はじめに
みなさんこんにちは。
グルールアドベンチャーが大活躍となった先々週末。季節の変わり目とともに、メタゲームは変化したのでしょうか?大規模イベントが目白押しだった先週末、活躍したデッキたちをみていきましょう。
今回は日本選手権2020秋とRed Bull Untapped 2020 World Finals、CFB Clash Qualifier 3の大会結果を振り返っていきます。
揺るがぬ2大巨頭、グルールとディミーア
まず、各デッキの紹介の前に簡単にスタンダード環境の説明をしていきたいと思います。
現在のスタンダードには、環境の大前提となる2つの強力なデッキが存在しています。グルールアドベンチャーとディミーアローグです。
攻撃力に全振りしたグルールアドベンチャーと可変的な動きを見せるディミーアローグ。クリーチャー主体のデッキ同士ながら、挙動が異なるゆえに両デッキを攻略することは簡単ではありません。ある程度除去呪文があればコントロールしきれるといった簡単な攻略法はないのです。
グルールアドベンチャー
3 《山》
4 《寓話の小道》
2 《進化する未開地》
4 《岩山被りの小道》
-土地 (22)- 4 《エッジウォールの亭主》
4 《山火事の精霊》
3 《漁る軟泥》
4 《砕骨の巨人》
4 《カザンドゥのマンモス》
4 《恋煩いの野獣》
-クリーチャー (23)-
3 《アクロス戦争》
2 《エンバレスの盾割り》
2 《運命の神、クローティス》
2 《探索する獣》
2 《焦熱の竜火》
1 《怪物の代言者、ビビアン》
-サイドボード (15)-
グルールアドベンチャーは『ゼンディカーの夜明け』リーグ・ウィークエンドの際に日本勢が使用して大きな戦果をあげたデッキですが、それ以降も環境の本命となっています。グルールアドベンチャーの脅威は軽く突破力のある《山火事の精霊》とアドバンテージエンジンである《エッジウォールの亭主》、サイズの優れた3マナクリーチャーと非クリーチャーパーマネントによる多角的な攻めになります。
盤面に残ったクリーチャーを活かしたゲーム展開、中盤以降の非クリーチャーパーマネントこそグルールアドベンチャーの魅力です。対戦相手からすればテンポよく除去し続ける、もしくはダメージレースを挑んだうえで《エンバレスの宝剣》の一撃をズラさなければなりません。いずれにせよ、非常に攻略難易度の高いデッキとなっています。
ディミーアローグ
3 《沼》
4 《寓話の小道》
2 《ゼイゴスのトライオーム》
4 《清水の小道》
4 《欺瞞の神殿》
-土地 (22)- 4 《マーフォークの風泥棒》
4 《遺跡ガニ》
4 《盗賊ギルドの処罰者》
4 《空飛ぶ思考盗み》
-クリーチャー (16)-
1 《塵へのしがみつき》
4 《湖での水難》
2 《無情な行動》
1 《取り除き》
1 《本質の散乱》
1 《死住まいの呼び声》
1 《神秘の論争》
3 《アガディームの覚醒》
1 《凪魔道士の威圧》
4 《物語への没入》
-呪文 (22)-
2 《スカイクレイブの影》
2 《否認》
2 《神秘の論争》
2 《精神迷わせの秘本》
1 《塵へのしがみつき》
1 《取り除き》
1 《死住まいの呼び声》
1 《夢の巣のルールス》
-サイドボード (15)-
直線的なグルールアドベンチャーと違い、ディミーアローグは可変的な攻撃手段と防御手段を持ち合わせたデッキになります。「切削」によってボーナスを得るカードを中心に構築し、ライフ/ライブラリーの2つの勝ち手段を有しています。採用されているクリーチャーは瞬速持ちが多く、インスタントと併せることで相手のターンにさまざまな選択肢が存在することになるのです。
相手の動きによってクリーチャー/打ち消し/除去/ドローと選択でき、有利行動をとり続けるのです。瞬速とインスタントによる対応すべき選択肢の多さ、後の先をとれる動きの有利さこそがディミーアローグの強さの根幹にあります。
また、一口にディミーアローグといっても、いくつかのパターンが存在します。《夢の巣のルールス》《サメ台風》《トリックスター、ザレス・サン》の3枚は別々のバージョンでの主力カードであり、これにより警戒するカードも異なってきます。特に《トリックスター、ザレス・サン》は盤面への影響が大きく、勝敗を左右するカードとなります。
環境をけん引する両デッキを踏まえ、プレイヤーたちはどのような選択をったのでしょうか。
日本選手権2020秋
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | 川田 一喜 | ディミーアローグ |
準優勝 | 玉田 遼一 | グルールアドベンチャー |
トップ4 | 斉田 逸寛 | グルールアドベンチャー |
