はじめに

きたしま:こんにちは。晴れる屋のきたしま(@oolong___chan)です。
■人物紹介:きたしま

きたしま: 晴れる屋商品管理チームスタッフ。高校3年の冬に『ワールド・マジック・カップ2017』を見てマジックの魅力にのめり込む。現在、競技マジックに挑戦する様子を記事にした「きたしまの『プロツアーへの道』」を連載中。
先日、2027年に東京で「MagicCon」が開催されるというビッグニュースがありましたね!
それと同時に、2027年のプロツアー・スケジュールについてもお知らせがありました。

きたしま:東京でプロツアーが!!?!?!?!?
日本国内でプロツアーが開催されるのは、2017年のプロツアー「破滅の刻」以来、実に10年ぶりのことです。当時高校生の僕は、このプロツアーの1か月後にマジックに出会いました。
マジック始めました pic.twitter.com/1AkdQ5Qbj1
— きたしま (@oolong___chan) August 27, 2017
マジックを始めてから10年の節目に、国内で10年ぶりのプロツアー開催。

きたしま:ここで出なくて、いつ出るんだよ!!
これまでは憧れに近かった『プロツアーに出たい』という夢が、この発表をきっかけに『プロツアー東京に出る』という明確な目標に変わりました。
その目標を達成するためには、まず『チャンピオンズカップ』予選を突破し、『チャンピオンズカップファイナル』へ進まなければなりません。
目の前の店舗予選から、プロツアー東京へと続く道。
ここからは、これまで以上の熱量を持って臨んだ今シーズンの『チャンピオンズカップ シーズン5ラウンド2予選』を振り返っていきます。
ですがその前に少し時間を《巻き戻し》して、今年4月から8月にかけて行われた『チャンピオンズカップ シーズン5ラウンド1予選』の話から始めましょう。
後悔のモダンシーズン
『チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド3』で8勝5敗という成績をおさめ、確かな成長を実感しつつあった今年3月。
- 2025/03/31
- きたしまの『プロツアーへの道』~昨年のリベンジ!『チャンピオンズカップファイナル京都』参加レポート~
- きたしま
しかし、その1か月後に始まったモダンフォーマットでの予選で、シーズン序盤は、身近な人に借りたエルドラージトロンとネオブランドを使用しました。
両デッキとも自分のやりたいことを押し付けるデッキであり、普段モダンをあまりプレイしない自分でも扱いやすいのでは?と考えていました。
| 日付 | 開催店舗・大会種別 | 成績 | 使用デッキ |
|---|---|---|---|
| 4月6日 | 晴れる屋千葉店 (プレミアム予選) | 1-2 | エルドラージトロン |
| 4月12日 | コミかる高崎店 (プレミアム予選) | 0-3 | エルドラージトロン |
| 5月3日 | カードショップサトPin (店舗予選) | 0-3 | ネオブランド |
| 5月4日 | イエローサブマリン横浜店 (店舗予選) | 3-1 | ネオブランド |
| 5月9日 | イエローサブマリン新宿店 (店舗予選) | 0-2 | ネオブランド |
| 5月16日 | イエローサブマリン新宿店 (店舗予選) | 1-2 | ネオブランド |
| 5月24日 | ゲームショップとど (店舗予選) | 0-2 | ネオブランド |
しかし、結果はボロ負け。エルドラージトロンもネオブランドも、マリガンが非常に難しいデッキでした。ゆるいキープでは相手の妨害を乗り越えられず、マリガンすると手数が足りなくなります。スタンダードにはないピッチスペルでの妨害や、サイドボードに控える強烈な対策カードにも苦しめられました。
このまま継続するべきか悩んでいたころ、モダンで登場したばかりの「ボロスランデス」という新デッキの存在を知り、興味を持ちました。
ボロスランデスは、《浸食作用》や《流刑への道》のような軽量除去と《空の怒り》というモダン屈指の全体除去で相手の脅威をさばき、《浄化の野火》や《自由の代価》《廃墟の地》で相手のマナベースを締め上げる戦略を取ります。
フェアなデッキに対しては、豊富な除去と土地破壊で相手のゲームプランを崩していきます。苦手なコンボデッキに対しては、《真昼の決闘》や《安らかなる眠り》のような白いヘイトパーマネントで抑え込みます。
相手によって自分の取るべきゲームプランが明確で、なおかつ専用の対策カードを当てられにくいデッキです。この点が、モダン経験の浅い自分にはとても魅力的でした。

