Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2020/2/12)
Hareruya Pros、ライバルズ・リーグへ
みなさんはじめまして。ベルナルド・サントス/Bernardo Santosです。Hareruya Prosの新メンバーであり、ライバルズ・リーグのメンバーでもあります。マジックのプレイ歴はおよそ8年で、最初に遊んだエキスパンションは『ラヴニカへの回帰』でしたが、競技としてプレイし始めたのは2016年のことです。以降、マジックに傾倒するようになり、2017年にシルバーレベルに到達し、その翌年にはグランプリトップ8を3度経験してゴールドレベルへと昇格。
昨年はテーブルトップで好成績を収め、ミシックポイント数で並んだイーライ・カシス/Eli Kassisとテーブルトップにおける最後のライバルズ・リーグ招待枠をかけて争いました。この事実を受け、裁量枠として記念すべき初期メンバーとして招待され、喜んで参加することにしました。私にとってマジックとは趣味を超えるものです。唯一の収入源ですし、今日も付き合いが続く多くの友人と出会わせてくれたのですから。
今回のプレイヤーズツアーも例にならい、同胞のポルトガルのプレイヤーたちと調整を行いました。マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalho、ゴンサロ・ピント/Goncalo Pinto、そしてプレイヤーズツアーの出場権利を持っている友人たち(ルイス・ゴバーン/Luis Gobern、ベルナルド・トーレス/Bernardo Torres)。もちろんブラジルの強豪であるティアゴ・サポリート/Thiago Saporito、ルーカス・エスペル・ベルサウド/Lucas Esper Berthoud、カルロス・ロマオ/Carlos Romaoといった選手もいました。このグループで調整することが本当に大好きで、全員が良き友人ですから尚更ですね。
色の強さランキング
この記事で取り扱うのは『テーロス還魂記』リミテッド、特に黒にスポットライトを当てます。まずは『テーロス還魂記』ドラフトの色の強さランキングをご覧いただきましょう。
色 | ランク |
---|---|
黒 | #1 |
緑 | #2 |
白 | #3 |
赤 | #4 |
青 | #5 |
黒は全体としてカードの質が高く、ほとんどの除去がコモンで収録されているため、他の色と差をつけての最強カラーだと考えています。同じ考えを持つ人がほとんどでしょうから、彼らと黒を争うことになるでしょう。いつも通りシグナルを読み取ってピックしていく必要があります。とはいえ、黒はコモンに優秀でプレイアブルなカードが多いため、多少カットされたとしても良いデッキに仕上げられます。今回は黒という色のドラフト方法、色の組み合わせ方、カードの評価の仕方について解説していきましょう。
ドラフトをする際は自分のデッキが必要としているものを意識しなければなりません。これからピックの優先順位をご説明しますが、そのときに最も必要とされているものを常に考えるようにしてください。たとえば、除去の枚数がある程度ピックできており、「脱出」テーマで序盤の呪文がとれていないのあれば、原則から外れて《最後の死》よりも《ぬかるみのトリトン》をとるべきでしょう。
黒のピック優先順位
ではピックの優先順位を記載します。
《裏切る恵み》の実質的な色
《裏切る恵み》はほとんど黒赤専用のカードです。《最期の噴炎》や《スコフォスの戦導者》で生け贄に捧げなければそのデメリットを帳消しにできません。
有効なサイドボード
黒には有効なサイドボードがいくつか存在します。《塵へのしがみつき》は「脱出」デッキ対策に、《モーギスの好意》や《残酷な医師》はタフネス1が多い白赤対策になります。
色の組み合わせ
黒緑
黒緑は基本的にグッドスタッフデッキです。クリーチャーや除去に優秀なものがありますし、「脱出」呪文と墓地を肥やす呪文を合わせればアドバンテージの獲得と墓地に落ちた呪文の再利用を図れます。
このアーキタイプを象徴するカードは《苦悶の侍祭》です。基本的には長期戦に強いミッドレンジで、多くの「脱出」呪文から自然とアドバンテージを獲得できます。
私のように平凡な運の人ならば「脱出」枠は《死の国の突撃馬》や《毒々しいキマイラ》になりますが、マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalhoほどラッキーなあなたなら《ファリカの落とし子》をピックできるでしょう。ゴンサロ・ピント/Goncalo Pintoに匹敵する運なら初手には《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》が待っているかもしれませんね。この環境で最強のアーキタイプは黒緑というのがチーム内の総意でした。最強の2色を使用しているうえに、強力なシナジーまであるのです。
黒白
黒白はオーラをテーマとしたミッドレンジです。《ヘリオッドの巡礼者》の価値が高いアーキタイプで、《ぬかるみの捕縛》や《凄絶な無気力》といった除去をサーチできます。
このアーキタイプを象徴するのは《栄光への目覚め》です。2:1交換ができるカードでありながら、恐ろしい《夢さらい》を対処できます。呪禁や「被覆」があっても、《栄光への目覚め》のようにオーラを直接戦場に出す呪文ならエンチャントできますからね。有効なアーキタイプですが、シナジーは他の色の組み合わせと比べると見劣りし、白と黒を組み合わせるメリットは小さなものとなっています。とはいえ、いずれも強力な色ですから、質の高いデッキができるでしょう。
黒赤
黒赤は例にならって生け贄をテーマとしており、優秀な除去にアクセスしやすい色の組み合わせです。このアーキタイプを選ぶもうひとつの理由は、他のプレイヤーが欲しがらないようなカードを終盤にピックして有効活用できることにあります。《裏切りの先触れ》や《最期の噴炎》などは黒赤以外のアーキタイプで使ってもあまり強くないですからね。
このアーキタイプを象徴するカードは《モーギスの殺戮神官》ですが、先ほどの《苦悶の侍祭》や《栄光への目覚め》が該当するアーキタイプで極めて強かったのに対し、やや控えめなカードになっています。黒赤が最強だとは思いませんが、私のお気に入りのアーキタイプです。もともと生け贄テーマのデッキが好きでしたし、この環境では非常に強いと思っているからです。
黒青
黒を含む2色のなかで青黒は最弱です。唯一この色を選択したのは初手で《悪夢の詩神、アショク》がとれたときのことでした。テーマらしいテーマがなく、包み隠さず言うならボムレアを引いていない限り青を使うべきじゃないというのがチームの意見です。青は環境最強のボムレアがあるのですが(《キオーラ、海神を打ち倒す》《夢さらい》《悪夢の詩神、アショク》《水底のクラーケン》)、コモンの質が非常に低いです。ですから、アドバイスを贈るとすれば、青を選ぶのは明確なボムレアが引けたとき、あるいは卓で青が完全に空いていると思うときだけにしましょう。
《記憶を飲み込むもの》は悪くないアンコモンなのですが、青黒の狙いをハッキリとさせるものではありません。このアーキタイプにはシナジーがないと思っていますから、青黒をドラフトするときは色に噛み合ったベストカードを取り続け、十分な仕上がりになることを期待しましょう。
おわりに
『テーロス還魂記』ドラフトの黒について解説してきましたが、Hareruya Prosとしての最初の記事は楽しんでいただけたでしょうか。こんなにも素晴らしいプレイヤー集団の一部になれたのは名誉なことですから、この立場にふさわしいプレイヤーであれるように精一杯努力していこうと思います。
それではまた次回お会いしましょう。