Deck Tech: 伊藤 裕道の「メンター」

晴れる屋

By Atsushi Ito



 66名が参加した「ヴィンテージ神」森田 侑への挑戦権をかけた戦い、第6期ヴィンテージ神挑戦者決定戦。

 その中でも優勝候補筆頭といえばやはりこの男だろう。

 ヴィンテージへの深い造詣を持ち、日本人では唯一の【Vintage Championship】優勝経験がある上、先月末に開催された【2016 Asia Vintage Championship】でも準優勝という好成績を残した、日本ヴィンテージ界の重鎮。


 伊藤 裕道(兵庫)。


 ここではそんな伊藤に、今回のデッキ選択についてインタビューしてみた。





--「今回伊藤さんは珍しく《Mishra's Workshop》ではなく『メンター』を使用されているわけですが、《磁石のゴーレム》が制限となって弱体化した『MUD』を諦めるのはいいとして、どうして『メンター』を選択されたのでしょうか?」

伊藤 「やはり対策されにくいデッキというのが主な理由ですね。『オース』や『ストーム』はデッキの中のキーカードに依存してしまっているので、サイドからにせよそれらを対処されてしまうと無力なのですが、『メンター』はそうでもないというのが大きいです。まあ《実物提示教育》《Timetwister》を持っていない、という実際的な理由もありますが(笑)」


ドルイドの誓い苦悶の触手僧院の導師


--「こちらのデッキは通常の『メンター』とどう違うのでしょうか?」

伊藤 「違うといっても、メインの54枚は至って普通です。残りの6枚に《突然のショック》《戦争と平和の剣》《若き紅蓮術士》を入れているのがちょっと珍しいくらいですね」


突然のショック戦争と平和の剣若き紅蓮術士


--「これらはどういった理由で採用されているんでしょうか」

伊藤 【前回の神決定戦】の活躍と、不利な《Mishra's Workshop》デッキが【磁石のゴーレムの制限】によって減ることで『メンター』が多くいそうだなと思ったので、全体的に《僧院の導師》を対処することを強く意識しています。《突然のショック》は、相手が《僧院の導師》をプレイするときは大抵それとセットで、着地後に優先権を放棄せずに《定業》やMoxenをプレイしますが、それに重ねて《噴出》をプレイしたりはしないので、合わせて《突然のショック》を打ってあげればトークン1体が残るだけで済みます」

伊藤 《戦争と平和の剣》も、通常は《火と氷の剣》が採用されていることが多いですが、《僧院の導師》をすり抜けられるプロテクション(白)が頼もしいですね。《若き紅蓮術士》についても追加の《僧院の導師》としての働きと、『MUD』などのマナ否定戦略をとってくる相手に対してより軽くプレイできる点を評価しています」


神聖の力線封じ込める僧侶


--「サイドボードに関してはいかがでしょう?【AVCでのStephen Menendianのリスト】と比べると、かなり変わっているように思われますが」

伊藤 《神聖の力線》は通常の『メンター』には入っていないカードですが、『MUD』が衰退した後の環境を考えると、『オース』『ストーム』が脅威になることは間違いないので、それらに対してクリティカルなカードを採用したかったというのがあります。その点《神聖の力線》は相手側のメジャーなサイドカードである《突然の衰微》に引っかからないので、相手に《自然の要求》を引き込むことを強要できます。さらに『オース』に対しては《封じ込める僧侶》も重ねて入れることで、《自然の要求》《突然の衰微》どちらに対しても裏目を作らせるというのが狙いです」

--「環境の話が出ましたが、ヴィンテージ環境といえば先月末の【2016 Asia Vintage Championship】の段階では『MUD』『オース』『メンター』の3強といった構図でしたが、《磁石のゴーレム》制限後の環境はどのようなものになるとお考えでしょうか?」

伊藤 「『MUD』が沈んで、残りの『オース』『メンター』については変わらないので、『MUD』によって押さえつけられていた『ストーム』が上がってくることが予想されます。『オース』『メンター』『ストーム』の3つが強くて、『MUD』と『発掘』が後に続く感じになるかなと思います」


仕組まれた疫病夜の戦慄摩耗+損耗


--「最後に、今回のデッキに関してレシピをいじりたい部分や変更を迷っている部分があれば教えてください」

伊藤 「メインサイド合わせてエンチャントに触れないという点が若干の懸念材料ですね。特に《仕組まれた疫病》《夜の戦慄》など、うっかり《僧院の導師》を封じ込めるカードを設置されてしまった場合、私のデッキでは《ヴリンの神童、ジェイス》《精神を刻む者、ジェイス》のどちらも採用しておらず、かなり勝ちづらくなってしまうので。ただそのために《破壊放題》《摩耗+損耗》にするかどうかは悩ましいところです。『MUD』が完全に死んでいるならそれでもいいんですが、やはり《Mishra's Workshop》のカードパワーは依然として脅威ですからね」

--「ありがとうございました」



伊藤 裕道「メンター」
第6期ヴィンテージ神挑戦者決定戦

1 《島》
3 《Tundra》
2 《Volcanic Island》
4 《沸騰する小湖》
1 《溢れかえる岸辺》
1 《霧深い雨林》
1 《汚染された三角州》
1 《Library of Alexandria》
1 《露天鉱床》
1 《不毛の大地》

-土地(16)-

2 《若き紅蓮術士》
4 《僧院の導師》

-クリーチャー(6)-

1 《Ancestral Recall》
1 《Time Walk》
1 《Black Lotus》
1 《Mox Pearl》
1 《Mox Ruby》
1 《Mox Sapphire》

-パワー9(6)-
4 《精神的つまづき》
4 《定業》
3 《狼狽の嵐》
1 《紅蓮破》
1 《渦まく知識》
1 《神秘の教示者》
1 《思案》
1 《剣を鍬に》
3 《突然のショック》
4 《Force of Will》
4 《噴出》
1 《時を越えた探索》
1 《宝船の巡航》
1 《戦争と平和の剣》
2 《ダク・フェイデン》

-呪文(32)-
4 《神聖の力線》
3 《封じ込める僧侶》
2 《破壊放題》
1 《紅蓮地獄》
1 《至高の評決》
1 《誤った指図》
1 《安らかなる眠り》
1 《大祖始の遺産》
1 《山》

-サイドボード(15)-
hareruya



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