【「帝王」森 勝洋との激戦】を制した高橋を準決勝で待ち受けていたのは「レガシー界の帝王」斉藤 伸夫だった。
【スイスラウンド】では斉藤の専門分野であるレガシーで勝利しているが、デッキ相性や斉藤の持つスキルを考慮すると、フォーマットの決定権を持つ高橋が選択したのはやはりスタンダードでの対戦。
「レガシー界の帝王」も、フォーマットが変わればその立場はまだ挑戦者。現行の「スタンダード神」でもある高橋が自分の土俵に上らせて迎え撃つ恰好となった。
しかしながら、二人が使うジェスカイ・ブラックは、斉藤の言葉を借りれば「レガシーっぽい」デッキだ。
斉藤のプレイスキルを十分に発揮できるこのミラーマッチは、たとえそれが高橋の土俵とはいえ、決して楽な戦いにはならないだろう。
Game 1
先手を得た高橋の2ターン目《魂火の大導師》には即《焦熱の衝動》を受けるが、これは高橋のプラン通り。
続く《ヴリンの神童、ジェイス》に向けられた《コラガンの命令》から《払拭》で守り早くも高橋が一歩リード。ルーティングで墓地を肥やすと《黄金牙、タシグル》を召喚する。
斉藤は《勇敢な姿勢》でこれを除去するが、ジェイスの定着を防ぐことはできない不利な状況に立たされる。
そのまま斉藤は動かず。対応しての除去を警戒して高橋はマナを構えたままターン終了。
斉藤が何もプレイしないのを確認して、エンドステップにジェイスを横に倒すと、斉藤は対応して《はじける破滅》。
高橋はこれを受け入れるが、ターンを迎える前の《オジュタイの命令》でリアニメイトを試みる。
斉藤が《払拭》で返すと、高橋はメインフェイズを迎え再度《オジュタイの命令》でリアニメイトと1ドローを宣言。
ここで「ミスった。今気づいた。」とつぶやく高橋。
そう、除去を警戒してジェイスを起動しなかった先ほどのメインフェイズでは斉藤は色マナを確保できず、《はじける破滅》をプレイできなかったのだ。
とはいえやってしまったことは仕方ない。残った最後の1枚の手札《黄金牙、タシグル》を戦場に。
斉藤はこの隙をついて除去することはかなわず、《黄金牙、タシグル》の鏡打ち。
高橋は《黄金牙、タシグル》を起動し《オジュタイの命令》を手に入れ、《ヴリンの神童、ジェイス》のルーター能力で選択肢を探り、見つけ出した《はじける破滅》で斉藤の《黄金牙、タシグル》を定着させない。
斉藤も同様に《黄金牙、タシグル》の能力で《はじける破滅》を手札に戻し、《僧院の導師》と共にキャストしてトークンを生み出す。
高橋はジェイスのマイナス能力で《はじける破滅》を使い回し《僧院の導師》をも除去。
残ったトークンの攻撃で忠誠値1まで減ったジェイスを倒し、《魂火の大導師》を戦場に追加する斉藤。
高橋は《オジュタイの命令》を手に考えるが、カウンターはせずにリアニメイトと1ドロー。
高橋は再び 《束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound》を降臨させ、追加の《ヴリンの神童、ジェイス》をプレイ。
これには《オジュタイの命令》で返され、高橋はフルタップの隙を見て《はじける破滅》で《魂火の大導師》を除去しようと試みるが、高橋の意図とは異なり「果敢」したトークンを生贄に捧げる斉藤。
「果敢」に気づいた高橋は一言
高橋 「あ、『果敢』か」
さすがの高橋も激戦の疲れを隠せない。らしくないケアレスミスが目立ち始める。
斉藤が《完全なる終わり》で《束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound》を除去すると、試合は一転斉藤のペースに。
《乱脈な気孔》と《魂火の大導師》での攻勢に耐え、高橋はトップデッキに祈るのみ。
《はじける破滅》こそするものの斉藤の《乱脈な気孔》が走り、さらに《ヴリンの神童、ジェイス》を追加する。
高橋は《ヴリンの神童、ジェイス》の変身を見ていることしかできず、そのまま斉藤が初戦を飾った。
斉藤 1-0 高橋
「結構ミスったなー」と自身の納得いかないプレイを振り返る高橋。
しかし自身で常々口にしているように、「ここで切り替えてこそアスリート」と、サイドボーディングを終えた高橋はもう冷静さを取り戻している。
Game 2
高橋は先手を得たが、土地が足りない手札をマリガン宣言。
6枚にすり減った手札はまたしても土地が1枚。