トップ4 | 岩崎 悠大 | ディミーアローグ |
トップ8 | 米谷 優輝 | ゴルガリアドベンチャー |
トップ8 | 中山 怜 | ティムールランプ |
トップ8 | 松田 悠希 | ディミーアローグ |
トップ8 | 花山 茶菜 | セレズニアブリンク |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
オンライン開催となった日本選手権2020秋。予選を突破した209名ものプレイヤーが激突し、ディミーアローグを使用した川田 一喜選手の優勝となりました。
米谷 優輝選手はクリーチャー戦に強いゴルガリアドベンチャーを選択し、見事トップ8へ入りました。回避能力を持たないクリーチャーを止める《穢れ沼の騎士》と9枚の除去呪文、そして《エッジウォールの亭主》や《グレートヘンジ》を組み合わせてゲームをスローダウンさせつつアドバンテージを稼いでいきます。
特徴的なのは《怪物の災厄、チェビル》でしょう。《怪物の災厄、チェビル》はマナカーブを埋めながら、すべての除去呪文に実質的にキャントリップとライフゲインを付与してくれます。対戦相手が攻撃的なデッキ、特に赤が絡む場合には、こちらの《グレートヘンジ》や《エッジウォールの亭主》が機能するまでには少々時間がかかります。そのため除去呪文が最良の防御策であり、《怪物の災厄、チェビル》はこれらとシナジーを形成し、自分が戦線を構築するまでゲームを引きのばしてくれるのです。
メタゲーム
デッキタイプ | 使用者数 |
---|---|
グルールアドベンチャー | 64 |
ディミーアローグ | 25 |
ティムールランプ | 10 |
ラクドスエスケープ | 9 |
セレズニアブリンク | 9 |
ディミーアコントロール | 8 |
緑単アグロ | 8 |
アゾリウスコントロール | 7 |
ゴルガリアドベンチャー | 7 |
その他 | 62 |
合計 | 209 |
グルールアドベンチャーが全体の3割を占め、次点でディミーアローグが続きますが、最大のポイントはティムールランプの増加でしょう。《創造の座、オムナス》亡き後は鳴りを潜めていたランプデッキですが、今大会では3番手につけていました。高速《発生の根本原理》と《精霊龍、ウギン》によりパーマネントを横並びにするブリンク系に強いデッキですが、反面、インスタントタイミングでのアクションが少なく、環境のトップ2両デッキはサイドボードでの対策が必須となります。実際に9名が初日落ちしているため、メタゲーム的には厳しい立ち位置となっていようです。
トップ8デッキリストはこちら。
ティムールランプ
3 《島》
2 《山》
4 《寓話の小道》
4 《ケトリアのトライオーム》
1 《ラウグリンのトライオーム》
3 《岩山被りの小道》
2 《河川滑りの小道》
-土地 (24)- 4 《水蓮のコブラ》
4 《砕骨の巨人》
2 《ラノワールの幻想家》
1 《玻璃池のミミック》
4 《峰の恐怖》
2 《長老ガーガロス》
4 《豆の木の巨人》
-クリーチャー (21)-
2日目へ進出した唯一のティムールランプはそのまま連勝街道を突き進み、トップ8入賞を果たしました。中山 怜選手の構築したデッキはマナ加速による3→5→7の動きを意識したデザインとなっており、ビッグスペルへと繋げてそのカードパワーにより勝負を決めます。3&4ターン目に連続してランプして5ターン目の《発生の根本原理》を狙っていきましょう。
しかしながら、対戦相手も黙ってみているわけではありません。こちらのビッグスペル前に勝負を決めようとライフを狙ってきます。そうなった場合は4ターン目で一度小休止して、制圧力の高いクリーチャーで守りを固めましょう。《峰の恐怖》と《長老ガーガロス》はサイズもさることながら、除去できなければ勝負を決めてしまうカードです。前者は後続のクリーチャーを火力とし、後者は攻防一体にしてアドバンテージをもたらしてくれます。
サイドボードは、グルールアドベンチャーとディミーアローグを中心に用意されており、特に「切削」対策は徹底しています。《アゴナスの雄牛》の「脱出」コストは追放するカードが多く、支払うマナは少ないため、相手の「切削」戦略を妨害しつつこちらの複数行動を可能にしてくれる1枚。攻めにまわる起点となる1枚かもしれません。ただし、《鎖巣網のアラクニル》と違い、盤面にはまったく干渉できず到達も持たないため、ライフには注意を払う必要があります。
マルドゥブリンク
2 《沼》
2 《山》
4 《寓話の小道》
4 《サヴァイのトライオーム》
4 《陽光昇りの小道》
4 《針縁の小道》
4 《静寂の神殿》
4 《悪意の神殿》
