Translated by Takuma Kusuzawa
(掲載日 2018/06/30)
スタンダードをやりたいんだけど、《ゴブリンの鎖回し》のミラーマッチが果てしなく続くのは嫌だし、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の能力を45分間自身に使い続けるんじゃなくて、きっちり勝ちきるデッキがいいなぁ、なんてそこの君!ちょうどいいデッキがあるよ!
ちょっと前にこのデッキを作ったんだけど、ずっと回してて調整も続けてたんだ。プロツアー『ドミナリア』前のMOCSで6-0まで行ったところで、目立ちすぎないようにわざと2回負けたりもしたんだ。メタゲーム的にもっと良いデッキを見つけられたから、残念ながらプロツアーでは使わずじまいだったんだけどね。メタゲームの動きにもよるけれど、今後はかなりいい選択肢になると思うよ。
話しているのは、もちろん青単ストームについてだ。
4 《逆説的な結果》
3 《バラルの巧技》
2 《解析調査》
2 《暗記+記憶》
3 《モックス・アンバー》
4 《改革派の地図》
4 《予言のプリズム》
2 《金属紡績工の組細工》
4 《鼓舞する彫像》
3 《霊気貯蔵器》
-呪文 (34)-
3 《ウルザの後継、カーン》
2 《遵法長、バラル》
2 《魔術遠眼鏡》
1 《発明の領事、パディーム》
1 《金属の叱責》
1 《川の叱責》
1 《暗記+記憶》
-サイドボード (15)-
このデッキがどう動くか
これは純粋なコンボデッキだ。ゲームプランは《霊気貯蔵器》が動くギリギリまで生き残って、50点を撃ち込むだけだよ。
《霊気貯蔵器》が場にあるなら、n枚の呪文で”n(n+1)/2″点のライフを得られる。つまり、10回唱えられたなら55点のライフを得て、致死量になる。元々のライフ次第では、何枚か少なくても大丈夫かもしれない。
それだけの呪文を唱えるためには、《逆説的な結果》か《バラルの巧技》で軽いアーティファクトを戻して、ドローしつつ唱えなおす訳だ。
もし《鼓舞する彫像》が場にあれば、アーティファクトをタップして、例えば《逆説的な結果》を唱えればそれだけで足りるだろうね。このデッキの理想の序盤はこんな感じだ:
1ターン:
2ターン:
3ターン:
4ターン:
《モックス・アンバー》、《羽ばたき飛行機械》、《島》2枚と《モックス・アンバー》、《羽ばたき飛行機械》、《予言のプリズム》をタップして《バラルの巧技》を《モックス・アンバー》、《羽ばたき飛行機械》、《予言のプリズム》対象に唱える。《霊気貯蔵器》をタダで唱える。《霊気貯蔵器》は4枚目の呪文だ。
改めて《モックス》(+5点)、《羽ばたき飛行機械》(+6点)を唱え、《モックス》・《羽ばたき飛行機械》・《島》と《改革派の地図》をタップして《逆説的な結果》(+7点)を唱えて、《モックス・アンバー》、《羽ばたき飛行機械》、《改革派の地図》を対象に選ぶ。
3枚引いて、《モックス》(+8点)・《羽ばたき飛行機械》(+9点)を出して、土地を置いて《改革派の地図》(+10点)を唱え直すと合計45点のライフを得る。《霊気貯蔵器》から50点を放っておしまいだ。
《苦悶の触手》のような本来のストーム呪文とは違って、コンボを決めきるか、さもなきゃ水の泡かというわけではないんだ。ライフはもう得てるから、a)次のターンでもう少し呪文を唱えればよいだけだし、b)ライフを攻めてくる対戦相手には時間を稼げているわけだね。
このデッキがなぜ良いのか?
