Translated by Kenji Tsumura
(掲載日 2017/08/16)
みなさん、こんにちは!
昨シーズン後にいくばかの休暇を経て新シーズンが始まったわけだが、予想よりも良い成績でスタートすることができた。この記事の最後の仕上げは、親友たちと参加した3日間のグランプリ・バーミンガム2017 (モダン) の帰りのバス内で書いている。今日はそのモダンについて話したいと思う。
Twitterで俺のことをフォローしてくれているプレイヤーならば、俺がタイタンシフトを選択して12勝3敗の成績を収め、31位で大会を終えたことを知っているかもしれない。シーズン最初のグランプリで3点のプロポイントを獲得できたわけだな。さあ発進だ!
世間話はこの辺にして、早速デッキを見てもらおう。
6 《山》 2 《森》 4 《踏み鳴らされる地》 3 《燃えがらの林間地》 1 《隠れた茂み》 4 《樹木茂る山麓》 1 《沸騰する小湖》 1 《吹きさらしの荒野》 1 《血染めのぬかるみ》 4 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》 -土地 (27)- 4 《桜族の長老》 2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》 4 《原始のタイタン》 -クリーチャー (10)- |
2 《召喚士の契約》 2 《稲妻》 3 《探検》 3 《遥か見》 2 《焙り焼き》 4 《明日への探索》 2 《焼けつく双陽》 4 《風景の変容》 1 《虹色の前兆》 -呪文 (23)- |
4 《強情なベイロス》 3 《自然の要求》 2 《墓掘りの檻》 2 《魔女封じの宝珠》 1 《再利用の賢者》 1 《スラーグ牙》 1 《恨み唸り》 1 《神々の憤怒》 -サイドボード (15)- |
タイタンシフトは一風変わった不朽の名作だ。このデッキの戦略は直線的だが、それはとても強力でこのデッキを手に取ってすぐにたくさんの勝利を重ねることができた。
このデッキの面白いところは、構築次第で多様なメタゲームにも特殊なメタゲームにも適応できる点だ。赤と緑という限られたカードしかないものの、サイドボードの選択肢は汎用的で適切かつ強力なんだ。これこそがタイタンシフトを直近のメタゲームで有力なデッキたらしめている由縁だ。
他の多くのデッキと同様に、このデッキにも中核を成すカードが存在するわけだが、このデッキではマナ加速とフィニッシャーがそれにあたる。マナ加速には《明日への探索》・《遥か見》・《桜族の長老》を活用する。《探検》や《虹色の前兆》が少しばかりトリッキーなのに対し、これら3種はほとんど同様の効果を持っている。
《探検》は必ずしも必要なマナ加速呪文ではないが、赤緑にはドローを進めたり操作したりするカードがそれほど多く存在するわけではない。《探検》は、2~3ターン目にマナ加速をしながらライブラリーを掘り進めるのに最適なんだ。《探検》の代わりに純粋なマナ加速呪文をこれ以上入れてしまうと、マナ加速の面では安定するがトップデッキモードに突入した際に不安を抱えてしまうことになる。
もうひとつの一風変わったマナ加速呪文が《虹色の前兆》だ。《探検》はマナ加速+ドローを提供してくれる可能性があるが、《虹色の前兆》はマナ加速+速度を与えてくれる可能性がある。
いくつかのマッチアップは、どちらのプレイヤーが速いか、またはどちらのプレイヤーが先に自身のゲームプランを実行できるかというゲーム展開になる。そして、そういったマッチアップでは6枚の土地で《風景の変容》が致死量のダメージになることは重要だ。
《虹色の前兆》があれば《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》は自身をセットランドしたときにも誘発する。また、フェッチランドはダメージを受けることなくマナを生み出せるようになるし、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を引くまでフェッチランドを温存しておくことだってできるようになる。
これらの事柄は頻繁に起こるわけではないが、こうした普遍的なデッキをプレイする際には、ちょっとした工夫をかき集めて何とかして差を付けることが重要なのであり、小さな相互作用を全て理解しておかなければその差を生み出すことはできないんだ。
このデッキのフィニッシャーは《原始のタイタン》と《風景の変容》だが、《原始のタイタン》を導くことのできる《召喚士の契約》も言及に値するだろう。これら10枚のカード全てが《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を導く術であり、それによって対戦相手を葬り去ることができる。
すでに気付いているだろうが、このデッキには2枚の《ピア・ナラーとキラン・ナラー》が含まれている。
俺はこのカードを “フィニッシャー” カテゴリーには分類しない。なぜならばこのカードは単に攻撃的なクリーチャーデッキに対するブロッカーで、死期を先延ばしするだけの存在に過ぎないからだ。いくつかのマッチアップ、とりわけ「青白コントロール」戦ではフィニッシャーとして輝くだろうが、ほとんどのゲームでは4マナで到達を持つブロッカーだ。
