熊猫杯スタンダードRound 3: 浅原 晃(オリンポス) vs. 高橋 大(東京)

晴れる屋

By Atsushi Ito


 熊猫杯スタンダードは早くも3回戦、ここから2byeを持っているプレイヤーが出てきてようやく戦いが本格化といったところだ。

 が、そんなこととは全く関係なく、驚くべき情報をキャッチしたのでそちらに目を向けよう。

 何とあの浅原 晃が、『バトルワーム』を持ってこの熊猫杯に参戦しているらしいのだ!

 早速フィーチャーエリアに現れたそれらしき人物に対して、カバレージに載せるために名前と都道府県を聞き出そうとすると、

?? 「ゼウスです。オリンポス山から来ました」










ゼウス?


 どう見ても浅原である。

 が、頑なに認めようとしないので、とりあえず「今日のデッキは『バトルワーム』ですか?」と尋ねると、

浅原 「いや、違いますね。これはゼウスが作ったので『ゼウスワーム』です」

 いつもの浅原である。

 とはいえ、このままでは「ぜうすなっしー」とか言い出しかねないので、ここは早急に会話を打ち切っておく。


Game 1

 ダイスロールの勝者は当然ながら神たるゼウス。

 《エルフの神秘家》から《森の女人像》、さらに《ナイレアの信奉者》と固い守りを見せるが、白単タッチ緑ビートの高橋も《管区の隊長》《オレスコスの王、ブリマーズ》《管区の隊長》と攻め立てる。

 と、ここで浅原、《獣の統率者、ガラク》をプレイ→-3能力を使用して手札からの《森林の始源体》で高橋の土地を破壊、というビッグプレイ。

 返す高橋も《精霊への挑戦》を使用してのフルアタックで《獣の統率者、ガラク》を処理しつつトークンを生み出して盤面を拡充するが、天才たる浅原は《天才の煽り》でリソース差を即座に埋め戻す。

 さらに2枚目の《天才の煽り》から「おかわり」となる《獣の統率者、ガラク》を引き込むと、3体目の《ナイレアの信奉者》が膨大な『信心』で20点近いライフゲインをもたらす。






 圧倒的なリソース差を前に、高橋は苦笑しつつ「負けました」と宣言した。

浅原 1-0 高橋


Game 2

 快調に2体の《復活の声》を送り出した高橋だったが、3枚目の土地が置けない。仕方なくプレイした《万神殿の兵士》『ゼウスの雷』さながらの《ショック》で対処される。

 だが、《復活の声》2体に攻められている状況だというのに、「ゼウスである浅原には当然」とばかりにサイドインの《ショック》が次々と手札に吸い付いてきてしまい、どうにも噛み合わない。

 それでも、ギルドランドをアンタップインしてライフを8としつつ《獣の統率者、ガラク》をプレイ。目いっぱい悩んだ末に、そっと《世界棘のワーム》を送り出すが。


セレズニアの魔除け


 待ってましたとばかりに高橋の《セレズニアの魔除け》が飛び、詰まったライフを《精霊への挑戦》であっさり押し込まれて勝負は3本目へもつれ込んだ。

浅原 1-1 高橋


Game 3

 《万神殿の兵士》《管区の隊長》と攻め立てる高橋に対し、浅原は《クルフィックスの狩猟者》をブロッカーとして召喚。これは《セレズニアの魔除け》で乗り越える高橋だったが、3枚目の土地がない上に、2体目の《クルフィックスの狩猟者》で盤面が完全に止まってしまう。

 その後も一向に土地が引けない高橋、浅原が2体の《ナイレアの信奉者》で盤面を固めていくのを尻目に愚直にクリーチャーを追加し続ける。

 何とか3枚目、4枚目と辿りついた高橋だが、既に浅原の盤面はえもいわれぬ堅さ。これを突破するには骨が折れそうだ。

 だが、さらに浅原が《獣の統率者、ガラク》をプレイして+1でターンを返したところで、ここまで力を溜めに溜めてきた高橋がついに攻勢に打って出る。





高橋 大


 すなわち、《ヘリオッドの槍》をプレイからの《精霊への挑戦》「プロテクション(緑)」でフルアタック!

 全てのブロッカーを貫通され、一挙22点を受けて浅原のライフは一瞬にして11まで落ち込む。

 そして、このタイミングで仕掛けるということはつまり、高橋の手札には十中八九、2枚目の《精霊への挑戦》がある。

 目いっぱい時間をかけ、生き残る道を模索する浅原。

 慎重に検討した結果、まず《獣の統率者、ガラク》の+1能力を起動する。するとそこには、喉から手が出るほど欲しかった3枚目の《ナイレアの信奉者》が!!

 細い糸を渡り切り、何とかライフを「《精霊への挑戦》フルアタック」の圏外まで引き上げる。さらに続くターンには《世界棘のワーム》11マナ払ってプレイ

 こうなると一撃で倒せない限り攻められない高橋。どうにか戦闘を2回に分けて浅原を倒しきれないか思案するも、ここでタイムアップのコールがかかり、追加5ターンへ突入。

 ライフを詰めるべく攻撃にきた《世界棘のワーム》を《セレズニアの魔除け/Selesnya Charm(RTR)》で追放するが、浅原はさらなる《世界棘のワーム》を送り出す。

 高橋に残されたプランは1つ。残った2ターンのドローで3枚目の《精霊への挑戦》を引き込むしか、ない。

 高橋、追加2ターン目のドロー……違う。だがやるしかない、《精霊への挑戦》をプレイして16点アタック。追加4ターン目のドローにすべてを賭ける。

 しかし、追加3ターン目。《世界棘のワーム》でのアタックの後。

 浅原が初手から握ったままでこれまでプレイの選択肢に入れることすらしなかった2枚の《予想外の結果》を、突如として解き放つ。

 1枚目。《ザル=ターのドルイド》

 2枚目。






 <天才の煽り>!!

 ちょうど11点だった高橋のライフが、ぴったりゼロになった。


浅原 2-1 高橋


浅原 《天才の煽り》1枚だけサイドアウトしてなかったんですよ。ゼウスの運命力でしたね」

 結局、初手から眠っていた《予想外の結果》を撃ったのは最終ターンになってからだった。

 この温存には何か深遠な理由があるかもしれない、と思って尋ねてみたところ。

浅原 『神はサイコロを振らない』と言いますからね」

 さすがの一言である。