(スマートフォンの方は【こちら】)
皆さんこんにちは。
先日開催の【グランプリ・名古屋2016】に参加してきましたので、今回もイベントレポートをお届けします。
フォーマットはリミテッド。すでにお馴染みとなった『戦乱のゼンディカー』に、新発売の『ゲートウォッチの誓い』を合わせた2種類のパックを使用します。
発売されたばかりのパックを使ったリミテッドといえば、昨年5月に【グランプリ・千葉2015】が開催されましたが、このイベントでは参加してきたグランプリで唯一の初日落ちを経験しており、苦い思い出となっています。
発売から本番までわずか1週間という超短期スケジュールの中、この失敗は僕個人が抱える「練習効率の悪さ」という課題が浮き彫りになった格好だと受け止めています。
比較的好成績を残せた【グランプリ・静岡2015】の際は、本番まで3ヶ月と準備期間が長く、その間ほぼ毎日シールドかドラフトをプレイしていたので、技術力の低さを量でカバーできていました。
しかし今回またこうして1週間後のタイミングで開催が行われたことから、今後もこうしたイベントが続く可能性は十分にあり、これまでのやり方を通していては将来的に勝てるビジョンが見えてきません。
今回はこの改善を図るべく練習方法を全面的に見直し、当日までの準備を以下のように進めて行きました。
■ 当日に向けての準備
今回、Hareruya Pros加入後初となる【晴れるーむ合宿】に参加し、2日間に渡って大変貴重な経験を積ませていただきました。
そうそうたる顔ぶれの中でプレイすることになり、緊張でガチガチに。しょうもないミスで迷惑をかけ申し訳なく思うことも多かったのですが、みなさん親身に接してくださり、たくさんのアドバイスをいただくことができました。
レベルアップを確かに感じることができ、充実した2日間だったと大変満足しています。
ドラフトの練習はこの2日間のみで、それ以外の時間は全てシールド練習に割り当てました。個人的にシールドの苦手意識が強く、明確な練習方法を未だに確立できずにいたからです。
発売前もプレリリースで入手したプールを地元の友人らと何度も検討しました。再構築を行いながら繰り返しの対戦です。
以前のやり方に比べて構築よりも対戦に重きを置き、シールドにおける各カードの使い勝手や、どのようなゲーム展開になりやすいのかを整理します。
その上で、弱いプールを引いたときのごまかし方だとか、相性的に厳しい相手へのサイドボーディングなど、一つのプールでのやりくりを学ぶことに時間をかけました。
直前に、【公式サイトでシールドの達人として取り上げられている松本 郁弥さん】とたまたまお会いすることができ、その際お聞きした話を参考にしています。
マジックを始めてからここに至るまでの1年間、たくさんの人達との出会いがありましたが、見聞きしてきた話のひとつひとつが成長の糧となっていて、周囲に育てられていることを強く実感しています。
僕の地力はまだまだ低く、できていないこと・知らないことが山のようにあります。Pros入りを機に周辺環境が大きく変化しましたが、全面的に良い方向への変化だと受け止めていて、マジックの楽しさをより強く感じるようになりました。
学ぶことのひとつひとつを楽しんでこなせているので、今非常に良い状態でマジックをプレイできていると思います。
■ 1日目・シールド
迎えた本番。
【前回のレポート】でbyeの重要性について記しましたが、今回はPWPによる1byeです。過去2度挑んだ個人戦リミテッドグランプリは共にノーbyeで、検証が不十分なメインボードとサイドプランを強く後悔したことから、1ラウンドの間とはいえ、丸々検証に割り当てられる時間は大きな意味を持ちます。
朝一から会場に向かいプールを受け取りました。祈る気持ちでパックを開封していきます。
パックのレアは《チャンドラの誓い》《面晶体の連結》《海門の残骸》《廃集落》《プリズム結界》《古参の戦導者》。
