》をキャストしやすくできるように工夫しておきましょう。
マッチアップガイド
すでに相当に長くなってしまいましたが、ここからは各デッキとのマッチアップガイドをお送りいたします。
デッキの種類が豊富なモダン環境だけあって、当たった回数にもバラつきがありますし中には自信がないものもありますが、少しでも参考になれば幸いです。
青白コントロール
「青白コントロール」に対しては、以下ふたつのいずれかのプランが実行できれば理想的です。
「青白コントロール」は基本地形が多いので《血染めの月》の効き目が薄いように思われるかもしれませんが、実際にはかなり効果的です。特に対戦相手のフェッチランドの使用回数が少ない序盤に設置できれば、大きく動きを制限することができます。
もしも設置が遅れてしまったとしても、消耗戦を望むこちらにとって無限にアドバンテージを供給する《水没遺跡、アズカンタ》は悪夢のようなカードなので、最悪でもこれと《天界の列柱》を封じるだけで十分な働きと言えます。
相手の《流刑への道》は除去というよりも基本地形を揃えるために使われることが多いので、手札破壊でカードを選ぶ際には《流刑への道》、《瞬唱の魔道士》に注意です。
プラン通りに《血染めの月》を設置することができたなら、その後の手札破壊呪文は《騒乱の歓楽者》の直前であったり、重要な呪文を通すために直前まで温存して無駄使いのないように。
このマッチは《未練ある魂》の連打が非常に有効なので、序盤に手札破壊呪文が引き込めていない場合は《未練ある魂》連打で《至高の評決》のような大ぶりなアクションを引き出し、返しのターンで《血染めの月》や《騒乱の歓楽者》に繋げるようなイメージでプレイするといいでしょう。
対 青白コントロール
《発明品の唸り》ランタン
感覚としては五分か少し不利くらいなマッチアップ。ロックが決まったとしても、《墓掘りの檻》さえなければ《信仰無き物あさり》でライブラリーを掘り進んで《コラガンの命令》や追加のドロー呪文を探すことができます。
《墓掘りの檻》や《伏魔殿のピュクシス》によって墓地の《信仰無き物あさり》が使えないor墓地に落ちない状態になるとほとんど希望がないので、すぐに投了しましょう。 (プロツアーで当たったときは7~8ターン目くらいに投了しました。)
対 《発明品の唸り》ランタン
サイド後は無駄カードが勝ち手段や妨害手段に置き換わるのでかなり戦いやすくなります。このマッチの《血染めの月》も見た目以上に良く効くので、素早く設置して《発明品の唸り》をキャスト不能にできればグッと勝利が近づきます。
《戦慄掘り》は、おそらくサイドインされるであろう《ボーラスの工作員、テゼレット》用に残しています。
赤黒《虚ろな者》
4~5回程度しか当たっていませんが、3勝1敗か4勝1敗だったのでそこまで相性は悪くない印象です。
《炎刃の達人》はとにかく見たらすぐに除去しましょう。相手のクリーチャーは基本的に地上ばかりなので、手札破壊からの《若き紅蓮術士》も立派な勝ちパターンになります。
対 赤黒《虚ろな者》
ウルザトロン
もはやテンプレのようになってきましたが、相性最悪のマッチアップです。ミッドレンジ好きの僕にとって、「ウルザトロン」は死ぬまで天敵のままでしょう。
対 ウルザトロン
《溶鉄の雨》が入ることもあり、先手はかなり勝ちやすくなっていますが、3本目はだいたい後手で始まるのでマッチ全体の勝率は悪いです。
対「ウルザトロン」を意識するならジェリーのリストの方が良さそうです。
バーン
対 バーン
《若き紅蓮術士》を抜くのは不自然に映るかもしれませんが、サイドボード後に対戦相手が《灼熱の血》まで入れてきて、小型クリーチャーは出さない方がいい展開が多かったためにこのようなサイドボーディングになっています。
《若き紅蓮術士》ではなく《未練ある魂》を残すのは、《騒乱の歓楽者》のマナコスト軽減に寄与するからです。もしも対戦相手が《灼熱の血》を入れているのが分かっているのであれば、残る2枚の《若き紅蓮術士》も抜いて《反逆の先導者、チャンドラ》にしましょう。
序盤は徹底的に対戦相手の動きを妨害し、《騒乱の歓楽者》か《熱烈の神ハゾレト》で一気に攻勢に転じるのが理想の展開です。
中盤以降に対戦相手の手札がないときは、《騒乱の歓楽者》を軽くするために手札破壊を自分を対象に唱えたりすることもあります。1回だけですが《思考囲い》を自分にキャストして《騒乱の歓楽者》が軽くなったおかげで勝ったこともあるので、対戦相手の手札が空っぽの際には思い出してみてください。
グリクシス・シャドウ
「グリクシス・シャドウ」戦で問題となるのは《黄金牙、タシグル》・《グルマグのアンコウ》といった火力や《致命的な一押し》で対処できないクリーチャーたちです。
