メタゲームブレイクダウン

晴れる屋

By Yoshihiko Ikawa

グランプリ・シドニー14の2Bye。そして年末に行われる招待制イベント『The Last Sun 2014』の権利を賭けて。

『基本セットマジック2015』発売直後であるこの大会に集まったのは、モダンを愛する130人のプレイヤーたち。

彼らはこのモダン環境をどう捉え、デッキを選んだのだろうか。

一ヶ月前に行われた「モダン神決定戦」のブレイクダウンと見比べながら、今のモダン環境を考えていこう。






●黒緑系-20名

土浦のプロツアー予選(PTQ)に続き、今大会、そして翌日のGPT神戸と連続して制したのがこのアーキタイプ。「モダン神決定戦」に続き一番人気となった。

《思考囲い》《コジレックの審問》という軽量手札破壊と《ヴェールのリリアナ》、そして《タルモゴイフ》《漁る軟泥》といった軽く優秀な生物の存在により、ローグデッキを含め様々なデッキに幅広く対応できるのが魅力だ。

「モダン神決定戦」のブレイクダウンと見比べて見ると、ジャンドカラー(黒緑赤)が減り、その分ジャンクカラー(黒緑白)が増えたことが分かる。
ミラーマッチと親和に強い《未練ある魂》を採用できる、というのがその理由だろう。

タルモゴイフヴェールのリリアナ未練ある魂



●青白赤コントロール-12名

プロツアー『神々の軍勢』をはじめとして、数々の大会で好成績を上げているアーキタイプ。非常に多くの除去をメインから採用しており、「メイン最強」と名高い親和にもメインボードから高い勝率を望める、少ないデッキでもある。

トップメタである黒緑系を意識してか、《前兆の壁》《刃の接合者》を採用したリストも多く見られた。

修復の天使スフィンクスの啓示刃の接合者



●欠片の双子-11名

全体に対する割合自体は「モダン神決定戦」のブレイクダウンから大きな差はないものの、「青赤双子」の内実には変化が見られる。

大阪のPTQを制した「コンボ特化型」、従来のいわゆる「テンポ双子」、そしてコンボパーツを「4《詐欺師の総督》3《欠片の双子》のみ」と最低限まで減らした「グッドスタッフ」タイプまで。

自分が一番戦いやすいように、双子使いは日々改良を重ねているようだ。

詐欺師の総督欠片の双子渋面の溶岩使い



●出産の殻-9名

「メリーラポッド」の絶対数こそ減りつつあるが、《出産の殻》を軸にしたデッキは依然健在である。

「メリーラポッド」に比べて器用さに欠けるが、アドバンテージを稼ぎながら盤面を構築できる《前兆の壁》《海門の神官》を活用できる「キキジキポッド」が黒緑系への対抗馬として徐々に数を増やしている印象。

出産の殻シルヴォクののけ者、メリーラ鏡割りのキキジキ




●ウルザトロン-9名

《欠片の双子》には弱いものの、黒緑系と《出産の殻》、青白赤コントロールには滅法強い。

黒緑系の《大爆発の魔道士》メイン採用が増えているのが若干気になるところではあるが、メタ的な立ち位置の強さはその程度では崩れないだろう。

解放された者、カーンワームとぐろエンジン森の占術



●バーン-7名

《山》をタップして、《溶岩の撃ち込み》をあなたに。ターンエンド。

どこまでも愚直に、そして誠実に相手のライフを狙い続けるこのデッキ、「モダン神決定戦」での華々しい勝利もまだ記憶に新しいことだろう。

いつの時代も存在するアーキタイプではあるが、「ギルドランド+フェッチランド」が跳梁跋扈しているモダンではその魅力が一層輝く。

ゴブリンの先達溶岩の撃ち込み裂け目の稲妻



●白黒-7名

手札破壊+ビートダウンというコンセプト自体は黒緑と似ているが、その攻め方自体は大きく異なる。

白黒トークンは《急報》《幽体の行列》といったトークンスペルを《無形の美徳》などの強化呪文でバックアップして。白黒グッドスタッフは《群れネズミ》《刃の接合者》《修復の天使》を軸にして。
どちらも点ではなく面で攻めるのが特徴的。

環境に一定数いる「《瞬唱の魔道士》《稲妻》」パッケージに強いのが魅力的なアーキタイプである。

幽体の行列群れネズミコジレックの審問





今大会では『マジック基本セット2015』のカードの活躍は余り見られなかったが、7/21(祝・月)に行われたPTQ名古屋では《アーティファクトの魂込め》を投入した「親和」が優勝するなど、新たな息吹を感じられた。


まだまだ続くモダンの夏。
その終着点でもあるグランプリ・神戸14までに、このメタゲームはどう動くのだろうか。