Translated by Yoshihiko Ikawa
(掲載日 2017/12/19)
ここ2年間で初のモダンプロツアーとなる、プロツアー『イクサランの相克』がありますので、私はモダンを一からもう一度学ばなければなりませんでした。
私はつい最近、チーム共同構築モダンで開催されたグランプリ・マドリード2017にアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciとエドゥアルド・サイガリク/Eduardo Sajgalikの2人と共に参加しました。彼らはそれぞれグリクシスシャドウとバーンの大ファンなので、彼らとカードを取り合わないデッキを探す必要がありました。最終的に親和を選んだことでその問題は解決しましたし、親和は使っていて非常に楽しいデッキでした。
今回は「なぜ親和を選んだのか」「私のような久しぶりにモダンをプレイするプレイヤーにとって、なぜ親和が良いデッキなのか」「グランプリでの経験」、そして「マドリード/オクラホマシティを終えた今、親和がどのようなポジションにいると感じているか」といったことについて話していきたいと思います。
なぜ親和を選んだのか
先に述べました通り、私が親和を選んだ理由の一つは「チームメイトとカードが被らないから」です。そしてもう一つの理由は「モダンにおいて、もっとも強力かつ一直線な戦略を持ったデッキの一つであるから」です。
素晴らしいシナジーを擁した、軽いクリーチャーと呪文が親和には備わっています。そのためドラフトデッキをプレイしているときのように、グランプリに向けて楽しくプレイしつつ練習することができました。今回テストして最終的にグランプリ・マドリード2017でも使ったデッキリストは、アンドレス・プロスト/Andrejs Prostがシェアしてくれたものです。
3 《産業の塔》
1 《空僻地》
4 《ちらつき蛾の生息地》
4 《墨蛾の生息地》
4 《ダークスティールの城塞》
-土地 (17)- 4 《羽ばたき飛行機械》
2 《メムナイト》
4 《信号の邪魔者》
4 《大霊堂のスカージ》
4 《鋼の監視者》
4 《電結の荒廃者》
2 《エーテリウムの達人》
1 《刻まれた勇者》
-クリーチャー (25)-
メインボードの《刻まれた勇者》と3枚目・4枚目の《感電破》に疑問を感じた以外は、このリストにとても満足しています。
《刻まれた勇者》はトロンやヴァラクート、ランタンコントロールやミラーマッチのように、このクリーチャーを対処できる/対処する必要がないデッキに対しては最低のカードです。これらのデッキが流行ってきていますので、《エーテリウムの達人》のようなカードに差し替えるべきだと思っています。
しかしながら、アブザンやドレッジ、《死の影》デッキのようなデッキに対しては非常に重要なので、サイドボードカードとしては明確に素晴らしいカードです。
なぜ3枚目・4枚目の《感電破》について述べたかというと、このカード自体は良いカードだと思っていますが、このカードを引きすぎることは時に悪くなりうるからです。ゲームプランには基本的に寄与しない色付きのカードである《感電破》が複数枚初手に来たせいでマリガンしていることにも気付きました。ただ、相手が盤石な盤面でもライフが4以下しかないことはよくあるので、こういった止めを刺せるカードが入っていることは素晴らしくはあります。
この3枚目・4枚目の《感電破》を何に差し替えるべきなのか、まだ試している途中です。多分《思考囲い》のようなカードをメインボードに入れるのが、今流行っているデッキに対して有効なのではないかと考えています。
一般的なリストでは1枚か0枚に抑えられている《溶接の壺》を2枚採用しているという事実についても言及していきましょう。このカードは私が期待していたよりも遥かに優れていたカードであり、1枚は初手に欲しいけれども2枚以上はプレイしたくない類のカードでもあります。
しかし、このカードは1ターン目に《オパールのモックス》の「金属術」達成を可能にするなど、いくつかの”壊れた”ドローを導いてくれます。また、即座に除去が飛んでくる《鋼の監視者》のようなカードを守れるのも非常に大きいです。さしあたっては、2枚こそが求める最適な枚数であると確信しています。
