Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2019/12/20)
望外の成功
前回の記事からこんなにも早く大会レポート/デッキガイドを書くことになるなんて思ってもみませんでした。しかもまさかのレガシーです。ここ10年は年に数回しか遊んでいないフォーマットなのですが、どうやらこれは現実のようですね。
Congratulations to @Pfluegmeischter for making back-to-back Grand Prix Top 8s! #MTGBologna pic.twitter.com/xQNN02tdsB
— ChannelFireball (@ChannelFireball) December 1, 2019
アンドレアス・ガンツ、グランプリのトップ8連続入賞おめでとう!
おかしな話ですが、そんな私が初めてプロツアーの権利を獲得できたグランプリもマドリードで開かれた最高のレガシーグランプリでした。もっとおかしなことに、当時としては参加人数が最多のグランプリで、参加者2227名による17回戦だったのです。私の記憶が正しければ、メインイベントで0-3になったプレイヤーは強制ドロップさせられていたかと思います。3回戦まで不戦勝だったプレイヤーが参加すると対戦スペースが足りなくなるからです。時代は変わったものですね 🙁
もうお気づきだと思いますが、レガシーは私が専門とするフォーマットではありません。しかしグランプリ・ボローニャ2019でトップ8に入賞してしまった以上は、レガシーに関する記事を書かないわけにはいかないでしょう。
ですが、それほど精通していないフォーマットについて有用な情報を提供するのは難しく、普段よりも記事をまとめるのに時間がかかってしまいました。レガシーのスペシャリストの方々はどうか大目に見ていただけると幸いです。ただひとつありがたいのは、スタンダードと違ってレガシーは情報の賞味期限が比較的長いことですね。
調整とデッキ選択
さて、どうして私はドクター・エッジ(Dr. Edge)の診療所にお世話になったのでしょうか?
グランプリに向けてレガシーを調整する動機はさほどなく、サイドイベントのミステリーブースタードラフトだけ遊びにいくつもりでした。先日のPTQ優勝やスタンダードグランプリのトップ8入賞によって初のプレイヤーズツアーの権利をすでに獲得していたのです。とはいえ、すべての予約を済ませてしまっていたので、動機が少ないながらも一定の努力をしてレガシーの多種多様なアーキタイプを知ろうと決めました。
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この話題に関連して、組織化プレイ、いや非組織化プレイについて一言物申させてください。権利を獲得できたPTQの数週間後、ウィザーズから以前のプロレベルに基づいて初回のプレイヤーズツアーへ招待するとのメールを受け取りました。その後、PTQの決勝で当たった対戦相手(交渉してスプリットしてくれた方)からのメッセージによれば、権利が繰り下がって招待してもらえたとのこと。
決勝の方も権利を獲得できたのは喜ばしいことでしたが、同時にウィザーズがギリギリのタイミングでの告知・後になっての変更をしてプレイヤーに影響を与えることに納得ができませんでした。今回で言えば、もし権利が与えられると事前にわかっていたなら、参加・出場するイベントを判断する際に影響が出ていたことでしょう。しかし実際には権利が与えられると知って苦い思いをしただけでした。
すいません、本題に戻りましょう。レガシーは急速に変化するフォーマットではありません。私としては、さまざまな理由からイノベーションが少々起きづらいと考えています。
こういった事情を踏まえれば、今回のグランプリ直前のレガシー環境は大きな変化を迎えている稀有な状況でした(今もなおその変化は続いています)。《レンと六番》が禁止になり、デッキ選択に大きな制約を与えていた要素がなくなったことで、環境の空気の入れ替えが行われたのです。
また、レガシーの基準に達する多様なカードが『灯争大戦』、『モダンホライゾン』、『エルドレインの王権』で登場し、その一部はいまだに自分たちの居場所を探している最中です。このような要素が揃っていたため、新しいデッキを開発する、あるいは少なくとも既存のアーキタイプに多少の手入れをすることに意義があるのではないかと感じていました。
私が最も慣れ親しんだデッキはANTで、このデッキを携えて何度か大会に出たことがありました。ANTは万策が尽きたときの保険でしたが、試してみたいカードやデッキが山のようにあったのです。手始めに使うことにしたのは、それなりに使い込んできたデッキ・カードである《甦る死滅都市、ホガーク》でした。
墓地利用のデッキが大好きではあるものの、個人的な嗜好でデッキ選択をせず、その大会においてベストなデッキ選択をこころがけました。適切なデッキを選ぶことは時として難しいことですが、個人的な思い入れでデッキを選ぶことは普通は最善ではありません。勝ちたいと思うのなら尚更です。
メタゲームに起こるであろう変化は、フェアな青のデッキたちがメタゲーム上で大きな割合を占めるようになり、デス&タックスの使用者が大きく増えることです。ホガークはこれらのデッキとの相性が良いと考えられました。お試し要素の強いものからグランプリ本番のリストと近しいものまで、さまざまな形のホガークを作りました。
まずは、自分なりに強いと思うオリジナルの構成を調整してみることに。マナ加速アーティファクトを大量に詰め込んでみたり、《陰謀団式療法》《ナルコメーバ》《黄泉からの橋》《甦る死滅都市、ホガーク》を墓地に落すために《思考停止》や《研磨基地》を入れてみたり。時には《セヴィンの再利用》や《戦慄の復活》で蘇らせた《覇者シャルム》を使い、《狂気の祭壇》を墓地から戻して勝とうとしたり。こういった型のホガークはたまに強力な動きができるものの、あまりにも脆くて心許ないものでした。人によってはデッキじゃないと言ってもおかしくなかったでしょう。
