MTG Just Now! vol.10 -幽霊火の刃 etc.-

晴れる屋メディアチーム


情報を制す者はマジックを制す。

特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。


カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。



【PAX Prime 2015が開催される】

「Penny Arcade Expo」、通称”PAX”と呼ばれる一大ゲームショーが今年もアメリカ・ワシントン州シアトルで開催された。
本イベントにはマジックの販売元である【Wizards of the Coast】も参加している。

例年、新ブロックの最新エキスパンションの特別選考プレビューなどが実施されており、今年も『戦乱のゼンディカー』の情報などが大々的に公表された。

【基本土地タイプを持った新たな2色土地サイクル】(海外のコミュニティでは早くも「タンゴランド」という俗称がついているらしい)や、【新たなウラモグ】などは大きな話題を呼んだが、中でも最も多くのプレイヤーを驚愕させたニュースはこれだろう。




これらのフルアート特殊地形プレミアム神話レアという特殊なレアリティで収録されているようだ。
具体的な封入率などはまだ判然としていないが、全世界の多くのプレイヤーたちが渇望してやまなかった対抗色フェッチランドが再録されるとあっては期待せずにはいられない。


話題沸騰中の『戦乱のゼンディカー』。
晴れる屋ではBOX予約も受付中なので、ぜひお早めにご予約を!






【PAX会場にて世界選手権2015が併催】

PAX Prime会場にて、【世界選手権2015】が同時に開催されていた。

本大会には各国から厳しい条件を満たした強豪プロ24名が招待され、個人戦世界最強プレイヤーの座をかけて競い合う。日本からはHareruya Prosの山本 賢太郎選手TEAM MINTとUltra・PROからスポンサードを受ける渡辺 雄也選手の2名が参加した。




栄えある【世界選手権2015】の覇者となったのは、アメリカのトッププロであるセス・マンフィールドだった。

決勝の熱戦は【公式カバレージ】でもその様子を振り返ることができるので、まだチェックしていないという方はぜひ一度ご覧いただきたい。



主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。



1. 幽霊火の刃

【『戦乱のゼンディカー』のカードプレビュー】が公開されはじめ、今にわかに話題となっているのが《幽霊火の刃》だ。


幽霊火の刃


カードが無色であることを定義する能力語「欠色/Devoid」が登場し、軽量エルドラージが多数収録されるということもあり、新環境ではこれらの軽量エルドラージを軸にしたデッキで《幽霊火の刃》が活躍するのではないか、とさっそく期待されているようだ。




《殺戮の先陣/Forerunner of Slaughter》や《威圧ドローン/Dominater Drone》など、現時点でも構築での活躍に期待できそうな軽量エルドラージが何枚か公開されている。

特に《霧の侵入者/Mist Intruder》はその最たる例と言え、飛行に加えて新能力語の「嚥下/Ingest」まで持っている。1/2という頼りないサイズを《幽霊火の刃》で強化してやれば完璧だろう。

『戦乱のゼンディカー』発売後のスタンダードに向けて、今から入手しておいても損はないかもしれない。



2. 書かれざる者の視認

『戦乱のゼンディカー』で追加されるのは軽量クリーチャーだけではない。

エルドラージといえばあくまでも”大型クリーチャー”だ。
そして、古来より大型クリーチャーのマナコストは踏み倒されるものだ。


書かれざるものの視認


つまり、《書かれざるものの視認》の時代がきた。

というのは半分冗談だが、半分本当である。

『タルキール覇王譚』のガッカリ神話枠(リミテッドでは強い)という不名誉な烙印を押されていた《書かれざるものの視認》だったが、7月26日に開催された【SCGリッチモンド】で7位に入賞した【赤緑ビートダウン】にこのカードが4枚搭載され、注目を集めた。


Adam Bialkowski「GR Ramp」
SCGO Richmond (7位)

7 《森》
4 《山》
4 《樹木茂る山麓》
4 《岩だらけの高地》
4 《奔放の神殿》

-土地(23)-

4 《エルフの神秘家》
4 《爪鳴らしの神秘家》
2 《森の女人像》
2 《龍爪のヤソヴァ》
4 《雷破の執政》
3 《狩猟の統率者、スーラク》
2 《歓楽の神、ゼナゴス》
3 《世界を溶かすもの、アタルカ》
1 《龍王アタルカ》

-クリーチャー(25)-
2 《火口の爪》
4 《龍詞の咆哮》
4 《書かれざるものの視認》
2 《歓楽者ゼナゴス》

-呪文(12)-
4 《ガイアの復讐者》
2 《乱撃斬》
2 《破壊的な享楽》
2 《威圧の誇示》
2 《洗い流す砂》
2 《双雷弾》
1 《焙り焼き》

-サイドボード(15)-
hareruya



《龍爪のヤソヴァ》《狩猟の統率者、スーラク》《雷破の執政》といった3~4マナのクリーチャーで「獰猛」を達成し、《書かれざるものの視認》《世界を溶かすもの、アタルカ》《歓楽の神、ゼナゴス》を叩きつけるという豪快なゲームプランを実現したこのデッキは各所で話題となり、それに伴って《書かれざるものの視認》の評価も少しずつ見直されてきたのだった。


龍爪のヤソヴァ狩猟の統率者、スーラク雷破の執政


まるで【緑信心】のような挙動をするデッキだが、《ニクスの祭殿、ニクソス》を用いないこのデッキは、『テーロス』ブロックがスタンダードから去った後も活躍に期待できる。


巨大なエルドラージ(あるいは【新オムナス】)で対戦相手を蹂躙したいというプレイヤーは、『戦乱のゼンディカー』発売に先駆けて《書かれざるものの視認》を揃えてみてもいいかもしれない。



3. 包囲サイ

新セット発売前ということもあり新環境に思いを馳せてばかりになってしまったが、THS~KTK環境の総ざらいともいえる【世界選手権2015】で最も活躍したカードは何だろうか?

【公式カバレージ】のトピックの一つである【世界選手権2015 トップ5カード】では、第1位に《包囲サイ》が挙げられている。


包囲サイ


『タルキール覇王譚』がリリースされて以来、常にスタンダードのメタゲーム上位にアブザンが存在していたのは、ひとえに《包囲サイ》のおかげ(せい?)だったと言える。

今さら「《包囲サイ》が強い!」など言うに及ばぬ事実だが、3色とはいえ4マナで《Ebony Rhino》《血の税収》というスペックは破格だったということだろう。


搭載歩行機械先頭に立つもの、アナフェンザ


《羊毛鬣のライオン》《思考囲い》といったカードはもうすぐ使用できなくなるが、《包囲サイ》をはじめ《搭載歩行機械》《先頭に立つもの、アナフェンザ》擁する【白黒緑ビートダウン】ローテーション後も恐らく一定の強さを保つことだろう。






いかがだっただろうか?

今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。

次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。



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