スタンダード情報局 vol.43 -変容への対抗策-

富澤 洋平

はじめに

みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。

『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップで好成績を残したジェスカイ変容。活躍から1週間が経ち、メタゲームはこのデッキにとって厳しい風向きとなってきています。MTGアリーナが登場したことによる環境解析の早さに驚くばかりですね。

今回はMagic Onlineの大会結果を中心に、スタンダードの変化を探っていきます。

先週の攻略対象

『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ直後のStandard Challenge #12299479でも優勝したジェスカイ変容。現在のスタンダードで攻略すべきはこのジェスカイ変容をおいてほかにありません。

#1aデッキ名

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ジェスカイ変容は、「変容」を駆使した無限コンボと《黄金架のドラゴン》を打ち消し呪文と火力でバックアップするミッドレンジプランの二軸で戦うアーキタイプです。軽いリソース確保手段と打ち消し呪文が多く、ソーサリータイミングでしか動けない重い呪文に頼りがちなデッキにはかなり有利になります。ひとたび《黄金架のドラゴン》が着地しようものなら、《伝承のドラッキス》で呪文を回収し守りきることも可能。臨機応変に対応できるように構築されています。

空飛ぶ思考盗みガラゼス・プリズマリ

反面、打ち消し呪文に弱く、より軽く動けるイゼットドラゴンやディミーアローグを苦手としています。サイドボード後の《レッドキャップの乱闘》《非実体化》で対処しにくく、《塵へのしがみつき》により墓地すらも封じられてしまいます。ここに攻略のヒントがありそうです。

黄金架のドラゴン雷の頂点、ヴァドロック伝承のドラッキス

このデッキの無限コンボの手順は複雑であり、使うにしろ、使われるにしろ一度覚えてしまうにこしたことはありません。敵を知ることこそが攻略の一歩となります。幸いにして、『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップへ参加したマッティ・クイスマ/Matti Kuisma増田 勝仁両名より解説記事が届いていますので、下記にあるリンクより2人の記事をご覧ください。

Standard Challenge #12302282

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 AliEnWaRe_ イゼットドラゴン
準優勝 Matias Leveratto/levunga21 イゼットドラゴン
トップ4 pokerswizard ジェスカイサイクリング
トップ4 kasa ナヤアドベンチャー
トップ8 Glacier7 4色サイクリング
トップ8 _Tutenji_ ティムールルーカ
トップ8 Phill_Hellmuth ジェスカイ変容
トップ8 azatoyellow 4色サイクリング

Standard Challenge #12302282はイゼットドラゴンがワンツーフィニッシュを飾る結果となりました。トップ8にはサイクリングが最多3名の入賞者を出しており、アドベンチャーデッキも複数入賞しています。

因みに今回準優勝となったlevunga21はHareruya Prosに所属するマティアス・レヴェラット/Matias Leveratto選手です。デッキ解説を含めたレポート記事がありますので、こちらも併せてご確認ください。

メタゲーム

デッキタイプ 使用者数
イゼットドラゴン 8
ナヤアドベンチャー 4
赤単アグロ 4
スゥルタイ根本原理 3
ディミーアローグ 2
その他 11
合計 32

トップ32のデッキ分布を見るとイゼットドラゴンの使用者が8名いる一方で、環境をけん引してきたスゥルタイ根本原理はわずか3名にとどまっています。赤単アグロやディミーアローグ、ヘイトベアー入りのナヤアドベンチャーと包囲網が整い、苦戦を強いられています。さらにジェスカイ変容にいたってはわずか1名と、出る杭は打たれてしまったようです。

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イゼットドラゴン

イゼットドラゴン

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《ガラゼス・プリズマリ》《黄金架のドラゴン》によるクロックを火力と打ち消し呪文でバックアップする攻撃的なコントロールデッキ。軽量ドローの《表現の反復》が加わったことで、リソースが枯渇しにくくなりました。

対アグロ番長の《砕骨の巨人》に加えて複数のインスタントトリックがあり、アグロに対して特に強いアーキタイプとなります。《アールンドの天啓》など一部大振りなアクションもありますが、瞬速クリーチャーもいるためコンボ相手には隙を作りにくいデッキになります。

神秘の論争厚かましい借り手精神迷わせの秘本

イゼットドラゴンは極端に不利な相性のデッキがなく、バランスの取れたアーキタイプといえます。それは打ち消し呪文のなせる技であり、ビッグスペルを対処するだけでなく、《黄金架のドラゴン》を守って攻撃を継続できるのです。《神秘の論争》はメタゲームに合致した1枚であり、《出現の根本原理》《アールンドの天啓》に加えて、ジェスカイ変容の《雷の頂点、ヴァドロック》《伝承のドラッキス》をわずか1マナで対処できる出鼻をくじくのに最適なカウンターとなります。

