コマンダー・フォーマット・パネル創設。これからどうなる?

いってつ

この記事はCommander Format Panelメンバーのガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verhey氏の監修を受けています。

統率者戦のこれから

晴れる屋メディアのいってつです。

現地時間10月22日、「 Commander Format Panel(以下CFP)」の創設が発表されました。CFPはウィザーズによる統率者戦での施策に対し議論し、フィードバックを行う機関です。

すでにご承知の方も多いでしょうが、晴れる屋メディアで記事を執筆しているいってつがCFPのメンバーに選出されています。

晴れる屋のスタッフとしてではなく、あくまで一個人としてCFPに参加することとなります。晴れる屋スタッフとしての業務と明確に区別してCFPの業務に当たります。ウィザーズとは秘密保持契約を結んでおり、家族、知人、そして晴れる屋などいかなる個人や組織に対しても、CFPでの業務上知り得た情報を共有することはけっしてありません。

この記事は「晴れる屋メディアスタッフとして」、今回アナウンスされたCFPの役割や今後の予定について解説します。

これまでの統率者戦

統率者戦はマジックコミュニティの中で生まれ、広がりました。ウィザーズの関知する公式フォーマットになったあとも、 禁止推奨カードなどの管理は「統率者戦ルール委員会」と呼ばれる外部組織が担っていたのです。外部組織とはいっても、シェルドン・メネリー/Sheldon Menery氏など、ウィザーズと関わり深い人物も在籍していました。

 

昨年には「統率者戦の父」ことシェルドン・メネリー氏が逝去。統率者戦ルール委員会のみならず、統率者戦のコミュニティにとって大きな損失でした。

そして、みなさんの記憶にも新しい、2024年の禁止推奨カードの改定。

フォーマットにかかわらず、マジックの世界で禁止カードが出てしまうことは残念な出来事です。そんななかでも、この禁止改定は非常にショッキングなものでした。

魔力の墓所宝石の睡蓮波止場の恐喝者

これらのカードは非常に汎用性が高く、人気のカードでした。統率者戦を始めるにあたって、まずはこのカードを手に入れるところから始めるというプレイヤーも少なくありませんでした。それだけに、他フォーマットの禁止改定や過去の統率者戦の禁止改定とは比べ物にならない数のプレイヤーが影響を受けました。なかには行き過ぎた反応を見せた人もいます。ウィザーズの発表によれば、この件に関して明らかに度を超えた誹謗中傷や脅迫がみられたとのことです。

統率者戦は大きくなりすぎました。管理、啓蒙はもはやウィザーズの外部組織に担える規模ではなくなっていたのです。

みなさんが愛するゲームをサポートしている人たちが、身の危険を感じることがあってはなりません。そして心残りではありますが、統率者戦を管理するという仕事は、5人の個人が安全に取り組める範囲を超えて大きくなりすぎました。

そこで本日、統率者戦ルール委員会メンバー共同のもと、統率者戦フォーマットの管理をルール委員会からウィザーズ・オブ・ザ・コーストのゲーム・デザイン・チームへ移譲することをお伝えします。

『統率者戦のこれから』より引用

コマンダー・フォーマット委員会(CFP)の設立へ

 

私たちのアイデアは以下の通りです。パワーレベルに応じた4つのブラケットを用意し、統率者戦のデッキは採用カードやカードの組み合わせを精査し、それからコミュニティの協力のもとで作成したリストと比較した上で、ブラケットのどれかに属することになります。基準としては、ブラケット1に平均的な構築済みデッキ、ブラケット4にはハイパワーなデッキが属することになるとお考えください。低ブラケットへの所属はカードの組み合わせやデッキの機能を優先して判断され、高ブラケットへの所属はより具体的なカードリストをもとに決められます。

(中略)このシステムにおいては、あなたのデッキの中で最も高いブラケットに属するカードやカードの組み合わせに応じてデッキのブラケットが決まります。これにより、それぞれのブラケットに含まれるカードが明確になり、プレイしているブラケットでどのようなカードが使われるのか想定しやすくなるでしょう。例えば《古えの墳墓》がブラケット4のカードだとすれば、それを採用したあなたのデッキはブラケット4に属するデッキだと認識されます。しかしそれが「墳墓」をテーマにしたデッキの一部であるなら、「《古えの墳墓》を入れるとブラケット4だけど、それを除けばブラケット2なんだ。入れてもいい?」という風に伝えることができます。

