土屋 洋紀という男は、不遇のプレイヤーだった。
・【グランプリ・京都2015】 25位
・エターナルパーティ2014 トップ8
・エターナルフェスティバル2014 トップ8
・GP静岡2014サイドイベント 日本レガシー選手権2013Winter トップ8
・【晴れる屋TCオープン記念レガシー杯】 3位
・エターナルパーティ2012 トップ8
・エターナルフェスティバル2011 トップ8
・エターナルパーティ2014 トップ8
・エターナルフェスティバル2014 トップ8
・GP静岡2014サイドイベント 日本レガシー選手権2013Winter トップ8
・【晴れる屋TCオープン記念レガシー杯】 3位
・エターナルパーティ2012 トップ8
・エターナルフェスティバル2011 トップ8
この戦績を見ればわかるように、土屋が日本の大型レガシートーナメントで刻んだ足跡は、おそらく国内でもトップクラスに多い。
しかしこれほどまでに勝っている土屋だが、優勝写真だけはどうしても見当たらなかった。
その原因は、土屋のシングルエリミネーションでの勝負弱さにある。これまで土屋のトップ8進出は、それすなわち準々決勝での敗退とほぼ同義だったからだ。
だが、そんな彼が今回ついに決勝まで上り詰めた。
ついに土屋は、長い間苦戦していた「準々決勝の壁」を打ち破ったのだ。
その要因は何か?と考えると、牽強付会かもしれないが、この大会がレガシー神・川北 史朗への挑戦権を得るための戦いであり、そしてつい先日の【第4期レガシー神決定戦】でその川北に斉藤 伸夫がプレイミスによって敗北していたことが一因としてあるのではないか、と思わざるをえない。
【斉藤 伸夫のインタビュー】にもあった通り、斉藤は土屋の良き親友でありライバルでもある。それもあっておそらく【第4期レガシー神決定戦】のとき、土屋は斉藤の方を応援していただろう。だが斉藤は負けた。土屋は何を考えただろうか?
【第4期レガシー神決定戦】が終わって数日後にそのことについて聞いたとき、土屋は「まあ、のぶ (斉藤) が甘かったね。俺なら勝ってた」と答えた。親友だけに不遜で容赦がない評価、そのときはそう考えた。
しかしこのとき既に、土屋の心には火がついていたのではないか。
高鳥、入江、斉藤。名のあるレガシー強者たちを倒し、「神」として君臨する川北に、引導を渡せるのは俺しかいないと。
その思いが、きっと土屋を強くした。準々決勝では【第4期挑戦者】であり親友の斉藤を、準決勝では【第2期挑戦者】の高鳥を、「今度は俺の番だ」と言わんばかりの気迫で倒していった。
そう、【ボルト算】土屋は熱い男だ。この自分の活躍を待っていたかのようなシチュエーションに、燃えぬはずがない。
決勝の相手はUR Delverの鈴木。決して楽な相手ではない。だが何より、ようやく待ち望んだ決勝戦という舞台がここにある。
テンションは最高潮。
必ず勝つ。勝って川北のところまで行く。
鈴木と土屋の決勝戦が、いま始まった。
Game 1
先手はスイス1位の土屋。《思考囲い》で《島》《Volcanic Island》《Volcanic Island》《稲妻》《目くらまし》《渦まく知識》《Force of Will》から《目くらまし》を落とし、2ターン目にUR Delverにとっての天敵、《タルモゴイフ》を送り出す。やむなく《渦まく知識》を切って《Force of Will》するしかない鈴木。
さらに土屋は3ターン目に《不毛の大地》を起動。これは《もみ消し》で阻まれるが、4ターン目には手札3枚の鈴木に対して《Hymn to Tourach》を打ちこみ、《島》と《Volcanic Island》を捨てさせる。
しかし2ターン目の《タルモゴイフ》を弾かれて以降、仕掛けるカードを引いていない土屋。鈴木の《秘密を掘り下げる者》は即《突然の衰微》するが、しばらくドローゴーに甘んじるしかない。
一方鈴木はドローゴーが続いて手札が5枚まで回復したところで《渦まく知識》をプレイ。さらにフェッチ1枚を立たせつつの《若き紅蓮術士》で仕掛けにいく。
これに対し《目くらまし》《目くらまし》《Force of Will》《突然の衰微》と抱える土屋は、最も弱い《目くらまし》2枚で処理すべく、まず《目くらまし》を1枚当てフェッチを切らせにいく。
鈴木 貴大 |
だが《目くらまし》に対応して《溢れかえる岸辺》を起動し、ライブラリを探した鈴木から驚愕の一言が漏れる。
鈴木 「……見つかりませんでした」
そう、場に《島》《Volcanic Island》《Volcanic Island》とあって、序盤に《Hymn to Tourach》で《島》《Volcanic Island》を落とされていた鈴木のライブラリには、もう《島》が残っていなかったのだ! (《山》が1枚あったが《溢れかえる岸辺》でサーチできない)
望外にも労せずして《若き紅蓮術士》を処理できた土屋はこの機を逃さず、さらに《死儀礼のシャーマン》《秘密を掘り下げる者》と展開して攻めにいく。《渋面の溶岩使い》はきっちり《Force of Will》し、逆転のケアも怠らない。
もはや土屋の場には2体の《秘密を掘り下げる者》と《死儀礼のシャーマン》が並び、あとは「変身」を待つだけの状況となった。
それでもその前に《火+氷》さえ引けば……!という思いを込めた鈴木の《思案》に、しかしライブラリは応えず。
やがて土屋の2体の《秘密を掘り下げる者》が《渦まく知識》をめくって「変身」すると、それを見た鈴木は即座に投了を宣言したのだった。
鈴木 0-1 土屋
Game 2
鈴木が先手で《秘密を掘り下げる者》スタートを切ると、返しで土屋は《死儀礼のシャーマン》を送り出す立ち上がり。
返すアップキープの「変身」がスカると、ここからのプランが難しい鈴木は《Volcanic Island》セットから《思案》。さらに2点払っての《ギタクシア派の調査》で土屋の手札を確認する。
《タルモゴイフ》
《タルモゴイフ》
《渦まく知識》
《Force of Will》
《見栄え損ない》
《不毛の大地》
ここからマナベースに不安があることを見てとった鈴木は《死儀礼のシャーマン》に対して《稲妻》を打ちこむ。
これに対し難しいのは土屋。《Force of Will》を打つべきか、打たざるべきか。もし打った上で鈴木の手札に《目くらまし》があるなら、その瞬間に窮地に立たされることになる……。
それでも土屋は意を決して《Force of Will》をプレイする。この緑マナ源を守れるかどうかが勝負の分水嶺だとわかっているからだ。
土屋 洋紀 |
鈴木 「《Force of Will》されました。ターンエンド」
そして鈴木の手札に《目くらまし》はなかった!
俄然優位に立った土屋は《タルモゴイフ》を出し、さらに《秘密を掘り下げる者》を《見栄え損ない》で処理。鈴木は《不毛の大地》を《不毛の大地》することくらいしかできない。実はこのとき鈴木は《水没》を抱えていたのだが、土屋の引いていた土地が《Underground Sea》であったためにプレイすることができなかったのだ。
そんな鈴木を尻目にさらに2体目の《タルモゴイフ》をも追加した土屋。ダメ押しに《血染めの月》すらも《目くらまし》してみせる。
そして緑の怪物2体がレッドゾーンに送り出され。
ついに土屋が、「優勝」の二文字を掴み取った。
鈴木 0-2 土屋
第5期レガシー神挑戦者決定戦、優勝は土屋 洋紀(千葉)!
おめでとう!!