参加者93名によって開催された、ばりエクスプレス神戸。
この大会のメタゲームは、「欠片の双子」「親和」が比較的少なく、「青白系(トリココン、青白コン、トリコトラフト)」・「黒緑系(黒緑、ジャンド、黒緑白)」・「出産の殻(メリーラ、ノンメリーラ、キキジキほか)」の3つが圧倒的に多かった。
しかし、トップ8デッキリストを見渡すと、そこに《出産の殻》の文字は見当たらない。
奇しくも、前日に行われたPTQ『タルキール覇王譚』in大阪のトップ8にも、《出産の殻》は姿を見せなかった。
《出産の殻》デッキは、このまま衰退の一途を辿ってしまうのだろうか?
ここでは、復権のカギを握るかもしれない、一風変わった《出産の殻》デッキをいくつか紹介したいと思う。
■4色《鏡割りのキキジキ》ポッド
1 《平地》 1 《島》 1 《森》 1 《繁殖池》 1 《神聖なる泉》 1 《聖なる鋳造所》 1 《蒸気孔》 1 《踏み鳴らされる地》 1 《寺院の庭》 4 《霧深い雨林》 3 《乾燥台地》 4 《燃え柳の木立ち》 1 《剃刀境の茂み》 1 《ガヴォニーの居住区》 -土地(22)- 4 《極楽鳥》 4 《貴族の教主》 3 《前兆の壁》 2 《根の壁》 1 《幻影の像》 3 《海門の神官》 1 《悪鬼の狩人》 1 《詐欺師の総督》 1 《永遠の証人》 1 《台所の嫌がらせ屋》 4 《修復の天使》 1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 1 《誘惑蒔き》 1 《なだれ乗り》 1 《残忍なレッドキャップ》 2 《鏡割りのキキジキ》 1 《士気溢れる徴集兵》 -クリーチャー(32)- |
1 《雲隠れ》 1 《一瞬の瞬き》 4 《出産の殻》 -呪文(6)- |
2 《流刑への道》 2 《焦熱の裁き》 2 《バントの魔除け》 1 《戦争の報い、禍汰奇》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《弁論の幻霊》 1 《調和スリヴァー》 1 《エレンドラ谷の大魔導師》 1 《なだれ乗り》 1 《強情なベイロス》 1 《スラーグ牙》 1 《否認》 -サイドボード(15)- |
まず紹介するのが、こちらのデッキ。Magic Onlineでもプレミアイベント(PE)で2連続でトップ8入りし、注目を浴びた4色《鏡割りのキキジキ》ポッド。
このアーキタイプの最大の特徴は、《前兆の壁》《海門の神官》というキャントリップクリーチャーを多数採用したことにより、黒緑系への耐性を大幅に上げていることである。
このデッキでは、「場に出た時の能力」を持つクリーチャーの多さを活かして、4枚の《修復の天使》に加えて、《雲隠れ》《一瞬の瞬き》といったいわゆる”ブリンク”効果のあるインスタントを採用している。
《出産の殻》デッキにありがちな「1アクションが重く、1ターンに複数アクション取りづらい」という欠点をカバーしつつ、相手の予想外なアクションを取れる《雲隠れ》《一瞬の瞬き》は非常に理に適った選択といえよう。
■ジャンドポッド
6 《森》 3 《沼》 1 《山》 3 《踏み鳴らされる地》 2 《草むした墓》 4 《新緑の地下墓地》 2 《銅線の地溝》 1 《ケッシグの狼の地》 -土地(22)- 4 《極楽鳥》 2 《貴族の教主》 2 《森のレインジャー》 2 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 2 《絡み根の霊》 1 《漁る軟泥》 3 《台所の嫌がらせ屋》 1 《月の大魔術師》 1 《クルフィックスの狩猟者》 1 《永遠の証人》 1 《ヴィティアの背教者》 4 《ファルケンラスの貴種》 1 《残忍なレッドキャップ》 1 《鏡割りのキキジキ》 1 《士気溢れる徴集兵》 -クリーチャー(27)- |
3 《思考囲い》 2 《四肢切断》 2 《血染めの月》 4 《出産の殻》 -呪文(11)- |
2 《強情なベイロス》 2 《古えの遺恨》 2 《突然の衰微》 2 《ジャンドの魔除け》 2 《溶鉄の雨》 1 《漁る軟泥》 1 《なだれ乗り》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《殺戮の契約》 1 《思考囲い》 -サイドボード(15)- |