このデッキにおける《ピア・ナラーとキラン・ナラー》は、《稲妻》や《焙り焼き》といったカードと同じ役割だと考えている。
これらのカードを併用しているのは、直近のメタゲームによるものだ。《稲妻》はマッチアップ次第で “非常に優秀なカード” から “ほぼプレイに値しないカード” にまで評価が分かれるが、これは《焙り焼き》にも同じことが言える。
少しばかり例を挙げるならば、《焙り焼き》は《難題の予見者》や《死の影》に対してとても効果的で、一方の《稲妻》は親和や青赤ストームに強い。
1700人ものプレイヤーが集う大会においては、特定のマッチアップに強くしようとするよりも手広く構えた方がいいと悟りこの2種類を併用することにしたんだ。
《焼けつく双陽》は《神々の憤怒》よりも優れていると考えている。Tier1のデッキが20個以上も存在する環境では、ノンクリーチャーのデッキに対する備えがあることは重要だし、「サイクリング」能力は本来なら役に立たないカードを勝利に変えたり、3マナでドローできるのは勝敗やマリガン判断を分かつ。
このリストは消耗戦に強いバージョンだが、これはMagic Onlineでおよそ13回のリーグに参加したり、友人のAndreasと協議した結果できあがったものだ。《約束の刻》と《裂け目の突破》のどちらともを試した結果、両者には長所と短所があることがわかった。
《約束の刻》はより多くの爆発的な展開を助長してくれるだけでなく、いち早く《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を戦場に出すことができるとても強力なカードだ。このようなカードをプレイすればミッドレンジ系統のデッキには強くなるし、構築次第ではあるがアグロデッキに対しては速度で上回るようにプレイすることになるだろう。
このカードは追加の勝ち手段として申し分ないものの、キャストした時点で勝利できないことに加え、《ルーンの光輪》や《神聖の力線》といったヘイトカードに対して何もしないという欠点があることが判明した。《約束の刻》はもとから有利なマッチアップをさらに強固なものにするが、参加者の多い大会では大きな利点とは言えない。
一方の “《裂け目の突破》型” は完全に別物だ。この構築は安定性よりも速度を重視していて、《猿人の指導霊》から《虚空の杯》や速攻の《原始のタイタン》を素早く繰り出すんだ。これはアグロデッキに対して良い戦略になりえるだろうが、手札破壊呪文に極端に弱くなるし、他の構築と比べてドローに依存してしまうことが多い。
サイドボードガイド
我々のサイドボードは、バーンや《ヴェールのリリアナ》デッキに強いクリーチャーを用いた変形サイドボードを試みている。《血染めの月》や各種白のエンチャント、それに親和に効くカードをいくばかと、追加の除去も数枚用意している。《魔女封じの宝珠》は青赤ストームや《むかつき》デッキに対するお守りみたいなもんで、ミラーマッチでも良い働きをしてくれる。残りのカードは墓地対策と《召喚の調べ》対策だ。
サイドボードを作る作業はいつだって面白いものだが、枚数合わせのパズルを解くことはモダン環境においてとても大変だ。
モダンには練習しておくべきデッキがあまりにも多いため、様々なマッチアップで役立つ汎用性の高いサイドボードカードを探して用意しておこう。
我々のサイドボードは青赤ストームや《むかつき》デッキに対して無力なため、《墓掘りの檻》や《魔女封じの宝珠》でのラッキーパンチを狙っている。
しかしながら、他のTier1、Tier1.5のデッキに対しては良いプランを持っている。
これが俺が行っているサイドボーディングだ。
対 親和
対 グリクシスシャドウ
対 タイタンシフト
対 エルドラージトロン
対 バーン
対 青赤ストーム
対 青白/ジェスカイコントロール
対 トロン
対 マーフォーク
対 カウンターカンパニー
対 デス&タックス
対 エルドラージタックス
対 発掘
対 ランタンコントロール
対 白黒《小悪疫》
対 アブザン (黒緑系)
次なるイベントはシールドで行われるグランプリ・メス2017と、世界各国で開催される国別選手権だ。参加するみんなの幸運を祈っている。
もしなにか質問があればいつでもTwitterで聞いてくれよな。
また次回!
マイケル・ボンデ
(編注:マイケル・ボンデ選手は昨シーズンをもってHareruya Prosを卒業する運びとなりました。今後ともボンデ選手、Hareruya Prosへの変わらぬご声援を何卒よろしくお願いいたします。)
【お知らせ】マイケル・ボンデ選手は昨シーズンを最後に、Hareruya Prosとしての活動を終了することになりました。確かな実力と、彼の明るく温かい人柄のファンだった方も多いのではないでしょうか。今後もボンデ選手の活躍に応援よろしくお願いします! #HareruyaPros https://t.co/Ewxmuij1Ln
— 晴れる屋 (@hareruya_mtg) 2017年8月23日
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