はじめに
みなさんこんにちは。
来月には『指輪物語:中つ国の伝承』がリリースされますね。レガシーでも使えるセットで、「指輪の誘惑」など新メカニズムがどのような影響を与えるのか要注目です。
今回の連載では『Legacy Showcase Challenge』と先週末に開催された『Legacy Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Showcase Challenge 5/14
群雄割拠なレガシー
2023年5月14日
- 1位 Boros Initiative
- 2位 Cascade Crush
- 3位 Death’s Shadow
- 4位 Jeskai Control
- 5位 Lands
- 6位 Stoneblade
- 7位 Reanimator
- 8位 Lands
トップ8のデッキリストはこちら
今月もMOで開催された『Legacy Showcase Challenge』。参加するにはポイントが必要なことと、トップ8入賞者にはMOCS予選への参加権が与えられることもあり、毎週開催される『Legacy Challenge』よりもレベルが高くなる傾向にあります。
今大会のプレイオフは、禁止改定後に復権してきたJeskai Controlや現環境トップメタのコンボデッキであるReanimator、比較的最近見られるようになってきたレガシー版のCascade Crushなど多種多様なデッキが見られました。
最終的に優勝したのはBoros Initiativeでした。
デッキ紹介
Cascade Crush
モダンでも活躍している《断片無き工作員》といった「続唱」スペルによって《衝撃の足音》をプレイし、サイ・トークンを高速展開していくミッドレンジデッキ。
レガシーでは《猿人の指導霊》や《エルフの指導霊》といったマナ加速が使えるので、最速1ターン目から4/4トークンを2体場に出すことができます。レガシーとはいえ、1ターン目に決められると対処するのは困難です。
「続唱」との相性の悪さから《渦まく知識》や《呪文貫き》は使えませんが、《意志の力》と《否定の力》という2種類のカウンターがあるためコンボデッキとも戦えます。
☆注目ポイント
レガシー版のCascade Crushは、環境最強レベルのプレインズウォーカーである《時を超えた英雄、ミンスクとブー》が使えます。脅威を多様化することで《剣を鍬に》や《虹色の終焉》といった白い除去や全体除去を多用するコントロールとのマッチアップで特に強さを発揮します。《猿人の指導霊》や《エルフの指導霊》により早い段階からのプレイも可能です。
Temur Delver、Temur Midrange、多色コントロール、Death’s Shadowなど、レガシーのフェアデッキは特殊地形に依存しているため、サイドの《血染めの月》が刺さります。また、8 Castなどレガシーにはモダン以上にアーティファクトを多用するデッキが多いので、《活性の力》も有用なサイドカードになります。
Jeskai Control
『Legacy Showcase Challenge』には『プロツアー・機械兵団の進軍』でもトップ8入賞していたJavier Dominguez氏も参戦していました。彼が今大会で選択したデッキは《一日のやり直し》+《覆いを割く者、ナーセット》のコンボが搭載されたJeskai Controlでした。
このデッキは《表現の反復》と《白羽山の冒険者》が禁止になったことによる恩恵を受けたデッキです。環境デッキの多くが、Cephalid Breakfastなどコンボデッキでもクリーチャーをベースにしたデッキが多いことも復権の後押しをしています。
《剣を鍬に》と《虹色の終焉》という2種類の優秀な白い除去に加えて、《否定の力》と《意志の力》の2種類のピッチカウンターもあり、メインから《激しい叱責》も採用されているため、Delver、8 Cast、Doomsdayといったデッキが多い環境では活躍が期待できます。
逆に多色コントロールが多い環境では、除去やスイーパーが腐りやすく勝ち手段も少ないため厳しくなりそうです。Boros Initiativeもアタッカーが少ないこのデッキにとっては依然としてキツいマッチアップになります。
☆注目ポイント