『統率者戦のこれから』より引用

今週末に控えた「MagicCon: Las Vegas」の前に統率者戦に関連してなんらかの発表をすると予告されていました。

今回発表された「Commander Format Panel」はパウパーの有識者組織「Pauper Format Panel」に着想を得た、統率者戦の有識者組織です。

Pauper Format Panelではパウパーコミュニティのリーダーたちがパウパーの現状について議論し、ウィザーズに意見を提供しています。禁止カードなどを最終的に決定するのは、あくまでウィザーズの責任のもとウィザーズが行います。

CFPでも同様に、ウィザーズの統率者戦に関する考えを議論し、意見を提供することになります。最終的な決定を下すのもやはりウィザーズです。

メンバーには旧統率者戦ルール委員会やその関係組織のメンバーを中心に、新たな顔ぶれも加えて17人が選ばれました。

メンバーはそれぞれ秘密保持契約を結ぶことになりますが、一方でメンバーひとりひとりが自由に自分の意見を話すことを勧めています。

私(Gavin Verhey)はCFPのメンバーに、自分の意見を公に表明することを歓迎するだけでなく、そうすることを奨励するとも伝えています。彼らはコミュニティの一員として参加するので、正直でいることが重要です。CFPやウィザーズ・オブ・ザ・コーストの決定を支持する義務を感じるべきではありません。彼らに偽りの行動や発言をさせたくはありません。オープンな場で自分の意見を述べるのはまったく問題ありません。大声で反対してもまったく問題ありません。私たちの決定に公然と異議を唱えるのもまったく問題ありません。ウィザーズが最終決定を下すので、不満がある場合は、このパネルのメンバーではなく、ウィザーズの責任にすべきです。また、CFPのメンバーの多くはコンテンツ クリエイターであり、彼らが自分のチャンネルで自由に反対意見を述べ、異なる意見を表明できることは、私たちにとっても彼らにとっても重要です。

Gavin Verhey『Introducing the Commander Format Panel 』より引用。晴れる屋メディアによる翻訳と強調、注釈を行った。

統率者戦のプレイヤーとしては、今後のマッチングシステムや禁止カードの行方について気になるところです。これについても言及がありました。

ブラケットはどうなる

「MagicCon: Las Vegas」前に発表された「ブラケット」の詳細については、発表が延期されました。不十分な時間で作ったものを見せるよりも、CFPに時間を与えてフィードバックを得たいという考えからです。

「ブラケットはお互いのデッキの強さを計る一種の目安であって、新しいルールにするつもりはない」との考えも示されました。

禁止カードはどうなる

ブラケットに関する調整の後、禁止カードリストへ焦点を当てるとのことです。ただ、どれだけ早くとも来年初頭以降の予定で、発表前に予告されます。ただし、新しい禁止カードが出ることはないだろう、とコメントしています。

謝辞

CFPのメンバーに選出されたことは大変名誉なことです。しかしこれは一人の努力の結果ではありません。私の記事を監督・指導してくれた上司や先輩、そして同僚・部下、ともに動画コンテンツを作ってきたトロピ大塚をはじめとした動画チーム、素敵なカードをユーザーに届けて、楽しいイベントを運営している店舗スタッフやトレード、通販、商品管理チーム、実務を支えてくれる総務や人事、経理チーム、そしてなにより私とマジックで遊んでくれるみなさんのおかげです。

私が選出されたことを不満に思う方もいるかもしれません。それでも、CFPの仕事には日本の統率者戦コミュニティへの恩返しのつもりで取り組んでいきます。みなさん、どうか応援していただければ幸いです。

それではみなさん、統率者戦のテーブルでお会いしましょう!

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いってつ 晴れる屋メディアライターです。最近の悩みは記事執筆と動画出演で忙しくて統率者戦が1日2回くらいしか遊べないこと。Commander Format Panel メンバー。 いってつの記事はこちら

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