こんにちは!
この度、【プロツアー『マジック・オリジン』】で試験的に導入されていた新マリガンルール、通称【バンクーバー・マリガン・ルール】が【今後正式に採用される】という発表がありました。
プロツアーで一足早くこのルールに触れていた身としては、この変更はマジックにとって非常に良いものだと思います。慣れるまでは「占術」忘れに気を付けなければなりませんが、それ以外には文句の付けようのない素晴らしきマリガン救済ルールです。
すでにみなさんご存知かと思いますが、バンクーバー・マリガン・ルールの詳細は下記の通りです。
1・これまで通り、お互いがマリガンするかどうかを選択
2・全てのプレイヤーがマリガンを終えたら、1回以上のマリガンを行ったプレイヤーは、先手のプレイヤーから順番に「占術1」を行う
※マリガンの回数に関わらず、「占術」は固定で「1」です。ダブルマリガンをしたから「占術2」、トリプルマリガンをしたから「占術3」というわけではありません。
2・全てのプレイヤーがマリガンを終えたら、1回以上のマリガンを行ったプレイヤーは、先手のプレイヤーから順番に「占術1」を行う
※マリガンの回数に関わらず、「占術」は固定で「1」です。ダブルマリガンをしたから「占術2」、トリプルマリガンをしたから「占術3」というわけではありません。
これが新ルールの簡単な説明になります。ここからは、このバンクーバー・マリガン・ルールがどのような影響を与えるのか掘り下げていきたいと思います。
■ 積極的なマリガンが肯定されるようになる
従来のマリガン・ルールでは、7枚と6枚の差は非常に大きなものでしたが、バンクーバー・マリガン・ルールの影響下では、「占術1」のおかげでライブラリーの1番上のカードもゲームプランに組み込めるため、マリガン1枚分の差はごくわずかなものになります。
このルールならば1回のマリガンはデメリットだと感じないほどでしたし、今後はマリガンをより厳しく行って問題ないと思います。例えば、以前なら悩んでいた下記のような手札も、新ルールなら僕は問答無用でマリガンします。
この手札は先手ならキープしてもいいかもしれませんが、後手ならマリガンする人が多数ではないかと思います。僕も現状のルールで先手なら辛うじて……と妥協したくなる気持ちもありますが、新ルールならば積極的にマリガンして問題ないと思います。
微妙な7枚よりも、1枚減らした6枚を。これはマリガンを行う理由そのものですが、「占術1」のおかげで微妙な7枚を躊躇なくマリガンできるようになったことは、僕のマリガン嫌いが直ってしまうくらいに大きな変更ですね。
■ マナスクリュー・マナフラッドの緩和
「土地が2枚:呪文が4枚」や「土地が4枚:呪文が2枚」。みなさんもこういった「キープはするけど微妙な手札」に遭遇したことがあると思います。
上記の例であれば、土地が1枚引ければきちんと展開ができるけど、もしも引けなかったら……。1枚ぐらい簡単に引けそうなもんですが、そうは言ってもなかなか引けないことがあるのもマジック。
しかしながら、今後はこういった心配が大きく緩和されます。新ルールの影響下では、マリガン判断には影響を及ぼさないものの、実際にゲームに与える影響が大きい事例はかなり多いと思います。
7枚と6枚の差が小さくなり、これまでは渋々キープしていた手札が事故りづらくなる。これだけでも十分に新ルールの素晴らしさをご理解いただけるかと思いますが、ここからはいくつかの実例(初手)をもとに、どのような場合に新ルールがゲームに影響を及ぼしてくるのかをご覧いただきましょう。
※対戦相手は7枚でキープとします。「ケース2」以外は、対戦相手のデッキは不明とします。
■ ケース1・土地1枚のとき (6枚・先手)
この手札はどちらのルールでもキープに値すると思いますが、2枚目の土地をいつ引けるかどうかに結果が左右されます。当然ながらバンクーバー・マリガン・ルールの方が明確に土地を引きやすいため、従来のマリガン・ルールと決定的な差があることが分かります。
リミテッドのこんな手札も以前よりキープしやすくなりますし、今後は土地が1枚でもキープできる回数が増えると思います。
■ ケース2・特定のカードを求めるとき (7枚・サイドボード後・先手)
対戦相手のデッキは「親和」です。対戦相手のデッキを度外視すれば、この手札はキープに値するハンドだと思いますが、問題はこのデッキが「親和」デッキを苦手としていることです。
そして、このデッキのサイドボードには「親和」デッキに劇的な《石のような静寂》が3枚。
おそらく、以上の理由を加味すると旧ルールでもこの手札はマリガンすべきだと結論付けられると思いますが、新ルールの方が特定のカードを探しやすいため、いくつかのマッチアップでは以前よりも積極的にマリガンする可能性が高まるのではないかと思います。
ここまではマリガン判断などに関する事例でしたが、続いては新ルールが与えるプレイングの変化を見ていきましょう。
■ ケース3・《秘密を掘り下げる者》があるとき (6枚・先手)
新ルールの恩恵を受けたカードのひとつとして話題に挙がっているのが、モダンやレガシーで大活躍中の《秘密を掘り下げる者》です。上記のような手札で、ライブラリーのトップが「インスタント呪文」か「ソーサリー呪文」だった場合、カードを使うことなく《秘密を掘り下げる者》の「変身」条件を達成することが可能となります。
もしもトップが土地だった場合には、《秘密を掘り下げる者》からではなく《血清の幻視》から入ることもできますし、「占術1」がない状態とは事情が異なることがお分かりいただけるかと思います。
■ ケース4・「フェッチランド」があるとき (6枚・先手)
この状況でトップが土地だった場合、あなたは1ターン目に《血清の幻視》をキャストしないプランが選べます。旧ルールならば問答無用でキャストするしかないので、これも新ルールならではの恩恵と言えるでしょう。
■ 終わりに
いかがでしたか?簡単にではありますが、新ルールの魅力であったり、変更点が伝われば幸いです。
最後に、バンクーバー・マリガン・ルールの要点をおさらいしてお別れしたいと思います。
繰り返しになりますが、個人的にこの変更には大賛成です。マリガン後の事故率が下がるのは願ってもない変更ですし、これからは「妥協したX枚の初手」よりも、「積極的なマリガン」が肯定される時代がくるのかもしれません。
それゆえにマリガン基準はより一層難しくなる可能性がありますが、そこは腕の見せどころです!マジックのルールはときに大胆な変わり方をしますが、これからもこのような素晴らしい改善が行われるといいですね。
なお、本日の夜から開始される【世界選手権2015】では、一足早くこのルールが試行されます。
ご視聴の際には、以前と比べて事故で終わるゲームの回数だったり、マリガンしたプレイヤーの勝率なんかにも注目してみるとより一層楽しめるかもしれません。
それでは、また次回の記事で!楽しいマリガンライフ(?)を!
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする