Translated by Kohei Kido
(掲載日 2020/08/25)
はじめに
『ダブルマスターズ』は他のどのセットとも違うセットです。セットには2倍のレア収録数、パックには2倍のレアと2倍のフォイルカードが入っています。今まで他のどのセットでもなかったことです。このセットのドラフトでは、パックを開けるたびに最初のピックでは2枚カードをピックすることになるのも今までと違います。
現在私はMagic Onlineで137回ドラフトをしていて、3-0を44回達成しました。勝率は70%です。このセットのドラフトに関する私の知見を少し共有させてください。
知見
『ダブルマスターズ』のリミテッドはあまりに深遠で複雑なのでこのセットのドラフトについてあらゆることを書き記すことはできないでしょう。それでも『ダブルマスターズ』のドラフトについて詳細に書いていこうとは思っています。パックのレアの枚数が倍でパックを開けたあとの最初のピックも倍なので、『ダブルマスターズ』のドラフトではデッキが強力になります。多くのアンコモンは他のセットであればレアとして扱われそうなカードたちです。
『ダブルマスターズ』のカードパワーの水準は高いので、本当に優れたアグロ向きレアを引いたのでなければアグロデッキを組むのは避けます。カードプールには8枚の全体除去があって、アグロデッキが勝ちきることをとても難しくしています。
『ダブルマスターズ』のリミテッドではアーティファクトが中心になります。多くの強力なシナジーはアーティファクト絡みのものです。アーティファクトを中心に組まれていないデッキでも何枚かアーティファクトは入っています。だからアーティファクトを破壊できるカードは特別なカードです。私なら、一部の例外を除いてアーティファクトに干渉できる手段をメインデッキに必ず用意します。
分析
アーティファクト
最高のアーティファクトカード2つは《彩色の星》と《胆液の水源》です。両方とも、多くのアーティファクト関連のカードの間をつなぐピースになります。
《彩色の星》は有色のボムカードや除去を実質的にコスト無しでタッチさせてくれます。生け贄にした時に、ドローがついてくる要素も併せ持っています。
《胆液の水源》は出せばドローがついてきます。生け贄にする能力か手札に戻す能力と合わさると2マナでカードを2枚引く効率的な方法、もしくは少しのマナ消費で毎ターンカードを引ける装置になります。
この2種類のカードを多く持っていると、追加のドローのおかげでデッキに入れる土地の枚数を削ることが可能です。無色なのでマナ基盤にかかる色マナの負担も軽くなります。
黒
除去を強みとしているので黒はお気に入りの色のひとつです。黒のトップコモン2枚は《喪心》と《処刑人の薬包》です。
《喪心》はカードプール内で一番優秀なコモンの除去です。《処刑人の薬包》は簡単にピックできて、アーティファクトを使いまわす手段となるカードとシナジーがあります。
赤
赤のトップコモンは私の見解では《蛮行オーク》と《削剥》です。
《蛮行オーク》は《胆液の水源》と《彩色の星》の間に良いシナジーがあって、私が組んだコントロールデッキのうち多くのデッキで要石となりました。《削剥》の多芸なところは『ダブルマスターズ』ドラフトでは驚嘆すべき存在です。メインデッキに優秀な除去呪文としても使える《粉砕》を入れることができるのは格別です。
白
白には多くの優秀なクリーチャーが存在していて、アグロ方向に寄っている色でもあります。トップコモン2種類を挙げるとするならば《祖先の刃》と《スレイベンの検査官》ですね。
《祖先の刃》は2マナ2/2の時点で既に効率的なカードです。あとで出すクリーチャーに+1/+1を与えることでお互いに自分から攻撃しづらくなった盤面を打開する手段にもなります。《スレイベンの検査官》も効率的なクリーチャーです。「手がかり」を生成することで多くのアーキタイプ内でシナジーを発生させられます。
