はじめに
みなさんこんにちは。
8月3日の禁止改定告知によって環境からコンボデッキが姿を消し、アグロからコントロールまで活躍しているデッキは多岐に渡ります。ここ数週間のMOの大会結果をみても、メタゲームは常に変化し続けていることがわかります。
今回の連載ではPioneer Challengeの入賞デッキを見ながら、環境の分析をしていきたいと思います。
Pioneer Challenge #12201352
まだまだ頼れる相棒
2020年8月29日
- 1位 Rakdos Aggro
- 2位 Mono Green Devotion
- 3位 Naya Evolution
- 4位 Mono Green Devotion
- 5位 Mono Green Devotion
- 6位 Mono Green Devotion
- 7位 Sram Aura
- 8位 Boros Burn
トップ8のデッキリストはこちら
コンボパーツが禁止になった影響で、現環境ではアグロ~コントロールまで、様々なデッキが活躍しています。
「相棒」ルールの変更後も《夢の巣のルールス》と《空を放浪するもの、ヨーリオン》は採用され続けています。
デッキ紹介
Rakdos Aggro
4 《山》
1 《寓話の小道》
4 《血の墓所》
1 《泥濘の峡谷》
3 《竜髑髏の山頂》
3 《凶兆の廃墟》
2 《ロークスワイン城》
-土地 (22)- 4 《縫い師への供給者》
4 《戦慄衆の秘儀術師》
4 《若き紅蓮術士》
3 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
3 《リックス・マーディの歓楽者》
-クリーチャー (18)-
2 《マグマのしぶき》
2 《戦慄掘り》
2 《無情な行動》
2 《害悪な掌握》
2 《魂標ランタン》
1 《塵へのしがみつき》
1 《ファリカの献杯》
1 《夢の巣のルールス》
-サイドボード (15)-
《夢の巣のルールス》を「相棒」にしたRakdos Aggroが、トップ8に入った勢いそのままに優勝を果たしました。
モダンのRakdos Prowessと違い《ミシュラのガラクタ》や《魔力変》がないため、《夢の巣のルールス》や《戦慄衆の秘儀術師》が供給するカードアドバンテージを活かしたミッドレンジ寄りのアグロに仕上がっています。
現環境で最高の妨害スペルの《思考囲い》や軽量除去スペルである《致命的な一押し》の両方を採用できるところがこのデッキの特徴です。これまで結果を残していなかったデッキなだけに要注目です。
☆注目ポイント
墓地のカードを増やせる《縫い師への供給者》はこのデッキでもっとも重要な1枚であり、《戦慄衆の秘儀術師》で再利用するためのスペルを墓地へ落としつつ、フィニッシャーである《死の飢えのタイタン、クロクサ》の「脱出」コストを稼いでくれます。さらに墓地に落ちたクリーチャーは《夢の巣のルールス》や《立身》で再利用することができます。
レガシーでもDelver系の主力のクリーチャーとして活躍している《戦慄衆の秘儀術師》は、パイオニアでも強力な2マナ域のクリーチャーとして活躍しています。《思考囲い》や《致命的な一押し》を再利用することでアドバンテージを稼ぎ、《若き紅蓮術士》が合わさればアタックと合わせて毎ターン2体以上のエレメンタル・トークンを生成することになります。
《夢の巣のルールス》を「相棒」として使うため、このデッキのクリーチャーはすべて2マナ以下となっており、《立身》は優秀なリアニメイトスペルとして機能します。《戦慄衆の秘儀術師》を対象に「余波」で《出世》をキャストすれば、パワーが3になるため再利用できるスペルの選択肢も広がります。
Mono Green Devotion
2 《ギャレンブリグ城》
4 《ニクスの祭殿、ニクソス》
-土地 (21)- 4 《エルフの神秘家》
4 《ラノワールのエルフ》
4 《炎樹族の使者》
2 《大食のハイドラ》
2 《翡翠光のレインジャー》
3 《長老ガーガロス》
-クリーチャー (19)-
1 《石とぐろの海蛇》
1 《長老ガーガロス》
1 《新緑の機械巨人》
1 《隕石ゴーレム》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
1 《トーモッドの墓所》
