2016 Asia Vintage Championship、スイス最終5回戦目。既にこの時点で3勝以上しているプレイヤーたちはほとんどIDでトップ8を確定させており、残るわずかなトップ8の席は2勝2敗のプレイヤーたちで争われることになる。
勝ってもオポネント次第というその厳しいラインから、嘉藤と高桑の対戦をお届けしよう。
嘉藤のデッキは「墓荒らし」、高桑のデッキは「MUD」ということで、【第1回戦のフィーチャーマッチにも見られた組み合わせ】となる。高桑が不利を覆せるかが焦点となりそうだ。
Game 1
嘉藤が《Black Lotus》《Mox Jet》《不毛の大地》から《闇の腹心》とマリガンスタートを感じさせない動きなのに対し、高桑は《古えの墳墓》《Mox Emerald》から《からみつく鉄線》で動きを止める立ち上がり。
さらに《抵抗の宝球》を通す高桑だが、嘉藤は落ち着いて《不毛の大地》で高桑の《古えの墳墓》を割ると、後続となる《磁石のゴーレム》は《Force of Will》し、《闇の腹心》で土地やスペルを補充しながら2点クロックを継続する。
嘉藤 裕樹 |
高桑は続く《トレイリアのアカデミー》も《不毛の大地》されてしまい、遅きに失した感のある《虚空の杯》を「X=1」で置くことしかできない。
やがて度重なる《古えの墳墓》のダメージと《闇の腹心》のビートダウンによって、高桑のライフはあっさりとゼロを割った。
嘉藤 1-0 高桑
Game 2
再びマリガンとなった嘉藤が高桑の1ターン目《Mox Sapphire》《Mox Jet》からの《抵抗の宝球》をどうにか《Force of Will》するが、返しの《Black Lotus》からの《三角エイの捕食者》は《ファイレクシアの変形者》によるコピーにブロッカーとして立たれて防がれてしまい、攻め手を見つけることができない。
少ないリソースの中、それでもやむなく《不毛の大地》で高桑のマナベースを攻めようとするのだが、《世界のるつぼ》を置かれてしまうと、むしろ高桑の方が《不毛の大地》を引き込んだことで、毎ターン嘉藤の土地が1枚ずつ叩き割られていく。
そしてダメ押しに高桑がプレイしたカードが、嘉藤の心を折った。
《煙突》。土地もクリーチャーも全て失った嘉藤は、3ゲーム目へ移ることを選択した。
嘉藤 1-1 高桑
Game 3
《死儀礼のシャーマン》スタートの嘉藤に対して高桑は《四肢切断》で応じるが、続く《闇の腹心》は除去することができない。
しかし次のターン、嘉藤が《Force of Will》を《闇の腹心》で公開しながらも貪欲に2体目の《闇の腹心》を召喚したことで、高桑は一つのプランを見出す。
すなわち、「ボブ死」。ヴィンテージのデッキにはMoxenがあるとはいえ、《Force of Will》が《闇の腹心》と同居しており、さらに《渦まく知識》が制限カードである以上、そのリスクはどんな状況においても存在する。
高桑 雄介 |
嘉藤を「ボブ死」させる。
その覚悟を決めた高桑は、嘉藤の《不毛の大地》を《不毛の大地》し、時間稼ぎに注力しにいく。
そして続くターン、2枚の《闇の腹心》の誘発の結果は……高桑の気迫が呼び寄せたか、2枚目の《Force of Will》!!
嘉藤 「え、何これ……w」
さしもの嘉藤も危機を感じたのだろう。ライフを8としつつも同時に《死儀礼のシャーマン》をも手に入れた嘉藤はこれを召喚し、ライフゲインの暇を稼ごうとする。
だが、高桑は《ファイレクシアの破棄者》をプレイし、《死儀礼のシャーマン》の能力起動を封じにいく。
続くターン、《闇の腹心》2体の能力が誘発。さらに《死儀礼のシャーマン》と《突然の衰微》がめくれ、嘉藤の残りライフは5点。他方高桑のライフも《闇の腹心》2体のビートにより残り6点まで落ち込んでいる。
高桑の《からみつく鉄線》はさすがに《Force of Will》し、残りライフ4点の状態で、《闇の腹心》2体をコントロールしたアップキープを迎える。
1枚目、《鋼の妨害》。嘉藤の残りライフは3。
2枚目……の前に、嘉藤は正着を思いつく。
《ファイレクシアの破棄者》への《鋼の妨害》プレイ。これにより《死儀礼のシャーマン》の能力起動を回復した嘉藤は、2体目の《闇の腹心》の能力誘発にスタックしてライフを5まで引き戻す。
((それでも。《Force of Will》がめくれれば勝ち/負けなことに変わりはない))
刹那、2人の思考がシンクロする。
そして嘉藤が、ゆっくりとライブラリの一番上のカードをめくると、そこには……。
「ボブ死」、成就せず。
嘉藤 2-1 高桑
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