-土地 (32)- 1 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
4 《砕骨の巨人》
4 《スカイクレイブの亡霊》
3 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-クリーチャー (12)-
3 《絶滅の契機》
2 《ハグラの噛み殺し》
3 《エメリアの呼び声》
4 《鍛冶の神のお告げ》
4 《エルズペスの悪夢》
4 《太陽の神のお告げ》
4 《予言された壊滅》
3 《エルズペス、死に打ち勝つ》
4 《ガラスの棺》
4 《精神迷わせの秘本》
-呪文 (36)-
Team UNITE所属、井上 徹選手が使用したのはマルドゥカラーのブリンクデッキ。ほかのアゾリウス/セレズニア/スタックスなどのブリンク系とは違い、豊富な単体除去を採用することでグルールアドベンチャーをはじめとしたクリーチャーベースのデッキに対抗しています。《空を放浪するもの、ヨーリオン》のシナジーのタネがクリーチャーからエンチャントへと代わり、足りなかった除去呪文を獲得したのです。
2マナ以下の小型クリーチャーを想定した除去呪文は全部で16枚あり、その内12枚が2マナとテンポを損なわずに対処できるようになっています。この中で《ガラスの棺》は使いどころには注意が必要です。対グルールアドベンチャー戦では3マナクリーチャーの対処を誤ると《グレートヘンジ》が着地してしまい、巻き返すのが困難になってしまいます。もちろん、インスタントタイミングで使用できるカードは《エンバレスの宝剣》に対応できるためどちらから先に使うべきか一概にはいえませんが、手札に《スカイクレイブの亡霊》がない場合、なるべく《ガラスの棺》以外から使っていきましょう。
メインボードが対クリーチャー戦に寄せてある分、サイドボードではそれ以外のマッチのカードが中心になっています。《予言された壊滅》デッキでよくみる《裏切る恵み》は、攻撃的なデッキが中心のメタゲームではデメリットが大きいため、サイドボードへと移されています。ミッドレンジ/コントロールで真価を発揮するカードですね。
《破滅の根本原理》は各種《空を放浪するもの、ヨーリオン》をメタった1枚であり、中速の横並びのデッキには効果的なカードです。《精霊龍、ウギン》と違い相手のパーマネントだけ流せるため必殺の1枚となります。
Red Bull Untapped 2020 World Finals
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | 小坂 和音 | グルールアドベンチャー |
準優勝 | Gobetti Enrico | エスパースタックス |
トップ4 | 石橋 広太郎 | セレズニアブリンク |
トップ4 | 井川 良彦 | ディミーアローグ |
トップ8 | Michael Bonde | ディミーアローグ |
トップ8 | Ronald Muller | ディミーアローグ |
トップ8 | Luke Hancock | グルールアドベンチャー |
トップ8 | Jan-Moritz Merkel | グルールアドベンチャー |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
各予選を突破した16名の強豪のみが参加可能だったRed Bull Untapped 2020 World Finals。栄えある優勝はグルールアドベンチャーを使用した小坂 和音選手となりました。トップ8にはグルールアドベンチャーとディミーアローグが半数ずつを占めましたが、クリーチャー戦を意識した《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキも残っていました。
メタゲーム
デッキタイプ | 使用者数 |
---|---|
グルールアドベンチャー | 6 |
ディミーアローグ | 3 |
エスパースタックス | 1 |
セレズニアブリンク | 1 |
その他 | 5 |
合計 | 16 |
特殊な大会形式となりましたが、ディミーアローグの力は本物でした。使用者3名全員がトップ8へと駒を進めたのです。いずれも《夢の巣のルールス》を採用したライブラリーアウト型であり、軽量除去とインスタントの干渉手段を複数持つため、グルールアドベンチャーに対しても互角に渡り合います。
参加者はグルールアドベンチャーとディミーアローグの2つのデッキを仮想敵としたはずですが、生半可な対策では対応しきれません。大会結果をみるに、対策カードを積むよりも、どちらかのデッキを使うべきだったようです。
トップ8デッキリストはこちら。
