Translated by Kenji Tsumura
(掲載日 2018/03/31)
今日はスタンダードのとあるデッキについてお話ししたいと思います。「グリクシス・エネルギー」や「青黒ミッドレンジ」系のデッキについては多くのプロプレイヤーが記事を執筆していますし、おそらくそれらのデッキに関してはこれをご覧になっている時点ですでに素晴らしい記事が見つけられることでしょう。
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そこで本日は、あまり多くの記事が存在しない「白黒トークン」系統のデッキをご紹介したいと思います。
白黒トークン
5 《沼》
4 《進化する未開地》
4 《秘密の中庭》
3 《シェフェトの砂丘》
1 《廃墟の地》
-土地 (22)- 4 《選定の司祭》
2 《陽光鞭の勇者》
4 《威厳あるカラカル》
-クリーチャー (10)-
1 《強迫》
2 《徹頭+徹尾》
3 《軍団の上陸》
4 《秘密の備蓄品》
1 《アルゲールの断血》
4 《選定された行進》
4 《イクサランの束縛》
4 《改革派の地図》
1 《宝物の地図》
-呪文 (28)-
こちらがMOCSプレイオフでトップ8に入賞したリストです。これは非常に基本的なリストですが、その理由はこのトーナメントが「白黒トークン」を初めてプレイした大会だったからです。それゆえにいくつかの構築ミスがありました。ここからは、カードごとの選択理由などの詳細をお伝えしていきたいと思います。
土地の枚数
4枚の《改革派の地図》があるとはいえ、土地は22~23枚必要です。22枚か23枚かは、自身のリストのマナカーブとどれくらい呪文を採用しているか次第です。
《進化する未開地》と《改革派の地図》
《進化する未開地》と《改革派の地図》を4枚未満にするなんて想像できません。私たちには、《秘密の備蓄品》と《致命的な一押し》の「紛争」を誘発させる術が必要だからです。「紛争」を度外視すれば《進化する未開地》よりも《放棄された聖域》の方が優れている可能性がありますね。このデッキには1マナと2マナのカードが多いので、3ターン目の《進化する未開地》は悪くありません。
また、《進化する未開地》と《改革派の地図》はデッキの基本地形を圧縮してくれるので、終盤戦に向けた備えにもなります。
《シェフェトの砂丘》
2色デッキならば、《シェフェトの砂丘》を4枚入れない理由がありません。このカードは基本的に1ターンの間ダメージを倍増させてくれ、速やかにゲームを終わらせてくれます。このデッキのためにデザインされたかのような完璧な1枚です。
《廃墟の地》
スタンダード環境には、対処しなければならない特殊地形がたくさん存在します。
《廃墟の地》は「紛争」を誘発させたり、マナベースを整えたりすることにも使用できますね。
基本地形
《改革派の地図》4枚、《進化する未開地》4枚、《廃墟の地》1枚を擁するこのデッキには、少なくとも8枚の基本地形が必要だと考えます。個人的には長期戦でサーチできないことを防ぐため、9枚目を採用する方がいいと思います。
《秘密の備蓄品》・《選定された行進》
この2種類はデッキの中で最も重要なカードです。両カードを揃えることができれば、毎ターン戦線を拡大しつつ「占術」によってドローを良質なものにすることができます。これらのカードをクリーチャーの代わりに採用することで対戦相手の除去呪文はほぼ無意味なものになりますし、それはあなたにとって大きなアドバンテージです。「グリクシス・エネルギー」でエンチャントに触れる唯一にして一般的な手段は《暗記+記憶》のみです。ただし、「グリクシス・エネルギー」プレイヤーが対処すべき脅威に対して十分な枚数が採用されているわけではありません。
私がこの2種を特に好む理由としては、単体でもデッキの他のカードと上手くかみ合う点が挙げられます。さらにこれらは複数枚引いたときにその力を増します。1枚を設置することができたなら、2枚目、3枚目が欲しくなるでしょう。
《選定の司祭》
《選定の司祭》は序盤のクリーチャーに対して素晴らしいブロッカーとなります。このカードはこのデッキにおいて、そしてスタンダード環境全般において最も壊れたライフ回復手段です。対戦相手を投了に追い込むほどのライフを得ることなんて造作もないことですね。ただし、Magic Onlineのプログラムはこれを完璧にサポートできるようには作られていないため、クラッシュしてしまう可能性があるので注意が必要です。
