Deck Tech : 中道 大輔の「スゥルタイミッドレンジ」
晴れる屋メディアチーム
晴れる屋メディアチーム
新環境は魔物だ。
新しいカードの評価は不透明で、どれも可能性があるように思える。次から次へと新たなデッキが出てきて、正解が何なのかわからなくなる。場合によっては深みにはまってしまうこともあるだろう。
しかし可能性の波を颯爽と乗り越えるプレイヤーたちは確かに存在する。その一人が3回戦の上位卓にいた。
BIG MAGIC所属プロの中道 大輔。グランプリ千葉・2019を優勝し、神決定戦のトップ8に13回も入賞したことのある強豪だ。
《王冠泥棒、オーコ》を擁するシミックカラーが人気を博すなか、彼は黒を足したスゥルタイを選択していた。一体なぜスゥルタイを選んだのか。各フォーマットで結果を残すトッププロに話を伺った。
ーー新環境では珍しいスゥルタイを持ち込まれましたね。
中道「そうですね。《王冠泥棒、オーコ》が強かったので、このカードを採用したデッキを使いたいと思いました。それから使いたいカードをどんどんと詰め込んでみた形です。実は今朝作ったデッキだったりするのですが(笑)」
ーー「それでここまで全勝なのはさすがプロですね(笑) 黒のカードはどのような考えで入れたのでしょうか。」
中道「《ゴルガリの女王、ヴラスカ》は《王冠泥棒、オーコ》の食物トークンを[+2]能力で生け贄に捧げれば強そうだと思いました。《呪われた狩人、ガラク》との相性も良く、狼トークンを生け贄に捧げれば《呪われた狩人、ガラク》の忠誠度を能動的に上げることができ、奥義まで持っていけます。」
中道「《呪われた狩人、ガラク》は出れば勝ちます。それぐらいの強さがありました。《正気泥棒》はマナクリーチャーから出せば強いだろうと思って入れました。実際に相手にかかるプレッシャーは大きかったと思います。」
ーー新環境に対してはどのようにアプローチするようにしていますか?
中道「新環境は使いたいカードを積極的に試すスタンスをとっています。新しいカードの評価は使ってみないとわからないですからね。既存のデッキを試すこともできますが、結局「まぁ、そうなるよね」ぐらいにしかならないので。」
ーーデッキの発端である《王冠泥棒、オーコ》が3枚なんですね。4枚採用された構成が多い《むかしむかし》が3枚なのも目を引きます。
中道「《王冠泥棒、オーコ》が3枚なのは(金銭的な面もありますが)忠誠度が高いので戦場に残りやすく、手札で腐ってしまうタイミングがあるからです。」
中道「《むかしむかし》は最初は1~2枚でしたが、初手をキープしやすくしてくれるので3枚まで増加させました。ただ、プレインズウォーカーを手札に加えられないですし、手札に重なっても困るので4枚は過剰かなと思います。4枚採用するカードは絶対に引きたいカードというイメージですね。」
ーーとなると、4枚採用されている《意地悪な狼》は評価が相当高いということでしょうか。
中道「《意地悪な狼》はすごく強いです。4ターン目までに出てくる環境のクリーチャーはほぼ4/4の格闘で対処できるので、アドバンテージを生み出します。先手で相手のマナクリーチャーを除去できればテンポアドバンテージにもつながりますね。環境に追放除去がないのも追い風です。」
ーートリプルシンボルである《アーク弓のレインジャー、ビビアン》が3色のデッキに入っているのも珍しいですね。3色のマナベースから唱えられますか?
中道「3色ですが、緑マナが出ない土地は《島》1枚と《沼》2枚しか採用していないので意外と唱えられます。最近になって評価がすごく上がっているカードなので今回も使ってみました。」
中道「[-5]能力でサーチできるようにサイドボードには《石とぐろの海蛇》や《残忍な騎士》などを採用しています。《石とぐろの海蛇》はまだ出番が回ってきていませんが、前環境のエスパーコントロールのようなデッキには非常に強そうです。」
ーー「実際に使ってみて修正したい点は出てきましたか?」
中道「特に修正する点はないですね。しいていえば《大食のハイドラ》でしょうか。格闘は《意地悪な狼》でできますし、サイズの大きいクリーチャー/マナの使い道は《ハイドロイド混成体》がいますからね。」
インタビュー中、中道選手は本当に楽しそうに自分のデッキを解説してくれた。デッキビルダーではないと語っていたが、「好きなカードを詰め込んで、新環境を楽しむことはできる」というスタイルを貫いていることが伺えた。
ぜひみなさんも新環境でスゥルタイミッドレンジを試してみてはいかがだろうか。