他のレアも冴えず、しょんぼりしていたところをパックチェック相手の外国人に肩を叩かれ、「enjoy!」と励まされてしまいました(笑)
唯一の救いは、こっそり紛れ出ていた《巨人の陥落》のFOIL。7枚目のレアの登場に少し安堵しました。
ただ依然として厳しいプールであることに変わりはなく、長期的なゲームに競り勝つためのカードもなかったので、殴れそうなカードと除去を詰め合わせた通称「クソビート」を構築してメインボードに。
カードが足りず、怪しいものがちらほらありますが、ギリギリ戦えそうな内容。
《祭壇の刈り取り》は《封止の被膜》のような除去が使われやすい点と、《孤立領域》や《忘却の一撃》といったやや重い除去が環境の主となっていることから、シールドのクソビートではまずまずの働きをします。
また主軸となるクリーチャーが4マナに集中してしまったため、この膨らみを懸念して《面晶体の這行器》を採用したこともあり、後半役割を失くしたこのカードをドローに変換することも見据えています。
サイドプランとして、メインボードの低マナ域が早々に機能しなくなるようなガッチリしている相手に対し、どっしりとしたクリーチャーを備えた3色デッキを。
マナベースにかなり無理を強いているため安定性が低く、メインボードで使うには厳しい出来映えです。相手が守備的なデッキと断定でき、多少の遅れが許容された場合のみ使用します。
どちらのデッキも真にパワフルなデッキには勝てそうにありません。9-0や8-1はもってのほかで、良くて7-2、初日落ち妥当の腹で、ベストだけは尽くそうと本戦に臨みました。
結果は……
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | BYE | |
Round 2 | 白黒 | 〇〇 |
Round 3 | 青白 | ×〇× |
Round 4 | 緑白 | ×× |
Round 5 | 赤黒 | 〇〇 |
Round 6 | 緑白t青 | 〇×〇 |
Round 7 | 緑白t青 | ×〇〇 |
Round 8 | 赤緑t黒 | 〇×〇 |
Round 9 | 白黒 | 〇〇 |
7-2。この内容でなら僥倖でしょうか。
失敗点としては、先手デッキであること&4マナ域が渋滞していることから、メインボードの《終末の目撃》が不要です。蛇足的なプレイになりがちで、ほとんど活躍しませんでした。
両色にダブルシンボルがあり、マナベースが若干怪しいので18枚目の土地の方が良かったかもしれません。
2敗の成績は2日目が全勝縛りですが、希望を持って臨めるだけ幸せです。
今大会から6-3の成績でも2日目に進出できるようになり、2日目のメインイベントスペースはこれまでの何倍もの数のプレイヤーでひしめいていました。
■ 2日目・1stドラフト
GP静岡以来、1年ぶりの2日目ドラフトです。あれからもう1年経つのかと感慨深い気持ちになりました。
相変わらずの高揚感で、普段の和気藹々としたドラフトも好きですが、緊張感漂う競技ドラフトは一層好みです。
ピックの方は、1-1をイマイチなラインナップから《草原の滑空獣》で始め、白の混み具合を感じてからは空いている緑へシフト。赤と黒のカードは流れが悪く、青緑はあまり良いデッキにならない傾向から避けたいため、緑タッチ白の形を目指してピックを進めます。
最終的には以下のようなデッキに。
除去がほとんど確保できず、パッとしないデッキに。緑白の割にはテンポに長けるわけでもなく、《鞍背ラガーク》を軸にした2マナ⇒3マナ⇒「支援」の展開を狙う平均的な速度感のデッキです。
結果は……
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 10 | 赤青怒濤 | 〇×× |
Round 11 | 青黒欠色 | 〇×〇 |
Round 12 | 青赤欠色 | ×〇× |
1-2!PT権利どころか賞金の目さえもなくなってしまいました。