きたしま:モダンが主戦場のプレイヤーにも、このデッキなら戦えそうだ!
5月末からは使用デッキをボロスランデスに固定し、MagicOnlineで練習しながら毎週予選を回り続けました。しかし……
| 日付 | 開催店舗・大会種別 | 成績 |
|---|---|---|
| 5月31日 | TCG専門店CANTRIP (店舗予選) | 2-1-1 |
| 6月7日 | 晴れる屋渋谷店 (店舗予選) | 4-1 |
| 6月14日 | 晴れる屋TC東京 (プレミアム予選) | 5-3 |
| 6月28日 | 晴れる屋川崎店 (プレミアム予選) | 2-3 |
| 7月4日 | TSUTAYA Trading Card平塚 (店舗予選) | 1-2 |
| 7月5日 | 晴れる屋吉祥寺店 (店舗予選) | 3-2-1 |
| 7月11日 | BIGMAGIC秋葉原店 (店舗予選) | 0-2 |
| 7月12日 | イエローサブマリン柏店 (店舗予選) | 0-2 |
| 7月18日 | 晴れる屋吉祥寺店 (プレミアム予選) | 3-3 |
| 7月19日 | 晴れる屋川崎店 (店舗予選) | 0-1 |
| 7月20日 | イエローサブマリン溝口店 (店舗予選) | 1-1 |
| 7月25日 | 晴れる屋町田店 (店舗予選) | 1-1 |
| 7月26日 | 晴れる屋TC東京 (店舗予選) | 0-2 |
| 8月1日 | TCG専門店Day屋 (店舗予選) | 1-2 |
| 8月2日 | ゲームショップとど (店舗予選) | 3-1 |
何度かあと一歩のところまで迫ったものの、最後まで権利を獲得することはできませんでした。
毎週の予選のために平日は夜遅くまでMagicOnlineでリーグに潜り、時にはほぼ徹夜で『Modern Challenge』に出たこともありました。「負けたら終わり」の店舗予選に出るため、時報を聞きながら予約ページに貼り付いたことも……。
でもそれは、予選に出ているプレイヤーの多くがやっていることです。自分だけ特別ということはありません。

きたしま:毎週これだけやって、それでも抜けられないのか・・・
自分のプレイに反省点はいくらでもあります。ただ、それだけではなくそもそもこのデッキ選択で良かったのか?という疑問も、だんだん大きくなっていきました。
ボロスランデスを使い続けるなかで特に感じた弱点が、相手の「上振れ」に対応しきれないことです。
ボロスランデスは、除去と土地破壊を積み重ねながら、少しずつゲームを有利にしていくデッキです。しかし相手がそのデッキの100点を超えるような理想的な動きをしてきたとき、それをひっくり返すほどの爆発力はありません。そして、常に対応する側であるボロスランデスにそのような「上振れ」はほとんどありませんでした。

きたしま:デッキの弱点にはうすうす気づいていたけど、別のデッキに乗り換える決断は最後までできなかったな・・・
予選の終わりが近づくにつれ、「デッキを変えた方がいいかもしれない」という不安は常につきまといました。ですが、そのタイミングで別のデッキを練習し始めても付け焼き刃にしかならなかったと思います。結局最後までデッキの乗り換えはできませんでした。
そもそも自分はモダンというフォーマットに苦手意識があり、正直なところ「できればやりたくない」と思っていました。モダンを主戦場とするプレイヤーたちに真っ向から挑んでも、簡単には埋められない経験の差があると感じていたからです。
だからこそ、自分の動きを押し付ける尖ったデッキや、奇をてらった戦略で相手を出し抜こうとしていました。エルドラージトロン、ネオブランド、そしてボロスランデスを選んだのも、その考えが根底にあります。
なかでもボロスランデスは、大量の除去と土地破壊で相手のゲームプランそのものを崩していき、それまでのモダンフォーマットの常識を文字通り「破壊」するかのような痛快さがありました。モダンに苦手意識のある自分でも、このデッキなら同じ土俵に立てると思ったのです。
しかし、結果を出せないまま4か月にわたるモダンでの予選は終わりました。