スタンダードはクリーチャーを中心に据えたフォーマットだ。だから、ほとんどのデッキは過剰とも言える量の除去が入っていて、そのほとんどが君相手には役に立たない。《光り物集めの鶴》や《羽ばたき飛行機械》を倒してみるのには使えるが、ほとんどの場合でテンポロスで、大体カードアドバンテージを失うことにもなるだろう。
それに今のデッキは結構遅いんだ。《ゴブリンの鎖回し》は環境からタフネス1のクリーチャーを追い出してしまった。最速のクロックを刻めるカードをね。《模範的な造り手》みたいなカードが活躍できない今の環境ではデッキが少し重く、遅くなっているわけだ。君のすることに干渉できない以上は、唯一問題になるのはやつらのトップスピードだけだ。
もちろん、どのデッキにも限られてはいるものの妨害手段が入っているはずだ。具体的には《削剥》、《排斥》、《打ち壊すブロントドン》だね。こいつらはテンポを大きく奪ってくるけど、僕らのデッキは大量に掘って引くので、欠けたピースを補充するのは得意だし、こちらもそこそこ妨害を使えるからね。
それは別としても、青単ストームはダメージレースでもすごく強いんだ。《バラルの巧技》や《逆説的な結果》で掘っている間に《霊気貯蔵器》が10点とか15点があっという間にライフを増やすから、すばっしこいヤツに限らず、相手としては真っ向勝負が難しくなるんだけど、他にも時間をかせぐ手段がたくさんあるんだ。
《金属の叱責》は、このデッキだと実質1マナの《マナ漏出》で対戦相手を抑えこみながら盤面を整えることが出来るようになる。
《羽ばたき飛行機械》と《光り物集めの鶴》は時間を稼ぐ軽いブロッカーで、《逆説的な結果》でダメージを受ける前に戻せれば相手としては骨の折れる相手になるね。
《バラルの巧技》と《暗記》も自分のゲームプランを進める時間稼ぎにはかなりいいよね。《記憶》はこのデッキだと特によくて、土地2枚で唱えられるし、すぐに新しいカードを使い始められるんだ。
相性というところでは赤に優位ではあるけど少しだけかな。グランプリ・コペンハーゲン2018で《鎖回し》デッキ相手に6-3したから初日落ち相当なんだけど、これ以上の成績を残すは多分難しい。黒緑《巻きつき蛇》も同じくギリギリかな。
サイドボード前は結構いいんだけど、サイド後は《強迫》、《大災厄》と《打ち壊すブロントドン》に合わせて速いクロックも入れてくるし、毎ターン10-15点回復してやっと競えてるってこともあるくらいだよ。それ以外の相手は不戦勝みたいなもんだ。
コントロールデッキ相手について、たくさんの質問をうけた。この対戦はとんでもなく悪いとか、勝てないとまで思われてるみたいだね。実際には逆で、負けることはないに等しいと思ってる。
理由はいくつかある。まず、1ゲーム目は7枚しか決定的なカードがなく、クロックに至っては0だ。よく見るデッキだと、サイドボード前後どちらともカウンターの枚数は足りているものの、ストームは《鼓舞する彫像》によるマナアドバンテージと高密度のドローカードによるカードアドバンテージの両方で優位だ。
唯一勝負に持ち込めて勝ちうるとすれば《テフェリー》の着地だが、《魔術遠眼鏡》でそれも封じられる。もし大会で毎ラウンドコントロールと対戦できるのなら、優勝するのに賭けてもいいよ。
プレイする上でのアドバイス
このデッキは何かと複雑で、記事で説明するのは大変だから、より細かく解説するためにTwitchでストリーミングを始める予定だ。
それはさておいて、よく聞かれる質問や、アドバイスをここでいくつか:
「即席」のために《羽ばたき飛行機械》が必要なら、除去されないように最後にプレイしよう。
《改革派の地図》を起動するのは土地が必要になるまで待とう。アーティファクトは場にあるだけで意味があるからね。
