Translated by Yoshihiko Ikawa
(掲載日 2017/12/21)
最近、人々は《ルーンの光輪》がいかにモダンで優れているかに気付き、青白コントロールに複数枚採用するようになってきています。 私自身、このカードを本当に長い間プレイしています。プロツアー『ゲートウォッチの誓い』では、ジェスカイテンポで《ルーンの光輪》を採用して出場しました。
このカードは呪禁、破壊不能、プロテクションといった迷惑な脅威に対する解答となります。また1種類の勝ち手段しか持たないコンボデッキに対しても非常に強力です。一方、フェアデッキに対しては、通常の除去と同じような使い方になります。
《ルーンの光輪》は、どんな相手にも腐らず、正しい相手には非常に強力な選択肢となるカードです。相性が悪いマッチアップを良いマッチアップに逆転させることもできるのです。
しかし、《ルーンの光輪》は現在のモダンのメタゲームでどれぐらい良いカードなのでしょうか?
このカードがほとんど役に立たないマッチアップは少なく、あるマッチアップでは最終兵器として活躍しますが、大抵は1ゲーム目と同じように使うことになります。また、サイドボード後に対戦相手が《ルーンの光輪》に対してどう対抗してくるかについても話していきましょう。
親和
複数体の同じクリーチャーを《ルーンの光輪》で止められることは珍しいことではありません。また、《刻まれた勇者》《ちらつき蛾の生息地》《墨蛾の生息地》といったクリーチャーを対処する素晴らしい手段でもあります。
基本的に、親和には《ルーンの光輪》に対するサイドボードはありません。
バーン
もし対戦相手が《大歓楽の幻霊》や《燃え上がる憤怒の祭殿》をプレイしているようならば、《ルーンの光輪》は最高の1枚です。そうでなくても、《ボロスの魔除け》のような火力呪文や、「待機」している《裂け目の稲妻》を指定するのは相手にとっては本当に迷惑でしょう。
2・3ゲーム目は《破壊的な享楽》と戦うことになります。ただし、もし《ルーンの光輪》が唯一の対象であるならば、対戦相手もそこまで多くの枚数をサイドインできないでしょう。
グリクシスシャドウ
メインボードで指定したいカードは《死の影》で、《コジレックの審問》で落とされたり、《頑固な否認》を構えられる前になるべく早くプレイすべきです。既に戦場に出されていて、指定しうるカードは《瞬唱の魔道士》、《黄金牙、タシグル》、そして《グルマグのアンコウ》です。
サイドボードで《ルーンの光輪》を対処できるカードは《仕組まれた爆薬》だけですが、サイドインしてくるかどうかは定かではありません。単純に手札破壊なりカウンターで対処してくるでしょう。
ジャンドシャドウ
相手のデッキには2種類のクリーチャーしか採用していません(《通りの悪霊》のことは忘れましょう)、《死の影》と《タルモゴイフ》です。また、《ヴェールのリリアナ》の「奥義」と「-2」の両方を防ぐこともできます。グリクシスシャドウと同じように、カウンターと手札破壊を使ってくるだけでなく、《突然の衰微》もあります。
追加の《解呪》のようなカードはサイドボード後に使用してきませんが、《未練ある魂》のような追加の勝ち手段をプレイしてくるでしょう。
ストーム
メインボードでは、《ルーンの光輪》で《ぶどう弾》を指定すればおおむね勝利です。妨害できるのが《差し戻し》だけであり、それも結局ただの一時しのぎでしかありません。あとは《巣穴からの総出》に気を付ければいいだけです。もし《けちな贈り物》を指定すれば、相手はあなたを対象に取れないため《けちな贈り物》自体をプレイできないことも記しておきます。
サイドボード後は、 《白鳥の歌》、そして《残響する真実》《拭い捨て》《夢への帰着》のようなバウンス呪文と対峙することになります。
エルドラージトロン
《歩行バリスタ》、《作り変えるもの》、《難題の予見者》そして《現実を砕くもの》といった脅威に対抗してくれますが、時間稼ぎでしかありません。エルドラージトロンは《ルーンの光輪》を対処できるスペルがメインから採用されているのです。ただしそれらは《絶え間ない飢餓、ウラモグ》《解放された者、カーン》《全ては塵》といった重い呪文なので、これらのカードに対してのゲームプランをしっかり確認しておきましょう。
エルドラージトロンはサイドボードに《漸増爆弾》を搭載しています。もし《ルーンの光輪》以外にも破壊したい対象があれば、《漸増爆弾》は有用でしょう。
黒緑トロン
《ルーンの光輪》はこのマッチアップではまったく役に立ちません。最も役に立つのは《約束された終末、エムラクール》を防ぐことでしょうか。