続いて以前からある構成のホガークを試しましたが、以下のような一風変わったカードを織り交ぜる実験をしてみました。
こういった試行錯誤の後、下記のリストに行き着きました。
4 《Underground Sea》
2 《湿った墓》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《湿地の干潟》
4 《汚染された三角州》
-土地 (19)- 4 《面晶体のカニ》
4 《縫い師への供給者》
3 《墓所這い》
4 《恐血鬼》
4 《ナルコメーバ》
4 《甦る死滅都市、ホガーク》
-クリーチャー (23)-
《復讐蔦》はフェアデッキに非常に有効なものの、レガシーの速度には追い付けないことがあるうえに、すでにフェアデッキには有利な状況でした。このデッキの主たる狙いは、《狂気の祭壇》によるライブラリーアウト、あるいは複数の《陰謀団式療法》を絡めたホガークによる高速ビートダウンです。
しかし、《朽ちゆくインプ》と《復讐蔦》を搭載した一般的なアグロバージョンと比べてこの型が優れているという確証はありません。上記のものはコンボに寄せたもので有利な点があるものの、不利な点もあります。その代表的なものは、2マナの呪文への依存度が高いゆえに《目くらまし》や《不毛の大地》に脆くなってしまっている点です。最終的にこのデッキはいったん諦め、最近登場したカードのなかでポテンシャルを秘めているにもかかわらずあまり研究が進んでいないと思われるものを探すことにしました。
最初に目をつけたのは《願い爪のタリスマン》、そして「フラッシュバック」付きの《Timetwister》としてあなどれない《永劫のこだま》でした。2種を搭載したTESを試し、《願い爪のタリスマン》を入れたANTを試し、《永劫のこだま》を使った多様なデッキ(ベルチャー、ボンバーマン、@WhiteFacesmtg作の《最高工匠卿、ウルザ》と《永劫のこだま》を使ったウルザエコー)を試しました。
《永劫のこだま》デッキのほとんどは回らない確率が高く、《意志の力》に弱いという弱点がありましたが、ベルチャーは《永劫のこだま》の追加によって総合的に強くなったという印象です。最も可能性を感じたのはウルザエコーでしたが、勝利を決定づけることに難を抱えていました。仮に大量のドローをしたとしても、《虚空の杯》があまり効果的でなかったり、《覆いを割く者、ナーセット》と《永劫のこだま》のコンボを決められずにターンを渡してしまうことがあったのです。
この後に少しだけ調整してみたのは、チームメイトであるフロリアン・コッホ/Florian Kochが《レンと六番》の禁止によって急速に立ち位置を良くすると予想したエルフ、それから《夏の帳》と《Eureka》を組み入れたオムニテルでした。さらに続いて興味を持ったのはドレッジで、その主な理由はこれまでに試してきた多様なホガークとの優劣をハッキリとつけられるようにすること。両者は類似したゲームプランを遂行するだけに、いずれかを優先する理由を見出したかったのです。
私の印象では、ドレッジの方が総じて爆発力と安定性に長けており、結果としてはホガークよりも優れたデッキでした。さらには《狂気の祭壇》が絡まない限り、ホガークにも有利だったのです。対するホガークの魅力はその屈強さで、対策カードに直面したとしても地味なビートダウンプランによって戦い続けることができます。これは特に《朽ちゆくインプ》や《屍肉喰らい》を搭載した型に言えることです。ドレッジは単一のプランしかないため、基本的に対策カードを直接対処するしかなく、それができなければ機能不全に陥ります。
一般的なドレッジのリストを試していたちょうどこの頃に、たまたまアンドレアス・レリング/Andreas Relingの青赤で組み上げたドレッジに出会いました。そのリストに搭載された《焦熱島嶼域》はほぼ下位互換であるとはいえ5枚目以降の《セファリッドの円形競技場》。非常に美しいデッキであり、これまでのドレッジの改良型だという第一印象を受けました。
それから誰もが認める最大勢力への理解を深めるために数あるデルバーデッキたちを数ゲームだけ使い、カードマーケットシリーズ・プラハの結果を見て進化するメタゲームをより鮮明に把握するように努めました。ドレッジの多様な青のデッキに対する優位性は依然として存在しているという印象でした。
グランプリに向けて予想していたのは、プレイヤーたちがティムールデルバーから青赤デルバー、グリクシスデルバー、スゥルタイデルバー、そして多様な《アーカムの天測儀》デッキなどに乗り換え、青のフェアデッキが幅広く存在すること。また、《レンと六番》によってゲームプランを崩壊させられていたデス&タックス、ミラクル、《不毛の大地》/《壌土からの生命》デッキなどが復権すること。
さらに、《王冠泥棒、オーコ》が徐々にレガシーでも注目され始め、これを組み入れたフェアな青のデッキが増え、ひいては《虚空の杯》デッキの立場を悪くすること(レガシーは《王冠泥棒、オーコ》が禁止されないで済む数少ないフォーマットになるかもしれません)。グランプリ2日目のメタゲームブレイクダウンを見る限りでは、これらの予想は結構当たっているように思います。もちろんそれでもレガシーは広大で多様性あふれるフォーマットですが。
Here the full #MTGBologna Day 2 Legacy metagame breakdown (of all 264 players who made the cut).
