メタゲームブレイクダウン
晴れる屋メディアチーム
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7月16日、晴れる屋トーナメントセンターで第5期統率者神挑戦者決定戦が開催されました。この記事では本大会のメタゲームを紐解いていきます。
『指輪物語:中つ国の伝承』のリリースにより、統率者戦にも強力なカードがもたらされました。
《一つの指輪》は継続的な大量ドローと1ターンの猶予を与えるアーティファクト。そして《オークの弓使い》はドローを繰り返す相手に大打撃を与えるクリーチャーです。
《一つの指輪》を強力に使えるアーティファクトデッキが台頭すれば、《無のロッド》を使う緑の濃いデッキがその隙を突こうとメタゲーム上に浮上します。
しかし、《オークの弓使い》の登場はクリーチャーへの依存度の高い緑を中心としたデッキにとって大打撃。緑を愛するプレイヤーからは悲しみに満ちた怨嗟が聞こえてくるようでした。
緑のデッキが減ればアーティファクトを多用するデッキにとって追い風となります。
しかし、リリースからしばらくたった現在では見方が変わってきています。《オークの弓使い》にもっとも強く抑圧されるのは《織り手のティムナ》系ミッドレンジであり、《オークの弓使い》に除去を使ったぶん、緑のクリーチャーには触りにくくなってしまうという現象が見られます。
果たして《オークの弓使い》によって緑は駆逐されてしまうのでしょうか。
それでは実際のメタゲームを見ていきましょう。
共闘統率者は「マナ総量順」「英語カード名順」の記載としました。
色 | 採用率(第4期との比較) |
---|---|
白 | 51.4%(+7.6) |
青 | 59.7%(-2.8) |
黒 | 55.9%(-0.4) |
赤 | 58.2%(+0.9) |
緑 | 38.8%(-7.0) |
無色 | 2.2%(+1.2) |
緑の採用率は前大会と比べ、7.0ポイントの下落。緑を採用したプレイヤーは4割を下回ります。緑単色の統率者を選択したプレイヤーにいたってはわずか3名。無色単と同じスコアと聞けばそのさみしさがよく伝わるでしょう。
やはり《オークの弓使い》の存在は無視できず、「普段は緑のデッキなんだけど、もう無理」、と《織り手のティムナ》系ミッドレンジに乗り換えたという声が多く聞かれました。
青黒赤の採用率には大きな変化がなく、緑の下落を受け止めたのは白。採用率は7.6ポイント上昇し、半数以上のプレイヤーが白を採用しました。
統率者戦最弱色とまでいわれる白ですが、《沈黙》をはじめとした対話拒否カードを搭載した白黒赤カラーのデッキが目立ち、《オアリムの詠唱》の採用まで見られます。
白の台頭にはもうひとつ理由があります。続いて統率者の選択を見てみましょう。
使用率トップとなったのは《織り手のティムナ》&《ルーデヴィックの名作、クラム》。第3期統率者神を神の座へ送り込んだこのデッキ、今回持ち込んだのは10人でその使用率は7.4%。「もっとも丸く、もっとも難しい」デッキのひとつといえるでしょう。
黒・赤のマナ加速、白の対話拒否、さらに《オークの弓使い》。《オークの弓使い》はティムナへの強力なけん制ではありますが、《織り手のティムナ》にとってもクロックを調達し、ブロッカーを除去する素晴らしい噛み合いを見せる1枚です。
ちなみに、《織り手のティムナ》のみの採用率は14.9%でした。
続く《秘密売り、ティヴィット》は使用者9名。除去に強く、マナ加速、ドローも可能。それでいて《時の篩》との無限ターンコンボも擁しています。
トーナメントセンター大阪で開催されたコマンダーサミット内のトーナメントでは《秘密売り、ティヴィット》を使用したフクモト選手が2連覇を達成するなど、この一年でもっとも注目を集めた「共闘」を持たない統率者といえるでしょう。
以下は予選ラウンドをトップ12以内で終え、明日行われる挑戦者決定戦決勝戦へ進むデッキです。
もっとも多くのプレイヤーが選択した「ティムクラ」は2名が入賞。一方、《秘密売り、ティヴィット》は1名も入賞できませんでした。
《秘密売り、ティヴィット》はひとたび着地すれば非常に安定性が高い一方、打ち消されてしまうと再登場には8マナを要します。「《秘密売り、ティヴィット》は初動を挫けばよい」、と《秘密売り、ティヴィット》はかなり打ち消しを吸っています。結果、漁夫の利を得た第三者が走り切るというゲームが散見されました。
トップ12のうち、《オークの弓使い》を採用したのは7名。黒を擁するデッキすべてに採用され、クリーチャーカードとしてはトップ12で最多使用数となりました。
次点は《フェアリーの黒幕》。令和の《企業秘密》とまで言われた極悪カードは6枚の採用となりました。
一方で前評判どおりとならなかったのが《一つの指輪》。固有色にかかわらずどんなデッキでも採用できますが、トップ12には3枚のみ。
トップ12に残るデッキは「4マナ使ってまでドローしなくてもいい」くらい、強力なアドバンテージ獲得能力を持っていたり、《ヨーグモスの息子、ケリク》や《語りの神、ビルギ》のようなピーキーなデッキばかりでした。
「お互いに《一つの指輪》を出すとゲームが終わらなくなるから、《一つの指輪》が出てくる前にゲームを終わらせよう」「《一つの指輪》をアテにした《Copy Artifact》や《ファイレクシアの変形者》が増えてきているから、あえて使わないようにした」というプレイヤーもいました。
そんな中、マツモト選手の《奪い取り屋、サーダ・アデール》は積極的に《一つの指輪》を使おうという姿勢が見て取れます。コンボを形成する《精神力》に、《通電式キー》《多用途の鍵》も採用。統率者《奪い取り屋、サーダ・アデール》は対戦相手のライブラリーからも《一つの指輪》を見つけだします。
参加者全体としては《織り手のティムナ》や《秘密売り、ティヴィット》が幅を利かせましたが、入賞したデッキは個性豊かなメンツとなりました。
明日7月17日ひる12時からの第5期統率者神挑戦者決定戦・神決定戦をぜひご観覧ください。
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