占術ランド(《ザルファーの虚空》)のプレイには気をつけよう。特定のアーティファクトが今欲しい場合じゃなければ《光り物集めの鶴》を唱える前に置いたらダメだし、《鼓舞する彫像》が場にあるときは特にそうだけど、青マナの数も常に気にしておこう。
《削剥》みたいなアーティファクト除去には、《鼓舞する彫像》を遅らせて対応しよう。《島》を1枚立たせて唱えられたなら、《金属の叱責》、《逆説的な結果》か《暗記》で《削剥》を打ち消せるからね。
《逆説的な結果》を持っているなら、カードの枚数は出せるマナの数ほど重要じゃなくなるので、《鼓舞する彫像》や《霊気貯蔵器》は本当に必要でない限りは対象に取らないようにしよう。
《霊気貯蔵器》が誘発したときに対応して動くことで追加のライフを得ることができる。最後の何点かを得るために、自分の呪文を《金属の叱責》で打ち消すことでよく起きる。
手札を削ってくるデッキ相手で、特にサイドボード後には、《暗記》を早く使うことで《大災厄》から守れる。この対戦なら《記憶》を唱えれば、基本的に勝てるからね。
すぐにブロッカーが欲しいわけじゃないなら、キャントリップできるアーティファクトは《鶴》より先に唱えよう。《鶴》で何が必要かどうかの情報が増えるし、《鼓舞する彫像》でマナが出るようになる。
そう、《モックス》は場に伝説がいてはじめてマナが出るんだけど、僕らには《鼓舞する彫像》っていう環境で一番の相方がいるからね。
1ターンにまとめて唱えた方が得られるライフは多いから、0マナアーティファクトはコンボを決めるターンまで持っておいた方がいい。ただ「即席」で必要になるなら出してしまうこともある、《逆説的な結果》があれば呪文は足りることが多いからね。
あまりサイドボードのカードをたくさん入れちゃダメだ。無限系のコンボだと、コンボのパーツが十分に残っていることが重要になる。
《豊潤の声、シャライ》、《試練に臨むギデオン》や《魔術遠眼鏡》みたいな勝ちを妨げるカードについてはそこまで気にしないでいい。前2つは《霊気貯蔵器》で撃ち落とせばいいだけだし、最後のは条件が満たされたら《バラルの巧技》か《暗記》すればいい。ただたくさんライフを得ていれば、解答を見つける時間も得られる。
脅威を増やしたいなら《ウルザの後継、カーン》はとんでもないプランBで、大体の場合はよそ見せずに「-2」を2回起動しよう。《鼓舞する彫像》があるなら「即席」分だけで唱えられるし、《逆説的な結果》で《カーン》を戻して出し直せば、1ターンに複数回起動できることも忘れないようにしよう。
結論
スタンダードに関して、最近はたくさんの文句を耳にした。僕の答えはいつも一緒で、それは間違ったデッキを使っているだけだ。このデッキは圧倒的に楽しいし、戦えるデッキで、国別選手権も含めて可能な限り使っていこうと思ってる。新セットでより良くなるしね!
《練達飛行機械職人、サイ》はまさしくデッキが求めているものだ。同じ効果を持つエンチャントの《効率的構築》をサイドボードにしばらく入れていたくらいさ。タフネス4のブロッカーでありつつ、勝ち筋を増やしてくれる。大量の飛行ブロッカーが出てくるからたくさん時間稼ぎしてくれるし、《モックス》から青マナが出るようになる上に軽い除去に耐性があるし、《鼓舞する彫像》と合わせればマナが出てくるし、手札が足りなければそれを補う起動能力まで持っているんだ!
もし環境に絶望していて今のストームに興味が沸かなくても、新セットが来た後なら間違いなくなると思ってるよ。
もし質問があったり、こんな事があったよってときは連絡ください。放送にも来てくれると嬉しいな。 🙂
マルク・トビアシュ