— ChannelFireball (@ChannelFireball) December 1, 2019
Grixis Delver and Golgari Depths have overperformed so far in terms of Day 2 conversion. pic.twitter.com/APNtdaZc2u
グランプリ・ボローニャ2日目の全体のメタゲームブレイクダウン(2日目に残ったのは総勢264名)。2日目の進出率の点では、グリクシスデルバーとダークデプスが突出しています。
グランプリ本番が日に日に迫ってきたため、残る時間を青赤ドレッジの調整に費やすことに。レガシーの経験、特にドレッジの経験が豊富な数人の友人に意見を求め、リストの完成に力を貸してもらいました。最終的に出来上がったリストがこちらになります。
一見したところでは、ドレッジはわかりやすく扱いやすいデッキに思えます。しかし理想的な回りをしないとき、相手が妨害してくるとき、妨害をケアして立ち回ろうとするときに、このデッキのプレイは難しくなります。
ドレッジのゲームプランは「発掘」を持つカードを(できれば複数枚)墓地に落とし、できるだけ多くのドローをして「発掘」に置換し、その結果ライブラリーの大部分を墓地に移動させ、墓地から蘇るクリーチャー・《黄泉からの橋》・妨害カードを何枚も使えるようにし、最終的に《イチョリッド》とゾンビトークンの軍団が攻撃して勝利することです。
カード選択
メインデッキ
ドレッジは構築という点においては非常にシンプルです。カード間のシナジーが大きく、他のカードと組み合わさったときにしか機能しないカードがほとんどであり、手を加える余地があまりありません。カードの選択がほぼ固定されているというわけです。しかし《焦熱島嶼域》をマナベースに加えたことにより、デッキの構成、特にサイドボードの構成に若干の変更と犠牲を伴います。
潤滑油
ここに潤滑油として掲げたカードの役割は、「発掘」クリーチャーを墓地に送ること、あるいは「発掘」クリーチャーが墓地にいるときは追加のドローを実現することです。
《打開》は「発掘」クリーチャーを捨てるためだけに最初に使用するのは好ましくないため、純粋な潤滑油とは言えません。《打開》がある手札には他の潤滑油があるのが理想的で、だからこそ3枚しか採用していません。《傲慢な新生子》は《朽ちゆくインプ》のようなカードを使えないしわ寄せとして採用していますが、《入念な研究》や《信仰無き物あさり》に加えて手札を捨てる手段がもう少し必要です。
《ライオンの瞳のダイアモンド》はこのデッキ最強の動きを実現します。《信仰無き物あさり》が加われば、1ターン目にデッキの半分近くを「発掘」することが可能です。《通りの悪霊》は手札を捨てる手段とはなりませんが、墓地を肥やすスピードを速めるだけでなく、(すでに不足気味であった)《イチョリッド》に必要な黒のクリーチャーの枚数増加につながります。
「発掘」
このカテゴリについては説明するまでもないでしょう。「発掘」というメカニズムを繰り返し使い、ライブラリーを墓地へとひっくり返すためのカード群です。ごく稀にしか起きませんが、極めて絶望的な状況下において「発掘」クリーチャーを手札から唱えることがあります。《ゴルガリの凶漢》の枚数を削減しているリストもありますが、「発掘」クリーチャーを墓地に落して連鎖させていくことはゲームプランを遂行するうえで非常に重要であるため、各種4枚ずつ採用すべきでしょう。
墓地から湧き出るクリーチャー
最終的にゲームに勝つ手段です。額面上は大したことないように見えますが、これらが同時に出揃ってゾンビが群れをなせば、大抵は十二分なクロックになります。《イチョリッド》を1枚減らしている構成も見受けられますが、私は断固として反対です。良い滑り出しをしたいのなら《イチョリッド》や《ナルコメーバ》を複数墓地に落すことが重要だからです。
妨害
ドレッジが運用可能な妨害手段のなかで《陰謀団式療法》は特に強力なものです。リソースを消費することなく唱えることができ、相手のキーカードを捨てさせられるのですから、いかに強いかおわかりいただけるでしょう。
唯一求められるのは、レガシー環境と相手のデッキとの戦い方に関する一定の知識であり、だからこそデッキ内で最も扱いが難しい呪文となっています。《陰謀団式療法》があるからこそ、ドレッジよりも早いコンボデッキと渡り合えるようになっています。こちらの展開速度が間に合わないときに相手の手札を八つ裂きにしてくれるのです。
マナベース
まず最初にお断りしておきますが、私のマナベースを真似しないでください。《リシャーダの港》のタップ能力でダメージを受けてしまう《真鍮の都》は《マナの合流点》の下位互換です。《マナの合流点》を2枚にしましょう。私は1枚しか持ち込まず、もう1枚探す手間を惜しんだだけです。
《宝石鉱山》の枚数を減らしたリストもあるようですが、マナベースから受けるライフ損失はすでに大きいですし、ロングゲームでマナを何度も使うようなデッキでもありません。《宝石鉱山》は4枚にするのがベストでしょう。
