高橋の思考メモ ~レガシーの禁止改定を受けて~

高橋 優太

7/2、禁止改定。レガシー界に激震走る。

死儀礼のシャーマンギタクシア派の調査

(※ソースはこちら:公式記事「2018年7月2日 禁止制限告知」)

どちらも長年レガシーのトップを走り続けたカードで、禁止されるのも納得できる強さだった。

今回はこの2枚が環境に与えていた影響を分析しつつ、新環境のデッキを予想して行こうと思う。

各デッキ分析

青黒赤緑の各色から強力なカードを選ぶというデッキ構築ができた理由も、《死儀礼》が4色マナベースを支えていたのが大きい。

死儀礼のシャーマン

どちらのデッキも4色ゆえの万能さを持っており、クリーチャー、呪文、エンチャント・アーティファクト、土地、手札すべてに干渉できる!恐ろしい!

さらに4Cレオヴォルドのクリーチャーには除去耐性があり、単純に《死儀礼》を除去すれば良いわけではないが、除去を入れないわけにもいかず、かといってクリーチャー以外の攻め手も多彩。

《死儀礼》ビートダウンプランでもコントロールプランでも強いため、グリクシスデルバーもサイド後コントロールの動きが可能で、デッキを変化させられることがこの2つをトップたらしめている理由だった。

旧環境のトップだったデッキだが、《死儀礼》禁止と共にデッキごと消失。今後はデルバー系デッキはUR、ティムール、スゥルタイ、ジェスカイの4種類に、4Cレオヴォルドはグリクシスコントロール、もしくはスゥルタイコントロールに移行していき、どちらも色が減ると予想。

禁止改定後の世界(1): リアニメイト・発掘

グリセルブランド再活性納墓
ゴルガリの墓トロールイチョリッドナルコメーバ

天敵だった《死儀礼》が禁止! 我が世の春が来た!

もともとレガシー屈指の速度を持っていながらトップメタにならなかった理由は、《死儀礼》という汎用的な墓地対策がメインから4枚積まれていたからだ。「リアニメイト」「発掘」はともに復権が予想されるだろう。

つまり今後は、どんなデッキを使うにせよ墓地対策が欠かせない。特に色を選ばない《外科的摘出》《墓掘りの檻》《大祖始の遺産》あたりから選ぶことも増える。後述するRUGデルバーの《敏捷なマングース》《タルモゴイフ》を考えると《大祖始の遺産》が良いが、合計2マナは少し重く間に合わないことがある。

外科的摘出墓掘りの檻大祖始の遺産

《外科的摘出》は対リアニメイトには最適だが、対発掘を考えると《外科的摘出》1回程度では止まらないため、《墓掘りの檻》も候補になる。赤黒リアニメイトの最速パターンを考えると、妨害手段の少ないデッキでは《別館の大長》の影響を受けない《虚空の力線》《フェアリーの忌み者》が優先されるだろう。

メインの勝率が高く、サイド後に勝率が落ちるのが墓地デッキなので、使うのなら墓地対策をどう乗り越えるかがを考える必要がある。リアニメイトは《要塞の計略》《騙し討ち》《実物提示教育》といった墓地を経由しない出し方を使用したり、《月の大魔術師》のような別の勝ち手段を用意するべし。

要塞の計略騙し討ち実物提示教育

発掘は《外科的摘出》1回程度なら乗り越えられるので、対策を《自然の要求》《摩耗+損耗》で割るのが一番良いだろう。

禁止改定後の世界(2): RUGデルバー

タルモゴイフ敏捷なマングースもみ消し

かつて栄華を誇ったこのデッキが衰退した理由はまさに《死儀礼》《死儀礼》の返しのアクションとしては《敏捷なマングース》《もみ消し》構えも両方が悪手になってしまうからだ。

しかし今や死儀礼も禁止。もともとアンチコンボデッキとして優秀だったRUGデルバーが再び返り咲く、かも知れない。相手とのやりとりが非常に楽しいデッキだし、私も間違いなく回すだろう。久々に《もみ消し》ケアでメインでフェッチランド起動というのもありそうだ。

また、《ギタクシア派の調査》禁止に付随して《若き紅蓮術士》も弱体化しているので、代わりの2マナ域として以前よりも《タルモゴイフ》が増えるかも知れない。相手の《タルモゴイフ》とエルドラージを考えて、今回は除去枠を《四肢切断》にしている。

禁止改定後の世界(3): ANT

《ギタクシア派の調査》のメリットを一番受けていたデッキだ。コンボデッキに取ってコスト0で相手の手札確認は安すぎたし、相手の手札に同一カードが2枚あった場合は《陰謀団式療法》でイージーウィンも良くあった。

グリクシスデルバーのコンボ耐性が高かったのも《ギタクシア派の調査》《陰謀団式療法》のコンボがあったからだ。今後は完全情報なしでの《陰謀団式療法》……とは行かないので、《思考囲い》に移行していくのかなと思う。

