かつて『戦乱のゼンディカー』が発売されるまで、追放領域と関連を持ったカードがどれだけ存在していたか、皆さんはご存知だろうか?(より厳密には“どのような方法で追放されたカードも参照できるカード”になるか)
マジックの歴史の中でも稀有な性質を持ったそのカードたちを、ここに列挙することにしよう。
これですべてだ。
そう。銀枠カードを除いても15,000種類以上のカードが存在するマジックの中でも、追放領域を参照するカードはわずかに7種類しか存在しなかったのである。
かつては(『基本セット2010』リリースに伴うルール改定より以前)《燃え立つ願い》などの願いサイクルで追放領域にあるカードを参照することもできたが、仮にそれらを含めたとしても13種類のみと非常に少ない。
それは追放領域がマジックの23年の歴史の中でも不可侵領域として守られてきた(あるいは隔離されてきた)聖域だったからだ。カードが追放領域に置かれるということは、それだけ絶対的な断絶を意味していたのだ。
だから、『戦乱のゼンディカー』でエルドラージの昇華者たちが世に解き放たれたときの衝撃はまだ記憶に新しい。
小型のエルドラージ・ドローンによって「嚥下」されたカードが、昇華者たちによって暴力的なパフォーマンスへと文字通り“昇華”されるそのシステム――
それは言うなれば捕食と代謝。まさしく群体をなすエルドラージというクリーチャーの生態を体現した特異なメカニズムだ。追放領域にあるカードを扱う、というのはマジックの慣例から言えばあまり考えられないことだが、あらゆる法則から外れた異形の怪物であるエルドラージに、そんな固定観念は通用しないのだろう。
もはや聖域は陥落した。今や追放領域は、深淵なるエルドラージの血肉であり、棲み処なのだ。
その事実を我々に突きつけるような新カードが、『異界月』で登場する。
それではご覧いただこう。今宵、我々の前に姿を現す邪悪な捕食者の姿を。
永遠の災い魔
(3) クリーチャー-エルドラージ・ホラー
あなたは追放領域から永遠の災い魔を唱えてもよい。
永遠の災い魔が対戦相手がコントロールする呪文か能力の対象になったとき、永遠の災い魔を追放する。
3/3
Eternal Scourge
{3} Creature – Eldrazi Horror
You may cast Eternal Scourge from exile.
When Eternal Scourge becomes the target of a spell or ability an opponent controls, exile it.
3/3
(3) クリーチャー-エルドラージ・ホラー
あなたは追放領域から永遠の災い魔を唱えてもよい。
永遠の災い魔が対戦相手がコントロールする呪文か能力の対象になったとき、永遠の災い魔を追放する。
3/3
Eternal Scourge
{3} Creature – Eldrazi Horror
You may cast Eternal Scourge from exile.
When Eternal Scourge becomes the target of a spell or ability an opponent controls, exile it.
3/3
《永遠の災い魔》。
3マナ3/3という標準的なサイズに加えて能力が2つ。
まず1つ目は、《霧虚ろのグリフィン》と同様に追放領域から唱えることができるという常在型能力(総合ルール604.6)だ。これにより《罪人への急襲》のような追放除去を物ともせず、レガシー以下の環境では《食物連鎖》と強烈なシナジーを持つ。
そして2つ目は《幻影の像》や《幻影のドラゴン》のような、対戦相手の呪文や能力によって対象に取られたときに自壊する誘発型能力。ただし、幻影シリーズのように生け贄に捧げるのではなく、これは追放される。
《両手撃ち》のような1点火力や《束縛なきテレパス、ジェイス》の「+1」能力で対象に取られることで追放されてしまうのは一見デメリットに見えるが、先の1つ目の能力と1枚コンボのようなシナジーがあり、追放領域から唱えることですぐに戦線に復帰することができる。
また、自分の呪文や能力で対象に取る分には影響がないので装備品やオーラでの強化も可能。この点で幻影シリーズよりも強化されている。
特筆すべきはレガシーでの性能だ。上でも軽く触れたが、《食物連鎖》デッキにおいて、《永遠の災い魔》は5~8枚目の《霧虚ろのグリフィン》として活躍することができるだろう。
無色なので《霧虚ろのグリフィン》のように《意志の力》のコストに充てることはできないが、基本的に一度はクリーチャーをプレイしなくてはならない《食物連鎖》デッキにおいて、3マナという軽さは非常に魅力的だ。
