はじめに
みなさん、こんにちは。晴れる屋メディアチームです。
本日未明より『イクサラン:失われし洞窟』のプレビューが始まりました。
【プレビュー】11月17日発売のスタンダードセット『イクサラン:失われし洞窟』のデビュー番組が配信スタート!
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) October 24, 2023
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驚きの新カードに恐竜や海賊などイクサランらしいクリーチャータイプ、懐かしの再録カードなど初日から多くの情報が出ていました。いやはや、どんなセットになるか楽しみです。
新セットを語る上でカードと並んで重要なのが、セット固有のメカニズムです。公式の解説記事にもある通り、『イクサラン:失われし洞窟』のメカニズムは構築戦やリミテッド戦を盛り上げてくれること間違いなしです。
本稿では『イクサラン:失われし洞窟』に登場するメカニズムについてご紹介します。
『イクサラン:失われし洞窟』のメカニズム
『イクサラン:失われし洞窟』では「作製」「落魄」「発見」の3つの新しいメカニズムと、再録の「探検」と亜種である「地図・トークン」が登場します。
「作製/Craft」
《深淵の王の偶像》
アーティファクト
瞬速
《深淵の王の偶像》が戦場に出たとき、1つを対象とする。これはそれに2点のダメージを与える。
アーティファクトで作製(、このアーティファクトを追放する。あなたがコントロールしていてこれでないアーティファクトやあなたの墓地にあるアーティファクト・カードである1つを追放する:このカードをオーナーのコントロール下で変身させた状態で戻す。作製はソーサリーとしてのみ行う。)
「作製」は変身する両面カードが持つ起動型能力であり、書かれたコストを支払うことで第1面から第2面へと「変身」します。
要求されるのは「マナを支払うこと」「作製コストを支払ったパーマネント自身を追放すること」「自身を除いて指定されたパーマネントや墓地にある同パーマネント・カードを追放すること」です。
《深淵の王の偶像》の場合、自身を追放することに加えて「」「自分以外の戦場にあるアーティファクト1つか、墓地にあるアーティファクト・カード1枚を追放すること」で、《君主のマクアフィトル》へと「変身」するわけです。
《君主のマクアフィトル》
アーティファクト – 装備品
《君主のマクアフィトル》が戦場に出たとき、あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。これをそれにつける。
装備しているクリーチャーは+2/+0の修正を受ける。
装備
第2面にあたる《君主のマクアフィトル》は以前の能力を失い、装備品となります。序盤はクリーチャー除去、中盤以降マナが余れば装備品として使いまわせます。リミテッドはもちろんのこと、条件を満たせば構築戦でもマナの使い道になるかもしれません。
「作製」のキモはいかにして損なく指定されたカードを追放できるかにあります。《深淵の王の偶像》を例にあげるならば、戦場に出ている《実験統合機》や《ヴォルダーレンの美食家》から生成される血・トークンといったほかの効果に付随しているものが理想的。墓地にあるアーティファクト・カードでも構いませんが、ひと手間余分にかかってしまいます。
コストにあてられたカードは追放されるため、「戦場からいずれかの墓地に置かれたとき~」「死亡したとき~」ではじまる効果が誘発しない点にも注意が必要です。
「落魄/Descended」
《同族怒りのマイコイド》
クリーチャー – ファンガス
あなたの終了ステップの開始時に、このターンにあなたが落魄していた場合、「このクリーチャーではブロックできない。」を持つ黒の1/1のファンガス・クリーチャー・トークン1体を生成する。
(パーマネント・カードがいずこかからあなたの墓地に置かれたなら、あなたは落魄する。)
「落魄」はパーマネント・カードがいずこかからあなたの墓地に置かれたことを意味します。パーマネント・カードに該当するのは土地、クリーチャー、エンチャント、アーティファクト、プレインズウォーカー、バトルの6種類であり、インスタントとソーサリー、トークンは含まれません。
また、墓地に置かれる前にあった領域を問いません。手札や戦場、追放領域、スタックにあったものでも墓地へ置かれればそれは「落魄」したと見なされるのです。憎き《かき消し》も「落魄」の前では友情コンボとなりえます。
このため「落魄」は能動的にカードを墓地へ送り込むギミックと良好なシナジーを形成します。ルーティングや切削をはじめとして、スタンダードでは「謀議」「魂力」、下のフォーマットでは「発掘」、手札からカードを捨てられる共鳴者、フェッチランドなどです。