《フェアリーの黒幕》や《語り部の杖》などバリエーションが豊富なのがJeskai Controlの特徴です。どのバージョンもアドバンテージを稼ぎつつ、優秀な除去とカウンターで脅威を捌いてロングゲームを制します。
《覆いを割く者、ナーセット》+《一日のやり直し》のコンボが決まった時点では勝つことはできないものの、圧倒的なアドバンテージ差がつくのでたいていの場合ほぼ勝ちです。しかし《一日のやり直し》は単体では使いにくいため、1枚のみの採用になっています。
8 CastやCephalid Breakfastなど現環境には《ウルザの物語》を使うデッキが多数存在します。《激しい叱責》は《ウルザの物語》の構築物・トークンを一掃したり、《タッサの神託者》を無力化できたりと用途が広いのでメインから3枚と多めに採用されています。
サイドにはReanimatorに備えて《外科的摘出》と《封じ込める僧侶》がそれぞれ2枚ずつ取られています。ドロースペルがあるとはいえ、対策カード4枚はReanimatorに対しては最低限の枚数なので、環境に多いときは追加の対策カードを用意しても良さそうです。
Death’s Shadow
Death’s Shadowは効率的なスペルと脅威で攻めるDelverと似たタイプのテンポデッキ。軽いクロックをカウンターとハンデスでサポートする戦略は特にコンボデッキに対して強く、禁止改定後はコンボデッキが増加傾向にあるのでDeath’s Shadowは良い選択肢のひとつです。
最近は《悪意の大梟》や《トーラックへの賛歌》といったカードも採用され、白い除去を採用したデッキとのマッチアップにも対応しやすくなっています。
☆注目ポイント
ライフを減らしつつ相手のプランを妨害できる《思考囲い》は、可能な限り速く《死の影》を展開したいこのデッキにとって重要なカードの1枚です。《トーラックへの賛歌》は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》をはじめとした優秀なアドバンテージ源が環境に多数存在するため、過去のレガシーのような活躍は難しくなりますが、コンボデッキとのマッチアップでは特に強さを発揮します。
《再活性》は相手の墓地からもクリーチャーをリアニメイトすることができるので、ハンデスで墓地に落とした相手の脅威を奪い取ることができます。場合によっては、Reanimatorが手札から捨てたクリーチャーを先に奪い取ることも可能です。ライフを能動的に減らす手段にもなるため《死の影》の強化にも貢献します。
能動的に4点支払える《殺し》は、相手の脅威を処理しつつ《死の影》の展開を可能にしてくれる重要なカードです。《激しい叱責》は《死の影》をライフトータルに関係なく13/13にするなど用途が広く、最悪でもキャントリップになるので大変便利なカードになります。
サイドの《戦慄の朗詠者、トーラック》は「キッカー」でプレイすることで実質《トーラックへの賛歌》になり、Jeskai Controlなど白い除去がメインのデッキ相手は「プロテクション(白)」により優秀な脅威として活躍します。
Legacy Challenge 5/20
Initiativeがショーケースから連覇
2023年5月20日
- 1位 White Initiative
- 2位 Izzet Delver
- 3位 Boros Initiative
- 4位 Karn Echo
- 5位 Elves
- 6位 4C Control
- 7位 Merfolk
- 8位 Oops! All Spells
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土曜日に開催された『Legacy Challenge』は、White Initiativeが優勝しています。
『Legacy Showcase Challenge』と同様にフェア、コンボともに多種多様なデッキが結果を残していました。
デッキ紹介
White Initiative
《白羽山の冒険者》が禁止になっても衰退することなく、新環境でも大きな大会で結果を残している「イニシアチブ」デッキ。1ターン目に「イニシアチブ」を得にくくなりましたが、それでも結果を残しているあたりこのメカニズムの強さが分かります。