流行のジェスカイ変容に対しては、《厚かましい借り手》により最小限のリスクでクロックを展開でき、膠着すればリソース面でも優位となります。《表現の反復》こそ共通していますが、イゼットドラゴンにのみ《精神迷わせの秘本》が採用されているのです。ただし、《プリズマリの命令》は天敵となりますので、ドローする前に破壊されてしまったなんてことのないようにする必要があります。

レッドキャップの乱闘サメ台風

サイドボードには《黄金架のドラゴン》対策の《レッドキャップの乱闘》が採用されています。わずか1マナで5マナのカードを対処できるため、テンポ面で優位に立つことができます。《サメ台風》は追加の《厚かましい借り手》であり、打ち消し呪文が効かず、さらに「サイクリング」することで手札を減らさずにクロックを用意できるコントロールやコンボに強いカードとなりますね。

Standard Challenge #12302294

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 Jaberwocki ナヤアドベンチャー
準優勝 kasa ナヤアドベンチャー
トップ4 unagieel 4色サイクリング
トップ4 karatedom イゼットドラゴン
トップ8 MagicianMagico ティムールアドベンチャー
トップ8 fingers1991 スゥルタイ根本原理
トップ8 DInglis 白単アグロ
トップ8 O_danielakos ティムールルーカ

Standard Challenge #12302294はナヤアドベンチャー同士による決勝戦となり、Jaberwockiことローガン・ネトルズ選手が優勝しました。『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップに続き、好成績を残し続けています。

メタゲーム

デッキタイプ 使用者数
イゼットドラゴン 6
ナヤアドベンチャー 4
スゥルタイ根本原理 3
白単アグロ 2
ジェスカイサイクリング 2
ディミーアローグ 2
その他 13
合計 32

こちらでも一番人気となったイゼットドラゴンであり、先ほどのStandard Challengeと比べても分布に差は見られません。赤単アグロに代わりに白単アグロが増えたことで、ジェスカイ変容はより苦しい立場へと追いやられています。コンボを封じる《ドラニスの判事》は除去やバウンスで簡単に対処できるはずですが、こと白単アグロに限っては《無私の救助犬》《命の恵みのアルセイド》がいるために一度着地を許すと除去することは困難を極めます。

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ナヤアドベンチャー

ナヤアドベンチャー

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ナヤアドベンチャーは《エッジウォールの亭主》と「出来事」のパッケージに、《クラリオンのスピリット》《スカルドの決戦》を加え、複数の呪文を連鎖させて戦場を強化していくアーキタイプ。行動回数を増やすためにマナクリーチャーが多めに採用されています。

ドラニスの判事

メインボードで目を引く《ドラニスの判事》。手札以外からの呪文のプレイを禁じるこのクリーチャーは、《出現の根本原理》のほかに「出来事」や「予顕」を止めてくれます。ジェスカイ変容のコンボは《雷の頂点、ヴァドロック》で墓地にある呪文を再利用するため、コンボ始動を許しません。

スカルドの決戦精鋭呪文縛り

タフネス3と《プリズマリの命令》で除去されず、《スカルドの決戦》から+1/+1カウンターを乗せれば火力圏外となってしまいます。《精鋭呪文縛り》とのシナジーも素晴らしく、現在のメタゲームにフィットしたクリーチャーといえるでしょう。

ただし、油断は禁物です。いくらタフネスを上げようとも《非実体化》の前には無力なため、一時しのぎにしかなりません。相手に息つく暇を与えずに押し切りを狙いましょう。

巻き添え

ナヤアドベンチャーがイゼットドラゴンよりも優れている点はサイドボードに2種類のメタカードを採用できることです。《レッドキャップの乱闘》はいうまでもなく、注目すべきは《巻き添え》です。同じく1マナで《黄金架のドラゴン》を除去できるテンポ面に優れたカードですが、こちらはプレイヤーを対象に取るためドラゴンの能力が誘発しません。ただし、横に避雷針として《雷の頂点、ヴァドロック》を立てられてしまうとうまく除去として機能しないので、注意が必要です。

おわりに

今回はジェスカイ変容の登場によるほかのデッキ構築の変化をみてきました。コンボは当然として、《黄金架のドラゴン》はそれ単体で20点を削りきるだけのパワーを秘めており、対策は必須。できることなら戦場に出る前に対処し、出た後は速やかに除去したいところですね。

黄金架のドラゴン

今週末には第3回 Sekappy COLOSSEUM MTGアリーナ 決勝大会が控えていますね。次回はそれらの情報をお届けしたいと思います。

この記事内で掲載されたカード

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富澤 洋平 晴れる屋メディアチームスタッフです。最近は《黙示録、シェオルドレッド》に夢中な日々です。 富澤 洋平の記事はこちら

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