きたしま:相手を出し抜こうとするのではなく、最初からトップTierのデッキを選んで、そこに十分な練習時間を注いでいたら、違う未来もあったのかな・・・
もちろん、強いデッキを使っていたらすぐ勝てたという単純な話ではありません。自分はまずトップTierのデッキと正面から向き合い、モダン環境への理解を深める必要があったのだと思います。尖ったデッキや奇をてらった戦略を選ぶのは、その後からでも良かったのだと感じました。
5か月ぶりのスタンダード
そして、冒頭でも触れたプロツアー東京へとつながるスタンダードの予選が始まりました。
シーズン開始を目前に控えた8月10日に禁止制限告知が行われ、スタンダードでは、《アナグマモグラの仔》と《嵐追いの才能》《ばあば》の3枚が禁止されました。それまで環境の中心にいたイゼット果敢やジェスカイ講義、セレズニアウロボロイドのようなデッキが大きく弱体化し、予選シーズンは新しい環境でスタートしました。
しばらくモダンしかプレイしていなかった自分にとって、このタイミングで環境がリセットされたのは好都合でした。

きたしま:今度こそ、まずトップTierのデッキから触って環境を理解するところから始めるぞ!
そう意気込み、最初に手に取ったのは緑単上陸です。
モダン予選では自身の経験不足を補おうとして尖ったデッキを選びましたが、最後まで結果にはつながりませんでした。だから今度は相手を出し抜くことよりも、まず強いデッキと正面から向き合う、モダン予選でできなかったことを、スタンダードではチャレンジしてみようと思いました。
もともと《アナグマモグラの仔》への依存度がそこまで高くなかった緑単上陸は、禁止改定後の新環境でも変わらず強力なデッキでした。8月16日から20日にかけてMagicOnlineの『Standard Challenge』を4大会連続で優勝しており、そのデッキパワーは折り紙付きです。

きたしま:緑単上陸の1マナ域だけ許されていていいのか!?
実際に回してみると、強いデッキには強い理由がちゃんとあるという当たり前のことを改めて感じました。
《ラノワールのエルフ》や《サッズのヒナチョコボ》で序盤からプレッシャーをかける展開もあれば、《幻獣との交わり》や《若木の生育場》でじっくり盤面を作ることもでき、《強靭形態の調和者》による一撃必殺のコンボもあります。
緑単なので相手への干渉手段は乏しいですが、こちらが常に押し付ける側なのがわかりやすくていいなと思いました。
練習していて特に不満な点もなく、大きく環境が変わらない限りはこのまま緑単上陸で毎週正拳突きをしようと思いました。
9月6日 ゲームショップとど プレミアム予選
今期最初の予選では、《苔生まれのハイドラ》をメインボードに採用したリストを使用しました。
《苔生まれのハイドラ》は、除去の薄い緑単上陸ミラーでは対処されにくく、イゼットスペレメンタルに対しても、クリーチャー・タイプがエレメンタルであるため《刻み群れ》に耐性があります。この2デッキが予選でも多いだろうと予想し、メインボードから採用しました。
この日の参加者は40名。スイス6回戦とSE1回戦を戦い、上位4名が権利を獲得します。
| ラウンド | 対戦デッキ | 結果 |
|---|---|---|
| R1 | セレズニアオフェンス | ×× |
| R2 | ボロストークン | ○×○ |
| R3 | 戦告者コンボ | ×× |
| R4 | 不戦勝 | |
| R5 | 緑単上陸 | ×○○ |
| R6 | ボロストークン | ×○× |
最終成績は不戦勝込みの3勝3敗。自分のプレイミスで落としたゲームもあり、まだこのデッキの真価を引き出しきれていないと感じました。
また、ほかの緑単上陸を見ると、自分のリストと同じく《苔生まれのハイドラ》がメインボードから採用されていました。自分で考えたアイデアが、ほかのプレイヤーとも一致していたのは素直に嬉しかったです。
一方で、緑単上陸がミラーマッチを意識してキルターンの速い《苔生まれのハイドラ》をメインから採用するようになり、さらに今回対戦したボロストークンのような速いアグロデッキが増えるのであれば、《若木の生育場》が間に合わない展開も増えそうです。
来週の予選では《若木の生育場》を減らし、より《苔生まれのハイドラ》を軸にした構成を試してみようと思いました。
9月12日 晴れる屋川崎店 プレミアム予選
前週の感触をもとに、今回は《若木の生育場》を2枚まで減らして《苔生まれのハイドラ》を4枚に増量。《苔生まれのハイドラ》と相性の良い《一繋がりの根》を3枚採用しました。
2ターン目に《一繋がりの根》をプレイすることで、3ターン目に《苔生まれのハイドラ》+《寓話の小道》という強烈な押し付けができます。4/4になった《苔生まれのハイドラ》が生き残ってターンが返ってくれば、ほぼ勝ちです。力こそパワー。
この日の参加者は52名。スイス6回戦とSE1回戦を戦い、上位4名が権利を獲得します。
| ラウンド | 対戦デッキ | 結果 |
|---|---|---|
| R1 | イゼット親和 | ×○○ |
| R2 | イゼットスペレメンタル | ○×○ |
| R3 | イゼットスペレメンタル | ○○ |
| R4 | シミック全知 | ×× |
| R5 | ディミーアミッドレンジ | ○○ |
| R6 | ID | – |
開幕3連勝で勢いに乗り、4回戦でシミック全知に敗れたものの、5回戦のディミーアミッドレンジに勝利。6回戦は運良くIDが成立し、スイスラウンド6位でシングルエリミネーションに進出しました。
権利を懸けた最後の相手は、再びディミーアミッドレンジ。6回戦をIDできたおかげで、対戦相手のデッキはあらかじめわかっていました。スイスラウンドの順位は相手の方が上なので、後手は確定です。それでも、緑単上陸にとってディミーアミッドレンジは勝ちたい相手です。