次に紹介するのがこちら。《出産の殻》デッキには珍しく、白を廃して黒赤緑の3色で構成されている。
注目したいのは、4枚採用された《ファルケンラスの貴種》だ。
旧スタンダード環境で一世を風靡したその攻撃力はモダンでも健在。《タルモゴイフ》を飛び越えながら、《修復の天使》を突破することも可能。従来の《出産の殻》デッキに比べて、かなりアグレッシブな構造になっている。《ファルケンラスの貴種》のサクリファイス能力は《シルヴォクののけ者、メリーラ》の相棒としても活躍できるため、《臓物の予見者》に別れを告げているのも特徴的。
《思考囲い》《血染めの月》という妨害を持ちつつ、メリーラポッドでの《シルヴォクののけ者、メリーラ》無限コンボ、キキジキポッドでの《鏡割りのキキジキ》無限コンボを両方採用されている。
《未練ある魂》を擁する白黒トークンや、そもそも攻撃力では勝負できない親和などには不利がつくだろうが、黒緑系や青白系のデッキといったフェアデッキにはかなり有利に立ち回れるだろう。
■5色《けちな贈り物》ポッド
1 《森》 1 《平地》 1 《繁殖池》 1 《神聖なる泉》 1 《草むした墓》 1 《聖なる鋳造所》 1 《蒸気孔》 1 《踏み鳴らされる地》 1 《寺院の庭》 4 《霧深い雨林》 2 《乾燥台地》 4 《燃え柳の木立ち》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 2 《ガヴォニーの居住区》 -土地(22)- 4 《極楽鳥》 3 《貴族の教主》 3 《根の壁》 1 《幻影の像》 1 《呪文滑り》 3 《台所の嫌がらせ屋》 1 《詐欺師の総督》 1 《永遠の証人》 4 《修復の天使》 1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《残忍なレッドキャップ》 1 《目覚ましヒバリ》 1 《鏡割りのキキジキ》 1 《士気溢れる徴集兵》 1 《原始のタイタン》 1 《太陽のタイタン》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 -クリーチャー(30)- |
3 《けちな贈り物》 1 《堀葬の儀式》 4 《出産の殻》 -呪文(8)- |
3 《否認》 2 《流刑への道》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《エレンドラ谷の大魔導師》 1 《叫び大口》 1 《エメリアの盾、イオナ》 1 《摩耗+損耗》 1 《カラスの罪》 1 《炎の突き》 1 《古えの遺恨》 1 《壌土からの生命》 1 《幽霊街》 -サイドボード(15)- |
最後に紹介するのがこちら。 《出産の殻》デッキに「《けちな贈り物》→《大修道士、エリシュ・ノーン》+《堀葬の儀式》」を組み込んだ意欲作である。
《大修道士、エリシュ・ノーン》は、場に出すことさえできれば親和、《出産の殻》、《欠片の双子》といったデッキを機能不全に陥らせることができる。まさに今のメタゲームにマッチしたクリーチャーである。
サイドボードには《けちな贈り物》の追加パッケージとして、《壌土からの生命》+《カラスの罪》《炎の突き》《幽霊街》も用意されており、柔軟に対応できるようになっている。 メインボードで相手の《漁る軟泥》に触る手段が極端に少ない点、そして様々なデッキがサイドインしてくる《墓掘りの檻》が《出産の殻》と《堀葬の儀式》、各種「回顧」に対してクリティカルなのが気になるところではあるが、《出産の殻》というデッキの新たな可能性を感じさせる。
《出産の殻》デッキ特集、いかがだっただろうか。
《出産の殻》デッキは、「豊富なマナクリーチャー+《出産の殻》」以外の部分の選択が比較的自由であるため、様々な可能性が考えられる。
モダンシーズンはまだ始まったばかり。
8月に行われるグランプリ神戸まで、《出産の殻》デッキはどこまで進化するのだろうか。
これからの《出産の殻》デッキの動向に注目しよう。