Translated by Kohei Kido
(掲載日 2020/10/08)
はじめに
みんな元気にしているかい?読者のみんなに読んでもらうためにリミテッドの記事を書いてきたよ!構築フォーマットの健全性について世間は議論しているけど、その中で自分は今まで以上にリミテッドにハマってしまっているよ。「リミテッドをやりすぎているからもうちょっとスタンダードを研究した方がいいよ」とチームメイトから言われてしまうほどさ😆
『ゼンディカーの夜明け』のリミテッドは楽しいし、素晴らしい環境だ。「パーティー」のメカニズムを持つカードには単独でも及第点の性能で、条件を満たせば強くなるものがある。新しく登場した呪文と土地のモードを持つ両面カード(以下「両面カード」)は(リミテッドではよく起こる)マナフラッドを避ける新たな手段となっている。だからデッキを組んでみて土地12枚と「両面カード」6~7枚のデッキが完成してもためらう必要はないよ。「上陸」メカニズムの再登場も土地を引いたときにメリットを得ることを可能にしているし、同じく再登場した「キッカー」メカニズムも序盤に使える呪文をゲーム後半ではマナを多く消費する呪文に変えてくれる。マナフラッドに強い環境が整っているんだ。
各色の特徴
上記のどのメカニズムも各色に存在しているけど、色によって得意なメカニズムと多く存在するクリーチャー・タイプが異なるよ。
白は「パーティー」に優れていて次点で「上陸」だ。主なクリーチャー・タイプは戦士とクレリックで、ウィザード(《遠見の達人》)も存在しているが、ならず者はいない。
青は「キッカー」に優れている。多いクリーチャー・タイプはウィザードとならず者で、クレリック(《冷たき深淵の僧侶》)も存在しているけど戦士はいない。
黒は「パーティー」で有用なカードを多く持っていて次点で「キッカー」だ。主なクリーチャー・タイプはクレリックとならず者で、戦士(《名門の吸血鬼》)も存在はしているが、ウィザードはいない。
赤はどのメカニズムでも言及に値するカードが存在している。主なクリーチャー・タイプは戦士とウィザードでならず者も複数いるが、クレリックはいない。
緑は主に「上陸」と「キッカー」のメカニズムに強く、全「パーティー」クリーチャー・タイプのクリーチャーが存在しているのは緑だけだ。
調べた結果、「上陸」を持つクリーチャーのほとんどは「パーティー」に寄与するクリーチャー・タイプを持っていないことが判明したから、この2つの要素をデッキで両方使いたいときには注意が必要だ。
これまでのシーズン序盤で自分が一番上手くいった色は青で、次点で黒と緑だ。
「両面カード」はとても優れている。《火砕のヘリオン》や《カザンドゥの踏みつけ》のような能力を持つカードはゲーム後半になってから土地として置いた「両面カード」を手札に戻すことができて、それによってカードアドバンテージを得られる。
トップコモン
各色についてトップコモン5枚に注目しながら話していこう。
白
白はリミテッドではアグロ寄りの色になることが多くて、『ゼンディカーの夜明け』でもそうだ。主なメカニズムは「パーティー」だから、呪文から最大の効果を引き出すためにがんばることになる。「上陸」にも2ターン目に出せば雪だるま式に成長するアンコモンの《恐れなき雛》のような優秀なカードが存在している。これを踏まえて白のベストコモンとして選んだカードを見てみよう。
5位《訓練された戦術》
ライフレースをしている状況では除去として、アグロ寄りに行動しているならコンバット・トリックとして使える。「パーティー」の数の倍のダメージを与えるからすぐに1マナで4点のダメージを与えられるようになる。軽くて芸達者な呪文だ。
4位《タジームの猛禽》
リミテッドでは多くの場合3マナで2/2の飛行クリーチャーは及第点の能力で、このクリーチャーはカードプールとのシナジーを生む追加の能力を持っている。「上陸」能力とシナジーがあって、土地を毎ターン置く手助けをしてくれる。ゲームの中盤・終盤なら「両面カード」を手札に戻してカードアドバンテージを生む能力としても使えるね。
3位《うろつくフェリダー》
成長し続ける警戒持ちの「上陸」クリーチャーで、攻防一体だ。
2位《英雄たちの世話人》
これはいいカードだ。白の中心的メカニズムは「パーティー」だから出たときにまとまった量のライフを得られる。それに重ねて良好なパワー・タフネスを持った飛行クリーチャーはライフレースを逆転するのに十分な性能だ。
1位《ナヒリの束縛》
このセットの色で一番のコモンカードで、白のコモンで唯一良好な除去だ。
青
青はこのセットのリミテッドで一番強い色だ。白のトップコモン5枚の中には数合わせのカードも含まれていたけど、青で選んだコモンはどれもデッキに入れられたらうれしいカードだ。選んだカードはどれも芸達者で、この色はライフレースを仕掛けることもできるし、 不利になったゲームを挽回することもできる。このセットで一番手堅い色だと思っているのはそういう理由からだね。
