瀬尾 健太(埼玉)。
当時ノーマークだった「ジェスカイ・トークン」を駆り【木原 惇希を圧倒し「神」になる】と、【第3期スタンダード神決定戦】では松田 幸雄との「エスパー・ドラゴン」ミラーマッチを制し、その座を保持した。
まだあどけなさの残る瀬尾だが、続く【第4期スタンダード神決定戦】での防衛を果たせば、「神」に就任して1年になる。これは【第1期レガシー神決定戦】から王座を維持する、川北 史朗に次ぐ快挙である。
「挑戦者」として名乗りを上げたその日から、瀬尾の心境にどのような変化があったのだろうか。スタンダードの魅力なども交えながら、【第4期スタンダード神決定戦】への意気込みを聞いてみた。
強い「神」になりたい
--「次の試合で勝利すれば『神』に就任して1年になりますが、なにか特別な想いはありますか?」
瀬尾 「1年だから、というわけではないのですが、近頃は以前よりも『神』の座を維持したいと強く思うようになりました」
--「それはどういった理由からでしょう?」
瀬尾 「『神』がモチベーションになっている、と感じることが増えたんですよね。忙しくても大会に出ようと思えるのもそのおかげですし、次の『スタンダード神決定戦』だけでなく、その次も勝ちたいと思っています」
--「【前回のインタビューでは少し弱気な発言もあった】と思うんですが、前回の防衛が自信に繋がっていたりしますか?」
瀬尾 「それもあるかもしれません。でもそれよりも、僕自身『モダン神挑戦者決定戦』や『レガシー神挑戦者決定戦』に参加したり、カバレージを読んだり、神シリーズをすごく楽しませてもらっているんですよね。だからこの大会がもっともっと盛り上がるといいなと思って」
--「ありがとうございます。そういっていただけると主催としてもありがたい限りです」
瀬尾 「【レガシー神の川北さん】は、最初からこれまでずっと防衛しててすごいじゃないですか。僕も川北さんみたいな強い『神』になりたいんです。そうすればもっと大会の盛り上がりに貢献できるんじゃないかと思って」
メタゲームが動きやすいところがスタンダードの魅力
--「瀬尾さんはスタンダードの『神』ですが、このフォーマットならではの魅力はどういったとことでしょう?」
瀬尾 「メタゲームが動きやすいところがスタンダードの魅力だと思います。新セットが発売される度に新しいデッキが出てきて、毎週勝つデッキが変わる。そういったところに魅力を感じています」
--「特に最近はそれが顕著ですよね」
瀬尾 「そうですね。《スフィンクスの後見》デッキが勝ったときは本当に驚きました(笑) あと僕は重いカードが好きなんですけど、スタンダードだとそういった重いカードが使いやすいのも魅力のひとつだと思います」
--「僕も《残酷な根本原理》が好きなのでよく分かります(笑)」
瀬尾 「でも大会で使うデッキは、好みだけじゃなくて直近の大会結果を見てデッキを決めるようにしています。例えば最近だと《ドロモカの命令》が流行っているので、それに弱いデッキは使わないとか」
重点的にサイドボード後のゲームを
--「この度の挑戦者は、ここのところ好調の高橋 優太さんですが、どういった印象をお持ちですか?」
瀬尾 「高橋さんはどんなデッキでも使いこなせるオールラウンダーなイメージなので、デッキに関してはあまり深読みしないようにしています。フォーマットがモダンならフェアリーだったかもしれませんけど(笑)」
--「確かに(笑) これまでに高橋さんと対戦した経験はありますか?」
瀬尾 「ないです。高橋さんだけじゃなくて、プロプレイヤーと呼ばれる人とほとんど当たったことがないんです。1回だけPTQで瀬畑さん(市川 ユウキ)と対戦したことがあるんですけど、ボコボコに負けちゃって……」
--「プロは強しと」
瀬尾 「そうですね。だから今まで以上にたくさん練習したいんところなんですが、友達が【モダンのWMCQ】の練習があるから!ってなかなか練習に付き合ってくれなくて(笑) 僕もWMCQには参加するので、本格的な練習はそれが終わってからですね」
--「1対1という特殊な形式には慣れましたか?」
瀬尾 「今回で3回目になりますが、最初から調整方法の感触は良かったので、これまで通りの調整法で挑もうと思ってます」
--「具体的にはどのような調整なんでしょうか?」
瀬尾 「サイドボード後のゲームをたくさんすることです。モダンやレガシーだと当たった瞬間にどうしようもないデッキがあるかもしれませんが、スタンダードにはそういったマッチアップが少ないと思うんですよね。だからメインボードはしょうがなくても、2本目以降にしっかりと取り返せるように、重点的にサイドボード後のゲームをやるようにしてます」
「神」であり続けるために
--「最後に、今後の目標をお聞かせください」
瀬尾 「今の自分の目標は、できる限り『神』の座を長く維持することです。これが最大のモチベーションになっているので、今回の『スタンダード神決定戦』も勝ちたいです」
--「期待しています。グランプリやプロツアー予選への参加予定はございますか?」
瀬尾 「プロツアーにはぜひ参加してみたいです。【プロツアー『運命再編』】の予選にはたくさん出たんですけど、結局権利には届きませんでした。時間に余裕ができたら、ぜひまたプロツアー予選にも挑戦したいと思っています」
--「そちらもがんばってください。本日はありがとうございました」
プレイヤーとして、これから更にキャリアを積み上げていくであろう瀬尾 健太。これまでの「神決定戦」で披露してきた的確な予測と、誰よりも楽しそうにマジックをプレイする姿が印象的なプレイヤーだ。
前回までと比較してみると、「神」としての自覚が芽生えてきたように思える。迎え撃つは、過去最強の挑戦者とも噂される高橋 優太。プロプレイヤーを始めて10年が経過するほどの古豪であり、キャリアという意味では瀬尾に勝るが、「神決定戦」の1対1という特殊なフォーマットでは瀬尾に一日の長がある。
川北のような最強の「神」になるために。マジックを更に楽しいものにするために。瀬尾の成長は止まらない。