大会放送リンクはこちら
エスパースタックス
3 《島》
3 《沼》
4 《寓話の小道》
4 《ラウグリンのトライオーム》
4 《陽光昇りの小道》
4 《清水の小道》
4 《欺瞞の神殿》
-土地 (30)- 4 《スカイクレイブの亡霊》
3 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-クリーチャー (7)-
2 《無情な行動》
3 《屋敷の踊り》
3 《絶滅の契機》
3 《エメリアの呼び声》
4 《海の神のお告げ》
3 《メレティス誕生》
4 《エルズペスの悪夢》
3 《太陽の神のお告げ》
3 《裏切る恵み》
4 《予言された壊滅》
3 《エルズペス、死に打ち勝つ》
3 《サメ台風》
3 《精神迷わせの秘本》
-呪文 (43)-
2 《太陽の恵みの執政官》
2 《塵へのしがみつき》
2 《否認》
1 《無情な行動》
1 《絶滅の契機》
1 《裏切る恵み》
1 《サメ台風》
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-サイドボード (15)-
Gobetti Enrico選手が使用したエスパースタックスは《空を放浪するもの、ヨーリオン》の派生形であり、《裏切る恵み》などで手札を増やして《予言された壊滅》を維持し、相手のリソースを削るデッキとなります。ドロー呪文が多いため手札が枯渇しにくく、《屋敷の踊り》によって《エルズペス、死に打ち勝つ》を使い回すことができる消耗戦に非常に強いデッキです。
《予言された壊滅》を用いたデッキはこれまでも存在していましたが、現在のスタンダード環境に照らすと盤面をコントロールするまでやや時間がかかってしまい間に合わない印象でした。しかし、このデッキでは半固定枠となっていた《黄金の卵》を排除することで、2種4枚のインスタント除去を加えることに成功しています。これにより《無情な行動》→《エルズペスの悪夢》→《予言された壊滅》と、先手でも後手でも《エンバレスの宝剣》や《グレートヘンジ》を着地させないような動きが取れるようになったのです。
サイドボードは遅い/青いデッキ用の打ち消し呪文と追加の除去、「切削」対策の《塵へのしがみつき》に、ゲームプランを変えるフィニッシャーが採用されています。最近はその姿を見る機会が減りましたが、《太陽の恵みの執政官》はエンチャントを多用するデッキと相性が良いクリーチャーです。
セレズニアブリンク
4 《インダサのトライオーム》
4 《枝重なる小道》
4 《陽光昇りの小道》
2 《疾病の神殿》
1 《豊潤の神殿》
1 《静寂の神殿》
-土地 (22)- 4 《金のガチョウ》
1 《漁る軟泥》
4 《ラノワールの幻想家》
4 《スカイクレイブの亡霊》
4 《意地悪な狼》
4 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-クリーチャー (21)-
石橋 広太郎選手が使用したセレズニアブリンクは、ほかの《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキと等しく、クリーチャー/エンチャントを展開し、「明滅」によりアドバンテージ稼いでいきます。セレズニアにはマナクリーチャーなどアゾリウスにない優れた点があり、それこそが現環境でも戦い続けられる要因となっています。
さらにクリーチャー戦に限ったボードコントロール力ならば、セレズニアの方が上でしょう。固定枠の《スカイクレイブの亡霊》に加え、《意地悪な狼》という頼もしい存在が加わっているのです。食べ物・トークンがあれば場持ちがよく、高コストクリーチャーも除去できる可能性があります。《スカイクレイブの亡霊》→《意地悪な狼》→《空を放浪するもの、ヨーリオン》とくれば、いかにグルールアドベンチャーといえどひとたまりもないでしょう。
サイドボードにも注目です。なんと石橋選手はマナベースに手を加えることで、《塵へのしがみつき》をタッチすることに成功したのです。《インダサのトライオーム》や《陽光昇りの小道》など11枚の土地、そして《金のガチョウ》により黒マナを捻出します。「切削」対策はもちろん、ラクドスエスケープや《エルズペス、死に打ち勝つ》に対しても効果があります。
CFB Clash Qualifier 3
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Matias Leveratto | ラクドスサクリファイス |
準優勝 | Nicolas Oman | グルールアドベンチャー |
トップ4 | Liman Hartanto | グルールアドベンチャー |
