by Takeru Ariyama
はじめに
みなさんこんにちは。
『カルドハイム』のカードが公開されましたが、気になったカードはありましたか?新キーワード能力の「予顕」「誇示」をはじめ、「多相」による部族サポートや氷雪カードとあらゆる構築フォーマットで可能性を秘めた過度が多く、わくわくする方が多いことでしょう。
とはいっても難しいのが、リリース初期のデッキ構築。デッキタイプにはじまり、採用/非採用のカードの選別、適正枚数の検討と環境初期には課題が山積みとなっています。
そこで今回は『カルドハイム』のカードを中心に、環境初期のたたき台となるデッキをいくつか紹介したいと思います。
『カルドハイム』新デッキ紹介
今回はアグロ~コントロールまで3つのデッキを紹介していきます。どのデッキも『カルドハイム』のカードをコンセプトに据えたデッキとなっています。
アグロ:マグダレッド
「環境初期はアグロが強い!」ということでまずは赤単アグロからみていきましょう。目を付けたのは《厚顔の無法者、マグダ》です。
2マナ域を埋めるドワーフ・ロードであり、自身を含めてドワーフがタップされるたびに宝物・トークンを生み出す疑似マナクリーチャーです。攻撃を信条にした赤らしいクリーチャーであり、これまで以上に素早い展開が可能になりますね。宝物・トークンが5つ溜まった際のサーチ先まで組み込んだデッキを構築してみました。
4 《エンバレス城》
-土地 (21)- 4 《アクームのヘルハウンド》
4 《熱烈な勇者》
4 《厚顔の無法者、マグダ》
4 《リムロックの騎士》
4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》
4 《砕骨の巨人》
2 《灰のフェニックス》
4 《朱地洞の族長、トーブラン》
1 《黄金架のドラゴン》
-クリーチャー (31)-
既存の赤単アグロをベースにドワーフ族によるシナジーが形成されています。《リムロックの騎士》と《朱地洞の族長、トーブラン》はお馴染みのカードですが、このデッキでは打点とマナの二方面で活躍してくれます。
通常ロードといえば特定の種族を大きく強化する代わりに数が並ばないと効果が薄いクリーチャーですが、《厚顔の無法者、マグダ》の良いところはロードでありながら単体で能力が完結しているところにあります。例えば、1マナクリーチャー、《厚顔の無法者、マグダ》と展開して3ターン目にセットランドしたうえで攻撃に向かえば、4マナまで使えるようになります(土地3+宝物・トークン1)。そう、3ターン目にして強力な装備品である《エンバレスの宝剣》が使えるのです!
これまでも2ターン目までに1マナクリーチャーを3体出せれば、3ターン目に《エンバレスの宝剣》をプレイすることは可能でした。しかし、その大半のパワーは1であり、後半に引いた場合にはカードパワーの低さに嘆かざるをえませんでした。《厚顔の無法者、マグダ》の加入により1マナ域を厳選してデッキパワーを底上げしつつ3ターン目の強襲作戦を残すことに成功したのです。
さらに、宝物・トークンを運よく5つ貯めることができたなら、2種類のフィニッシャーをサーチすることができます!1枚は赤単の顔である《エンバレスの宝剣》ですが、もう一方は新たに加わった《黄金架のドラゴン》です。
このデッキならば4ターン目からクロックを刻むことが可能であり、序盤に稼いだダメージを後押ししてくれます。《厚顔の無法者、マグダ》のサーチ先としても優秀であり、状況によって《エンバレスの宝剣》と使い分けていけますね。
ミッドレンジ:ラクドスサクリファイス
続いてはクリーチャーデッキに強いラクドスサクリファイスとなります。このデッキは《初子さらい》や《アクロス戦争》で対戦相手のクリーチャーのコントロールを奪い、《村の儀式》や《悲哀の徘徊者》を使って生け贄に捧げることで戦場をコントロールしながらリソースに差を生み出していくデッキです。
《大釜の使い魔》が禁止カードとなり、《波乱の悪魔》がスタンダードを落ちたことで半壊してしまっていたデッキですが、『カルドハイム』には相性のいいカードが揃っていました。
3 《山》
4 《寓話の小道》
4 《荒廃踏みの小道》
2 《悪意の神殿》
2 《ロークスワイン城》
-土地 (21)- 3 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
2 《スカイクレイブの影》
4 《砕骨の巨人》
3 《悲哀の徘徊者》
3 《イマースタームの捕食者》
2 《撲滅する戦乙女》
-クリーチャー (17)-
このデッキでは、コントロールを奪ったクリーチャーを生け贄に捧げる“サクリ台”として新たに3種類のカードが加わりました。いずれのカードも4マナ域であるため、競合する《悪ふざけの名人、ランクル》の代わりに採用しています。
《イマースタームの捕食者》の最大の利点は能動的にクリーチャーを生け贄に捧げることができる点にあります。攻撃したり戦闘ダメージを通す必要がないため、キャストした瞬間から効果を発揮できる優れもの。また、生け贄に捧げることで破壊不能を得るため場持ちが良く、追放以外では除去されないためほかのサクリ台より先出ししやすくなっています。《イマースタームの捕食者》と《アクロス戦争》のタッグは後手に回ったゲームの戦線を支え、巻き返す時間稼ぎをしてくれそうですね。
《撲滅する戦乙女》は新キーワード能力「誇示」を持っており、その挙動は《悪ふざけの名人、ランクル》に近いクリーチャーですが、こちらは自身が攻撃に参加してさえいればいつでも能力を起動することが可能です。戦闘中でも使用できるため、相手のブロッカーが1体だけならガードをこじ開けてダメージが刻めるのです。絆魂のおかげでダメージレースにも強いクリーチャーとなっています。