ダブルマリガンに見舞われてしまった高橋だが、2ターン目には当然のように《ヴリンの神童、ジェイス》をキャストしている。やはりこのカードが環境における《苦花》なのか。
これを《焙り焼き》されると返しのターンでは《苦い真理》でマリガン分を取り返し、と序盤戦はまたも高橋のペース。
2枚目の《ヴリンの神童、ジェイス》を送り出すも、ここにも斉藤の《コラガンの命令》と、ミラーマッチらしい《ヴリンの神童、ジェイス》を巡る目まぐるしい攻防が繰り広げられる。
斉藤が《苦い真理》で一息つくと、高橋は《オジュタイの命令》で取り返す。
呼び戻された《ヴリンの神童、ジェイス》は《光輝の炎》で除去するが、高橋は3枚目を手札からキャスト。
斉藤の《僧院の導師》を《オジュタイの命令》するも、続く《はじける破滅》は受け入れる他なく、《ヴリンの神童、ジェイス》を巡る攻防にはついに終止符が打たれる。
斉藤 伸夫 |
戦いは次のフェイズに移り、斉藤は追加の《僧院の導師》。
気が付けば高橋の場には8枚の土地と、たった今キャストした《魂火の大導師》。
今にも「バイバック」能力が回りだしそうな盤面だが、高橋のドローはもはや無用の土地が続く。
斉藤が《オジュタイの命令》でリアニメイトと1ドローを宣言すると、高橋は追い付けないと判断し、投了。次ゲーム以降の逆転を狙う。
斉藤 2-0 高橋
Game 3
再度先手は高橋。今度のゲームは《ヴリンの神童、ジェイス》を巡るやりとりはなく、高橋の3ターン目《苦い真理》から。
ディスカードを見届けた斉藤は《ヴリンの神童、ジェイス》を戦場に。
高橋はこれを《焦熱の衝動》すると、墓地に《苦い真理》のみを残して《黄金牙、タシグル》を召喚。
斉藤は《焙り焼き》こそするものの、2回行動とはいかず、高橋もここで一旦動きを止める。
一息つけた斉藤は《苦い真理》で枚数面の優位を得て、高橋の《コラガンの命令》には《払拭》を刺す。
高橋が手札から《黄金牙、タシグル》を唱えると、《宝船の巡航》でさらに手札を増やしていく。
豊富な手札から《ヴリンの神童、ジェイス》と《僧院の導師》を繰り出し高橋に回答を迫るも除去はせず。
酔いの解けた《黄金牙、タシグル》が攻撃に向かい斉藤のライフは9に。《はじける破滅》を受けてさらに7にまですり減る。
斉藤は残った《ヴリンの神童、ジェイス》を変身させ、《コラガンの命令》と《光輝の炎》で排除。
ジェイスの忠誠値を増やしエンドを宣言すると、手番をもらった高橋は墓地に手をかけ、《時を越えた探索》。
続いて《カマキリの乗り手》が《束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound》に3点のダメージを与える。
高橋 優太 |
斉藤はまたも《光輝の炎》でこれを除去すると、ジェイスの残った忠誠値と墓地リソースを全て使って《宝船の巡航》。
これに《否認》を使わせると《コラガンの命令》で《僧院の導師》を回収し、少しずつ手札差を広げていく。
リソースで上を行かれている高橋はライフを狙う。
またも《時を越えた探索》から手に入れた《カマキリの乗り手》で斉藤に一太刀浴びせるとこれで残りライフは3。
同時に見つけていた《否認》で《オジュタイの命令》を弾き、勝ち星を一つ取り返した。
斉藤 2-1 高橋
まだ1ゲーム取っただけだが、高橋は「よしっ」と軽くガッツポーズ。
もはや斉藤はレガシーが強いだけのプレイヤーではない。
プロプレイヤー高橋 優太は目の前の男を強敵と認め、俄然集中力を高めていく。
Game 4
高橋はもはやお家芸の2ターン目《ヴリンの神童、ジェイス》。
エンド前に、とはいかなかったが、斉藤はすぐに《光輝の炎》を唱えこれを生き残らせるはずもない。
クリーチャーを出さなかった高橋に《強迫》を差し向けると、対応して《コラガンの命令》が。
これを《払拭》で弾き《オジュタイの命令》を抜けば、高橋の手札は土地を除いて《オジュタイの命令》、《払拭》と寂しい様相だ。
対処すべき脅威も《否認》もないことを確認した斉藤は《苦い真理》でリードを広げる。
高橋は斉藤の《見えざるものの熟達》を見届けると、《払拭》で《オジュタイの命令》を通すが、釣り上げた《ヴリンの神童、ジェイス》には斉藤の《残忍な切断》が飛ぶ。
《はじける破滅》で抵抗を試みるも、毎ターン増えていく2/2予示クリーチャーの群れを前に、連続土地ドローに見舞われた高橋はここで力尽きた。
斉藤 3-1 高橋