5位《タジームの乱動魔道士》
2ターン目に出せば2/1の「クマ」相当クリーチャーで、6マナで出せば手札にインスタントかソーサリーを戻せるということは、序盤を耐えしのぐのにもカードアドバンテージを生むのにも使えるということだ。このカードの全要素に意味がある。ウィザードで、「キッカー」を持っていて、序盤に相打ちをとれる2マナクリーチャーだ。
4位《探検隊の占者》
上で青の主なクリーチャー・タイプはウィザードだと言ったね。こいつは良好なパワー・タフネスを持ち合わせた飛行クリーチャーで死亡時に他のウィザードをコントロールしていればカードも引ける。
3位《乱動への突入》
いいカードが再録された。急を要するときには2マナで使えるけど、ハンドを失わずに時間稼ぎできるように「キッカー」は常に狙った方がいい。
2位《狡猾な泉魔道士》
3マナで3/2は『ゼンディカーの夜明け』の標準的パワー・タフネスだけど、クリーチャーを出しながら相手のクリーチャーを一体手札に戻せる可能性があることで、攻めているときにも守っているときにもいいカードとなっている。このカードも「パーティー」のクリーチャー・タイプを持ちながら「キッカー」も持っていることで、シナジーの強いデッキで使いやすいカードだよ。
1位《泡の罠》
どんなに大きいクリーチャーにでも使える1マナの除去が優れていることを説明するのに多くを語る必要はないだろう。クリーチャーがアンタップ状態のときに4マナで使っても優れているし、「キッカー」で青のテーマともシナジーがある。
黒
サポートカラーとして優れているのは黒だ。トップコモン5枚に除去が3枚入っているからね。クリーチャーは少し弱いけど、あまり制約もなくてシナジーにも依存していないカードが多いから他の色と組み合わせるのは簡単だ。
5位《恐怖の薄暗狩り》
このカードの柔軟性にはいい印象を抱いている。2ターン目か6ターン目に出せれば相手の計算を狂わせられる飛行クリーチャーで、ライフを得られることで黒の他のカードともシナジーを持つ。
4位《マラキールの血僧侶》
「パーティー」に数えられる軽いマナのクレリックでライフドレイン能力付きだ。序盤は1点のライフをドレインする「クマ」相当のクリーチャーとして使えて、ゲーム終盤になればお互いに動きづらくなった盤面で3~4点のライフをドレインしてゲームを決められる可能性がある。
3位《大群への給餌》
どんなクリーチャーでも除去できる軽い呪文で大型クリーチャーを除去できるときに価値があるけど、《忘却への旅》や《泡の罠》、《ナヒリの束縛》のようなゲームに強い影響力を持つエンチャントを破壊するのにも使える器用さがある。
2位《弱者成敗》
このセットでの平均的なクリーチャーのパワーは3くらいだから、《弱者成敗》は多くのデッキに対して《殺害》として使える。ライフを消費せずインスタント・タイミングで使えて助かることも多いから、エンチャントは破壊できないけど《大群への給餌》よりも上位にランクインする。
1位《命取りの協力》
コモンで条件のないインスタント除去はいつでもピック優先度の高いカードだ。2マナや(私の友人ベルナルド・サントス/Bernardo Santosくらい幸運であれば)1マナで使えることもありえるから、どんなデッキに入れても信じられないくらい強い。
赤
赤はいつも通りアグロ寄りの色で、コモンのいい除去と相手にダメージを与える多くの手段に恵まれている。特筆するほどとんでもなく強いクリーチャーはいないけど、ゲームを決めるには十分な性能のクリーチャーがいる。
5位《地割れの魔術師》
序盤にクリーチャーを展開するのがゲームに勝つためのカギになることがある環境だ。手札のカードを交換できて、「パーティー」に寄与するウィザードのクリーチャー・タイプも持つ「クマ」相当のクリーチャーカードだね。
4位《同期した魔術》
個人的にはちょっと重い呪文だと思うけど対戦相手にもダメージを与えられることで、赤の得意なゲームプランと合っているね。
3位《火砕のヘリオン》
5マナで4/5のパワー・タフネスは別にすごくいいわけでもないけど、このカードで特筆すべきことは序盤に土地として出した「両面カード」を手札に戻せる能力だ。5マナのこのカードがデッキで一番マナ・コストが重い部類のカードになることは多いから、次のターンに1マナ減ることは大した損失にはならず、赤いデッキにとって最高のフィニッシャーとして機能する。
2位《探検隊の勇者》
戦士は赤に多いクリーチャー・タイプで、3マナで4/3のパワー・タフネスはアグロのゲームプランに完全にかみ合っている。過小評価してはいけないカードだよ!