土地のなかで最も凶悪なのが、追加のドローをもたらす《セファリッドの円形競技場》です。《焦熱島嶼域》はその弱体化版とも捉えられるものですが、それでも貴重なドローを与えてくれる稀有な土地です。
サイドボード
サイドボードは《焦熱島嶼域》を採用するために大きな犠牲を払わなくてはならない箇所です。《静寂》や《自然の要求》などを使えれば良いのですが、残念ながら青赤のマナベースでは安定して唱えられません。そういうわけで《虚空の力線》などの多様な墓地対策への万能の解答として《蒸気の連鎖》を投入しています。
《戦慄の復活》のパッケージは、妨害をしてこない相手に対してキルターンを早めること、あるいは相手のゲームプランを妨害することが主な目的です。たとえば早いコンボデッキ相手に投入します。
不採用としたもの
現状は採用していないカードを一部ご紹介しましょう。
《甦る死滅都市、ホガーク》
お気に入りの1枚を不採用にする決断は本当に心苦しいものでした。《甦る死滅都市、ホガーク》は幾分か遅かったのです。このクリーチャーを展開するには前もって複数のゾンビトークンや《イチョリッド》が出るようなデッキの回りが必要で、そのうえレッドゾーンに送り込むまでに1ターン待たねばなりません。《甦る死滅都市、ホガーク》を使いたいのであれば、2枚にすることをおすすめします。そうすれば2枚の《甦る死滅都市、ホガーク》を”ループ”させることで大量のゾンビトークンを並べる選択肢が生まれるからです。
《水蓮の花びら》
(サイドボードには2枚ありますが)本当はメインデッキに採用したかった《水蓮の花びら》。デッキの速度を上げるため、まるで《Time Walk》のようになることもしばしば。しかし、レガシーのドレッジ経験が豊富な友人たちによれば、フェアデッキが大半であろう予想のメタゲームでは必要ないため、メインデッキには入れない方が良いとアドバイスをもらいました。メタゲームが変わればメインデッキに入れる可能性はありますし、実は今回の判断が完全なる誤りでメインデッキに数枚入れるべき可能性もあります。
《朽ちゆくインプ》
《朽ちゆくインプ》は一般的なドレッジのリストに採用されることが多く、《陰謀団式療法》と《黄泉からの橋》と相性の良い潤滑油です。しかし残念なことに《焦熱島嶼域》のマナベースでは黒の1マナ域を安定して唱えられません。いずれにしても私は《朽ちゆくインプ》があまり好きではないのですが。
《炎の騎兵》
《炎の血族の盲信者》に代わるサイドボードカードとして検討しました。理想的な状況であれば、《炎の血族の盲信者》よりもわずかに強力になると考えたのです。ドロー能力は「発掘」に置換できますし、《陰謀団式療法》で生け贄に捧げれば死亡時の能力が誘発します。とはいえ、《炎の騎兵》が出ている段階ならすでにデッキの半分以上を「発掘」しているはずでしょう。それに戦場に出たターンにゾンビトークンに速攻を付与して攻撃するには2マナが余計にかかります。あまりにもコストが大きすぎますね。
《炎の嵐》
クリーチャーデッキに多く当たると思うのであれば、《炎の嵐》は強力なサイドボードカードになります。《封じ込める僧侶》などのサイドボードから投入される対策カードを対処してくれることでしょう。
デッキを使ううえでの豆知識
希望的観測でキープしない
ドレッジはマリガンに非常に強いデッキです。何かパーツが欠けている手札をキープし、たとえば「発掘」クリーチャーを引き込むことを期待してはなりません。
潤滑油を適切な順序で唱える
潤滑油となる呪文に対して相手が構えている可能性があるすべての解答を想定し、質の高い潤滑油呪文を守る、あるいは相手が解答を構え続けるのを難しくするようにしましょう。たとえば、《否定の力》によって追放されるのは《信仰無き物あさり》よりも《入念な研究》の方が良いです。あるいは、相手が《入念な研究》や《打開》を打ち消そうと《紅蓮破》を構えていそうであれば、青でない潤滑油呪文を唱えるべきでしょう。その点、《傲慢な新生子》は《否定の力》や《呪文貫き》/《狼狽の嵐》をすり抜ける強みがあります。
クリンナップ・ステップを潤滑油に使う
後手で、なおかつ相手のデッキに《意志の力》/《否定の力》が入ってるとわかっている場合、何もせずにクリンナップ・ステップに移行して「発掘」クリーチャーを捨てるのが最善であることがよくあります。このように動けば、潤滑油呪文が《意志の力》に打ち消されるリスクを背負うことなく、「発掘」のエンジンを起動させられるのです。
ただし後手を選ぶときは慎重さが求められます。相手のデッキに採用されているものを正確に把握し、相手が先攻の利点を活かした速攻をしかけてこないマッチアップであることを確かめねばなりません。また、サイドボード後は相手が影響力の大きい対策カードを運用してきますので、この戦法は使わないようにしましょう。
準々決勝の1ゲーム目にこの戦法を活用しました。相手が先手を選び、お互いのデッキリストが公開されていたので、すぐにクリンナップ・ステップに移行したのです。この状況下においては、相手が後手を選び、《意志の力》でこちらの展開を妨害しようとする選択肢も考えられたと思います。
《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動するタイミング
