Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2021/10/11)
あの相手に強いカードは?
メタゲームが毎週のように変わり続けるモダン。サイドボードには何を入れるべきだろう?と悩んではいませんか。
今日は、対戦する機会の多いトップメタに対する有効なサイドカードを各種紹介していきましょう。
続唱(リビングエンド、サイ続唱)
有効なカード
続唱対策として特に有効な1枚。どんな色のデッキでも採用できて、X=0で置けば相手は解答を用意しない限りコンボを達成できなくなります。
《虚空の鏡》と比較すると、X=0の《虚空の杯》は打ち消しを構えながら安全に通すことができます。そのため、打ち消し呪文を使う青のデッキであれば《虚空の鏡》よりも優先して《虚空の杯》を選ぶべきでしょう。
《時を解す者、テフェリー》は一度着地してしまえば、その対処に続唱デッキを悩ませます。《衝撃の足音》が解決したあとも、バウンス能力でサイトークンを除去することが可能です。
青のデッキにとって《狼狽の嵐》は最高の続唱対策です。たった1マナしかかからず、《否定の力》に邪魔されることもありません。
《虚空の杯》はX=0で2枚置こうとしても一方がもう一方を打ち消してしまいます。そのため、続唱対策を厚くしたいという場合、私は《虚空の鏡》を追加の解答として入れるようにしています。
1/3というサイズの《ドラニスの判事》は《砕骨の巨人》《死亡/退場》《プリズマリの命令》で焼かれることはありません。《否定の力》をすり抜けられる点も加点対象です。
こちらはサイ続唱対策。サイトークンをまとめて除去できる役割がありながら、幅広いマッチアップで使い道のあるサイドカードです。
対してこちらはリビングエンド対策です。自分自身の墓地が追放されても良いのであれば、リビングエンドを完封する《安らかなる眠り》は対策として筆頭に挙げられるカードです。
《忍耐》のような単発の墓地対策は、墓地を掃除したあとに「サイクリング」され、結局《死せる生》用のクリーチャーが墓地に溜まってしまうのが弱点です。その反面、《魂標ランタン》や《大祖始の遺産》に比べると、《忍耐》には利点があります。相手が打ち消し呪文として《否定の力》を採用することが多いなか、《忍耐》はそれをすり抜けられるのです。
《ウルザの物語》
有効なカード
永続的に《ウルザの物語》を対処できる1マナ域として《高山の月》以上のものはありません。その能力を失わせ、生け贄に捧げさせます。
アゾリウスコントロールで《広がりゆく海》を頻繁に見かけるようになりましたが、これは2マナでキャントリップしながら、1度きりの《ウルザの物語》対策になるからです。ほかにも《魂の洞窟》やバウンスランドなどの煩わしい土地を無力化させたり、《時を解す者、テフェリー》で戻して再利用できたりします。
《激しい叱責》は土地としての《ウルザの物語》を破壊できることはなくても、構築物トークンの能力を失わせて0/0にし、2体まとめて除去できます。
同じく、大型のクリーチャーを除去できないデッキにとっては《仕組まれた爆薬》が構築物トークンへの解答になります。また、繰り返すようですが、ほかのマッチアップでも便利なカードです。
効果的でないカード
《ウルザの物語》を使うデッキというのは通常攻撃的なデッキであり、《血染めの月》を置いている暇はありません。その効果に3マナも払っていられないのです。サイドインするとすれば、強気に攻めてこない《ウルザの物語》デッキでしょう。
イゼット執政
有効なカード
墓地を完全に封じる《安らかなる眠り》はイゼット執政に最高のカード。《ドラゴンの怒りの媒介者》と《邪悪な熱気》の「昂揚」、《濁浪の執政》の「探査」を妨害します。《安らかなる眠り》に対する相手の解答は《厚かましい借り手》や《仕組まれた爆薬》ぐらいしかありません。
イゼット執政を使っていたとき《虚空の力線》は見たくもないカードでした。《虚空の力線》を通常のコストで唱えられたり、重複したときに捨てられる手段があるデッキであれば、イゼット執政対策は《虚空の力線》だけで良いでしょう。