多くのマッチアップにおいて、対戦相手は《強迫》・《否認》・《帰化》といったエンチャント対策カードをサイドインしてくるでしょうし、それに伴い速やかにコンボを揃えられる可能性も減少してしまいます。したがって、序盤に《選定の司祭》は不要になるため数枚をサイドアウトすべきでしょう。
《致命的な一押し》
ブロッカーを大量に用意できるこのデッキにとって、小型クリーチャーは大きな問題にはなりませんが、攻撃に来ずとも優秀な下記クリーチャーは必ず対処する必要があります。
メタゲーム次第では《致命的な一押し》を3枚にすることも考えられますが、私は今現在も4枚採用しています。
《軍団の上陸》
多くのプレイヤーは《軍団の上陸》を4枚採用していますが、私は決してこのカードを4枚採用しようとは思いません。誤解しないでください。私は《軍団の上陸》が弱いカードだと言いたいわけではありません。1枚目はほとんどの状況で素晴らしいものの、このカードを複数枚引いてしまうことは敗因となりえます。《軍団の上陸》を2枚引いた際には、「伝説ルール」のおかげで《秘密の備蓄品》や《致命的な一押し》の「紛争」を誘発させたり、追加の《吸血鬼トークン》を得ることができるものの、それは決して十分とは言えずこのデッキを弱くしてしまいます。私にとって2枚が適正な枚数です。
《宝物の地図》 / 《アルゲールの断血》
このデッキにはアドバンテージを獲得する何らかの手段が必要です。《アルゲールの断血》を1枚採用しているのはライフ回復を悪用するためですが、個人的には《宝物の地図》の方が好みです。「変身」する際に得た《宝物トークン》は「紛争」を誘発させる術となりますし、起動に黒マナが不要で、3回使用するだけで追加の土地にもなるからです。
《飛行機械による拘束》 / 《排斥》 / 《イクサランの束縛》
《熱烈の神ハゾレト》・《スカラベの神》・《再燃するフェニックス》への解答は必須です。
《陽光鞭の勇者》 / 《徹頭+徹尾》
上記2種類は概して少し弱いカードなので、メインボードに採用するためにはそれ相応の理由が必要となります。もしもメタゲーム上に赤いデッキが多いのならば《陽光鞭の勇者》は最高ですし、少なくともサイドボードには用意しておくべきでしょう。
《不敬の行進》
このカードは《スカラベの神》が登場する前に設置しておけるので、青黒系のデッキに対して非常に強力です。青黒系のデッキが多いと予想するのであればメインボードに採用するのが正解でしょうが、そうでない場合にはサイドボードに1枚忍ばせておきましょう。
《残骸の漂着》 / 《燻蒸》
私の経験上、全体除去呪文は弱くデッキに入れるべきではありません。《イクサランの束縛》の方が多くの状況において優秀です。本当に《燻蒸》がほしいと感じるマッチアップは「スゥルタイ・エネルギー」だけですね。
《威厳あるカラカル》
《選定された行進》を置くターンは実質1ターンを飛ばしているようなものなので、その後盤面に大きなインパクトを与えるカードが必要となりますが、《威厳あるカラカル》は《選定された行進》から繋げるカードとして完璧です。《威厳あるカラカル》は《スカラベの神》の入っていないデッキ全般に対して素晴らしいカードです。しかしながら《威厳あるカラカル》を殺されたり打ち消されたりしてしまった後に《スカラベの神》で釣り上げられてしまうと、その試合はほとんどゲームオーバーとなってしまいます。《威厳あるカラカル》が2体並んだ場合、各《威厳あるカラカル》にも+1/+1の修正と絆魂が付くことをお忘れなく。
《強迫》
メインボードに採用されることもあるでしょう。《強迫》は打ち消し呪文や《帰化》の入ったデッキと対峙する際に助けとなってくれます。
アブザン (白黒緑)・トークン
3 《沼》
1 《森》
4 《進化する未開地》
4 《秘密の中庭》
4 《シェフェトの砂丘》
2 《イフニルの死界》
1 《廃墟の地》
-土地 (23)- 4 《選定の司祭》
-クリーチャー (4)-
4 《徹頭+徹尾》
3 《燻蒸》
3 《軍団の上陸》
4 《秘密の備蓄品》
1 《不敬の行進》
4 《選定された行進》
3 《排斥》
1 《イクサランの束縛》
