Round 3: 中谷 真司(神奈川) vs. 木幡 悠人(東京)

晴れる屋

By Shiro Wakayama


 今年の7月に行われた日本選手権のパブリックイベントとして行われた日本レガシー選手権2010。そこで見事に優勝を飾った中谷(神奈川)が家からほど近い、ここ板橋で行われるエタフェスに参加しないわけが無い。当然のように持っているbyeで余裕の昼食を食べ、腹ごなしにround2で勝利し、Round3では当然のようにフューチャーテーブルへと呼ばれる。レガシー界のエースである。今回はGPコロンバスで齋藤が作り出したマーフォークタッチ黒を持ち込んでいる。

 対する木幡は、首都圏のショップ主催のトーナメントや、AMC等に積極的に参加しているプレイヤー。どの環境にあっても、”メイン最強”の代名詞であるドレッジを使ってここまで土付かず。



Game1

 先手木幡。木幡の1マリガンからゲームは始まる。

 《宝石鉱山/Gemstone Mine(TSB)》から戦場に送り込まれるは《朽ちゆくインプ》。だが、《Force of Will》(《メロウの騎兵》リムーヴ)で出鼻を挫きつつ、《不毛の大地》《宝石鉱山》を割り、土地が少ないドレッジの動きを制限していく。案の定、1ランドキープで、後続の土地が無い木幡を尻目に《変わり谷》から《霊気の薬瓶》と対ドレッジとしては上々なスタート。



 対する木幡も、3ターン目には何とか《真鍮の都》に辿り着き、《朽ちゆくインプ》を再度プレイ。これは無事着地し、手札に発掘カードがあれば、急速に墓地が肥えていく。

 中谷は《霊気の薬瓶》のアドバンテージを活かすために、《行き詰まり》をプレイしてターンを返す。

 アップキープに《朽ちゆくインプ》で、《臭い草のインプ》を墓地に送り込んでドレッジすると、戦場に現れるのは《ナルコメーバ》

 対する中谷は《呪い捕らえ》《霊気の薬瓶》から戦場に送りだし、《変わり谷》でアタック。

 アップキープにさらに《臭い草のインプ》を墓地に落としサイドドレッジ。めくれるは《ナルコメーバ》。アタックして14:17。

 《行き詰まり》を嘲笑うかのように、”唱え”ずに盤面を増強していく木幡。

 中谷も《不毛の大地》で木幡のマナベースを攻め、自らは《霊気の薬瓶》が戦場にあるという、普通は素晴らしい動きをしているのだが、最早そんなことはお構い無しに墓地と盤面を増やしていく木幡。

 これまで少し控え目だった木幡のドレッジで墓地におちたのは、《ゴルガリの墓トロール》《戦慄の復活》《黄泉からの橋》

 先ほど墓地に送り込まれていた《イチョリッド》が帰ってきて、《ナルコメーバ》×2、《朽ちゆくインプ》でアタック。ライフは瞬く間に10となる。さらに、《イチョリッド》が墓地におちて2/2のゾンビが墓地から生み出され、戦場はどんどん木幡に傾いていく。

 自らの《行き詰まり》によって首がしまっている中谷。そのままターンエンド。

 さらにドレッジで墓地を掘り進め、アタック。ライフは4となってしまう。

 中谷は《霊気の薬瓶》から《メロウの騎兵》をプレイし、《変わり谷》でライフを詰めようとするが、盤面は圧倒的。全く行き詰る事無く盤面に脅威を展開し続けた木幡が勝利。


中谷 1-0 木幡 



 ”メイン最強”のドレッジ。だが、墓地をリソースとして扱うデッキは対策されやすい。そして対策が刺さりやすい。さらにマーフォークは墓地対策をカウンターで守る事が出来る。

 筆者の周りのドレッジスキー達は、Game2を指して口を揃えてこう言う。

「これからが本当の地獄だ。」



Game2

 木幡マリガン。中谷キープ。

 1T目、中谷がプレイしたのは《次元の狭間》。マーフォークで一般的なのは、《トーモッドの墓所》《大祖始の遺産》。だが、よりによって中谷の場に降臨したのは一番対処しずらいエンチャント。果たして木幡はこの悪魔の置物に対する解答はあるのだろうか?

 全く動じること無く、木幡は《不屈の部族》《ナルコメーバ》と展開していく。手札には《次元の狭間》に対する解答は無いようだが、この実質1/5の壁は、少し頼りない半魚人達を足止めするには十分なサイズ。《銀エラの達人》《アトランティスの王》《変わり谷》と、戦線を増強していく中谷だが、相手の場にも防衛線が張ってあり、いまいちクロックを詰めにいけない。

 少し小考した中谷は、慎重にジャッジから《不屈の部族》のオラクルを確認すると、《仕組まれた疫病》で「human」を指定。この型物を次元の狭間へと送り込む。そして、そのまま戦闘準備を行っていた半魚人に突撃の号令をかける。

 結局《次元の狭間》に触れられなかった木幡は、あきらめて3本目へと意識を切り替える。


中谷 1-1 木幡



Game3

 《霊気の薬瓶》《仕組まれた疫病》はあるものの、墓地対策とクリーチャーがいない手札を中谷はマリガン。

 木幡は《真鍮の都》《宝石鉱山》×2、《臭い草のインプ》《入念な研究》《不屈の部族》《ナルコメーバ》という上々の手札をキープ。

 中谷は、渋い表情ながら、6枚の手札でゲームを開始する。

 スタートは《真鍮の都》からの《不屈の部族》

 対する中谷は《霊気の薬瓶》

 アップキープにカードをすてて、ドレッジ、墓地に堕ちたのは、《黄泉からの橋》《ゴルガリの墓トロール》というハイカロリーなドレッジパーツ達。

 《入念な研究》は残念ながら《Force of Will》されてしまうが、以前墓地のリソースは潤沢。

 何もクロックを用意出来ない中谷は、《不毛の大地》で、数少ない木幡のマナベースを責める以外にする事が無い。

 対する木幡、やっとライブラリーから、《イチョリッド》×2と《ナルコメーバ》が墓地に落ち、クロックを用意するに至る。

 順調に黒いクリーチャーも墓地に溜まっており、《イチョリッド》《黄泉からの橋》でトークン生成エンジンが完成。

 《変わり谷》のブロックで《黄泉からの橋》がリムーブされないように、《ナルコメーバ》だけでアタック。真綿で首を絞めるかのように、中谷のライフを削って行く。

 中谷は《仕組まれた疫病》で指定はゾンビ。侵攻を少しでも食い止めようと頑張る。

 蔓延している疫病によって少し軍勢が頼りなくなってしまった木幡。フルタップの中谷だが、《霊気の薬瓶》からいつ出てくるかわからないクリーチャー。ここで小考して、木幡は意を決して、《イチョリッド》×2、《ナルコメーバ》×2でアタック。中谷のライフを一気に7まで詰める。

 そして、満を持しての《戦慄の復活》。対象は《絶望の天使》。まずは、《黄泉からの橋》の能力で生贄にささげられた《イチョリッド》2体が4体のゾンビに化ける。このまま通れば一気に勝負を決める《戦慄の復活》だが、これは虎の子の《Force of Will》でカウンター。

 しかし、手札が空になってしまった中谷は、この圧倒的な盤面を覆す術を持っていなかった。


中谷 1-2 木幡