1 《墓掘りの檻》
1 《真髄の針》
1 《減衰球》
1 《キランの真意号》
1 《連結面晶体構造》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》
1 《王神の立像》
1 《グレートヘンジ》
-サイドボード (15)-
《ニッサの誓い》が解禁されたことで安定性が向上し、トーナメントレベルへと復権したMono Green Devotion。『基本セット2021』から《長老ガーガロス》も加わりさらに強化されています。
メタゲームが進むにつれて対策が厳しくなると思われましたが、マナクリーチャーや《ニクスの祭殿、ニクソス》から立て続けにキャストされるパワーカードは半端な妨害手段では対処しきることは困難であり、結果を残し続けています。
☆注目ポイント
新戦力である《長老ガーガロス》はマナ加速を多用するこのデッキでは最速で3ターン目にプレイすることが可能であり、対戦相手を選ばずにほぼすべてのマッチアップで活躍が期待できます。
《狼柳の安息所》は2マナですが、オーラであるため除去されにくく、信頼性の高いマナ加速です。5マナを支払ってサクリファイスすることで狼・トークンを生成できるので、マナが余る中盤以降に引いてきても腐りにくいのも評価に値する部分です。
《ニッサの誓い》は序盤は土地やマナクリーチャー、中盤以降は脅威を見つけ、また、初手にあればキープ基準にもなるこのデッキで最高の1枚です。「信心」としてもカウントできるのも地味に嬉しく、このカードが解禁されたことでMono Green Devotionがトーナメントレベルで再び活躍できるようになりました。
Pioneer Challenge #12203377
新環境のトップメタは青いコントロールデッキ
2020年9月5日
- 1位 Esper Control
- 2位 Mono Black
- 3位 Esper Control
- 4位 Jeskai Lukka
- 5位 Mono Green Devotion
- 6位 Temur Reclamation
- 7位 Mono Black
- 8位 5C Niv
トップ8のデッキリストはこちら
環境からコンボが姿を消し、青ベースのデッキが台頭してきたパイオニア。禁止改定直後のメタゲームでは5C Nivがもっとも成功を収めていたデッキでしたが、現在はTemur Reclamationがトップメタに位置しています。
かつてスタンダードを支配していたJeskai Lukkaがパイオニアでも注目を集めており、Challengeでもコンスタントに上位入賞しています。
デッキ紹介
Jeskai Lukka
2 《島》
2 《山》
4 《寓話の小道》
4 《ラウグリンのトライオーム》
3 《ケトリアのトライオーム》
4 《神聖なる泉》
4 《聖なる鋳造所》
4 《蒸気孔》
3 《アーデンベイル城》
2 《ヴァントレス城》
-土地 (35)- 3 《裏切りの工作員》
-クリーチャー (3)-
3 《至高の評決》
3 《岩への繋ぎ止め》
4 《メレティス誕生》
4 《海の神のお告げ》
2 《太陽の神のお告げ》
4 《創案の火》
4 《エルズペス、死に打ち勝つ》
4 《サメ台風》
4 《覆いを割く者、ナーセット》
4 《時を解す者、テフェリー》
4 《銅纏いののけ者、ルーカ》
-呪文 (42)-
《創案の火》が禁止カードとなりスタンダードを去ったJeskai Lukkaですが、カードプールが広いパイオニアでも通用するほどの強さでした。
《至高の評決》や《岩への繋ぎ止め》といった除去がアップデートされている以外はスタンダードのものとほぼ変わらず、トークンを生成し、《銅纏いののけ者、ルーカ》の[-2]能力によって《裏切りの工作員》をサーチして相手のパーマネントを奪い、それらのパーマネントを《空を放浪するもの、ヨーリオン》で再利用してアドバンテージを稼ぎます。
最速5ターン目に出てくる《裏切りの工作員》はパイオニアでも強力であり、体制を立て直すことは困難を極めます。各種クリーチャー対策やプレインズウォーカーを多数採用しているため、青ベースのコントロールとしても振舞うことができ、Dimir Inverterに代わりパイオニアを代表するコンボデッキとなれるのか要注目です。
