トーナメントを支配したデッキ:赤黒機体

Petr Sochurek

Translated by Yoshihiko Ikawa

原文はこちら
(掲載日 2018/05/19)

皆さん、こんにちは!

知っている方も知らない方もいらっしゃるでしょうが、先週末、僕はグランプリ・バーミンガム2018(レガシースタンダード)の両方に参加してきました。最高のイベントでしたね!今のスタンダードとレガシーはどちらも技術介入度が高い、素晴らしいフォーマットです。これはこの両フォーマットが、成功するためにはどちらも違った技術を要求されるということを意味します。レガシーはかなりセオリーが確立されています。最高の戦略は広く知られていますので、自分のデッキのサイドイン・アウトを理解し、すべてのマッチアップの複雑な部分を認識すればきっと報われることでしょう。すべての小さな選択が重要となります。経験が少ないプレイヤーはそれを知らないかもしれない、あまり知られていないサイドボード・カードがあるので、もしそれを計算に入れなければそのままゲームが終わってしまう可能性もあるでしょう。ドローカードやライブラリー操作するカードが環境にとても多く、たった1枚のサイドボードでもよく戦場に出てきますので、すべてを意識することが重要となってきます。

大抵の大型大会はリミテッドかスタンダードなので、僕はレガシーがあまり得意ではありませんが、チェコのレガシーコミュニティは比較的規模が大きく、かつ競技的なので、たまにプレイしています。僕はこのレガシーGPのためには特に練習をしませんでした。そう、スタンダードだけに焦点を当てていたのです。プロツアーはもうすぐそこなので、レガシーを練習している余裕がありませんでしたからね。レガシーGPの初日成績は6-2でした。満足できる結果ですが、僕にとって2日目をプレイするには十分ではなかったので、ドロップしてスタンダードGPに出場することにしました。

スタンダードの調整過程

スタンダードGPに向けて、先週はスタンダードをたくさんプレイしましたし、多くのデッキを試しました。僕が最初に手をしたデッキは、きっとお分かりでしょう。そう、青白コントロールです。問題は僕のリストはとても平凡なものだったため、結果的に想定よりもかなり負けることになってしまいました。青白コントロールを回して気づいたこと、それは《ドミナリアの英雄、テフェリー》がブッ壊れた強さだということでした。

次に試したデッキはこちら。

ラノワールのエルフ黎明をもたらす者ライラ秘宝探究者、ヴラスカ

思ったよりは強く、リーグではそこそこ良い成績でしたが、特別なものは感じませんでした-トーナメントを席巻できるような、ブッ壊れたデッキではなかったのです。

この《ドミナリアの英雄、テフェリー》なしバージョンを試してみましたが、最終的に黒緑《巻きつき蛇》になってしまいました-このデッキも良いデッキですが、特に目立ったところはありませんでした。すでにGP直前の水曜日であり、少し絶望しかけていましたが、赤黒を手にとった途端、すぐにそのデッキに心を奪われました。それはこれまでとは全く別物だったのです。デッキに入っているすべてのカードが本当にパワフルで、すべてのデッキに対して素晴らしいプランと強力なサイドボードを持っていました。それはまた、さらに練習が必要なデッキであるということも意味していました。

ゴブリンの鎖回しボーマットの急使歩行バリスタ

GPバーミンガムの間、マーティン・ジュザ/Martin Juzaと一緒に泊まっていたのですが、彼は前環境から赤黒使っていた経験があったので、本当に助かりました。僕たちは1マナ域のクリーチャーすべてが、とても弱いことに気付きました。素晴らしいカードであるはずの《ボーマットの急使》ですら、《ゴブリンの鎖回し》《歩行バリスタ》のせいでアンプレイアブルになってしまいましたし、「1マナ域を採用しない」アドバンテージのおかげでたくさんのミラーマッチに勝利することができたのです。

僕たちが最終的に使用したリストはこちらです。

キランの真意号再燃するフェニックス反逆の先導者、チャンドラ

明らかにこのリストは完璧ではありません。ですが限られた調整時間の中で、なかなか良いリストにはなったかと思います。《マグマのしぶき》が3枚は少し多すぎるように見えるかもしれませんが、1ターン目に呪文をプレイできるかどうかは大きな差ですし、特に後手のときに助けてくれます。コントロールとのマッチアップで足を引っ張るのは明白ですが、これが正しい判断だと僕たちは判断しました。青白コントロールは多くないという予想でしたし、多くのコントロール・プレイヤーはあまり強くないリストを用意しているでしょうから、時には勝利できることもあるからです。この予想は今後変わる可能性が大いにありますが、もし赤黒機体を使いたいのであれば、コントロールとのマッチアップを練習することをオススメします。

栄光をもたらすもの

他のプレイヤーが採用していなくて、僕たちにとって絶対的な存在として活躍してくれたのが《栄光をもたらすもの》です。僕たちは25枚に土地を増やして(26枚すら検討しました)このカードをプレイできるようにしましたが、期待以上の成果を上げてくれたのです!誰もメインには採用していませんでしたが、このカードは緑系のデッキに本当に強いのです。またこのカードの存在が、サイドボード後のギアチェンジを可能にしてくれます。《反逆の先導者、チャンドラ》《再燃するフェニックス》、そして《栄光をもたらすもの》を搭載した、除去満載のコントロールプランは、緑単や黒緑《巻きつき蛇》のような戦略のデッキが倒すのは非常に困難です。相手がこのギアチェンジに気づいておらず、こちらのアグロプランに対抗しようとしていた場合は特に顕著です。

グランプリ・バーミンガム2018の結果

トーナメント自体は、これ以上望めないほど素晴らしいものでした。赤単や赤黒、そして緑黒系のデッキが上位卓に多く、それらに対して僕たちのデッキは良く準備されていたのですから。僕は最終的に12-3の成績で終えましたが、もっとプレイが良ければトップ8に残ることができたでしょう。このデッキを選択するのが比較的遅かったため、すべてのマッチアップを完全に把握することができていませんでした。その結果として、僕は2回当たった緑黒系のデッキとのマッチアップで、誤ったサイドボードをしてしまいました。対戦相手は《ゴブリンの鎖回し》《歩行バリスタ》をケアして小型のクリーチャーを減らし、《生命の力、ニッサ》《秘宝探究者、ヴラスカ》《死の権威、リリアナ》といったカードをサイドインしてくるので、こちらも《マグマのしぶき》を減らすべきだったのです。手札に《マグマのしぶき》を抱えながら負けたときに、そのことに気付きました。

沼

マーティン・ジュザは準決勝でクリーチャー0枚の青白コントロールに敗北してしまいましたが、特に予想外ということはありませんでした。トップ8のデッキリストは公開されており、対戦相手は僕たちのリストに《沼》が入っていないこと-これは概ね構築ミスでしたが-を知っていたのですから。メインとサイドのどちらにするべきかは定かではないですが、コントロールとのサイドボード後のゲームにおいて、《沼》が必要なのは明らかでした。

まとめ

グランプリのあと、スタンダードのメタゲームがどのように移って行くかが非常に気になりますね。タフネス1のクリーチャーに居場所がないことをみんな理解したでしょうし、赤単と青白コントロールが勢力を増すでことでしょう。ですが、赤黒機体にはどんなデッキとも戦える十分な力があると僕は信じています。

メタゲームを読み、プロツアーという特定のフィールドで戦うのに最適なデッキリストを持っていくことが、最も重要な要素になるでしょう。プロツアー『ドミナリア』でどんなことが起こるか、今から本当に楽しみですね。

読んでくれてありがとうございます。

ペトル・ソフーレク

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