《打開》などのドロー呪文をスタックに乗せ、それにレスポンスして《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動すれば手札を捨てて「発掘」クリーチャーを墓地へ送れるので、通常はこのようなプレイをした方が良いでしょう。その際に《信仰無き物あさり》を捨てた、もしくは「発掘」で墓地に送れたのであれば、《ライオンの瞳のダイアモンド》のマナを活かして「フラッシュバック」できます。
1ターン目にオールインする
難しい判断のひとつとして、1ターン目に《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動して手札をすべて捨てるべきか、あるいは2ターン目を待つべきかという問題があります。理想を言えば、2ターン目まで待つのが良いでしょう。土地を2枚まで伸ばせば後々に《セファリッドの円形競技場》や《焦熱島嶼域》を起動できるようになって非常に有用だからです。
とはいえ、《思考囲い》などの妨害に弱い手札である場合や、極限まで速く攻めたい、あるいはすぐにでも《陰謀団式療法》で相手を妨害したい場合には1ターン目に始動するのが正しい可能性があります。
急がば回れ
積極的に「発掘」したり手札を捨てるのではなく、ゆったりと動いた方が良いことも時としてあります。たとえば、相手が《外科的摘出》を構えていると思われる場合、まずは《ゴルガリの凶漢》を手札から出し、「発掘」のエンジンを起動させる前に《陰謀団式療法》を手札と墓地から唱えます。
同様に、真っ先に《陰謀団式療法》が墓地に落ちることを期待して数枚だけ「発掘」することもできます。《陰謀団式療法》が見つかり、手札から唱えたクリーチャーをコストに「フラッシュバック」すれば、墓地から蘇るクリーチャーや《黄泉からの橋》を《外科的摘出》で追放されることがなくなります。
《ナルコメーバ》を回収
苦しい状況に追いやられて《ゴルガリの凶漢》を唱えなければならない場合、《陰謀団式療法》で生け贄に捧げれば死亡時の誘発型能力によって《ナルコメーバ》をライブラリートップに戻すことができ、「発掘」で再び戦場に戻せます。
《イチョリッド》の誘発型能力
《イチョリッド》の誘発型能力はアップキープにスタックに乗り、相手はこちらがコストのクリーチャーを追放するのかどうか、どのクリーチャーを追放するのかが分からない状態でレスポンスするかを判断しなければなりません。コストのクリーチャーが追放されてしまったら、相手は《イチョリッド》が戦場に出るまでの間に何らかのアクションで割り込むことはできないのです。
2戦目の情報収集
ドレッジを使うのであれば、相手がサイドボードから投入した対策カードとデッキの構成についてできる限り情報を集めるようにしましょう。その情報を活かして3ゲーム目に向けたサイドボーディングを調整できるようになります。ですから、あまりにも早い段階で投了せず、特定のサイドボードカードが何枚あるのかを確認していきましょう。
《黄泉からの橋》と《傲慢な新生子》
あまり直観的ではないですが、《傲慢な新生子》で《黄泉からの橋》を捨てると、2/2のゾンビトークンが出ます。手札を捨てるのは支払いが必須のコストであり、すでに墓地に存在していることになる《黄泉からの橋》は《傲慢な新生子》の死亡を見届けていることになるわけです。
《ゴルガリの墓トロール》を手札から唱える
《ライオンの瞳のダイアモンド》含む5マナを用意し、《傲慢な新生子》《通りの悪霊》《焦熱島嶼域》のドロー効果をスタックに乗せ、それにレスポンスして《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動すれば、ドローを「発掘」に置換して回収した《ゴルガリの墓トロール》を唱えることができます。稀にしか起きないケースですが、知っておくと良いでしょう。
後手ですぐに「スレッショルド」を達成
後手1ターン目に《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動すれば、《セファリッドの円形競技場》の「スレッショルド」を達成できるので覚えておいてください。通常は理想的なプレイとは呼べないもので、2ターン目まで待った方が賢明ですが、1ターン目にやった方が良いマッチアップや展開もあり得るでしょう。
《セファリッドの円形競技場》は相手も対象にとれる
《セファリッドの円形競技場》は相手に3ドローを強制させることが可能です。ライブラリーアウトが起き得るミラーマッチなどで有用なプレイになります。
《陰謀団式療法》の取扱説明書
《陰謀団式療法》はデッキ内で最も扱いが難しいカードであり、個別の解説を用意する価値があります。グランプリ前は《陰謀団式療法》のフルパワーを発揮させられるか少々不安でした。レガシーの経験不足がたたって、適切なカードを指定したり相手のデッキを素早く把握するのが難しくなっていたのです。