《忍耐》は使い切りの墓地対策ですが、《ドラゴンの怒りの媒介者》や「疾駆」の《敏捷なこそ泥、ラガバン》を止める大仕事ができます。タイミングがあえば「昂揚」を崩して《邪悪な熱気》の火力を下げることもあります。
効果的でないカード
イゼット執政を使う側だったころ、《魂標ランタン》をサイドインする相手がいました。イゼットは墓地を比較的速く肥やすことができるため、単発の墓地対策は基本的に効果的ではありません。また、《魂標ランタン》を追放モードで使えば1枚分カードアドバンテージを損してしまいますが、それは《表現の反復》を駆使する相手にしたいことではないでしょう。
エレメンタル
有効なカード
《倦怠の宝珠》はエレメンタルのカードアドバンテージ源を全て封じ、相手に《虹色の終焉》による解答を要求します。ピッチスペルとして唱えられたエレメンタルが「想起」によって死ななくなりますが、戦場に出たときの能力がなければまだ対処しやすいはずです。
《血染めの月》でロックされないようにエレメンタルは序盤に基本土地をフェッチランドから持ってくるハメになりますが、基本土地が2枚並んだとしても《血染めの月》が出れば普通はほとんどの呪文を唱えられなくなります。
効果的でないカード
《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》は「想起」しか防ぐことができませんし、エレメンタルが土地を5枚に伸ばすまでゲームが続くのが一般的です。ゲームへのインパクトが小さく、サイドインする気にはなれません。
《静寂をもたらすもの》は微妙だと思います。一般的にエレメンタルは《稲妻》と《虹色の終焉》を3枚ずつ入れていますからね。
ボロスバーン
有効なカード
バーンに何度も当たるだろうと読むなら《花咲く沈静》は良いサイドカードです。バーン相手に7~8点回復相当の働きをします。ただ、しっかりとこちらも攻めの姿勢を見せなくてはなりません。守ってばかりではいずれライブラリートップから引かれた火力で負けるでしょう。
除去が少ないデッキならば《花咲く沈静》よりも《黄昏の享楽》が合っています。2体の1/1トークンは、ダブルブロックして《ゴブリンの先達》と相撃ちしたり、チャンプブロックで時間を稼ぎます。
《黄昏の享楽》と同じく、除去が少ないデッキでは《稲妻のらせん》がライフ回復と除去の二役を担えます。クリーチャーデッキに対しても便利な1枚です。
ピッチコストとなる青のカードが多いデッキならば《否定の力》が選択肢になります。打ち消しのマナを構えておくことなく、自分のゲームプランを進められる優れモノです。
トロン
有効なカード
《血染めの月》はウルザランドと《爆発域》を無力にする最高の対策カード。ただし、後手では間に合わない可能性もあるため、序盤から相手にちょっかいを出せるようにしておきましょう。
先ほども書きましたが、《広がりゆく海》はドロー付きでウルザランドを封じられるエンチャントです。
トロンだけでなく《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》や《ウルザの物語》にも有効な《高山の月》はトロン対策として広く採用されているものでしょう。
ライブラリーアウト
有効なカード
《忍耐》は「切削」されたカードをライブラリーに戻します。その《忍耐》に対抗するには、ライブラリーアウト側は基本的に《魂標ランタン》で墓地を追放しなくてはなりません。
《引き裂かれし永劫、エムラクール》は墓地に置かれると、墓地のカード全てをライブラリーに戻します。《ターシャズ・ヒディアス・ラフター》に弱いデッキにとっては、高マナの《引き裂かれし永劫、エムラクール》がひとつの対策になり得るでしょう。
今回はここまでになります。
貴重なチャンスを与えてくれた晴れる屋には感謝したいと思います。今回が晴れる屋に寄せる最後の記事になりますが、何か質問などがあればTwitterでお尋ねください。
ケルヴィン・チュウ (Twitter)