さっそく、この《永遠の災い魔》を含む《食物連鎖》デッキを考えてみたのでご覧いただきたい。
2 《島》 1 《森》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 2 《Tropical Island》 1 《Bayou》 1 《ドライアドの東屋》 4 《霧深い雨林》 4 《汚染された三角州》 2 《新緑の地下墓地》 -土地 (20)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《悪意の大梟》 4 《永遠の災い魔》 2 《霧虚ろのグリフィン》 2 《黄金牙、タシグル》 1 《潮吹きの暴君》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー (18)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《思考囲い》 2 《運命の操作》 4 《意志の力》 4 《食物連鎖》 -呪文 (22)- |
食物連鎖デッキはその性質上クリーチャーが大量に入っていて、ビートダウンとして振る舞うことも多々ある。そのためこのリストでは新戦力の《永遠の災い魔》4枚を加えて、よりアグレッシブにプレイできる構成になっている。
特にメインアタッカーである《永遠の災い魔》と《霧虚ろのグリフィン》は《剣を鍬に》に強く、《食物連鎖》さえ戦場に出ていれば《終末》を受けても追放領域へ逃げることができるため青白奇跡のようなデッキに対しては有利に立ち回ることができる。
もちろん《食物連鎖》+《永遠の災い魔》コンボで無限マナを発生させ、《潮吹きの暴君》や《引き裂かれし永劫、エムラクール》へと繋げることで簡単に勝利することもできる。
万が一《永遠の災い魔》や《霧虚ろのグリフィン》が打ち消されたり、戦闘によって死亡し墓地に置かれてしまったら? 《死儀礼のシャーマン》や《黄金牙、タシグル》が追放してくれるので、すぐにまた戦線に復帰するだろう。
《運命の操作》は見慣れないカードかもしれないが、このデッキで使用すれば(《永遠の災い魔》3枚を追放できるため)実質的に2マナ4ドローのようなもの。1度でも通ったなら、もはや攻め手が枯渇するようなことはなくなるだろう。
追放領域から攻めるという、文字通り(?)“異次元の戦い”が可能な《永遠の災い魔》。『異界月』がリリースされる日がますます待ち遠しい。
ちなみに「最悪ゲームから徹底的に永遠に除去領域/Absolutely-removed-from-the-freaking-game-forever zone」から唱えることはできないので、その点だけは注意が必要だ。
いかがだったでしょうか?
『異界月』は2016年7月22日(金)発売です。
2016年7月16~17日(土・日)には晴れる屋トーナメントセンターでプレリリースも開催されます☆
エムラクールが襲来し、全てが狂気に呑まれてゆく『異界月』の世界を、あなたも体験してみませんか?
BOX予約は下記のバナーからどうぞ!
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする
このシリーズの過去記事
- 『エターナルマスターズ』先行プレビューカード《ミシュラの工廠》公開!
- 『イニストラードを覆う影』先行プレビューカード《内部着火》公開!
- 『ゲートウォッチの誓い』先行プレビューカード<真実を覆すもの>公開!
- 『マジック:ザ・ギャザリング ― 統率者(2015年版)』先行プレビューカード<夢の略奪者>公開!
- 『マジック・オリジン』晴れる屋先行プレビューカード<進化の飛躍>公開!
- 『モダンマスターズ 2015年版』晴れる屋先行プレビューカード公開!
- 『タルキール龍紀伝』happymtg先行プレビューカード<死霧の猛禽>公開!
- 『運命再編』happymtg先行プレビューカード公開!
- 『マジック:ザ・ギャザリング ― 統率者(2014年版)』happymtg先行プレビューカード公開!Part 2!
- 『マジック:ザ・ギャザリング ― 統率者(2014年版)』happymtg先行プレビューカード公開!
- 『タルキール覇王譚』 happymtg先行プレビューカード公開!
- 『ニクスへの旅』晴れる屋初動価格を斬る!!
- 『ニクスへの旅』 happymtg先行プレビューカード公開!
- 『神々の軍勢』晴れる屋初動価格を斬る!!
- 『マジック:ザ・ギャザリング 統率者2013』happymtg先行プレビューカード公開!
- 『テーロス』 happymtg先行プレビューカード公開!
- 『ギルド門侵犯』 happymtg先行プレビューカード公開!