《自然の要求》がトロンのサイドボードにありますが、そもそも《ルーンの光輪》はこのマッチアップでは不要なのでサイドアウトすべきです。
ジェスカイ/青白コントロールJeskai and UW control
メインボードでは《天界の列柱》と《瞬唱の魔道士》を止めるために主に使用します。ジェスカイコントロール相手なら、《稲妻》や《稲妻のらせん》のような火力呪文を指定することもできます。
このマッチアップでは、《ルーンの光輪》はサイドアウトすべきです。
ドレッジ
ドレッジ相手の《ルーンの光輪》は驚くべき強さです。大量の《恐血鬼》や《秘蔵の縫合体》、そして《燃焼》を止めてくれるのです。
《ルーンの光輪》に対抗すべく、《自然の要求》や《突然の衰微》をサイドインしてくるでしょう。
5色人間
大ダメージを与えてくるのは《教区の勇者》と《カマキリの乗り手》の2枚です。もちろん、彼らにはそれ以外の能力はありません。《翻弄する魔道士》や(手札を追放した状態の)《帆凧の掠め盗り》を指定することもできますが、最終的には彼らに除去を打つことになるので、アドバンテージを失ってしまうでしょう。
ランタン
指定するべき一番のカードは《写本裁断機》です。《洞察のランタン》の2番目の能力を防ぐこともできますが、その必要はないでしょう。1枚目が《突然の衰微》で割られることを想定して、2枚目の《ルーンの光輪》も《写本裁断機》を指定するように私はしています。
ランタンは《突然の衰微》や《自然の要求》、《大渦の脈動》といった《解呪》効果のカードを追加してくるでしょう。
タイタンシフト
メインボードでは、単に《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を指定するだけで圧倒的なアドバンテージになります。対戦相手は《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》なしに勝利するのは非常に困難です。
《ルーンの光輪》のために《再利用の賢者》や《自然の要求》をサイドインした上に、《強情なベイロス》《スラーグ牙》《不屈の追跡者》といった追加の勝ち手段を投入してくることが予想されます。
カウンターカンパニー
1ゲーム目では無限コンボによる瞬殺を止めるために《歩行バリスタ》を指定することもできますが、《歩行バリスタ》だけ止めたとしても、大量のクリーチャーを展開してくる上に《台所の嫌がらせ屋》のような別のコンボを仕掛けてくるでしょう。フェアなゲーム展開で最も脅威となるカードは大抵《台所の嫌がらせ屋》ですが、そういった盤面を解決してくれます。
このマッチアップでは《ルーンの光輪》はサイドアウトしましょう。
アブザン / ジャンド
事前の予防として《ルーンの光輪》をプレイする必要はなく、単に《残忍な剥ぎ取り》《漁る軟泥》《タルモゴイフ》《不屈の追跡者》そして《包囲サイ》への除去としてプレイするだけです。《ヴェールのリリアナ》に対してプレイするのも良いでしょう。アブザンには《ルーンの光輪》の効かない《未練ある魂》というアタッカーに加え、メインから《突然の衰微》《大渦の脈動》が入っています。
《ルーンの光輪》はそれほど悪くはありませんが、もしより優れたカードがサイドボードにあるならサイドアウトすべきでしょう。
感染
感染にとって《荒廃の工作員》と《墨蛾の生息地》の2枚が主な勝ち手段です。
サイドボード後は、複数枚の《自然の要求》をプレイしてきます。
呪禁オーラ
《林間隠れの斥候》か《ぬめるボーグル》(たまに《シラナの岩礁渡り》)が巨大になるのを待ってから、そのクリーチャーを指定するだけです。
《ルーンの光輪》に対する最も一般的なサイドボードは《原基の印章》です。
アドグレイス
《稲妻の嵐》がこのデッキの主な勝ち手段です。《研究室の偏執狂》での勝ち筋もありますが、こちらは《稲妻の嵐》プランに比べて少し手間がかかります。
一般的に、サイドボードには《残響する真実》1枚しかサイドボードにありません。デッキをすべて引ききってから、《稲妻の嵐》をプレイする前に《ルーンの光輪》をバウンスしようとしてくるでしょう。
まとめ:現在のメタゲームにおいて《ルーンの光輪》が効果的かどうか
◎ | ○ | △ | × |
---|---|---|---|
|
|
|
|
モダンでの《ルーンの光輪》の強さを伝えられたと思いますので、皆さんがこのカードをトーナメントで使って活躍してくれると嬉しいです。
読んでくれてありがとう。
ジェレミー・デザーニ