全国一億二千万人のマジック・ファンの皆様に、私から問題を出そう。日々、マジックのカードを見つめて一喜一憂している人ならば、即答できるはずだ。
問題!
「《テイガムの策謀》と《有事対策》の”テキストの違い”を述べよ!」
……え? 難しすぎる? ならばカード画像をお見せしよう。
お分かりいただけただろうか?
実はこの2枚、細かな語句の違いはあれども、いわゆる「同型再版」。まったく同じ能力を持っている。
そして、これらを4枚ずつ搭載したデッキを使用し、フロンティア神への道を策謀するものが一人。
柄澤 竜一の「エイトテイガムズ」、ご覧あれ!
■ 「エイトテイガムズ」
――「今回、柄澤さんがこのデッキを使用した理由をお聞かせ願えますか?」
柄澤「実は、フロンティアの大会に参加するのは初めてなんです。せっかく出場するなら面白いデッキを使いたいな、と思ってこのデッキを持ち込みました」
――「8枚の《テイガムの策謀》、というアイディアは確かに面白いですね」
柄澤「ありがとうございます。最初は、《テイガムの策謀》と《有事対策》で《本質の変転》のようなブリンクする呪文を墓地に大量に落とし、それを《奔流の機械巨人》と《ゴブリンの闇住まい》で何度も再利用して、《霊気貯蔵器》で勝利するデッキを考えていたんです。このデッキは解体してしまったのですが、《安堵の再会》も含めて『墓地を肥やすスピードは、本当に速いな』と思ったんです」
――「なるほど。《テイガムの策謀》と《有事対策》の組み合わせは、どのように思いついたのですか?」
柄澤「もともとスタンダードで《テイガムの策謀》を使っていた時期があったんです。『墓地を利用する』という動きが好きで、『スゥルタイ探査』のようなデッキを使っていました。その何ヶ月後かに、『異界月』で《有事対策》を見たときに“既視感”のようなものを覚えて、『あ! 同じだ!』と。そして『フロンティアなら8枚使える』と思ったので、採用してみました」
■ 3ターン目に、《宝船の巡航》
――「デッキの大枠は、『ドレッジ』ですよね?」
柄澤「そうですね。【フロンティアチャレンジカップ】でBIG MAGICの瀧村 和幸さんが使用していた【究極完全体ドレッジ】とほとんど同じです」
――「そして《テイガムの策謀》たちに変わった枠は……?」
柄澤「《ヴリンの神童、ジェイス》や《集団的蛮行》といったパワーカードの枠ですね。これらのカードも強いのですが、墓地を肥やすスピードならこちらが段違いですよ」
――「なるほど。実際に使用してみていかがですか?」
柄澤「かなり感触が良いですね。《集団的蛮行》がメインにない分、速いデッキに押し切られてしまうこともありましたが、1,2ターン目を凌げば、3ターン目に《宝船の巡航》を唱えて、さらに墓地からクリーチャーを戻して……といった動きも可能ですね」
――「3ターン目に!? それはすごい速度ですね。《時を越えた探索》よりも、《宝船の巡航》の方が良いのですか?」
柄澤「そうですね。青のダブルシンボルが厳しいので《時を越えた探索》よりも優先してます。3枚ドローは、やはり強力ですよ」
■ 強さは、墓地に落とすことだけじゃない
――「8枚の《テイガムの策謀》が墓地を増やすスピードは、『探査』とも相性が良いのですね」
柄澤「良いですね。ただ、強さはそれだけじゃないんです。見落としがちですが、墓地に落とさなくても良いんですよ。なので、《宝船の巡航》など、欲しいカードを探しに行けるんですよね」
――「なるほど! ライブラリーを掘り進めてサーチする呪文としても頼りになるわけですね」
柄澤「そうなんですよ。《老いたる深海鬼》を連打して勝つ場面も多いのですが、そのために《老いたる深海鬼》だけを探して、残りは墓地に。『探査』しながらアドバンテージを稼ぐ、ということもできますからね。この8枚が『探す』という役割もこなしてくれるので、見た目よりもデッキの安定感はありますよ」
――「この8枚の存在は、今日参加しているプレイヤーにとっても馴染みが薄いかもしれませんね」
柄澤「唱えたときに、ほとんど聞かれますね。《テイガムの策謀》を唱えると『なんでしたっけ?』となり、その後に《有事対策》を唱えると『あれ、こっちは?』と(笑)」
――「柄澤さんの説明も『まったく同じですよ』となるわけですね」
柄澤「そうですね。この能力を持ったカードが8枚ある状態わけですが、これはフロンティアだからこそできる組み合わせですし、《宝船の巡航》で失った分のアドバンテージを取り戻せるからこそ使用できるものです。そういった意味でもフロンティアならでは、だと思います」
■ 好きなカードを使ってみる、というところから
――「では最後に、今回初めてフロンティアに触れた柄澤さんから、“フロンティアの初め方”をお伺いできますでしょうか?」
柄澤「まずは、『好きなカードをもう一度使えないかな?』というところから始めてみると良いかもしれません。渡しの場合も、スタンダードで使っていた《テイガムの策謀》をもう一度使ってみよう、というところから始まりました。モダンで戦えるほどのカードパワーがなくても、それを活かせる組み合わせが、フロンティアならばいくらでも探せると思いますので」
――「ありがとうございました! この後も頑張ってください」
2 《島》 1 《沼》 1 《山》 2 《窪み渓谷》 1 《燻る湿地》 4 《汚染された三角州》 4 《血染めのぬかるみ》 3 《溢れかえる岸辺》 3 《尖塔断の運河》 -土地 (21)- 4 《査問長官》 4 《秘蔵の縫合体》 4 《憑依された死体》 4 《老いたる深海鬼》 -クリーチャー (16)- |
4 《安堵の再会》 4 《有事対策》 4 《テイガムの策謀》 4 《コジレックの帰還》 1 《霊魂破》 2 《残忍な切断》 4 《宝船の巡航》 -呪文 (23)- |
4 《集団的蛮行》 3 《黄金牙、タシグル》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《否認》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《稲妻の斧》 1 《残忍な切断》 -サイドボード (15)- |
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