By Atsushi Ito
グランプリ名古屋14はリミテッドということで、初日の今日は多くの名のあるリミテッド強者たちがシールドで熱い火花を散らしている。
そして、リミテッドといえばこの男は外せない。
昨年のグランプリ横浜13ではノーバイからのトップ8入賞という快挙を達成し、あの渡辺 雄也(神奈川)をして「リミテッド国内最強」と言わしめた、知る人ぞ知るマスタークラスのプレイヤー。
”rizer”こと石村 信太朗(埼玉)だ。
今回も懲りずにノーバイとはいえ、その実力から見ても依然として優勝候補の筆頭であることに変わりはない。
ということで、このhappymtgで連載している“rizer’s answer”のグランプリ特別出張版として、石村にグランプリ初日の自身のシールドの模様をインタビューしてみようと思う。
rizer 「これは初日落ちしますね」
--「ええー……」
rizer 「1回戦目で早速負けるという順調ぶり」
--「一体何があったんでしょうか……」
rizer 「とりあえずプールを見てもらいましょう」
--「これは……弱いんでしょうか?とりあえずこのプールをもらったときの石村さんの第一印象を伺いたいのですが」
rizer 「とにかく中核となるクリーチャーがいないと思いました。《ケンタウルスの狩猟者》みたいな、軽くて勝手に打点を稼いでくれる『出し得』のクリーチャーが全然見当たらないんですよね。『出し得』のクリーチャーに『授与』をつけるというのがこの環境で最も簡単なマジックなので、軽くヘコみました」
--「そうすると手練手管を尽くして何とか戦えるデッキを組むしかないわけですね。それぞれの色はどんな評価でしょうか?」
rizer 「とりあえず白は色ではなくて、青はサブカラーとしては優秀だけれども盤面が弱すぎてメインカラーにかなりの負担をかける感じですね。黒はレアはあるけどうーん……というところで、赤はまあ文句ないところです。緑は悪くはないですが、勝ちきれるか不安があります」
--「なるほど。となると赤と何か、ということになるんでしょうか」
rizer 「そうですね。最初は赤緑が良さそうかなと思ったんですが、やはり勝つヴィジョンが見えなかったので、メインは《責め苦の伝令》《夜の咆哮獣》という2大レアがある黒を相方にすることにしました」
9 《山》 8 《沼》 -土地(17)- 1 《肉餓えの馬》 1 《悪魔の皮の喧嘩屋》 1 《闘技場の競技者》 1 《悪意の幻霊》 1 《常炎の幻霊》 1 《ミノタウルスの頭蓋断ち》 1 《悪魔の皮のミノタウルス》 1 《クラグマの解体者》 1 《責め苦の伝令》 1 《夜の咆哮獣》 1 《不機嫌なサイクロプス》 1 《国境地帯のミノタウルス》 1 《パーフォロスの使者》 1 《野蛮な祝賀者》 1 《アクロスの徴兵人》 -クリーチャー(15)- |
1 《思考囲い》 1 《エレボスの加護》 1 《槌の一撃》 1 《難題への挑戦》 1 《ケラノスの稲妻》 1 《屍噛み》 1 《恐るべき気質》 1 《忌まわしい変身》 -呪文(8)- |
-サイドボード(0)- |
--「はたしてこれでメインを取れるんでしょうか。《パーフォロスの試練》を入れてブンブンに期待した方が良かったのでは……?」
rizer 「どちらかというと速攻で押し切るというよりは損しないように振る舞うイメージですので、捌かれると後がなくなる『試練』はあまりデッキに合ってないですね。それに、『英雄的』もないので付いて強いクリーチャーもいませんし」
--「ただ、rizer’s answer第5回で強調されていた『美しさ』=マナカーブとコンセプトという条件は満たしているとはいえ、これはあまりにも……他の候補はなかったんでしょうか?」
rizer 「赤緑タッチ青や青緑黒など試しましたが、どれも低マナ域の不足というこのプールの根本的な問題を解決しきれずに解体されましたね」
--「手詰まりですか……」
rizer 「いえ、まだ可能性はあります」
11 《山》 7 《島》 -土地(18)- 1 《闘技場の競技者》 1 《無謀な歓楽者》 1 《常炎の幻霊》 1 《クラグマの解体者》 1 《ミノタウルスの頭蓋断ち》 1 《魔心のキマイラ》 1 《不機嫌なサイクロプス》 1 《国境地帯のミノタウルス》 1 《潮流の合唱者》 1 《パーフォロスの使者》 1 《先見のキマイラ》 1 《アクロスの徴兵人》 1 《野蛮な祝賀者》 -クリーチャー(13)- |
1 《槌の一撃》 1 《難題への挑戦》 1 《保護色》 1 《ケラノスの稲妻》 1 《捕海》 1 《パーフォロスの激怒》 1 《突然の嵐》 1 《恐るべき気質》 1 《神託者の眼識》 -呪文(9)- |
-サイドボード(0)- |
--「青赤ですか。確かにこれならある程度戦えそうです」
rizer 「大胆に《撤回のらせん》2枚をカットすることによって動きにムラが出来にくくなりましたね。《ケイラメトラの好意》や《撤回のらせん》の対象がいないというのがこのプールの最大の弱点でしたから」
--「つまり今回のrizerは構築ミスをしてしまった、と……?」
rizer 「青赤にせよ赤黒にせよ、どのみち相手のデッキがわからないメインで1本取ることしか期待していないので、レアパワーがある赤黒との優劣は微妙なところです。が、もしかしたら青赤の方が良かったかもしれませんね」
--「なるほど」
rizer 「まあぶっちゃけプール自体がノーバイでグランプリ初日を抜けるスペックではないですね。MODEなら何とか戦えるというレベルでした」
--「せめて不戦勝さえあれば、というところでしたね。それでは最後に、今日の目標を聞かせてください」
rizer 「一刻も早く0-2でドロップすることです」
--「ありがとうございました」
石村をしてもどうにもならないプールというのも存在する。やはりシールドで勝ち抜くのは容易ではない。
だが何とかして初日を突破し、リミテッドGP2連続ノーバイからのトップ8という伝説を打ち立てて欲しいところだ。
石村の活躍に期待しよう。
なお4回戦終了後、爽やかな笑顔で「2-2でドロップしました」と報告して会場をあとにする石村の姿があったとかなかったとか。