きたしま:4月から予選を回り続けてきて、ついにあと1勝・・・!
しかし、その大事な1ゲーム目。後手にもかかわらず、初動が3ターン目の《土のベンダーの位に至る》という7枚をキープしてしまいました。そんな展開で先手のディミーアミッドレンジに追いつけるはずがないのに。
案の定、先手3ターン目に《悪夢滅ぼし、魁渡》が戦場に出てしまいます。更地に定着した《悪夢滅ぼし、魁渡》になすすべもなく、1ゲーム目を落としてしまいました。

きたしま:こんなぬるいキープをしている場合じゃない!
一度トイレに行って顔を洗い、気持ちをリセットします。次いつ巡ってくるかわからないチャンスを、絶対に落としたくない。
続く2ゲーム目も、決して良い展開ではありませんでした。こちらが引いたのは、ディミーアミッドレンジ相手にはあまり頼りにならない《鋭い目の管理者》2枚と土地ばかり。それでも今できることをやるしかありません。
《鋭い目の管理者》で少しずつライフを詰めていくと、相手も次第に余裕がなくなっていきます。最後はフルタップでプレイされた《黒い太陽の日》の返しに、手札に温存していた《氷耕しの探検家》と《苔生まれのハイドラ》を通し、そのまま2体とも生還して勝利。これでゲームカウントは1-1です。
そして、すべてが決まる3ゲーム目。その前にもう一度トイレへ。緊張で落ち着かず、とにかく気持ちを整えてから席に戻りました。
3ゲーム目は、打ち消しを構える相手に《神出鬼没の狩人、スーラク》を叩きつける展開に。相手の手札は打ち消しと《フラッドピットの溺れさせ》だったようで、この《神出鬼没の狩人、スーラク》がクリティカルに刺さりました。
その後は《神出鬼没の狩人、スーラク》が生んだカードアドバンテージでこちらの手数が相手の妨害を上回り、そのまま押し切って勝利しました。
| ラウンド | 対戦デッキ | 結果 |
|---|---|---|
| SE | ディミーアミッドレンジ | ×○○ |
正直、最後の方は緊張しすぎて細かい展開をあまり覚えていません。ただ、勝った瞬間に込み上げてきたのは、嬉しさよりも「やっと抜けられた」という安堵の気持ちでした。
晴れる屋川崎プレミアム予選
— きたしま (@oolong___chan) September 12, 2026
R1 イゼット親和×○○
R2 イゼットスペレメンタル○×○
R3 イゼットスペレメンタル○○
R4 シミック全知××
R5 ディミーアミッド○○
R6 ID
6位抜け
SE ディミーアミッド×○○
権利取れた????????? pic.twitter.com/9QuY08QVPL
5か月間、ほぼ毎週予選を回り続けてきて、ようやく『チャンピオンズカップファイナル』出場権を獲得することができました。
おわりに
4月から始まった長い予選行脚。モダンでは最後まで良い結果を出すことができず、スタンダードでも「このまま最終日まで予選を回り続けることになるんじゃないか」という不安がありました。
それでも、モダンでの反省をスタンダードに生かし、最後は予選突破という結果につなげることができました。
来年5月のプロツアー東京を目指して、まずは2月の『チャンピオンズカップファイナル』。今度こそ、プロツアーへの切符を掴みにいきます!
また次回の記事でお会いしましょう!最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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