ところがグランプリを終えてみると、私は大満足していました。《陰謀団式療法》の全体的なヒット率が高いだけでなく、命運を分かつ状況下で何度も適切なカードを指定することができたのです。いくつかハイライトとなるシーンを挙げてみると、相手が青のどんなデッキを使っているのかハッキリとはわからない状況で《実物提示教育》を2枚捨てさせたり、遅めのターンで《ギャンブル》を言い当てたり、たった1回の《陰謀団式療法》で《騙し討ち》を2枚射抜いたりしました。この経験から《陰謀団式療法》で指定する際に最も重要な考え方にたどり着くことができました。
勝ちを選ぶか、当てることを選ぶか
大切なのは相手が最も持っている可能性が高いであろうカードを指定することではなく、最もゲーム展開に重要なカードを指定することです。《陰謀団式療法》を唱えることで負け筋となるカードを持っていないことを確認できるのであれば、手札のカードを射抜けなくともまったく問題ありません。
これは特にサイドボード後に重要な考え方です。相手の手札に存在する確率が高いのは《渦まく知識》でしょうが、《外科的摘出》や《安らかなる眠り》などのカードこそ関心を寄せるべきものなのです。相手のデッキが不明瞭のときは、それまでに相手が使用してきた土地やカードから最悪のマッチアップを推測しましょう。そしてそのマッチアップであることを想定してカードの指定を行います。
自分を対象にとる
状況によっては、対象を自分にとることによって《陰謀団式療法》を手札を捨てる手段にすることがあります。《黄泉からの橋》や「発掘」クリーチャーを捨てるのに役立つでしょう。
相手の反応を待つ
《陰謀団式療法》がスタックに乗ってすぐにカードの指定をしないようにしましょう。不用意に余計な情報を漏らすのではなく、まずは相手が《陰謀団式療法》を解決させるかどうか判断させるようにします。カードの指定は呪文の解決を待ってから行うのです。
相手の手札を読む
《陰謀団式療法》を唱えたときの相手の反応に注意を払うようにしましょう。解決するまでに立ち止まって考えていましたか?それとも素直に解決させましたか?こういった情報を手に入れておくと、相手が打ち消し呪文を使うことを検討していた、あるいはレスポンスして唱えるかを考えていた何らかのインスタント(《渦まく知識》や《外科的摘出》)を持っていることがわかる場合があります。
フェニックスデルバー戦でのことですが、《陰謀団式療法》を唱えた際に相手はほんの一瞬だけためらってから解決させました。私が《渦まく知識》を指定してヒットさせると、「《渦まく知識》を唱えるマナがあったのにどうしてわかったんだ!」と驚いていました。
ここで大切なのは、できるだけ情報を秘匿させながら、新情報を急いで判断しなければならない状況に相手を追いやることです。たとえば、土地を置く前に《ライオンの瞳のダイアモンド》を唱えれば、こちらのデッキを判別するのは難しくなります。土地を置いてすぐに《陰謀団式療法》で対象プレイヤーを宣言し、相手が熟考するかどうかに目を凝すのです。
逆に《陰謀団式療法》を相手が使ってくる場合ですが、打ち消すべき呪文/レスポンスでインスタントを唱えるかどうかを自分のターンのうちにあらかじめ考えておきましょう。そうすれば余計な情報を漏らさずに済みます。これを逆手にとって、《意志の力》やインスタントを持ってないにもかかわらず熟考することもできます。ただし大袈裟な演技をするのは禁物です。
各種マッチアップとサイドボーディング
レガシーは非常に広大なフォーマットですので、対戦する可能性があるデッキを洗いざらい紹介することはできません。そこでまずは一般的なサイドボードのガイドラインを示しますので、アーキタイプのグループごとに対策を打てるようにしましょう。
一般的なサイドボードのガイドライン
ドレッジはシナジーを重視したデッキであるため、確信できないのならサイドボーディングは少しにするかまったくしないのがおすすめです。そうしないと、デッキが機能しないほどに弱体化させてしまうリスクがあります。対策カードではなく、相手の通常のゲームプランに負けるのは何としても避けねばなりません。相手が投入してきた墓地対策を確認してから、3ゲーム目のサイドボーディングで調整しても遅くないでしょう。
ドレッジよりも理論上のキルターンが早い相手に対しては、《水蓮の花びら》と《戦慄の復活》パッケージを投入して速度を上げます。《エメリアの盾、イオナ》はコンボデッキの動きを止め、《炎の血族の盲信者》は高速キルを達成するだけなく、本来ならゾンビトークンの価値を低下させてしまう《The Tabernacle at Pendrell Vale》への耐性を付けてくれます。デッキの速度を上げる際にサイドアウトする候補となるカードは、《傲慢な新生子》、《イチョリッド》1枚、土地1枚です。
ドレッジに対して妨害せざるをえないデッキに対しては、影響力が大きいサイドボードカードへの解答として《蒸気の連鎖》(あるいは《悪ふざけ》)を投入するのが一般的です(絶対に入れるわけではありません)。こういったマッチアップでのサイドアウト候補は《打開》1枚、《通りの悪霊》2枚、《傲慢な新生子》1~2枚です。
デルバー系
対 デルバー系