トップ4 | Nuriz Zaman | ディミーアローグ |
トップ8 | Leonardo Lima – HG Team | エスパースタックス |
トップ8 | Matthew Davis | ゴルガリアドベンチャー |
トップ8 | Miranda Day | エスパースタックス |
トップ8 | Ryuto Saito | グルールアドベンチャー |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
CFB Clash Qualifier 3には217名のプレイヤーが参加しましたが、優勝はラクドスサクリファイスという新しいデッキとなりました。Hareruya ProsのMatias Leveratto選手は同デッキを使用して圧巻の16戦全勝!メタゲームに合わせたデッキ構築が光ました。
トップ8デッキリストはこちら。
ラクドスサクリファイス
6 《山》
4 《寓話の小道》
4 《悪意の神殿》
-土地 (21)- 4 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
4 《ぬかるみのトリトン》
3 《スカイクレイブの影》
4 《砕骨の巨人》
1 《悲哀の徘徊者》
3 《悪ふざけの名人、ランクル》
-クリーチャー (19)-
《ぬかるみのトリトン》《ティマレット、死者を呼び出す》の「切削」エンジンを用いて高速で、時には消耗戦の末に《死の飢えのタイタン、クロクサ》を何度も「脱出」させるラクドスエスケープ。除去呪文と手札破壊、墓地をリソースとして使える強いミッドレンジタイプのデッキでしたが、そこに生け贄シナジーを組み込みボードコントロール力を増したのがラクドスサクリファイスとなっています。
メタゲームの中心に位置するグルールアドベンチャーとディミーアローグともにクリーチャーのコストは3マナ以下がほとんどであるため、《初子さらい》はどのクリーチャーでも対象にとれます。このデッキ自体がクリーチャー主体であることもあり、この1枚でダメージレースを狂わせることができます。
コントロールを奪って、殴って、ハイお終いでは不十分。もうひと働きしてもらうカードが用意されています。ローテーション前のサクリファイス系に見られた《悲哀の徘徊者》と《村の儀式》はライブラリー操作やアドバンテージをもたらしてくれます。
新たに採用された生け贄手段の《カズールの憤怒》は《初子さらい》とのコンボで相手のクリーチャーをさらに1体除去したり、最後の数点を削るカードとなりえます。《死の飢えのタイタン、クロクサ》と相性がよく、手札からキャストした際に生け贄の能力にスタックして《カズールの憤怒》を使うことで相手の手札と戦場を処理できます。
ノーガードの相手に対しては《死の飢えのタイタン、クロクサ》の攻撃と合わせれば15点ものダメージを与えることもできます。ラクドスエスケープは勝つまでに時間を必要とするデッキでしたが、急角度からのフィニッシュブローを手に入れたのです。
直近の大会結果
10月26日から11月1日までの大会結果(最低参加人数16人以上)になります。グルールアドベンチャーを中心に、ディミーアローグが後を追っています。《漁る軟泥》の存在もあってラクドスエスケープは控えめな数でしたが、CFB Clash Qualifier 3以降はサクリファイス系も交えて増加傾向にあります。
もともとディミーアローグ戦を得意とするラクドスエスケープにとって、問題となるのはグルールアドベンチャー戦でした。そのマッチアップに対して《初子さらい》とサクリファイスエンジンを積むことで、ボードで優位が取れるようになったのです。事実、FARPAS 250では、ラクドス系はグルールアドベンチャーを抑えてトップ16の半数近くを占めていました。
ラクドス系統のデッキが増えたことで、ミッドレンジタイプのデッキが活躍するチャンスがくるかもしれません。グルールアドベンチャーの数が減れば、ラクドスを狙った緑単フード/ブリンク系のデッキが再び増加していくでしょう。メタゲームを見極め、最適なカード、そしてデッキを選択していきましょう。
おわりに
環境をけん引するグルールアドベンチャーとディミーアローグですが、新たな刺客ラクドスサクリファイスの出現によって、メタゲームは大きく動くことになりそうです。アグロデッキを落とさず、中盤以降も戦えるミッドレンジデッキはどのデッキが最適解となるのでしょうか?
今週末には第17期スタンダード神挑戦者決定戦と『ゼンディカーの夜明け』リーグ・ウィークエンドの後半戦が控えています。目まぐるしく動くメタゲーム、プレイヤーたちのデッキ選択に注目していきましょう。次回はそれらの情報をお届けしたいと思います。