メインボードでこれらのカードに対処できるカードは限られていますが、サイドボード後は「探査」クリーチャーも《瞬唱の魔道士》も封じることができる《虚空の力線》が入るので、初手にあればゲーム運びがとても楽になります。
対 グリクシス・シャドウ
人間
「人間」はかなりの数対戦しましたが、思いのほか勝てなかったので僕のプランニングが悪い可能性が高いです。もしかすると単純に対戦回数が多かっただけかもしれませんが、マッチアップガイド内に記載してあるデッキの中で「ウルザトロン」の次によく負けたアーキタイプです。
《スレイベンの守護者、サリア》や《帆凧の掠め盗り》でテンポを狂わされたり、《幻影の像》で《騒乱の歓楽者》をコピーされたりといった負けパターンが多かったですね。
対 人間
サイドボード後は《イゼットの静電術師》が入ってくることが多いので、《未練ある魂》を減らしています。
現時点では手数差を覆すために《血染めの月》プランを取っていますが、そもそもサイドボードの枚数が足りていない可能性があるので、追加の《神々の憤怒》や《仕組まれた爆薬》の採用を検討してみてもいいかもしれません。
親和
対 親和
「親和」は相性が良いので最低限の枚数しか用意していませんが、今回の結果を受けて今後「ランタン」デッキが増えるようであれば、「親和」にも効果的でエンチャント対策にもなる《摩耗+損耗》の採用を検討すると思います。
青赤ストーム
対 青赤ストーム
サイド後は例によって《巣穴からの総出》が癌となるので、手札破壊で積極的に狙っていきましょう。
ミラーマッチ
対 ミラーマッチ
メインボード戦は先に《騒乱の歓楽者》を出した方がほぼ勝ちますが、お互いに墓地対策が入るサイドボード後は事情が異なります。
基本的にはお互いが除去や手札破壊を連打して長期戦になりますが、そうなると《熱烈の神ハゾレト》・《反逆の先導者、チャンドラ》という対処の難しい脅威の枚数が多いこちら側が自然と有利になっていきます。
対戦相手の《若き紅蓮術士》や《ゴブリンの熟練扇動者》が生き残ってしまったり、《未練ある魂》をたくさん引かれるくらいしか負けないと思うので、《騒乱の歓楽者》をもう1枚抜いて《神々の憤怒》にしてもいいかもしれません。
カード1枚どころか《若き紅蓮術士》の《エレメンタル・トークン》1体ですら重要なほどの消耗戦になることが多いので、《若き紅蓮術士》は必ず《エレメンタル・トークン》が1体以上生み出せる状態で出しましょう。
プロツアー本戦の結果と反省点
プロツアー本戦の結果は下記の通りです。
今回使ったマルドゥ・パイロマンサーです。当たったデッキと成績はこんな感じでした。
— 津村 健志 (@KenjiTsumura) 2018年2月3日
アドグレイス ×○×
青緑感染 ○×○
トロン ×○×
青白コン ○○
ブルームーン ××
青黒フェアリー ○○
青白コン ○○
青白コン ○○
ランタン ×○○
マルドゥ・パイロマンサー ×○○ pic.twitter.com/NgCfdu6sp9
「青白コントロール」はチームメイトの廣澤 (遊太) 君が使っていたこともありたくさん練習できていたため、3回も当たれて運が良かったです。
この度の反省点としては、「人間」や「親和」といった主要なマッチアップのサイドボードプランが詰め切れなかった点が挙げられます。モダンで全てのマッチアップを納得がいくまで練習するのは不可能かもしれませんが、特定のマッチアップがしたいならMagic Onlineではなくリアルでの調整に重きを置いたりと、この反省はスタンダードとの大きな違いとして次に生かせればと思います。
おわりに
本日の記事は以上です。
「マルドゥ・パイロマンサー」はミッドレンジがお好きな方には絶対に気に入ってもらえるアーキタイプですので、僕と同様に中速のデッキが大好きなみなさまはぜひぜひお試しください!
さてさて、今シーズンはプロツアー『イクサラン』、プロツアー『イクサランの相克』の両プロツアーで構築ラウンドが7勝3敗だったため、次回のプロツアー『ドミナリア』で奇跡が起これば「構築マスター」として世界選手権に出場できるかもしれません。
今シーズン構築は7-3×2なので構築マスターワンチャンあるかな?と思ったら予想以上に壁は高かった(^◇^;)w
— 津村 健志 (@KenjiTsumura) 2018年2月4日
最後は9-1できないと無理だろうなーhttps://t.co/zw5VF9MVEB
上位のプレイヤーは化け物クラスのプレイヤーばかりですが、プロツアー優勝以外で世界選手権に出るにはこれしかなさそうなので、いつも以上にスタンダードを張り切っていきたいと思います。
それでは、また次回のブログで!
コガモ