サイドボードについては、3枚目の《呪文貫き》以外はすべて気に入っています。ですが《思考囲い》や《儀礼的拒否》のような他のカードはチーム構築なので使えなかったのです。最近結果を出しているもう一つのデッキであるドレッジが比較的厳しいマッチアップであることが分かったので、墓地対策が必要だとも思っています。なので、3枚目の《呪文貫き》よりも《安らかなる眠り》の方が良さそうですね。
これらの変更点を念頭に置いた上で、私はパトリック・ディックマン/Patrick Dickmanがグランプリ・マドリード2017で11-2-1という素晴らしい成績を残したこのデッキリストを強くお勧めします。
3 《産業の塔》
1 《空僻地》
4 《ちらつき蛾の生息地》
4 《墨蛾の生息地》
4 《ダークスティールの城塞》
-土地 (17)- 4 《羽ばたき飛行機械》
2 《メムナイト》
4 《信号の邪魔者》
4 《大霊堂のスカージ》
4 《鋼の監視者》
4 《電結の荒廃者》
3 《エーテリウムの達人》
-クリーチャー (25)-
彼のリストは私が使用したのとほぼ同一ですが、私が述べた問題点が解決されています。ストームに対して《法の定め》を入れるスペースを作る方が私は好きですが、その点以外は、彼のリストは非常に素晴らしいですね。
さて、今はこんなリストの親和を試しているところです。
3 《産業の塔》
1 《空僻地》
4 《ちらつき蛾の生息地》
4 《墨蛾の生息地》
4 《ダークスティールの城塞》
-土地 (17)- 4 《羽ばたき飛行機械》
2 《メムナイト》
4 《信号の邪魔者》
4 《大霊堂のスカージ》
4 《鋼の監視者》
4 《電結の荒廃者》
3 《エーテリウムの達人》
-クリーチャー (25)-
黒緑/緑単トロン、エルドラージトロン、タイタンシフト、バーンには相性が良いので、親和は今のタイミングではポジションの良いデッキのうちの1つだと感じています。
ドレッジやアブザン、カウンター・カンパニー、ストーム、ジェスカイ・コントロール、グリクシスシャドウそしてランタン・コントロールのような他のデッキは相性が良くはありませんが、どれもほぼ五分~少し不利な程度です。
サイドボーディングガイド
モダンというフォーマットはとても広いので、それぞれのマッチアップに対するサイドボードガイドを構築するのは難しいです。そこで、人気のデッキに対してのイン/アウトと一般的なサイドボードのコツをお教えします。
一般的なサイドボーディングのコツ
《信号の邪魔者》は複数の1/1飛行クリーチャーを展開してくる相手に対しては脆弱です。なので《未練ある魂》があるデッキやミラーマッチに対しては積極的にサイドアウトしましょう。
《鋼の監視者》は《石のような静寂》を採用していたり、大量の除去を擁しているデッキに対しては良いカードとは言えません。こういったデッキに対しては3-4枚サイドアウトすると良いでしょう。
《溶接の壺》は除去が少なかったり、ほとんど採用していないデッキに対しては不要です。
もしサイドボーディングに迷ったら、《メムナイト》を1枚減らしましょう。
色付きのカードを引きすぎるとすべてのカードをプレイするのが難しくなるので、色付きカードが何枚入っているかには気を配りたいところです。
色付きのカードをサイドインする場合は、《感電破》《思考囲い》《エーテリウムの達人》といった色付きのカードを7-8枚以上はデッキに入れないようにしましょう。
《摩耗+損耗》はランタン・コントロールやミラーマッチ、そして《石のような静寂》への解答です。
ミラーマッチ
対ミラーマッチ
黒緑トロン
対黒緑トロン
エルドラージトロン
対エルドラージトロン
ドレッジ
対ドレッジ
タイタンシフト
対タイタンシフト
グリクシスシャドウ
対グリクシスシャドウ
バーン
対バーン
ランタン・コントロール
対ランタン・コントロール
ジェスカイ・コントロール
対ジェスカイ・コントロール
ストーム
対ストーム
まとめ
この記事が、私のように楽しみながら親和をプレイする助けになると嬉しいです。私は親和や他のデッキを試していき、プロツアーに向けてモダンへの理解を深めていきます。
読んでくれてありがとう!
クリスティアン・カルカノ
この記事内で掲載されたカード
グランプリトップ8入賞は7回を数え、【グランプリ・ミネアポリス2012】と【グランプリ・アトランティックシティ2015】では優勝。
プロツアーでのトップ16も3回経験しており、【プロツアー『アモンケット』】で念願のトップ8入賞を果たした。
世界が注目する、トッププレイヤーの1人。親日家としても知られており、日本のアニメが大好き。