相手の入れ替えが不明な場合、2ゲーム目は何も入れないようにしています。不確かな状況で《悪ふざけ》を投入するのはおすすめできません、《墓掘りの檻》を実際に確認してから3ゲーム目に向けてサイドインしましょう。《虚空の力線》のようなカードを使ってくるようであれば、《蒸気の連鎖》をサイドインする必要があります。
「発掘」クリーチャーへの《外科的摘出》は《通りの悪霊》や《焦熱島嶼域》のドローで回避することができます。そのため、《外科的摘出》は《ナルコメーバ》《イチョリッド》《黄泉からの橋》に使う方が通常は正しいプレイだと思います。
デス&タックス
対 デス&タックス
《陰謀団式療法》で指定するのは《安らかなる眠り》にしましょう。それが難しい場合は、できるだけ早く盤面を構築し、《安らかなる眠り》をすり抜けるようにします(後手なら1ターン目に動くのが理想的)。《水蓮の花びら》はこのゲームプランに一役買ってくれることでしょう。
ミラクル
対 ミラクル
目指すべきは《安らかなる眠り》が出る前に盤面を構築し、《終末》による解答を要求すること、あるいは《陰謀団式療法》で《安らかなる眠り》を指定し、より遅いアプローチをとって《終末》を使われたときの被害を抑えることです。インスタントタイミングで《終末》を唱えてくると思われる場合は、安易にすべての《イチョリッド》を蘇らせないように注意しましょう。
ホガーク
対 ホガーク
《狂気の祭壇》が絡まない限りドレッジの爆発力が上回るため、1ゲーム目は有利です。《狂気の祭壇》と《屍肉喰らい》はキーカードで、こちらのターンに《黄泉からの橋》を追放する手段となります。《陰謀団式療法》で指定するのは通常はこの2種になるでしょう。
2戦目以降ですが、例のごとく《虚空の力線》が絡んでくるので展開にバラつきが出てきます。同じく《虚空の力線》で対抗するか、《虚空の力線》への解答を用意するかになりますが、問題なのは互いに《虚空の力線》を置いた状態が続くと大抵はこちらが負けてしまうことです。というのも、ホガークは多くのクリーチャーを手札から唱えることができ、普段であれば平凡であるそのビートダウンもこのような状況下では十分脅威となるからです。
ドレッジ
対 ドレッジ
ホガークとのマッチアップに似ていますが、違うのは両者が《虚空の力線》がある状況下では機能しないことです。
ANT
対 ANT
ANTはドレッジよりもキルターンが早いため、難しい相手になります。先手であれば、《陰謀団式療法》を何回か唱えて妨害し、決着をつけるまでの時間を稼ぎだすことができるでしょう。それまでのゲーム展開次第ではありますが、《陰謀団式療法》で指定するのは《冥府の教示者》か《ライオンの瞳のダイアモンド》がおすすめです。サイドボーディング後ですが、《炎の血族の盲信者》でできるだけ早く相手を倒すか、《エメリアの盾、イオナ》で相手のゲームプランを崩壊させるようにします。
スニーク・ショー
対 スニーク・ショー
コンボデッキとの戦いであり、とにかく高速ビートダウンを目指すか、《陰謀団式療法》で序盤から妨害していくかになります。スニーク・ショーは必ずしも速攻でとどめを刺してくるデッキではないので、《実物提示教育》が解決した後からでも勝てるときがあります。
赤単プリズン
対 赤単プリズン
厄介なカードが多く、厳しい戦いになります。対処する必要があるのは《虚空の力線》と《罠の橋》です。《虚空の杯》も面倒な存在で、後手の場合にこちらの速度を低下させてきます。先手1ターン目に設置された場合にはクリンナップ・ステップを使って手札を捨てることが多くなるでしょう。
ジャッジは味方
グランプリは驚くほど順調に進み、当たったデッキはバラバラだったにもかかわらず初日は全勝することができました。さらに幸運なことに、トップ8に入賞するという贅沢な経験もできたのです。
本番で対戦したアーキタイプを順不同でご紹介すると、《墓場波、ムルドローサ》入りニック・フィット、グリクシスデルバー、スニーク・ショー、オムニテル、4色メンター、土地単、《罰する火》入りエルドラージ、赤単プリズン、白単エルドラージ、スゥルタイデルバー、ホガーク、フェニックスデルバー、スゥルタイゼニス、そして準決勝のバントミラクルでした。
特定のデッキが目立つこともなく、実に幅広いデッキと対戦しました。各ラウンドのレポートを書いてもそう意味はないでしょうから、各マッチを細部に渡って解説するのはやめておきます。その代わり、みなさんにシェアしたい奇妙な体験があったのでお話させてください。
OKはOKじゃないこともある
《信仰無き物あさり》を唱え、相手の反応を待っていると、相手は「OK!」と宣言。私は2枚ドローしようとしました。ところが裏向きの2枚を手札に加えようとしたところで相手に待ったをかけられました。解決するという意味で言ったのではなく、違うカードだと勘違いしたとのこと。ジャッジの裁定により裏向きの2枚をライブラリートップに戻し、相手は《信仰無き物あさり》にレスポンスする機会を与えられました。
一種のコミュニケーションミスだとも捉えられることは理解しています。ただ、少なくとも相手が《信仰無き物あさり》と勘違いしたカードを教えることはできるだろうと思ったのですが、相手は教えてくれなかったのです。
《不毛の大地》は呪文