1位《乱動の噴火》
対象が限定されていない2マナで3点の呪文はその時点で十分強いカードで、ゲームが長引けば5点のダメージを与えられるという事実によって、このカードは赤が近年使えたコモンの中で一番強い部類のカードとなっている。
緑
パワー・タフネスに優れたクリーチャーを使えることが緑の特徴になることは多いけど、『ゼンディカーの夜明け』でもそれは変わらない。でかいクリーチャー(か+1/+1カウンターが乗ってすぐに大きくなるクリーチャー)と「上陸」メカニズムに強みを持っていても、緑は自分が優先的に使いたい色とまではいかないけどね。
5位《縄張り持ちの大鎌猫》
「上陸」で成長するクリーチャーはその時点で使用に値する。《縄張り持ちの大鎌猫》はトランプルを持っていて成長し続けるから、このランキングに入るのにふさわしいカードだ。
4位《変わり樹の苦行者》
盤面を制御するために役立つ素晴らしいカードだ。タフネス4はアグロ向きクリーチャーの多くを止めるのに十分な数字で、クレリックでもあるということを考えれば標準以上の性能だ。
3位《ジョラーガの幻想家》
「パーティー」のクリーチャー・タイプを持つ4マナで3/2のクリーチャーが手札消費無しで出せるんだって?ドロー効果と無意味ではないクリーチャーサイズの組み合わせはこのカードを使いたいと思わせるには十分だ。
2位《梢のベイロス》
また4マナのクリーチャーで今度は4/3のパワー・タフネスだけど攻撃するときは大抵6/5になるから、対戦相手はブロックするために苦慮することになる。
1位《狂気の一咬み》
再録されればどんなセットでも緑のコモンで1位にランクインしそうなカードの登場だ。「格闘」することで自分のクリーチャーをリスクにさらさない(そして想定外のコンバットトリックによって自分のクリーチャーが返り討ちにならない)緑の除去だ。
選外《カザンドゥの踏みつけ》
《カザンドゥの踏みつけ》にも敬意をもって言及しておこう。『ゼンディカーの夜明け』のリミテッドで6マナのクリーチャーをデッキに入れるのは個人的にしたくないことだけど、「両面カード」を2枚まで取り返せるクリーチャーだ。
2色推奨リミテッド環境
個人的な見解としてはこのセットのリミテッドでは2色の組み合わせだけでデッキを組んだ方がいい。3色目をタッチするのはあまりおすすめしない。多色化をサポートするカードは緑以外では皆無に近く、《石造りの荷役獣》に頼って多色化するのはとても危険な行為だ。
「両面カード」を使って他の「両面カード」をタッチして3色や4色にするデッキ構築について話している人々を見かけた。(やあ《創造の座、オムナス》くん、君のことは呼んでないよ。)でも俺の経験から言うと2色にまとめることに一貫したデッキに負けてしまうことが多い。このセットのドラフトではどのアーキタイプが空いているかを注意深く察知して、早くそこに入ったプレイヤーが成果を得ることになるよ。
そうは言ったものの、俺が思うこのセットのリミテッドが面白い理由は10通りの色の組み合わせのどれを選んでも、デッキの組み方をわかっていればまともなデッキが組めるという実感だ。俺は青緑キッカー、黒赤アグロ、白赤装備品のアーキタイプで一番多く勝てているけど、他のどの7つの組み合わせだって選ぶに値する。青赤ウィザード、白青パーティー、青黒ローグ(かライブラリーアウト)、白黒クレリック、白緑か赤緑上陸そして黒緑カウンターだ。
まとめ
今日のところはこれでおわりだ。『ゼンディカーの夜明け』のリミテッドをみんなも俺くらい楽しんでくれているとうれしいね。またスタンダードかリミテッドの記事を書いてみんなに読んでもらえるようにするよ!
マルシオ・カルヴァリョ(Twitter)