☆注目ポイント
基本的な構成はスタンダードのものと同じですが、より強力な除去スペルを採用しています。《岩への繋ぎ止め》はマナクリーチャーからファッティまで、環境に存在するありとあらゆるクリーチャーをわずか1マナで対処することができます。軽量除去があることで、序盤からライフを削ってくるデッキに対してコンボまでの時間を稼ぎやすくなります。
安全に《銅纏いののけ者、ルーカ》の[-2]能力を起動するために、相手からのインスタントタイミングでの干渉をシャットアウトできる《時を解す者、テフェリー》がフル搭載されています。
《創案の火》と5枚目の土地さえ揃えば、1ターンの間《銅纏いののけ者、ルーカ》と《太陽の神のお告げ》の両方をプレイできるため、5ターン目にコンボが決まります。《空を放浪するもの、ヨーリオン》によって《裏切りの工作員》を使いまわし、複数のパーマネントを奪うことができれば勝利は目前です。
Temur Reclamation
1 《山》
1 《森》
3 《寓話の小道》
4 《ケトリアのトライオーム》
4 《繁殖池》
4 《蒸気孔》
1 《踏み鳴らされる地》
3 《根縛りの岩山》
3 《ヴァントレス城》
2 《爆発域》
-土地 (28)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
2 《長老ガーガロス》
-クリーチャー (5)-
現環境のトップメタに位置するTemur Reclamation。サイドボードを合わせればカウンターを多数採用しているため、5C NivやJeskai Lukkaに対して強く、スイーパーの《神々の憤怒》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のライフゲインもあるので、アグロデッキとの相性も悪くありません。
デッキの大半がスタンダードのカードであるため、過去にスタンダードでTemur Reclamationを使っていたプレイヤーには特にお勧めです。
☆注目ポイント
スイーパーの《神々の憤怒》や軽量除去の《焦熱の竜火》を使えるところがTemurカラーのコントロールの強みです。Mono Black AggroやRakdos Aggroのように墓地をリソースとするデッキが多数存在しているため、“追放”というテキストは極めて重要なものとなります。《焦熱の竜火》はプレインズウォーカーも対象に取れるので、コントロールとのマッチアップでも腐りにくいスペルです。
最近はバウンススペルの《サイクロンの裂け目》をメインから複数採用しているリストをよく見かけます。《荒野の再生》によって使えるマナが実質2倍になるので「超過」でキャストしやすく、特にMono Green Devotionとのマッチアップではマナクリーチャーにはじまりプレインズウォーカーまですべてをバウンスすることで、かなり時間を稼ぐことができます。カウンターで対処できない《サメ台風》のサメ・トークン対策としても使え、多くのマッチアップで有用なスペルです。
《長老ガーガロス》はモダン級のカードであり、パイオニアではMono Green Devotionの主力クリーチャーとして定着しています。火力で対処されず、《致命的な一押し》の対象にもならないため、アグロとのマッチアップで強さを発揮します。
総括
今回紹介したデッキ以外にもMono Black Aggroや5C Niv、Orzhov Aurasなど、現在のパイオニアにはさまざまなデッキが存在しており、その多くがMOのChallengeレベルの大会で上位入賞できる力があります。
パイオニアでは禁止改定によりコンボが衰退し、これまでトーナメントレベルではなかったデッキにも活躍の機会が生まれました。現環境は解明には程遠く、それこそ今回紹介したRakdos Aggroは2週間前のPioneer Challengeで優勝をするまでは無名のデッキでした。このように毎週メタゲームが変化しています。
数週間後には『ゼンディカーの夜明け』がリリースされるため、新カードによってさらに変化していくことが予想されます。
USA Pioneer Express vol.10は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいパイオニアライフを!