Round 1: 飯野 彬(千葉) vs. 森田 侑(東京)

晴れる屋

By Atsushi Ito




森田 「いきなりデッキ読めない人と当たったよ~(笑)」

 ついに開幕となった東京MTG主催の「2016 Asia Vintage Championship」。その大事な初戦、第1回戦からフィーチャーマッチエリアに現れたのは、122人ものヴィンテージプレイヤーが集まった晴れる屋主催の【ヴィンテージ神決定戦】で全参加者の頂点に立ち、初代「ヴィンテージ神」となった男、森田だ。

 今回は参加者が22名で完全招待制の大会ということで、【雑多なデッキよりも「オース」「MUD」が多いという読み】で「メンター」ではなく「墓荒らし」を持ち込んでおり、その選択が吉と出るか凶と出るか。

 一方、対する飯野も【ヴィンテージ神決定戦】では【オポネント差で9位】に入賞するほど卓越した「MUD」使いとして知られているが、もし「MUD」を持ち込んでいるとなると、いかに飯野といえど「墓荒らし」はなかなかに厳しい相手となる。

 はたして、飯野は何を持ち込んでいるのか。



Game 1


 その答えはすぐに明らかとなった。先手の飯野が《古えの墳墓》から《抵抗の宝球》とプレイしたのだ。


古えの墳墓抵抗の宝球


 すなわち、飯野のデッキは「MUD」。

森田 「そっちか~……」

 と、いかにも悩ましい素振りを見せる森田だが、「墓荒らし」にとっては悪くない流れである。《不毛の大地》《古えの墳墓》を叩き割ると、さらなる《古えの墳墓》《露天鉱床》して飯野にクロックの展開を許さない。

 飯野も《露天鉱床》をセットするのだが、《Underground Sea》から《Black Lotus》、さらに《死儀礼のシャーマン》とつなげた森田が一手先んじることに成功する。


死儀礼のシャーマン


 そしてその一手は何よりも重い。「MUD」が得意とするマナ拘束戦略は、このちっぽけなマナクリーチャーがいるだけで破綻しかねないからだ。

 さらに飯野は森田の執拗な土地破壊が響いて《魂の洞窟》しか土地がない。そこへ森田の《闇の腹心》が続けて送り出され、マナ基盤の差はますます拡大していく。

 なおも土地を引けない飯野は、クロックとして《漁る軟泥》も追加されると、ついには《抵抗の宝球》が逆に自らの首を絞める形となってしまう。

 ダメ押しに《無のロッド》まで置かれると、ディスカードに突入していた飯野はほどなくして投了を宣言したのだった。


飯野 0-1 森田



Game 2


 2ゲーム目は飯野が「MUD」の真骨頂を見せる。

 先手1ターン目に《Mishra's Workshop》から制限カードである《三なる宝球》をプレイしたのだ。


Mishra's Workshop三なる宝球


 これには森田もたまらず《Force of Will》を切らざるをえない。

森田 「まあまあそんなに焦らず、きちんとマジックやりましょうよw」

 どうにかマジック:ザ・ギャザリングからの逸脱は回避した森田だったが、それでも続けて2枚目の《Mishra's Workshop》を置かれた上で《ファイレクシアの破棄者》(《死儀礼のシャーマン》指定)→《からみつく鉄線》とプレイされると、身動きが封じられてしまう。

 自身のアップキープに《四肢切断》《ファイレクシアの破棄者》を葬ってクロックだけは捌こうとするのだが、すぐさま《ファイレクシアの破棄者》2号がプレイされ、クロックを刻み始める。



森田 侑


 《からみつく鉄線》に縛られつつ《Mishra's Workshop》2枚を機能させたままでは分が悪い森田は《露天鉱床》で1枚を割るのだが、その代償として土地が止まってしまう。

 対し、《からみつく鉄線》の「消散」がなくなったところで飯野は《銀のゴーレム、カーン》をプレイ。今わの際の《からみつく鉄線》をクリーチャー化して森田に大ダメージを与えにいく。

 この銀の巨人を除去する手段が森田にはなく、決着は3ゲーム目に持ち越された。


飯野 1-1 森田



Game 3


 フェッチだけ置いてターンを返す森田に対し、飯野はマリガンながら《Mox Ruby》《古えの墳墓》から《ファイレクシアの破棄者》を送り出す悪くない立ち上がり。

 だが、これに対して森田は《不毛の大地》で飯野のマナ基盤を攻め立てる。

 加えてさらなる《古えの墳墓》からの《からみつく鉄線》《Ancestral Recall》プレイからの《Force of Will》で弾くと、なおも《不毛の大地》で飯野の土地を破壊。続けて《無のロッド》《Mox Ruby》の起動も封じにいく。

 土地が引き込めず、《裏切り者の都》まで置いてしまっている飯野は、これによって身動きがとれなくなってしまう。





 森田もゲームを決めるクロックをなかなか引かず、《ヴェンディリオン三人衆》は飯野に《四肢切断》されるだけで終わるのだが、対する飯野も2枚目の《裏切り者の都》で無理矢理《磁石のゴーレム》をプレイした上で《四肢切断》で即座に失ってしまい、噛み合わない。

 どうにか《世界のるつぼ》を引き入れた飯野だったが、同じタイミングで森田も《瞬唱の魔道士》を引き込んでおり、《Ancestral Recall》をフラッシュバックした森田の《突然の衰微》によってすぐさま破壊されてしまう。

 そして、これだけカードを引いた森田が何も引かないはずはない。


ヴェールのリリアナ


 飯野の場に一切クロックがない状況で着地したのは《ヴェールのリリアナ》《裏切り者の都》を使い切りで使用してまでクロックを送り出そうとしていた飯野にとって、それは悪夢以外の何物でもない。

 やがて「+1」能力が飯野の手札を完全に葬り去ると、マナもクロックも足りない状況に追い込まれてしまった飯野は投了に追い込まれてしまった。


飯野 1-2 森田


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