パイオニアのラクドスサクリファイスは「落魄」を狙ううえで最良の選択肢かもしれません。《大釜の使い魔》&《魔女の大釜》のシナジーにより、いつでもクリーチャーを墓地へと送り込めるのですから。
「落魄」で重要なのはパーマネント・カードが墓地へ置かれたか否かです。仮に墓地へ置かれた後に戦場や手札、追放領域へ移動したとしても「落魄」を満たしたことになります。
逆に《安らかなる眠り》下のように、墓地に置かれること自体を置換する場合は条件を満たしません。
「落魄4」「落魄8」「底なしの落魄」
《説教好きな残響》
クリーチャー – スピリット・クレリック
《説教好きな残響》が戦場に出たとき、カードを1枚引く。
落魄4 – あなたの墓地に4枚以上のパーマネント・カードがあるかぎり、《説教好きな残響》は飛行を持つ。
「落魄」がパーマネント・カードがいずこかからあなたの墓地に置かれたことを意味していたのに対し、「落魄4」「落魄8」「底なしの落魄」はあなたの墓地に置かれているパーマネント・カードの枚数を参照する常在型能力となります。「落魄4」を持つ《説教好きな残響》の場合、墓地にあるパーマネント・カードが3枚以下ならば飛行を失います。
「落魄4」「落魄8」を持つカードはプレイしたときの状況ではなく、 常に落魄以降にある数字を満たしているかどうかチェックする必要があります。相手の戦場にアンタップ状態の《アガサの魂の大釜》や《未認可霊柩車》がある際は、墓地のパーマネント・カードの枚数に気をつけねばなりません。
《麻痺の歌》
エンチャント – オーラ
エンチャント(クリーチャーや機体)
《麻痺の歌》が戦場に出たとき、あなたはカード2枚を切削してもよい。(あなたのライブラリーの一番上にあるカード2枚をあなたの墓地においてもよい。)
底なしの落魄 – エンチャントしているパーマネントは-X/-0の修正を受ける。Xはあなたの墓地にあるパーマネント・カードの枚数に等しい。
「底なしの落魄」はあなたの墓地に置かれているパーマネント・カードの総数を参照し、その分だけ恩恵を得ることができます。「落魄4」「落魄8」と違って数は指定されていません。墓地にある枚数により効果の大小はありますが、1枚からでも意味を持ちます。切削枚数の多い《錠前破りのいたずら屋》のようなカードと組み合わせたいところ。
「発見/Discover」
《地質鑑定士》
クリーチャー – 人間・工匠
《地質鑑定士》が戦場に出たとき、あなたがこれを唱えていた場合、発見3を行う。
(マナ総量が3以下であり土地でないカード1枚が追放されるまで、あなたのライブラリーの一番上から1枚ずつ追放していく。それをマナ・コストを支払うことなく唱えるか、あなたの手札に加える。残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。)
「発見」は発見数以下のマナ総量を持つカードを、ライブラリートップから無作為に探し、唱えるか手札に加える誘発型能力です。発見数は「発見+数字」で表され、後ろにある数字はマナ総量の最大値を示しており、そのマナ総量以下であり土地でないカード1枚を追放するまで、自身のライブラリーの一番上から1枚ずつ追放していきます。該当するカードが追放されれば、そのカードをマナ・コストを支払わずに唱えるか、あなたの手札に加えるかのどちらかを選べます。
無作為とはいえ、カードを1枚唱えただけで2枚分に相当するテンポとカードアドバンテージを獲得できるチャンスがあります。《地質鑑定士》の「発見」により《擬態する歓楽者、ゴドリック》や《勝負服纏い、チャンドラ》が追放されれば、4マナとカード1枚で7マナ分の働きをしたことになるのです。
かつて『アラーラ再誕』で登場し、構築戦で大暴れした「続唱/Cascade」によく似たメカニズムであり、《地質鑑定士》は単色の《血編み髪のエルフ》かと錯覚したほど。しかし、よくよく目を凝らすと随所に改善がみられます。
「続唱」といえば青などの打ち消し呪文に強いメカニズムでしたが、「発見」が誘発するのは戦場に出たときです。このため打ち消し呪文があれば未然に防ぐことが可能です。
呪文の踏み倒しにも目を光らせています。「発見」によって追放されたカードが複数のモードを持つ場合、タダでプレイできるのは発見数以下のマナ総量でなければなりません。《地質鑑定士》の効果で《木苺の使い魔》が追放されたとしても、《初めてのお使い》をプレイすることはできないのです。
「発見」は『エルドレインの森』環境初期に登場した《アラーラへの侵攻》コンボの代用とはなりません。
こう聞くと「発見」は「続唱」の下位互換じゃないかと思われるかもしれませんが、優れている点もあります。誘発型能力の解決時にプレイするか手札へ加えるか選択できるため、以前は難しかったマナ総量にXを含む呪文や打ち消し呪文などのリアクションカードとの併用が可能となりました。もはやクリーチャーがいない状況で除去カードが追放されたとしても無駄にならないのです。
再録メカニズムと覚えておくべきルール
