神インタビュー: 松田 幸雄 ~神輿に乗せて担がれる最終兵器~

晴れる屋

by Hiroshi Okubo


 松田 幸雄(東京)。

 3代続いたモダン神にしてゴールドレベルプロ・市川 ユウキを破り、見事に第6期モダン神を襲名した“中野の最終兵器”とはその人である。

 そのユニークな人柄から多くのプレイヤーにいじられる愛される松田。彼は今、モダン神として何を想い、どのように試合に臨むのか――本インタビューでは松田のイマに迫る!





やせいの モダン神 が あらわれた!

--「さっそくですが、モダン神に就任されてから何か変わったことはありましたか?」

松田「そうですね……8月のスタンダード番付に入りました

--「あ、本当だ」


【晴れる屋TC番付表】の8月のページを開くと、1位にはYukio Matsudaの名前が。


松田「いやね、神になってからしばらくはむしろ大会参加するのに抵抗あったんですよ。大会参加するときとか、みんな並んで参加費を払ってる中、自分だけ『僕は神です』って言って無料にしてもらうの恥ずかしいじゃないですか」

--「絵面はかなりおもしろい感じになっちゃいますね。一度くらい言ってみたいですけどね、『僕は神です』とか」

松田「他人事だからそんなことが言えるんですよ、まったく……で、周りから『お前馬鹿か、もったいねえから大会に出ろ、ついでに番付に名前載せてこい』みたいに言われて勝手に仕事を減らされて大会に参加させられてました

--「たしかに一時期毎日のように晴れる屋にいらっしゃってましたね」

松田「最初は対戦相手の方に『モダン神の方ですか?』とか聞かれてやっぱり恥ずかしかったんですけど、最終的には2位の方とデッドヒートを繰り広げて、かなり頑張って参加していました。PPTQよりもスタンダード番付に入ることを優先してましたからね」

--「それはすごい熱意ですね。モダンは参加されていなかったんですか?」


霊気池の驚異


松田モダンはまったくですね(キリッ) 強いていうなら《霊気池の驚異》を使ったデッキを脳内で考えているくらいです。最近はフロンティアもやってみたいなーと思っていろいろ考えてます。《エレボスの鞭》があればパーフェクトシディシウィップが組めたのになぁ……」

--(この人何の神だっけ……)






つよいデッキ よわいデッキ そんなの ひとの かって

--「現在モダンはまったくプレイされていないんですか?」

松田「大会に出る頻度こそ減りましたが、最新のデッキリストやPPTQを突破したデッキの情報は一通り目を通していますよ。関東はバーンが多いんだな、とかTwitterだけでもけっこう情報収集できるもんです。あと《密輸人の回転翼機》が入った『アブザンジャンク』なんかはいいデッキだなぁ、と思います」

--「なるほど。情報収集は怠っていない、と……」

松田「あとはデッキを考えるのも好きなので、いろいろ考えてます。さっき言った《霊気池の驚異》もそうですが、《異界の進化》とか《金属製の巨像》とかもおもしろいデッキが組めそうですよね」


異界の進化金属製の巨像


--「たしかに、その2枚には可能性を感じますね」

松田「他にも《尖塔断の運河》など対抗色ファストランドも収録されたので、前の【第6期モダン神決定戦】の頃と比べて環境はそこそこ変化してるのかな、と思っています」

--「では、当日は変化したモダン環境を体現する『マツダオリジナル』が見られるのでしょうか?」

松田「無茶ぶりじゃないですか、勘弁してくださいよwww でもまぁ、友人には《サヒーリ・ライ》を使ったデッキで出ろって言われてますね」


サヒーリ・ライ


--「【神が選ぶ『カラデシュ』注目カードトップ3!】でも挙げていらっしゃいましたもんね」

松田「あのコンボは僕とぶるじょわ君(※1)が考えたものなんですけど、まぁいいデッキを思いついたら使ってみたいですね。ただ、《サヒーリ・ライ》が輝くとしたらモダンよりもスタンダード(※2)なんじゃないかなー、と思ってます」


※1 ぶるじょわ:中野の統率者戦サークル「Cripta de Mana」のマニアックデッキ担当で、マジック専門誌『マナバーン』にも寄稿している。松田曰く「彼とはよくつるむけど、練習相手としては頼りにならない。すぐに寝始めるかキューブドラフトを始めようとする」とのこと。

※2 《サヒーリ・ライ》:このインタビューから1週間後、松田は【『カラデシュ』ゲームデー】《サヒーリ・ライ》をメイン・サイド合わせて4枚採用した「ティムールエネルギー」を使用し優勝していた。






おーす! みらいの チャンピオン!

--「5ヵ月前の市川さんとの試合に関して何かご感想などはおありでしょうか?」

松田「あれは正直、かなり運に助けられました。僕はほとんど毎ゲーム《渋面の溶岩使い》をプレイできていたのに対して市川さんは《頭蓋囲い》をなかなか引かなかったり、《跳ね返す掌》がきれいに決まったり。僕としてもサイドボードで多少は『親和』を意識していましたが、予想の斜め上で少しガードが下がっていたのでラッキーです」


渋面の溶岩使い跳ね返す掌


--「たしかに見ている側としても手に汗握る試合でした。今回は立場を変え、神として対戦することになりますが、お気持ちはいかがでしょう?」

松田「神ではあるんですけど、意識の上では挑戦者として試合に臨みたいです。というか、モダンってそういう意識でやらなくちゃいけない気がするんですよ。相性を探るゲームだから、自然と情報量が多い神が不利になりますし。挑戦者にデッキを読まれないように、ではなく、挑戦者のデッキを読み切ってやる!という感覚ですね。攻めの姿勢です」

--「挑戦者である大池さんへの印象はいかがですか?」

松田「実は僕、【第6期モダン神挑戦者決定戦】で大池さんと当たったことがあるんですよね。そのときの大池さんは『ランタンコントロール』を使ってらしたんですけど、今度は当時そこまで有名じゃなかった『ドレッジ』で優勝したじゃないですか? そういうイロモノデッキを使ってちゃんと勝つのって、かなり環境理解度が高くないと難しいと思うんですよね。なので、一筋縄にはいかないかなと」

--「秘策などはおありでしょうか?」

松田「秘策っていうのとも違うと思うんですけど、仲間がいることが僕の強みです。前回もバーンの調整に付き合ってもらったり、【対戦カバレージ】にもありますが、グルランドを貸してもらったりしました。今回も調整に協力してもらえるので、しっかり準備して戦おうと思います!」

--「ありがとうございます! 当日もがんばってください」








 大会参加費無料など、神として受けられる恩恵を十分に享受しさらに腕を磨く松田。

 謎のヴェールに包まれた強敵・大池とどのような試合を繰り広げるのか? 当日の試合の様子も要チェックだ!