By Hiroshi Okubo
準決勝へと勝ち進んできたのは鈴木 明由(東京)と村栄 龍司(大阪)の2名だ。
鈴木 明由といえばPWCを代表する古豪の1人であり、過去にPWCC2012でも準優勝という好成績を残している強者だ。この日はスタンダード最強の4マナクリーチャーと言っても過言ではない《熱烈の神ハゾレト》と《再燃するフェニックス》の2種を採用した赤単でここまで危なげなく勝利を積み重ねてきている。
相対するはBIGMAGICに所属するライターであり、最近絶好調の強豪プレイヤー・村栄 龍司。MOPTQを勝ち抜いてプロツアー『イクサラン』出場を果たしたり、MOCSで準優勝したりと、在住している関西に飽き足らずMOでも勝ち星を挙げまくり、ついには関東にも乗り込んできた。使用デッキは「白青《王神の贈り物》」だが、そのサイドボードに控えるのは神8種、エルダー・ダイナソー6種、フィルターランド(《大瀑布》)1枚という殿堂プレイヤー・渡辺 雄也謹製の神々しいサイドボード。このマッチでも神々が火を噴くか?
東と西の強豪同士が火花を散らすマッチアップ。はたして勝負の行方はどうなるのか?
Game 1
村栄がプレイした《査問長官》を鈴木が《ショック》で焼き、《ボーマットの急使》でクロックを刻み始めるスタート。初動を挫かれてしまった村栄だが、ならばと《巧みな軍略》で墓地を肥やして《聖なる猫》2体を「不朽」して《ボーマットの急使》を止める。
鈴木が《再燃するフェニックス》を送り込めば村栄も《復元》で《王神の贈り物》を設置し、4/4の《査問長官》を戦場に戻す。両者ともに一歩も譲らず、熱戦を予感させる滑り出しとなった。
返す鈴木も《王神の贈り物》をしっかりと《削剥》で退け、続いて《熱烈の神ハゾレト》を叩きつける。村栄は一気に苦境に立たされることとなり、《聖なる猫》トークンで時間を稼ぐが、鈴木はその隙に2枚目の《再燃するフェニックス》をプレイする。
形勢は誰の目にも明らか。村栄はこのままやられてしまうのかと思われたが、ここまでに計4枚の《聖なる猫》を費やした時間稼ぎが功を奏し、村栄は7マナへと到達。力強く土地を寝かせ、手札からプレイしたのはもちろん《王神の贈り物》! 戦場に降り立った《発明の天使》が6/6飛行・警戒・絆魂が《再燃するフェニックス》の前に立ちはだかる。
完全に攻撃の手が止まった鈴木を前に、村栄は手札から2枚目、3枚目の《発明の天使》をプレイ。2枚の《再燃するフェニックス》と《熱烈の神ハゾレト》を跳ね除け、村栄が力強く勝利をもぎ取った。
村栄 1-0 鈴木
Game 2
第1ゲームは見事な逆転劇を演じた村栄だったが、第2ゲームでは先攻の鈴木が《狂信的扇動者》、《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》と流れるようにクロックを展開するのに対して何ら対抗することができない。
ドロー呪文で手札を整えていくうちに見る見るライフが溶けていき、やっとのことで《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》を《不可解な終焉》、返す鈴木の《再燃するフェニックス》を《排斥》で除去した頃にはライフはすでに6まで削られていた。
村栄が命からがらプレイした《発明の天使》も《絡みつく砂丘》で除去されてしまい、防戦一方だ。天使が置き土産に残していった霊気装置トークンで《狂信的扇動者》のクロックこそ止まったが、大きく差をつけられているライフアドバンテージ差は簡単には揺るがない。続くターンにプレイした《信義の神オケチラ》でなんとか攻撃に転じることができたものの……
今回ばかりはさすがに緩慢すぎたようだ。本体に向けて放たれた《稲妻の一撃》の前には成す術もなく、第2ゲームは鈴木の勝利で終わることとなった。
村栄 1-1 鈴木
Game 3
いよいよ決着の第3ゲーム。村栄の《査問長官》を鈴木が《マグマのしぶき》で除去し、《聖なる猫》の脇を《地揺すりのケンラ》がすり抜けていく。
最序盤の攻防こそ五分に見えたが、続くターンに鈴木がプレイした《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》への備えが村栄にはなかった。《ラガバントークン》を止め続けるという不毛なチャンプブロックでギリギリ時間を稼ぐも、残りライフは4まで削られてしまう。
村栄にとってはかなり絶望的な状況。だが、どうにも鈴木の様子がおかしい。本来ならばとっくに村栄のライフがゼロを切っていてもおかしくないターンが経過しているのだが、追加のクロックがなかなか登場せず、代わりに土地が延々と伸びている――つまり、マナフラッドだ。
《ラムナプの遺跡》なき今、土地を続けざまに引き続ける赤単はなかなか勝ち切ることができない。村栄は鈴木のマナトラブルと長きに渡った徹底防戦の甲斐あって命からがら《王神の贈り物》に辿り着き、《発明の天使》で一気にライフを取り戻し、そのまま決勝へと駒を進めた。
村栄 2-1 鈴木