ほかのサクリ台と違いプレインズウォーカーを対処できるので、うまく使えば戦況を覆せるクリーチャーです。到達持ちを生成できる《怪物の代言者、ビビアン》も《撲滅する戦乙女》(とコントロール奪取呪文)の前では生き残るのは困難といえるでしょう。
この英雄譚は生け贄、火力、手札破壊、リアニメイトとラクドスを体現したようなカードとなっています。サクリファイスコンボを内蔵したデッキならばこれ1枚で一気に相手のクリーチャーを2体除去できるためI章だけでも十分強力ですが、以降の章でもアドバンテージに差をつけます。
「脱出」や《スカイクレイブの影》によりこのデッキにとって墓地は第2の手札であり、前もってサクリ台となるクリーチャーを落としておけば最終章解決時に速攻付きでリアニメイトできます。《撲滅する戦乙女》をリアニメイトしつつ、《アクロス戦争》をキャストして戦線崩壊!なんて展開も可能なのです。
前環境のラクドスにはアンタップインできる2色土地が欠けており、色事故やタップインランドによる序盤のもたつきが懸念されていました。《荒廃踏みの小道》はファン待望の両面土地であり、攻撃的なラクドスにとってありがたい存在になるでしょう。
もし対戦相手の戦場にクリーチャーがいなければ《スカイクレイブの影》が供給源として活躍します。上記のレシピでは飽き足らず、もっとクリーチャーを奪いたい強欲な方は《裏切りの強欲》を試してみてはいかがでしょうか。
コントロール:アゾリウス予顕
最後に新キーワード能力「予顕」を全面に押し出したコントロールデッキをご紹介します。条件付きながら3マナでキャストできるリセット呪文《ドゥームスカール》の登場によりボードコントロール感を増したアゾリウス予顕です。
以前よりも後手のゲームを返しやすくなるため、コントロールデッキでは欠かせない1枚になるはずです。
6 《平地》
4 《寓話の小道》
2 《ラウグリンのトライオーム》
4 《連門の小道》
3 《イストフェルの門》
1 《アーデンベイル城》
1 《ヴァントレス城》
1 《這い回るやせ地》
-土地(31)- 1 《巨人落とし》
4 《スカイクレイブの亡霊》
4 《見張るもの、ヴェイガ》
1 《厚かましい借り手》
2 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
1 《夢さらい》
-クリーチャー(13)-
4 《襲来の予測》
4 《多元宇宙の警告》
4 《ドゥームスカール》
4 《エメリアの呼び声》
4 《海の神のお告げ》
4 《ニコ、運命に抗う》
2 《エルズペス、死に打ち勝つ》
4 《精神迷わせの秘本》
2 《ニコ・アリス》
-呪文(36)-
「予顕」と相性の良いカードを中心に、《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキに組み込んでみました。
《見張るもの、ヴェイガ》は「予顕」に限らず手札以外から呪文を唱えられると1ドローできるクリーチャーであり、少し重い《エッジウォールの亭主》のイメージです。「出来事」カードでも能力が誘発するため、メタゲームによって《厚かましい借り手》や《巨人落とし》の枚数を調整していきましょう。
《ニコ、運命に抗う》はライフ回復、マナを生成、呪文回収と「予顕」を軸にしたコントロールにぴったりの1枚。状況に応じて回収先を選べるため、いい仕事をしてくれそうですね。
「予顕」することで大きなリターンを得るカードはほかにもあります。《襲来の予測》はシングルシンボルの《対抗呪文》であり、《多元宇宙の警告》と合わせて使用することで相手の思考をミスリードできる可能性が高い1枚となります。というのもカードが「予顕」してあり青マナを含む土地2枚がアンタップ状態ならば、対戦相手視点からはどちらのカードが判別することは困難を極めるためです。青らしい狡猾なカードといえますね。
《多元宇宙の警告》はかつての《天才の片鱗》と同じ効果ですが、「予顕」により使いやすくなった印象です。《薬術師の眼識》や《天才の片鱗》がスタンダードで使われていたことを考えると、このカードはこれからコントロールでよくみることになるはずです。「予顕」するべきか否かはマナ関連するので環境と対戦相手のデッキを見極めつつ、試していきたいところです。
新規のプレインズウォーカーにも注目しましょう。《ニコ・アリス》は3マナと軽いため隙を突いて空の戦場にキャストできそうですが、マナが余る中盤以降では手札の補充役になってくれます。マナコストにXを含んでいるため状況に応じて使い分けられるプレインズウォーカーであり、単体でもある程度強いカードだと思います。
忠誠度能力の強弱はは戦場に依存しますが、[+1]効果が《空を放浪するもの、ヨーリオン》と相性抜群です。[-1]能力は汎用性が低いものの除去とドローなのでそれぞれうまく使い分けていきましょう。
なお、この破片・トークンはエンチャントなので《太陽の恵みの執政官》のような「星座」と組み合わせても面白いかもしれません。
おわりに
『カルドハイム』の登場によって新たに誕生したり、進化したデッキはいくつもあります。紹介したデッキは環境初期のたたき台として、今後の環境の変化や新しいテクニックの開発によって変化していくと思います。本稿で紹介しきれなかったカードが何枚もありますが、それは発売になってからのお楽しみといたしましょう。
なお、『カルドハイム』は2021年2月5日(金)発売予定!さらに現在晴れる屋では、『カルドハイム』のシングルカードも予約受付中となっております!
それではみなさま。楽しい『カルドハイム』ライフを!