墓地コンボデッキやプリズン系デッキを考えると速度を上げる必要があるので、《金属モックス》《汚物の雨》は必要なのではないかと考えている。

金属モックス汚物の雨

サイドが《トーモッドの墓所》なのは理由がある。ANT自体も墓地を使うコンボデッキなので相手の墓地だけに影響する墓地対策カードを使用したいし、手札破壊されてしまう前に先置きしておきたい。また、《冥府の教示者》の「暴勇」条件を満たしやすくなる。

『基本セット2019』収録の《安全の護符》が非常に厄介で、《苦悶の触手》《巣穴からの総出》という両方の勝ち手段を封じられてしまう。しかし、《安全の護符》自体は対策範囲が狭く、ANT以外のコンボデッキに効きにくいため、多くは採用はされないだろうと予想する。

安全の護符

禁止改定後の世界(4): その他注目のデッキ

赤単プリズン

血染めの月虚空の杯三なる宝球

という予想をしているが、墓地コンボの最速の回りに対しては《虚空の杯》《三なる宝球》以外では間に合わないデメリットもある。

もともとデルバー系に対して非常に強いデッキであり、このデッキは見た目よりもずっと安定している。レガシーは「基本地形だらけの環境」とはなりにくいフォーマットなので、依然として主力デッキではないかと考えている。

奇跡

終末予報精神を刻む者、ジェイス

前環境で私がこのデッキを使わなかったのは「熟練したグリクシスデルバー・4Cレオヴォルドに奇跡は不利」と考えていたからだ(異論反論はウェルカム)。その2つのデッキが消えて、かつ禁止改定で何も被害がなく、もともと《不毛の大地》《血染めの月》に耐性がある奇跡は、メイン《狼狽の嵐》でコンボ耐性さえ確保できれば再び返り咲くことができるのではないだろうか。

最近は《ドミナリアの英雄、テフェリー》がお気に入りで、このデッキが苦手としていた着地してしまったプレインズウォーカーにも対処できるのは心強い。

ドミナリアの英雄、テフェリー予期せぬ不在議会の採決

もともとメインに1,2枚は《予期せぬ不在》《議会の採決》といったパーマネント対策が入っていたが、(白)(白)のコストがネックだった。パーマネントに触りつつフィニッシャーになれるのは、このデッキが求めていたものだ。

スニークショー

騙し討ち実物提示教育引き裂かれし永劫、エムラクール

何も失わず、苦手だったグリクシスデルバーが消失。ただしリアニメイトに非常に相性が悪いため、環境初期は向かい風。

相手の方が速度があり、《グリセルブランド》をディスカード→《再活性》もあるし、自身の《実物提示教育》が敗因にもなりえる。

デス&タックス

スレイベンの守護者、サリア石鍛冶の神秘家封じ込める僧侶

4Cレオヴォルドの消失によりこれまで天敵だった《コラガンの命令》が減り、《石鍛冶の神秘家》が強くなる。

また、《カラカス》によってリアニメイトへの耐性もあり、サイド後は《封じ込める僧侶》が使える。

土地単

暗黒の深部壌土からの生命罰する火

コンボの復権によりメインが負けやすく、少し向かい風。

ボジューカの沼

メインに《ボジューカの沼》1枚は入れた方が良さそう。

ゴブリン

ゴブリンの従僕ゴブリンの首謀者包囲攻撃の司令官

《死儀礼》のサイズは1/2。このタフネス2のおかげで《ゴブリンの従僕》の攻撃が通らず、辛酸を舐めていたのがゴブリン。

今後出てくる1マナ域のクリーチャーは《秘密を掘り下げる者》《ルーンの母》《貴族の教主》《ドライアドの東屋》で、どれもタフネス1なので《宝石の手の焼却者》で除去しながら攻撃できる。

死儀礼のシャーマン

タフネス1と2でこれほど差があるのかと思うほど、ゴブリンにとって《死儀礼》のサイズは苦手だった。

ゴブリンの鎖回しゴブリンの損壊名手

最近は優秀なゴブリンが増えている。《ゴブリンの鎖回し》はレガシーでも通用するスペックだし、『基本セット2019』の《ゴブリンの損壊名手》はメインからアーティファクト対策しつつロード能力で無駄にならない。

もともと《ゴブリンの女看守》《ゴブリンの首謀者》のアドバンテージでフェアデッキに強いのがゴブリンの長所なので、コンボ耐性さえ克服できれば復権できるかも知れない。

今週のオススメ

汎用性の高い墓地対策、特に《墓掘りの檻》《外科的摘出》がおススメ。この2つは実質無色でデッキを選ばない。

墓掘りの檻外科的摘出

赤黒リアニメイト、青黒リアニメイトが強くなったタイミングなので、《納墓》《再活性》を揃えていないなら今すぐクリック!

デュアルランドに関して

《Bayou》は少し値段が落ちて、《Volcanic Island》は使うデッキが増えて値段アップ。

BayouVolcanic Island

《Tundra》は人気が出るが、青白デッキは基本地形の枚数が多いため《Tundra》自体は2枚程度。なので必要枚数分確保すればOK。《Underground Sea》は少し値段が落ちたタイミングなので、買うなら今がチャンス。

TundraUnderground Sea

ではまた

高橋優太

この記事内で掲載されたカード

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