4 《改革派の地図》
2 《秘宝探究者、ヴラスカ》
-呪文 (33)-
2 《陽光鞭の勇者》
2 《宝物の地図》
2 《失われた遺産》
1 《不敬の行進》
1 《飛行機械による拘束》
1 《排斥》
1 《イクサランの束縛》
1 《残骸の漂着》
1 《秘宝探究者、ヴラスカ》
-サイドボード (15)-
《秘宝探究者、ヴラスカ》・《森》
緑をプレイする主な理由は《秘宝探究者、ヴラスカ》です。《改革派の地図》と《進化する未開地》が4枚ずつあるため、《森》以外の追加の土地を用意する必要はありません。仮に対戦相手が《廃墟の地》を採用していたとしても、《廃墟の地》は基本地形である《森》を対象に取れないので心配無用です。
先ほどの《威厳あるカラカル》と《スカラベの神》の話題を覚えていますか?もし《威厳あるカラカル》の代わりに《秘宝探究者、ヴラスカ》を採用すれば、《スカラベの神》に対して大きな問題を抱えるようなことはなくなります。《秘宝探究者、ヴラスカ》は遅いデッキに対してより優れたカードですし、《排斥》や《イクサランの束縛》といったエンチャントカードが飛び交う白いデッキ対決において最高の1枚です。
《イフニルの死界》
多くのプレイヤーが《イフニルの死界》を採用しているのを見かけましたが、私見では《沼》の方が優れています。
《オラーズカの拱門》
このカードはマナフラッドを防ぐためのものですが、マナフラッドを防ぐことは他の手段で実行できると考えています。このデッキは多くの土地を並べるようなデッキではありませんし、マナを有効活用できる術は他にも豊富にあります。また、《秘密の備蓄品》を4枚採用しているこのデッキにとって、無色マナはとても悪いものになってしまう可能性もあります。
《屍肉あさりの地》
これは《王神の贈り物》のような墓地を使うデッキへの優れた対抗手段です。《王神の贈り物》がとても人気になるようであれば、《シェフェトの砂丘》が4枚あることを生かしてメインボードに採用することも考えられますが、とはいえやはり無色マナは問題です。
エスパー (白黒青)・トークン
今現在の私のお気に入りは「エスパー (白黒青)」バージョンです。
3 《沼》
2 《島》
4 《進化する未開地》
4 《秘密の中庭》
1 《氷河の城砦》
1 《水没した地下墓地》
2 《シェフェトの砂丘》
1 《廃墟の地》
-土地 (22)- 4 《選定の司祭》
4 《機知の勇者》
1 《陽光鞭の勇者》
3 《威厳あるカラカル》
-クリーチャー (12)-
《機知の勇者》 / 《氷河の城砦》 / 《水没した地下墓地》 / 《島》
青を採用する主だった理由は《機知の勇者》です。《機知の勇者》を手札からキャストするだけなら《島》は1枚で十分ですが、「永遠」のための(青)(青)を確保したいですよね。したがって《島》の最低枚数は2枚で、それに加え《氷河の城砦》や《水没した地下墓地》といった追加の青マナソースを入れることで確実に「永遠」できるようにしつつ、デッキに必要な白マナと黒マナの枚数を維持しています。
《機知の勇者》はこのデッキにおける最高のカードで、多くの問題を解決してくれます。
《本質の散乱》 / 《否認》 / 《ジェイスの敗北》
《本質の散乱》は真に問題となりえる4マナ以上の脅威を上手く捌けるので、メインボードに採用したこの形が好きです。また、遅いマッチアップに関しては《強迫》よりも《否認》の方が優れているでしょう。
「永遠」と「不朽」に特化したリスト
他にもうひとつ挑戦してみてほしい「トークン」デッキがあります。それは白と青の2色のみで構成され、《選定の侍臣》の力を借りて「永遠」と「不朽」に特化したものです。
まとめ -トークンデッキに関するアドバイス-
もしも「白黒トークン」系のデッキを使うのであれば、残り時間にお気をつけください。この手のデッキは、ゲームが非常に長引いてしまうことがありますからね。また、このデッキをプレイするためには集中力が必要不可欠で、どんな誘発も忘れないようにしなければいけません。
この記事がスタンダードで「トークン」デッキを使ってみようと思うきっかけになれば幸いです。とにかく、このデッキはとても楽しいですよ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
ジェレミー・デザーニ