相手は《不毛の大地》を置き、すぐに起動して《セファリッドの円形競技場》を破壊。熟考した後、他の何らかのアクションをとる前に2枚目の土地をプレイしました。幸いすぐに気づきましたし、これは悪意のない単なるミスだと確信しています。
これはレガシーで頻繁に発生しやすいミスではないでしょうか。特に《不毛の大地》を呪文のように使ったり、土地以外の枠で《不毛の大地》をデッキ登録していれば尚更でしょう。しかし残念なことに、先日のカードマーケットのイベントでは意図的にこの”ミス”を犯し、後に失格になったプレイヤーがいました。私がここで伝えたいのは、警戒を常に怠らず、何かあればジャッジを呼ぼうということです。こういった事例を調査すれば、不正のパターンを見抜ける可能性があります。
追放されない《黄泉からの橋》
お互いの墓地に《黄泉からの橋》がある状況。私は相手を対象に《陰謀団式療法》を「フラッシュバック」し、《黄泉からの橋》の誘発型能力をスタックに乗せました。誘発型能力を解決し、相手のリアクションを待ちます。それから《陰謀団式療法》でカードを指定しても良いかと尋ねると、相手は承諾しましたが、依然として自身の《黄泉からの橋》を追放しようという素振りを見せません。
この時点で私はジャッジを呼ぶことにし、相手が警告されると予想しました。ですがその予想とは裏腹に、私は約30分も卓で待ちぼうけに。ヘッドジャッジは対戦相手とフロアジャッジと話し合うと、私のところまで一時的に戻ってきて「ゲームの状況はどうだったか」「ゲームにおける自分の立ち位置はどうだったと評価しているか」「《陰謀団式療法》で指定しようとしていたカードは何だったか」と尋ねました。
永遠とも感じるような時間の後、相手とヘッドジャッジは卓に戻ってきて、相手には警告の裁定が下されました。ゲームは続行するように言われましたが、その時点で相手は私に握手を求め、マッチ単位の投了をすると伝えてきたのです!何が何だかわからず、相手は裁定を間違って解釈しているのだろうと思い、まだプレイは続けられると言ってみました。
相手が打ち明けてくれたところによると、”極度に緊張”していてミスを重ねるだろうから”出場停止になることは避けたい”とのこと。相手が卓から去った後も今起きた出来事を飲み込むことができず、ジャッジにどういうことか訊いてみました。話を聞いたかぎり、このプレイヤーがいるところで初日に同じような出来事が何度かあったのだろうと思います。私が待っているときに長期的な不正の調査が行われたのでしょう。
悪意のないミスだった可能性はありますが、《黄泉からの橋》はお互いのデッキのキーカードの1つであり、特にその対戦では重要なものでしたから、誘発型能力には注意を払うべきでしょう。この一連の出来事からわかるのは、ジャッジを日頃から呼ぶようにし、発生したことを解決・調査することが得策だということです。
思わぬ助っ人
準々決勝の3ゲーム目、相手は《安らかなる眠り》を唱えたものの、戦場に出たときの効果を宣言せず、自分の墓地を追放することもなく、私に墓地を追放しろとの宣言もせずにターンを返してきました。ターンを返した直後にテーブルジャッジが寄ってきて「お互いに墓地を追放していないのではないですか?」とコメント。その結果、相手は誘発忘れに気づきました。誘発忘れで勝ちたくないと思う反面、相手がジャッジの介入がきっかけで気づいたのは明らかであり、そのような形で不利な状況になるのも釈然としないという何とも言い難い状況になりました。
同様のことが既に2ゲーム目に起きており(ジャッジの介入なし)、《安らかなる眠り》の誘発型能力は再び失念されましたが、私は大目に見て指摘することにしました。テーブルジャッジは誘発忘れという裁定を下しましたが、いずれにしても《安らかなる眠り》に私は負けることになりました。もっとも、ここで負けたおかげで日曜日に行われた最後のミステリーブースタードラフトに参加することができたので良しとしましょう。
デッキの変更点
今後についてですが、2枚の《蒸気の連鎖》の枠に《残響する真実》を入れることを検討しています。《虚空の力線》を複数設置されたときの解答になりますし、(X)=1の《虚空の杯》があっても使える解答です。
《水蓮の花びら》がメインデッキに復帰する可能性はありますが、枠を作るのが厄介です。デッキから抜くとすれば土地1枚と《通りの悪霊》1枚になるかと思います。《通りの悪霊》はデッキの速度を上げるという意味で《水蓮の花びら》と役割が重複するからです。
ドレッジを使おうかと考えている方に気をつけていただきたいことがあります。重要なのはドレッジがいかに強いかではなく、メタゲーム、特に環境デッキのサイドボードがどのようになっているかです。もちろんドレッジを使って練習すべきなのですが、環境がドレッジを意識していたり、コンボデッキが多いと結局は厳しい状況に立たされます。しかしもし多くのプレイヤーが対策を怠っている状況で使うことができれば、ドレッジは順風満帆なデッキとなるでしょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。何か疑問点やコメントがあればTwitterまでどうぞ。
アンドレアス・ガンツ (Twitter)