新しいメカニズムをご紹介したあとで、覚えておくべき共通ルールと再録カードをみていくことにしましょう。
変身する両面カード
『イクサラン:失われし洞窟』には変身する両面カードが多数収録されていますが、変身する両面カードが戦場にない場合、それは第1面の特性しか持ちません。デッキから探し出す際は第1面の条件を満たす必要があります。
《イトリモクの成長儀式》を例にとります。このカードは第1面がエンチャント、第2面が土地であるため、デッキから手札へと加えるには《牧歌的な教示者》が必要となります。《森の占術》のような土地サーチでは不可能です。
戦場にある間は、表になっている方の面の特性を使用しますが、それにはひとつの例外があります。マナ総量を参照する際は第1面のマナ総量を用いる点です。《太陽の揺籃の地、イトリモク》が戦場にある場合、土地にも関わらずそのマナ総量は3です。
どちらの面が第1面かわからないという方もいるかと思いますが、判別しやすいように工夫が施されています。第1面は左上隅に上向きの三角のアイコンがあり、第2面は右上隅に下向きの三角のアイコンがあります。どの面が表であっても、そのパーマネントが何であるか一目見て分かるようになっています。
パーマネントを変身させる場合、反対側の面へと裏返します。このとき注意したいのはパーマネントを変身させることで、それがタップ状態になったりアンタップ状態になったりはしないということです。つまり、タップ状態の《宝物の地図》を変身させても、《宝物の入り江》はタップ状態のままなのです。
また、パーマネントを土地に変身させることは、土地をプレイすることとは別物です。《宝物の地図》を《宝物の入り江》に変身させたとしても、そのターンに土地をプレイしたことには含まれません。
「探検」
《翡翠光の洞窟探検家》
クリーチャー – マーフォーク・スカウト
《翡翠光の洞窟探検家》が戦場に出たとき、これはX回探検を行う。
(探検を行うとは、「あなたのライブラリーの一番上のカードを公開する。それが土地なら、そのカードをあなたの手札に加える。そうでないなら、そのクリーチャーの上に+1/+1カウンター1個を置く。その後、そのカードを戻すかあなたの墓地に置く。」ということである。)
「探検」は『イクサラン』で登場したキーワード能力であり、カードアドバンテージかボード強化が得られます。不要牌を選り分け、安定して土地を伸ばせるため、アグロやミッドレンジなどのクリーチャーベースのデッキで重宝しました。《マーフォークの枝渡り》や《翡翠光のレインジャー》と聞いて懐かしい方もいるはずです。
実はこの「探検」にも手が加えられています。クリーチャーの誘発型能力から、新種のトークンの起動型能力でも登場します。
地図・トークン
《遠眼鏡のセイレーン》
クリーチャー – セイレーン・海賊
飛行
《遠眼鏡のセイレーン》が戦場に出たとき、地図・トークン1つを生成する。(それは「.. このアーティファクトを生贄に捧げる:あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それは探検を行う。起動はソーサリーとしてのみ行う。」を持つアーティファクトである。)
地図・トークンは「探検」の効果を持つアーティファクトです。起動コストは1と軽く、任意のクリーチャーを対象に取れるため、事故回避とボード強化の双方から見ても使いやすくなりました。マナが余っているときに細目に起動してライブラリーを堀り進めたり、特定のクリーチャーの強化を狙ったりと戦略の幅も広がります。《遠眼鏡のセイレーン》がいれば《島》1枚からでもデッキを掘り進められるのです。
地図・トークンにはデメリットも存在します。起動するにはあなたのクリーチャーを対象にとる必要があり、除去を挟まれて対象が戦場を離れてしまうと、地図・トークン自体の効果も立ち消えとなってしまいます。分割されて対象が必要になったために、「探検」ではなかった弊害が生まれてしまっています。
本来の使い方とは異なりますが、地図・トークンはアーティファクトのため、《上機嫌の解体》の対象が増えることになります。スタンダードやパイオニアの「召集」戦略に、新たな可能性が見つかったのです。特に《スレイベンの検査官》なきスタンダードにとって、軽量のアーティファクトトークン生成クリーチャーは貴重な存在といえるでしょう。
おわりに
今回は『イクサラン:失われし洞窟』で登場する固有メカニズムをご紹介しました。プレビュー初日ということで固有メカニズムを持つカード少なかったものの、効果自体は構築戦で通用すると思われます。特に「続唱」を彷彿とさせる「発見」を早く試して、使用感を確かめたいところです。
これから毎日新しいカードが公開されるかと思うとワクワクが止まりませんが、本稿はここでとなります。
晴れる屋メディアではこのあとも新セットの情報を追いかけていきます!ぜひご注目ください!
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