「イニシアチブ」は構成上コントロールに強く、《表現の反復》が禁止になったことによってDelverが弱体化したこともあり、現在はいい立ち位置にあります。
☆注目ポイント
白単色では「イニシアチブ」クリーチャーが《練達の地下探検家》のみになってしまったため、多くの「イニシアチブ」デッキはBorosバージョンにシフトしていきました。ただ今大会を制したPerezのリストは、《ウルザの物語》パッケージを追加の勝ち手段兼アドバンテージ源として採用しています。
Boros Initiativeよりも速度で劣る分、《スレイベンの守護者、サリア》や《エスパーの歩哨》といったクリーチャーで相手を減速させていきます。特に《エスパーの歩哨》はアーティファクトとしてもカウントされるため、構築物・トークンの強化にも貢献します。これらの”課税”クリーチャーを活かすために、一般的な「イニシアチブ」デッキには見られなかった《不毛の大地》も採用されています。
流行りのReanimatorに対しては《封じ込める僧侶》《フェアリーの忌み者》《外科的摘出》《安らかなる眠り》《墓掘りの檻》とサイドボードの半分の枠が対策カードで割かれています。
Legacy Challenge 5/21
コンボデッキの時代
2023年5月21日
- 1位 Reanimator
- 2位 Jeskai Control
- 3位 Gamble Storm
- 4位 Doomsday
- 5位 Omni-Tell
- 6位 Elves
- 7位 Sneak and Show
- 8位 Lands
トップ8のデッキリストはこちら
日曜日に開催されたLegacy Challengeも、Sneak and Show、Doomsday、Elvesなどさまざまなコンボデッキが入賞していました。
最終的に優勝したのは、禁止改定後のMOのレガシーでトップメタに位置しているReanimatorでした。
デッキ紹介
Reanimator
墓地コンボはサイド後の墓地対策が課題ですが、Reanimator側もサイド後はリアニメイトプラン以外の勝ち手段を用意することで対策しています。
Reanimatorは新環境ではIzzet Delverに代わってトップメタに位置しており、旧環境から結果を残していたデッキの中で禁止の影響を受けなかったデッキだったので順当な結果といえます。大量のハンデスによってほかのコンボのプランを容易に妨害することができ、フェアデッキに対してもコンボを強引に通しやすいため、墓地対策されにくいメイン戦ではほとんどのデッキを圧倒します。
ReanimatorといえばRakdosカラーが定番ですが、今大会を制したshindyのリストはほぼ黒単でサイドの《練達の地下探検家》のために白をタッチしています。
☆注目ポイント
黒単なので定番の《信仰無き物あさり》が使えず、《納墓》以外で能動的にクリーチャーを墓地に落とすほかの主な手段が《集団的蛮行》と《無名の墓》になっています。そのため、速度をカバーするために《金属モックス》が採用されています。
《無名の墓》は伝説のカードがサーチできないため、今やおなじみの《偉大なる統一者、アトラクサ》は不採用です。その代わり《残虐の執政官》はサーチできるので追加の《納墓》として十分に使えます。
サイド後の妨害をどう乗り越えるかですが、このリストは《古えの墳墓》《練達の地下探検家》《抜け道の予見者》といったカードがサイドインされ「イニシアチブ」デッキに変形します。《金属モックス》や《水蓮の花びら》といったマナ加速も採用されているので、1ターン目から「イニシアチブ」クリーチャーを展開することも可能です。
総括
主力の1枚であった《白羽山の冒険者》が禁止になり弱体化を強いられた「イニシアチブ」でしたが、もともと多人数戦用にデザインされた「イニシアチブ」というメカニズムそのものが個人戦では強力で禁止改定後の環境でも結果を残し続けています。
そして、墓地対策されにくいメイン戦ではどんな相手にも勝てるデッキということで、現在ReanimatorはMOではトップメタに位置しています。大量に採用されたハンデスによってカウンターも軽く乗り越えてくるため、墓地対策はサイドに4枚以上用意しておくことを推奨します。
USA Legacy Express vol.218は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!