緑
緑のトップコモン2種類は《コジレックの捕食者》と《議事会の自然主義者》です。
《コジレックの捕食者》は《血茨》や《森林の勇者》とシナジーがあります。また《モークラットのバンシー》の「陰鬱」を達成する最良の方法でもあります。《議事会の自然主義者》はパワータフネスが高く、能力は『ダブルマスターズ』ドラフトで強い能力です。緑は強い色だと思う一方で、全色のなかで一番アーティファクトシナジーは少ないです。だから緑を使って組むならタッチ緑ではなく、緑のカードが多くの割合を占めるデッキを組むべきです。
青
青は弱い部類の色だと考えています。私が青を使う時は初めに《練達の変成者》や《エーテリウムの達人》、《サイクロンの裂け目》、《大建築家》をピックしていることが多いです。
トップコモンを2種類挙げるなら《フェアリーの機械論者》と《寄生的な大梟》です。
《フェアリーの機械論者》はクリーチャーとしては平均的水準以下ですが、勝利につながるアーティファクトを探すために3枚デッキを掘ることができます。《寄生的な大梟》は実質的に多色のカードですが、青は選択肢が少ないので入れざるを得ませんでした。《風のドレイク》として使うとカードプール内では弱いカードです。ドレインを得られるかどうかで大きな違いが出ます。
「生体武器」のカードでも《寄生的な大梟》が誘発するようになるので、黒いカードが入っていないデッキでも誘発させることはできます。
私のお気に入りアーキタイプ
私が一番勝てているアーキタイプはマルドゥアーティファクトです。よくあるデッキのパターンは《彩色の星》と《胆液の水源》のエンジンと合わせて《黄鉄の呪文爆弾》や《探検の地図》も入れて、デッキに入れる土地の枚数を削りつつ、デッキを掘り進められるようにする形にします。
黒と赤の除去と《蛮行オーク》を併用してボードコントロールしつつ《拡大鏡》のようなドローを生むカードでアドバンテージを稼いでいきます。最終的に《よじれた嫌悪者》や他のフィニッシャーを使ってゲームを終わらせるのです。デッキに入っているカードのほとんどはコモンなのでやりやすい戦略です。
1つの色を別の色にして《飛行機械の鋳造所》や強力なレアを入れることも可能です。《彩色の星》がマナ基盤を調節してくれるので色をタッチするのも簡単です。3-0したアーティファクトコントロールデッキをいくつか見せておきます。
マルドゥアーティファクト
エスパーアーティファクト
グリクシスソプターコンボ
4 《島》
4 《山》
1 《沈んだ廃墟》
-土地(15)- 2 《蛮行オーク》
1 《通路の監視者》
1 《凶兆艦隊の貯め込み屋》
1 《煌めく障壁》
1 《マイアの回収者》
1 《大建築家》
1 《意志の大魔術師》
1 《練達の変成者》
1 《楕円競走の無謀者》
1 《ワームとぐろエンジン》
-クリーチャー(11)-
《彩色の星》コントロール
4 《沼》
2 《島》
2 《山》
1 《埋没した廃墟》
-土地(13)- 1 《悪意の大梟》
1 《マイアの回収者》
1 《蛮行オーク》
1 《刃の接合者》
1 《寄生的な大梟》
2 《オーリオックの廃品回収者》
1 《フェアリーの機械論者》
1 《楕円競走の無謀者》
-クリーチャー(9)-
1 《削剥》
1 《魔力変》
1 《存在の破棄》
1 《硫黄の流弾》
1 《毒の濁流》
1 《秘密の備蓄品》
6 《彩色の星》
1 《黄鉄の呪文爆弾》
1 《胆液の水源》
1 《金属紡績工の組細工》
1 《飛行機械の鋳造所》
1 《拡大鏡》
-呪文(18)-
まとめ
『ダブルマスターズ』ドラフトには様々なアーキタイプがあります。誰にでも気に入るものがあるはずです。読者の方がこの記事から少しでも役立つ情報を得られていると嬉しいです。
あなたの次のドラフトでの幸運を祈ります!
ティエン・ヌウェン( Twitter )