除去の薄さがたたって、1度「支援」しただけでは乗り越えることのできない大きなクリーチャーに圧倒され、押し潰される展開ばかり。《コジレックの大口》など、1度の「支援」では突破できないような高タフネスクリーチャーを持つ赤青は今回のデッキにとって鬼門となる相手でした。
また膠着状態を打破するために添えた《産み落とす巨体》は重過ぎて蛇足感が否めず、何度も足を引っ張りました。ピック・構築共に問題があったので、妥当な成績と感じています。
■ 2日目・2ndドラフト
1-1を《巨岩投下》から。
1-2でレア抜けのパックから《忘却の一撃》をピックし、1-3では目ぼしいものがなかったので《空の探索者》をピック。希望するアーキタイプである「赤黒欠色」と「青黒欠色」の2つを意識して進めます。
この2つは練習段階での勝率が高く、『ゲートウォッチの誓い』のカードとイマイチ噛み合わないと評判の『戦乱のゼンディカー』でもデッキに適したカードを確保しやすいのが利点です。
最終的なデッキは以下。
赤は混んでいましたが、「欠色」の被りはないようでパーツは潤沢でした。序盤の動きあり、除去あり、レアあり。良いデッキです。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 13 | 緑白支援 | 〇〇 |
Round 14 | 赤青怒濤 | 〇〇 |
Round 15 | 緑白支援 (中島 主税さん) | ×〇〇 |
これだけまとまっていればさすがに強力で、最終戦ではProsの大先輩・中島さんとの全勝を賭けた対決も。
シールド7-2、1stドラフト1-2、2ndドラフト3-0で計11-4。
139位で賞金なしのプロポイント2点でした。
■ 反省点
一番悔やまれるのは1stドラフトでの失敗です。今回のドラフトにはルールをいくつか設けて臨んでいて、下記がそれに当たります。
1.1-1は ずば抜けて強力なカード>除去>2マナ域>それ以外 の優先度
2.極力「赤白同盟者」「赤黒欠色ビート」「青黒欠色ビート」「緑白支援」をやる
3.マナカーブを整え、順当なビートダウン&消耗戦の着地点にフィニッシャーを置く
2.極力「赤白同盟者」「赤黒欠色ビート」「青黒欠色ビート」「緑白支援」をやる
3.マナカーブを整え、順当なビートダウン&消耗戦の着地点にフィニッシャーを置く
2回のドラフト共に概ねこれを守ることができたとは思うのですが、各デッキの完成図や前提条件を誤認していた可能性があります。
特に緑白支援は「同盟者」か「1マナから展開していける《戮力協心》を強く使える構成」か「除去厚め」のどこかに寄った構築が強デッキの前提だと感じました。
僕の今回のデッキは4マナ~5マナの中堅クリーチャーが盤面に出てくるとすぐに攻撃が止まってしまい、何もできなくなります。
「同盟者」なら《オンドゥの戦僧侶》でライフゲインしたり《落とし子縛りの魔道士》でこじ開けることができ、「《戮力協心》軸」ならそれよりも早くテンポで押し込み、「除去厚め」の構築なら壁となるクリーチャーを積極的に除去して攻撃を続けることができます。
ピック終了段階では「なんとか2-1ぐらいなら……」と思っていましたが、実際戦ってみると「これではダメだ」と思い知らされる場面ばかりでした。
デッキの成功ケースを色の単位のみでまとめてしまっていたのが問題でした。
「何が良かったのか」「何がダメだったのか」を具体化し、「どんなデッキが勝ちやすいか」だけでなく「どんなデッキが負けやすいのか」も整理しておく必要があります。
ドラフト終了段階では3-0デッキにばかり目を向けてしまいがちですが、成功の共有だけでなく、失敗の共有も大事だと感じました。
練習で到達できなかった失敗を本番で犯してしまうことは分かりやすい形での練習不足の表れだと思うので、また一つ教訓として、次への足掛かりにして行きます。
それではまた次回。
原根
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする